内田樹のレビュー一覧

  • 街場の憂国論

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    久々発見、内田さんの本。
    ちょっと大きめの本屋さんでじっくり本棚漁る時間は至高ですが、収穫があるとなおよしですね。

    「憂国論」というタイトルそのままに、現代日本の様々な問題を独特の視点から掘り下げて意見を述べている本です。
    特に強い口調で何度も述べられているのが以下の3点。

    ・国家のことを考える際にグローバリストの言うことを信じてはならない
    ・市場開放・自由主義を行政に適用するべきではない
    ・国の役目は、国民全員をいかに食わしていくか、である(下村 治著『日本は悪くない 悪いのはアメリカだ』参考)

    ざっくりといえば、フランスの特徴的な思想のひとつである「自然権」の影響を大きく受けた(と私

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    2014年01月03日
  • 「おじさん」的思考

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    ネタバレ

    Webに書き溜めたものを編集した、いつもの内田先生スタイル。憲法9条、教育論、倫理的生き方…等々、「おじさん」的には溜飲下がる切れ味のよいエッセイ。(切れ味のよさに惑わされ、自分で理解できた思っているだけかもしれませんが)。
    その中で特に印象に残った言葉は、sauve qui peut 「生き延びることができるものは、生き延びよ」。船が沈没したり、最前線が崩壊したりしたときに、最後に指揮官が兵士たちに告げる言葉で、内田先生が娘さんの旅立ちに送った言葉。集団として生き延びることが困難な局面では、一人ひとりが自分の才覚で生き延びる他ないと。厳しい時代ではありますね。

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    2013年12月30日
  • 呪いの時代

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    やはり本書は、内田樹さんの本でいちばん好き。
    テーマも比較的バランスよく、読みやすくまとまっているように思います。
    呪い、婚活、贈与、知性の使い方など、共感できる話が多い。
    内田さんの本がなんでおもしろいかって、ほかの方たちが突き詰めないようなところまで「自分の頭で」考えているからなのでは、と思いました。
    本書は、何度も何度も読み返して、内田さんの感覚をつかんでいきたいところです。

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    2013年12月14日
  • 街場の憂国論

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    読み進めるたびに目からうろこ。
    いかに経済的な利得に頭が凝り固まっていたのかということに気付かされました。

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    2013年12月08日
  • 脱グローバル論 日本の未来のつくりかた

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     腰巻きに「おじさんと若者が,ゆるゆると日本の未来を話し合ってみました…」と書かれていますが,そのとおりのシンポジウムの記録でした。
     ただ,話されている内容は,立ち位置がしっかりしていて,しかも包容力もある話で,とても好感が持てました。
     グローバル化と国民国家とは両立できない…とすると,わたしたちは,もう一度,地に足をつけた国民国家を作る必要があるだろう。
     話を聞いていると,「わたしたちの地域の再生も無理ではない」と思い,勇気が出て来ます。できるところから,できる人がやる。
     「人はカネのためだけに生きているワケではない。」-これも腰巻きの言葉です。
     第3回シンポジウムの結論…「ぬるリ

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    2013年11月30日
  • 街場の憂国論

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    面白い。著者のブログから『政治ネタ』を拾って
    本にした内容なのですが。
    行き過ぎた市場主義。グローバル化。贈与経済。廃県置藩
    橋下・維新の会批判。教育行政批判等々。
    いいようによっては屁理屈とそん色がないほどの論理と
    本質によるキレッキレの批判論評。憂国からくる提案もそれも秀逸。
    アンサングヒーローを目指し。『自己利益よりも公共的な利益を優先させることの必要性を理解できる程度に知的であること』を目指したいと思う内容です。私よりも若い人たちに読んでほしい内容です。秀逸です。

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    2013年11月19日
  • 聖地巡礼 ビギニング

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    おもしろい!
    機会があれば、ぜひ巡礼部にお伴したいと思いました!
    それにしても、釈先生の博識ぶりには脱帽です。

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    2013年11月05日
  • 修業論

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    武田鉄矢氏のラジオでの紹介で知り読み始めました。
    当たり前に日常を生きていたら絶対にぶつからない世界。「何かが違う」違和感を持ち続けている人達へのメッセージ。勝ち負けで一喜一憂する事よりも深いことでしょう。名人伝の別のバージョン、あるいは解説書ともとれます。
    キマイラの頁では大相撲をの取組を想像しました。相対して勝ち負けを競っているのではない。行司、審判、観客も含めての一つの'大相撲'になるのだと。立会いから決まり手までの流れが石火の機、啐啄の機であるのでしょう。それはアマチュアの自分有利に立とうとする立会いの相撲とは質を異にする。かつての落語家が落研出身者を弟子にとりたが

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    2013年10月30日
  • 疲れすぎて眠れぬ夜のために

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    昨夜は 眠れなかったので、そうだそうだ。
    内田樹の本があった とおもって、
    『疲れすぎて眠れない夜のために』をてにとって読み始めた。
    眠れるための ことが書いてあるかとおもったら、
    そうでなくて 『疲れすぎないように どうするか』が
    書かれていた。なるほど。

    疲れなければいいわけだ。
    でも、元気だったら、よけい眠れないじゃないか
    と思ったりした。

    小さくはあるが確固とした幸せ。
    ほっかりした 幸せ を 行動規範にしたほうがいいと良い
    というおすすめ だった。

    ワンランク 上では なく ワンランク 下でいいよ。
    無限の可能性があっても、可能性は有限だから、
    目標の適正と優先順位をつけて我慢

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    2018年03月05日
  • 聖地巡礼 ビギニング

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    釈徹宗さんの解説を交えながらの大阪、京都、奈良の聖地を巡る旅。イスラエルが3つの宗教の聖地であるように、古来から「聖なる場所」というのは人類が共通して感じられる「何か大きな力」を感じられる場所なのだろう。現代人はその力を感じ取る能力が衰えてきているのではないか。自分の足で歩いたり、自然の空気や土や草木にふれたりする機会を失いがちな都会人はなおさらだ。そうして我々はいつしか「聖地」の存在を忘れ、気付かぬようになり、蔑ろにしてしまう。今回の旅では大阪はその傾向が激しく、京都は観光化しながらもさすがによく保っており、奈良(東大寺周辺でなく南部大和地方)は未だ開発されずに素朴で野性的なまま残っていると

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    2013年10月10日
  • 街場の憂国論

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    内田センセイ経済人にきもちよくケンカ売りまくりでやべえー!!となる一冊でした(笑)そんな軽々なテンションではしゃいでいる場合ではないと思いますが(笑)
    日経を読んでると、内田センセイの言っていること全てが正しい訳ではないのだと思えますし(経済人は自己の利益のために仕事をするという前提があるようですが、実際には世のため人のためと思ってやっている方も確かにいるし、お題目ではなくそれが規範とされている、と信じたい)、しかし人文学者としてこの視点から熱く警鐘を鳴らし続ける人が必要な事態だというのも強く感じます。まえがきに「もう二度と依頼が来なくなるくらい過激に」(笑)とあるので、そのくらいのラディカル

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    2013年10月09日
  • 聖地巡礼 ビギニング

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    大阪、京都、奈良のパワースポットを歩きながらの薀蓄あふれる対談。清水寺の舞台が、あそこから死体を投げ捨てるためのものだったという説にはびっくり。京都の昔の三大墓地というか、死体が投げ捨てられていた場所というのもゾーッとする。初めて聞くような話が満載。

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    2013年09月22日
  • 聖地巡礼 ビギニング

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    おもしろかった。
    大阪の上町台地、天満宮から四天王寺まで
    京都での連台野と鳥辺野、船岡山から大谷本廟まで
    奈良飛鳥、橘寺から三輪山まで
    内田氏の評論もいいが、釈徹宗氏の講和・法話も非常にいい
    京都の船岡山・鳥辺野あたり。三輪山はいちど行ってみたい
    と思います。

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    2013年09月18日
  • 嘘みたいな本当の話みどり 日本版ナショナル・ストーリー・プロジェクト

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    アメリカの本家のプロジェクトが会って、これはその本案版。とっても面白い企画だと思う。今でも原稿を募集中。

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    2013年09月09日
  • 街場の読書論

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    1文芸棚
    軽快な語りである。本読書が著者との対話であるというなら、慣れてきた、文体、構成、話の進め方など。取り扱いの本は、軽い内容ではないと思うのだが、分かりやすく、扱っている技がある。
    2人文棚
    じんぶん、ちんぷん、長い文でさっぱり分からず。
    3内田棚
    自画自賛でも、おもしろい、読んでいない著作が多かった。
    4教育棚
    歌わざる英雄は何故、教育なのだろう。教えるものなのか?誰かがいわなければ分からないのだろうが、学生向けで分かる教育なのか?
    運がいい、という表現がとても気に入った。
    学ぶ力中学2年生が対象なのか。まさに好対象な時期ともいえる。これが大学に入ると込み入ってしまうのは何故だろう。

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    2013年08月02日
  • ためらいの倫理学 戦争・性・物語

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    ネタバレ

    「知性」とはなにかを考えさせ、自らの思考力、判断力を鍛えるための良質なテキストが満載です。




    p.25

    私たちは知性を計算するとき、その人の「真剣さ」や「情報量」や「現場経験」などというものを勘定に入れない。そうではなくて、その人が自分の知っていることをどれくらい疑っているか、自分が見たものをどれくらい信じていないか、自分の善意に紛れ込んでいる欲望をどれくらい意識化できるか、を基準にして判断する。


    p.42

    私たちは知性を検証する場合に、ふつう「自己批判能力」を基準にする。自分の無知、偏見、イデオロギー性、邪悪さ、そういったものを勘定に入れてものを考えることができているかどうかを

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    2013年07月28日
  • 現代霊性論

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    いや~面白かった。

    今まで対談の類はたくさん読んできたけど、これほど対談の素晴らしさを伝えている本はないような気がする。

    内田氏に関してはすごいことは知っている。ただ、今回の発見は相手役の釈氏である。ここまで内田氏相手に話せる人はいないんじゃないか。

    だいたい内田氏がらみの対談を読むと、ほぼみんな相手の人は内田氏のフィールドに引き込まれていく。相手の専門について話をしていても内田氏のロジックとマジックにつられてしまうのである。

    しかしこの釈氏は違った。もちろんこの対談のテーマが釈氏にとってはど真ん中ストライクのテーマだということもあろうが、内田ワールドにひきづられながらも、釈ワールドを

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    2013年07月19日
  • 脱グローバル論 日本の未来のつくりかた

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    自由な競争こそが正義で、これこそが人間にとって幸福な社会の実現とするネオリベラリズムに対抗する「ポストグローバル社会」のありかたを考えるシンポジウムのまとめ本。人材や産業の育成をかえりみず、低コストを求め、中国、インドネシアと畑をかえ短期成果に執着するグローバリズムは、資源が無限であることを前提とした焼畑農業と同質であり、国土に住む国民を包摂せざるを得ない国家という何10年という寿命のシステムと、マーケットにおいてイーブンなプレイヤーであるはずがない、というような指摘はまさにその通りと思う。

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    2013年07月15日
  • 脱グローバル論 日本の未来のつくりかた

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    授業でもグレーバル社会の問題点について触れた文章を読んでいたせいもあり、「脱グローバルというタイトルにも惹かれて、この本を読んだ。非常にまっとうな意見だと思う。実現させるのに時間がかかるだろうが、日本の進むべき道はこの方向だろうと思わせられる。
    どうしてこういう考え方が主流にならないのかな?金が儲からないからか。何億と稼げた頃の甘い幻想を諦めきれずに追いかけているからではないのかな? この本のようなまっとうな意見を今の政治屋から聞きたいものだ。

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    2013年07月13日
  • 脱グローバル論 日本の未来のつくりかた

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    ネタバレ

    日本の未来を考えるために、参院選を前に読んで良かったと思う。「でもどうせこの閉塞感は変わらないんだろうし…」なんて気分でいましたが、これを読んだら、まだまだ可能性のある未来は切りひらけるかな?と希望がもてました。その「可能性」は、アベノミクスに代表されるようなものとは全く別のものだけれど。まだ手遅れじゃない、はず!
    私と同世代、あるいはもっと下の世代の人たちの中に、内田先生や平川先生と同じような考えを持つ人がいるというのは、なんだかうれしい。

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    2013年07月09日