内田樹のレビュー一覧
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竹宮惠子と内田樹が「マンガ」をテーマに大いに語る、という夢のような対談本。タイトルはもちろん「風と木の詩」のオマージュ。竹宮先生が自分の主要作品について、裏話も含めてここまで整理して語るのを見たのは初めてで、それだけでもとても衝撃的な内容。また、若き日の竹宮惠子・山岸凉子・萩尾望都が、一緒にヨーロッパ1周旅行をしていた事実が明らかに。(ヨーロッパ旅行の件、内田樹は「少女マンガ史上の決定的事件」と評した。まさに「その時、歴史が動いた」のかもしれない)
本書の後半は、竹宮先生が15年ほど前から精力的に取り組んでいる「マンガ教育」の重要性と難しさの議論に費やされている。漫画家は本質的に「職人」なので -
Posted by ブクログ
街場シリーズは数あれど、「読書論」となればついにウチダさんの本業が主題ということになる。(作家は書くだけじゃなく、読むほうも仕事のうちだろうし)
そういう意味もあってさすがの内容。テーマが幅広くて面白いです。
ウチダさんの本は多くがそうだけど、今回は特に読書欲を掻き立てられた。
とりあえず、ウチダさんの著作何作かと、トーマス・マンとカミュとヘミングウェイを読書リストに追加した。(※p280)
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memo:
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「一気に読ませるもの」では、一行目でいきなり書き手が耳元にいる。つまり、「一行目から話が始まる」のではなく、「もう話は始まっているのだが、それはたまたま私にとって『一行目』だ -
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ネタバレ面白かった。
真に宗教的な人間は宗教団体から勧誘は受けないそうである。
宗教的であっても宗教団体に属せない人間がスピリチュアルに行くというのは本当だと思う。
村上春樹氏が世界中で読まれていることにちょっと触れて、世界文学になるような作品は「どうすればいいかわからないときに、どうすればいいか」という難問を扱っている・・とのこと。
へーそうなの!と単純に驚いたが、そういえばそうかな?
御二方の闊達な考察に刺激を受ける。
靖国神社の問題も、もう少し自分の中で整理してみたい。
(本当は日本のマスコミが、毎年騒ぎたてるからややこしいことになっただけだと思うけど。) -
Posted by ブクログ
先日読んだ『呪いの時代』はどうもいまいちな感じを多く受けたのだが、この本はとても面白かった。
いろいろな短い文章を集めたもので、時期的には、震災以後・野田政権から安倍政権、維新の会の台頭といった期間にわたっている。
安倍政権に関して触れているのは最初の方に収められた 数編だけで、まだ特定秘密保護法案も出てきていない。アベノミクスにさえ触れていないから、せいぜい政権成立直後までの文章群かもしれない。ただ、自民党の「憲法改正案」については批判的に解読している。
内田氏によると、こういった民主政権後に復活した自民党政権の路線は、一見「復古調」に見えるものの、実は「新しい」ものだということだ。
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『階層の二極化と反知性主義の関連は、指摘する人があまりいませんけれど、これは車の両輪のような現象だと思います』 ー『第七講 弟子という生き方』
例えば郊外の森に囲まれた一軒家に暮らすことにどれだけの価値を見出だせるか。自己充足的な生活が可能で、自然豊かな環境が整っているとして。
その問いに応えようとすると、どれだけ個人主義を標榜しようとも、人は究極的には社会的生物であるということを思い知る。なに不自由なく暮らせるとしても、人は他人との遣り取りを求めるもの。例えば最近読んだ「極北」の主人公が、閉ざされてはいるが安定している現状から不確かな未来へ向けて行動することを選択しても違和感なく追うこと