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こつこつ働き、家庭を愛し、正義を信じ、民主主義を守る……。「日本の正しいおじさん」たちが心の支えとしてきたモラルや常識が棄て去られてしまった現代、「おじさん」たちは何を指針に生きれば良いのか。最も信頼できる論客が、今こそ「正しいおじさん」の功績を讃え、思想体系を整備し、成熟した大人として生きるための思考方法を綴った、知的参考テキスト。解説は平松洋子(エッセイスト)。
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Posted by ブクログ
なるほど、これが2冊目なんですね。確かに、主義主張には一貫した哲学が込められているけど、ご自身であとがきにも書かれているように、筆致が熱いですね。よく似た内容でも、最近のものの方が読み易い気はしました。それでも、十分に示唆的で、自分的には色々考えさせられる部分が多かったですが。
内田さんの本。個人的に、著者の本はハズレがない。 どんなことを語る時でも、自分にはできない視点で物事を見てくれるし、こんなに「むずかしそうなこと」を「平易に」語れる人はなかなかいない。 ページ数は少ないわけではないのにもかかわらず、すらすら読めて、かなり早く読み終わりました。知的刺激の宝箱みたいな本...続きを読む。 まぁ、あえて言うと内田さんは同じような話を何度もするところが、ちょっとだけ、難点かな。それでもおもしろいけども。 あとは、最後の第四章の漱石論はちょっと読みづらい。エッセイの方が好きだ。 んー、感想を書こうとしても、なかなか簡単に語りつくせない。もっともっと著者の本を読みたい。
内田さんの二冊目のエッセイ集。 タイトルにしても内容にしても、初期のものだけあって、とにかく書きたいものを書きまくりましたって感じ。 良くも悪くも、内田さんらしさがすごく出てる。 p.168より 一七歳のある日私はいきなり「世界」を一望できるような包括的な視座に立ちたいという強烈な欲望に襲われた...続きを読むのである。
第1−3章は、自身のHPに発表されたエッセイや日記から編集したテクスト、そして第4章「『大人』になることー漱石の場合」は晶文社のwebに連載されたもの。 わたし自身の思考のデフォルトがおじさんなのか、違和感なく共感できる内容多し。時事的話題が多いけれど、一昔ふた昔ぐらいでは古びていないものばかり。 ...続きを読む江戸と断絶して新しいロールモデルを必要とした明治において、漱石が近代日本最初の大人となったという第四章、小説に登場する青年たちの分析から、「内面のない青年」こそ漱石が明治の青年に文学的虚構を通じて示そうとした理想の青年像だというのも、なるほどな、と楽しい視点だった。
内田樹の「おじさん」的思考を読みました。10年前に内田樹が自分の意見をまとめたエッセイ集でした。学校で学ぶべきことは、知識ではなく、学ぶためのみちすじである。自分の中にピュアな自分自身が存在するというのは幻想であり、いろいろな弊害をもたらしている。破局が起きている中では、平常心の人を信じるな。学校に...続きを読む信頼や畏敬を持っていない親たちがイタい子供達を生み出している。というような主張が述べられています。マスコミや政府が主張していることで、何となく変だなあ、おかしいような気がするなあ、と感じていることを一刀両断で解説しているので、読んでいてすっきりします。後半は夏目漱石の小説の解釈になっていますが、漱石の小説を読んだのはずいぶん昔なので、もう一度読み直してみようかなあ、と思いました
私が読んだのは単行本です。内田樹(たつる)著「おじさん的思考」、2002.4発行。軽い読み物と思いきや、何とも理屈っぽい作品、哲学の書でしたw。こういう見方もあるのかなという感想です。①大義名分を立てて戦争するより、大義名分のない平和にしがみつく方がずっとむずかしい。憲法九条と自衛隊、歴史上、もっと...続きを読むも巧妙な歴史的妥協。②フリーターの社会的機能は失業者の隠蔽。主体的なフリーター、勉強をしない大学生、家事をしない専業主婦(日本だけに存在する社会集団)が失業率の緩衝材。③教育では学ぶためのマナーを学ぶことから。
『ためらいの倫理学』(角川文庫)につづく、著者の二冊目のエッセイ集です。比較的短いエッセイのほか、漱石の『虞美人草』と『こころ』を著者自身の観点から読み解いた論考「「大人」になること―漱石の場合」が収録されています。 本書の「文庫版あとがき」には、伊丹十三のインタヴューにかんするエピソードに言及し...続きを読むながら、「「この稼業は一度なめられたらしまいやけ」というような鼻息の荒さが何となくこのタイトルにも、収録された文章にもにじんでいます」と述べているように、その後刊行された著者の多くの本にくらべると、かなりエッジの利いた議論の運びになっているのがめだちます。 とくにブログでの著者の文章には、著者のファンと呼べるような気ごころの知れた人びとに向けて語りかけているような雰囲気が感じられ、議論の内容そのものは相当に切れ味のするどいものではあるものの、著者の温厚な人柄が伝わってくるような印象がありますが、本書の文章には、著者の研ぎ澄まされた思考を抜き身のままで見せられているようにも感じられました。
文庫化されたのは02年ですが、内容は00年前後の著者のブログをまとめたものです。 今(17年)読んでも、著者の慧眼には、やはり脱帽します。時事ネタは、時の経過と共に、 大概は価値をなくしますが、著者の一部の内容は、経年劣化に耐えています。 第二章に「老人大国に向けてのロールモデル」という文章があり...続きを読むます。01年に書かれた内容ですが、 日本は確実に衰退していくという内容に、17年の今の日本がダブります。 日本はここ10数年で、制度疲労を起こしています。 もはや過去の成功モデルでは、国を安定維持させることは、 できないにも関わらず、成長モデルを打ち出してします。 超高齢化、人口減少、少子化、労働人口の減少と、 経済を活気づける上での最もキーとなる要素が減少していく過程で、 成長モデルを打ち出すのは、やはり無理があると思います。 もちろん経済成長は大事です。 それは、成長の条件が、拡大生産であり、純投資と貯蓄だからです。 これなくして、成長の好循環を生み出せないというのは、経済学のセオリーです。 しかし、個人的には、この理論は、もうすでに日本には適用できないと思っています。 政府主導で行った経済政策で、この10年で、日本人の所得が上がったでしょうか? 逆に94年ベースで、世帯所得は25%減りました。 内田氏の言葉を借りれば、日本の国そのものが、「お疲れさん」状態です。 国の屋台骨である財政は既に瀕死状態、社会保障制度もしかりです。これから、 10年近くで労働人口が1000万は確実に減ります。 その中で、今までの、生活水準を維持していくのは、多くの人は、かなり難しいでしょう。 2割ほどが、豊かで、残りは、かなり厳しい生活を強いられるというのが、 日本の今後10年の変化になると思います。中には、日本を変えてやるんだ!と、 抜本の改革を気取る人や、甘い言葉とわかりやすい言葉で、大衆を扇動する人が出てくると思いますが、 問題は、それほど単純ではありません。単純化する方が、よほど問題です。 ある面では、ここ20年、そういう言動に、なびいた自分達の国民性が、やはり、問題ありです。 今の時代に、はっきりとした「答え」は、ありません。 内田氏も、いろんな問題に対して、答えていません。 ただ、考えています。それが、ある意味、答えなのかもしれません。 くれぐれも、答えを安易にいう輩には、気をつけたいと思います。
漱石は『虞美人草』で明治に於ける日本人はどう生きるか、という問いをもち、国民としてのロールモデルを示した。それが宗近君。
永江朗『おじさんの哲学』の感想を聞いて、読みたいなぁと思い書店に行くと、こっちのほうが目について購入。 ダイジェストよりそりゃまるごと「おじさん的」なほうがいいよな、ということで。 内田せんせの2冊目のエッセイ。「るんちゃんの旅立ち」で不意打ちを食らい思わず泣いてしまった。
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