内田樹のレビュー一覧
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久々発見、内田さんの本。
ちょっと大きめの本屋さんでじっくり本棚漁る時間は至高ですが、収穫があるとなおよしですね。
「憂国論」というタイトルそのままに、現代日本の様々な問題を独特の視点から掘り下げて意見を述べている本です。
特に強い口調で何度も述べられているのが以下の3点。
・国家のことを考える際にグローバリストの言うことを信じてはならない
・市場開放・自由主義を行政に適用するべきではない
・国の役目は、国民全員をいかに食わしていくか、である(下村 治著『日本は悪くない 悪いのはアメリカだ』参考)
ざっくりといえば、フランスの特徴的な思想のひとつである「自然権」の影響を大きく受けた(と私 -
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ネタバレWebに書き溜めたものを編集した、いつもの内田先生スタイル。憲法9条、教育論、倫理的生き方…等々、「おじさん」的には溜飲下がる切れ味のよいエッセイ。(切れ味のよさに惑わされ、自分で理解できた思っているだけかもしれませんが)。
その中で特に印象に残った言葉は、sauve qui peut 「生き延びることができるものは、生き延びよ」。船が沈没したり、最前線が崩壊したりしたときに、最後に指揮官が兵士たちに告げる言葉で、内田先生が娘さんの旅立ちに送った言葉。集団として生き延びることが困難な局面では、一人ひとりが自分の才覚で生き延びる他ないと。厳しい時代ではありますね。 -
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腰巻きに「おじさんと若者が,ゆるゆると日本の未来を話し合ってみました…」と書かれていますが,そのとおりのシンポジウムの記録でした。
ただ,話されている内容は,立ち位置がしっかりしていて,しかも包容力もある話で,とても好感が持てました。
グローバル化と国民国家とは両立できない…とすると,わたしたちは,もう一度,地に足をつけた国民国家を作る必要があるだろう。
話を聞いていると,「わたしたちの地域の再生も無理ではない」と思い,勇気が出て来ます。できるところから,できる人がやる。
「人はカネのためだけに生きているワケではない。」-これも腰巻きの言葉です。
第3回シンポジウムの結論…「ぬるリ -
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武田鉄矢氏のラジオでの紹介で知り読み始めました。
当たり前に日常を生きていたら絶対にぶつからない世界。「何かが違う」違和感を持ち続けている人達へのメッセージ。勝ち負けで一喜一憂する事よりも深いことでしょう。名人伝の別のバージョン、あるいは解説書ともとれます。
キマイラの頁では大相撲をの取組を想像しました。相対して勝ち負けを競っているのではない。行司、審判、観客も含めての一つの'大相撲'になるのだと。立会いから決まり手までの流れが石火の機、啐啄の機であるのでしょう。それはアマチュアの自分有利に立とうとする立会いの相撲とは質を異にする。かつての落語家が落研出身者を弟子にとりたが -
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昨夜は 眠れなかったので、そうだそうだ。
内田樹の本があった とおもって、
『疲れすぎて眠れない夜のために』をてにとって読み始めた。
眠れるための ことが書いてあるかとおもったら、
そうでなくて 『疲れすぎないように どうするか』が
書かれていた。なるほど。
疲れなければいいわけだ。
でも、元気だったら、よけい眠れないじゃないか
と思ったりした。
小さくはあるが確固とした幸せ。
ほっかりした 幸せ を 行動規範にしたほうがいいと良い
というおすすめ だった。
ワンランク 上では なく ワンランク 下でいいよ。
無限の可能性があっても、可能性は有限だから、
目標の適正と優先順位をつけて我慢 -
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釈徹宗さんの解説を交えながらの大阪、京都、奈良の聖地を巡る旅。イスラエルが3つの宗教の聖地であるように、古来から「聖なる場所」というのは人類が共通して感じられる「何か大きな力」を感じられる場所なのだろう。現代人はその力を感じ取る能力が衰えてきているのではないか。自分の足で歩いたり、自然の空気や土や草木にふれたりする機会を失いがちな都会人はなおさらだ。そうして我々はいつしか「聖地」の存在を忘れ、気付かぬようになり、蔑ろにしてしまう。今回の旅では大阪はその傾向が激しく、京都は観光化しながらもさすがによく保っており、奈良(東大寺周辺でなく南部大和地方)は未だ開発されずに素朴で野性的なまま残っていると
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内田センセイ経済人にきもちよくケンカ売りまくりでやべえー!!となる一冊でした(笑)そんな軽々なテンションではしゃいでいる場合ではないと思いますが(笑)
日経を読んでると、内田センセイの言っていること全てが正しい訳ではないのだと思えますし(経済人は自己の利益のために仕事をするという前提があるようですが、実際には世のため人のためと思ってやっている方も確かにいるし、お題目ではなくそれが規範とされている、と信じたい)、しかし人文学者としてこの視点から熱く警鐘を鳴らし続ける人が必要な事態だというのも強く感じます。まえがきに「もう二度と依頼が来なくなるくらい過激に」(笑)とあるので、そのくらいのラディカル -
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1文芸棚
軽快な語りである。本読書が著者との対話であるというなら、慣れてきた、文体、構成、話の進め方など。取り扱いの本は、軽い内容ではないと思うのだが、分かりやすく、扱っている技がある。
2人文棚
じんぶん、ちんぷん、長い文でさっぱり分からず。
3内田棚
自画自賛でも、おもしろい、読んでいない著作が多かった。
4教育棚
歌わざる英雄は何故、教育なのだろう。教えるものなのか?誰かがいわなければ分からないのだろうが、学生向けで分かる教育なのか?
運がいい、という表現がとても気に入った。
学ぶ力中学2年生が対象なのか。まさに好対象な時期ともいえる。これが大学に入ると込み入ってしまうのは何故だろう。
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ネタバレ「知性」とはなにかを考えさせ、自らの思考力、判断力を鍛えるための良質なテキストが満載です。
p.25
私たちは知性を計算するとき、その人の「真剣さ」や「情報量」や「現場経験」などというものを勘定に入れない。そうではなくて、その人が自分の知っていることをどれくらい疑っているか、自分が見たものをどれくらい信じていないか、自分の善意に紛れ込んでいる欲望をどれくらい意識化できるか、を基準にして判断する。
p.42
私たちは知性を検証する場合に、ふつう「自己批判能力」を基準にする。自分の無知、偏見、イデオロギー性、邪悪さ、そういったものを勘定に入れてものを考えることができているかどうかを -
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いや~面白かった。
今まで対談の類はたくさん読んできたけど、これほど対談の素晴らしさを伝えている本はないような気がする。
内田氏に関してはすごいことは知っている。ただ、今回の発見は相手役の釈氏である。ここまで内田氏相手に話せる人はいないんじゃないか。
だいたい内田氏がらみの対談を読むと、ほぼみんな相手の人は内田氏のフィールドに引き込まれていく。相手の専門について話をしていても内田氏のロジックとマジックにつられてしまうのである。
しかしこの釈氏は違った。もちろんこの対談のテーマが釈氏にとってはど真ん中ストライクのテーマだということもあろうが、内田ワールドにひきづられながらも、釈ワールドを