あらすじ
「日本の未来をどうすべきか」参院選に投票する前にもう一回考えてみませんか? 「ポストグローバル社会と日本の未来」というテーマでおじさんと若者が、ゆるゆると日本の未来について語ってみました。新自由主義(ネオリベ)に染まらない自由を! 「ポストグローバル社会と日本の未来をいかに築くか」という、今の日本がもっとも考えなくてはならないこの問題に7人の論客が挑みます!
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Posted by ブクログ
グローバリズムという資本主義レールの目先にあるものに向かって進んでいた自分としては最初の数ページは腹オチせず読み進めるのに躊躇したが途中からこの本の目線はもっと先にあることを気がつくとぐんぐん引き込まれた。自分が去年体験した一連のボラ活動などの経験とこの本の中に出てきた2名の20代が言っていた言葉が重なり曖昧だったミライの日本のあり方がぼんやりと見えてきた気がする。
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腰巻きに「おじさんと若者が,ゆるゆると日本の未来を話し合ってみました…」と書かれていますが,そのとおりのシンポジウムの記録でした。
ただ,話されている内容は,立ち位置がしっかりしていて,しかも包容力もある話で,とても好感が持てました。
グローバル化と国民国家とは両立できない…とすると,わたしたちは,もう一度,地に足をつけた国民国家を作る必要があるだろう。
話を聞いていると,「わたしたちの地域の再生も無理ではない」と思い,勇気が出て来ます。できるところから,できる人がやる。
「人はカネのためだけに生きているワケではない。」-これも腰巻きの言葉です。
第3回シンポジウムの結論…「ぬるリベ」(ぬるいリベラル)。これはいいですね。
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自由な競争こそが正義で、これこそが人間にとって幸福な社会の実現とするネオリベラリズムに対抗する「ポストグローバル社会」のありかたを考えるシンポジウムのまとめ本。人材や産業の育成をかえりみず、低コストを求め、中国、インドネシアと畑をかえ短期成果に執着するグローバリズムは、資源が無限であることを前提とした焼畑農業と同質であり、国土に住む国民を包摂せざるを得ない国家という何10年という寿命のシステムと、マーケットにおいてイーブンなプレイヤーであるはずがない、というような指摘はまさにその通りと思う。
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授業でもグレーバル社会の問題点について触れた文章を読んでいたせいもあり、「脱グローバルというタイトルにも惹かれて、この本を読んだ。非常にまっとうな意見だと思う。実現させるのに時間がかかるだろうが、日本の進むべき道はこの方向だろうと思わせられる。
どうしてこういう考え方が主流にならないのかな?金が儲からないからか。何億と稼げた頃の甘い幻想を諦めきれずに追いかけているからではないのかな? この本のようなまっとうな意見を今の政治屋から聞きたいものだ。
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日本の未来を考えるために、参院選を前に読んで良かったと思う。「でもどうせこの閉塞感は変わらないんだろうし…」なんて気分でいましたが、これを読んだら、まだまだ可能性のある未来は切りひらけるかな?と希望がもてました。その「可能性」は、アベノミクスに代表されるようなものとは全く別のものだけれど。まだ手遅れじゃない、はず!
私と同世代、あるいはもっと下の世代の人たちの中に、内田先生や平川先生と同じような考えを持つ人がいるというのは、なんだかうれしい。
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前大阪市長の平松邦夫が立ち上げた「公共政策ラボ」主催のシンポジウムの模様をまとめた一冊。この本を手に取った理由は、ほかでもない内田樹が討論をリードしているから。早くから橋本徹の教育に関する施策に異議を唱えていた内田樹が、その橋本徹に選挙で敗れた平松邦夫とタッグを組んだわけだから、ちょっと見過ごすことができなかった。
内容は、内田樹がかねてから唱えている(かつ、ワタシも賛同している)「贈与経済」という考え方を、国家規模、グローバル規模であてはめていったらどうなるか、という討論が中心になっている。そして、これをあてはめていくとグローバル社会から脱してゆくことになる、というのがこのシンポジウムのコアの部分なんだろう。なるほど名うての論客達の討論からは、思わず唸るような数々の指摘が。でも、この国はそれほどグローバルな社会を持っているんだろうか、という疑問がふとわいてくる。善し悪しはともかく、グローバルな社会を目指そうとしているんだろうが、いま現在はまだそんなレベルには到達していない。この本の指摘するところは十分刺激的だが、後の時代に「早過ぎた指摘」と評される可能性があるような気もする。
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グローバル化について本当の意味での豊かさを実現出来るの?と、問いかける一冊。教育や医療や昔ながらの商店街にもグローバル化を持ち込むことで、金銭的な豊かさは良くはなっても、二極化が進むだけだよ。中間層が一気に引き落とされるよ、心が貧しくなるよ、といった本。グローバル化に違和感感じる人にオススメしたい一冊。
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ポストグローバル社会論と日本の未来を考えるシンポジウムの記録。
第2回の、イケダハヤト氏と高木新平氏の視点がユニークで面白い。
マスコミ報道ではわからない橋下市長に選挙で敗れた平松氏の思想や人となりも知ることができる。
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グローバリズムを疑う。成長し続けることを前提とした資本主義はいつか限界点に達する。資本主義は常に新たな市場、貧しい者、安価な労働力を求め続ける。つまるところ貧富の差があることを前提としている。もっとも裕福になったはずのアメリカや日本で、逆に貧富の差が増大しているということは、やはりそれを必要としている制度なのではないだろうか。高齢化と共に人口減少を避けられない日本がこの先どのような社会を築いていくのか。貨幣経済の外で助け合える共同体をどのように作っていくのか。興味深い。
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グローバル化、新自由主義、何だか地に足が付いていないことがどんどん進んでいるような…。身体感覚のない言論が過激さを加速する。匿名のネット上での発言が問題になるのも納得です。
ここのところの内田氏はグローバル化、グローバル企業と国民国家が相入れない関係であることを盛んに書いています。株式会社の平均寿命が10年未満なのにたいして人間の寿命は数十年。我々の身体感覚ではものごとを100年単位で捉えている。それを体現しようとするシステムが国民国家である。企業は100年後のことには興味ないのですぐに効果、結果を求める。この企業の論理が国民国家に浸透してきてしまっている。これが何を生み出すのか私たちは冷静に判断しなければならない時期に来ているようだ。
既得権益を排し、全ての人に平等な機会を与えるというのは一見正論のように聞こえるけれど、本当にそうなのだろうか?もしかしたら強者だけが得をする超格差社会を生むだけなんじゃないだろうか?
答えは分からないけど、はっきりとものを言う、正論を言っている(ように聞こえる)人が幸せな未来を私たちにもたらしてくれるの考える必要があると感じさせられる。
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この本のもととなったシンポジウムは2012年の衆議院選挙の前後になされたもので、出版されたのが今回の参議院選挙の直前。
丁度そういう時期に読んで、中々興味深かった。
特に、20代の若者の率直な意見は面白かった。
こういう多様性というのがどんどん広がってきて、色んな人が色んな事を言い、実践できる社会になればいいと思う。
ただし、他人を排除して優越感に浸るようなのはダメだ、言うまでもないけど。
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国民政治とグローバル企業・資本主義は基本的に相いれないものだ、という内田氏の主張が何よりのキーワード。
国に対して競争のし易い環境を!と要求する企業がいかに独善的か、、というのを考えさせられる。グローバリズムを標榜する企業・政治家にロクなものは無い、と改めて認識。
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内田:この20年ほどの「構造改革・規制緩和」の流れというのは、こういう国民国家が「弱者」のために担保してきた諸制度を「無駄使い」で非効率だと謗るものでした。(P.5)
中島:かつての70年代くらいの若者にとって、未来というのは輝けるものとして存在した。とすると、今ある自分の現実に対して「俺にはもっと幸福が先にあるんだ」と思えた。だから今の自分はまだまだ幸福ではない、と言っていた。しかし今の若者には先が見えない。輝ける未来や、今よりよい自分というビジョンが描けない。あるいは欠落している。だったら今の状態を幸せだと言っておかないと…と考えてしまう。(P.62)
内田:今の公共政策の、まず税金を集めて、そのために企業を誘致して、公共事業でハコモノを作って、それを雇用を創り出して…という発想って、もう完全に時代遅れだと思うんです。税金の徴収と配分も大事だけれども、それよりも市民が自分たちでやりたいことがあるなら、それをどう組織して、どうつなげて、どうネットワークして、行政とどうリンクさせていくのか、そういうアイデアを吟味することがこれからの自治体のたいせつな仕事になると思います。((P.145)
中島:かつて民本主義を唱え、普通選挙の導入を説いた吉野作造が、こんなふうに言っています。吉野はみんなから反対されるんですね。「そのへんのおじさんに選挙権を与えても政策なんてわからないだろう。日本が混乱するばかりじゃないか」と。それに対して、吉野は言うんです。それはそうだろう。そんな政策の細かいことはわからないだろう」と。けれど、こうも言います。「人を見分ける力が民衆にはある」と。(P.151)
中島:リベラルとは、極めて簡単に言えば、国家や権力が個人の内的な価値には土足で踏み込まないという考え方です。それに対してパターナルは、個人の内的な価値観に関わることでも、国家が1つの指針をもって、一定程度コントロールしていきますよという考え方になります。(P.153)
内田:ある政策がいいのか誰も確信ができない。ある専門家がこっちが正しいと言って、別の専門家はこっとが正しいと言っている。そのトピックについて、市民に比べて圧倒的に知識量のある人たちの意見が分かれているんです。非専門家に判断できるわけがない。(P.158)
小田嶋:黒字の消防署ってありえない。つまり公共サービスが黒字を目指すのがそもそもおかしいんだと。当時は国鉄解体の話が出ていた時代で、「国鉄儲かってないじゃないか、けしからんじゃないかと言うけれど、われわれが儲かってないということは、お客様が得をしてるってことなんだから、必ずしもわれわれが責められるべきじゃないんだ」と。(P.188)
小田嶋:さっき内田先生がおっしゃってた日米の父と子の関係の話でいうと、私が前からずっと思っていたのは、アメリカってジャイアンだと思うんですよ(笑)。で、われわれ日本はのび太だったらまだいいんですけど―いや、のび太だった時代もあるんですよ。ドラえもんという強力な科学技術を持ってた時代も―だんだんスネ夫になっていった。つまりいつもジャイアンにくっついて、おべっか使って。ジャイアンの代弁者になって、安全を確保さらてるみたいな、ああいう奴ですよ。でも、スネ夫の唯一の長所というか利点は、あいつ、金持ちの家の子なんですよね。だけど、その唯一のいいところを失って、貧乏になったスネ夫ってどうするの? あるいはドラえもんのいないのび太って何なの?というようなところに今われわれは差し掛かっている。(P.193)
中島:橋下さんが言うような競争社会というものは、グローバリズムの中で戦えるような、安上がりの戦士のような人間を求めてきた。(中略)橋下さんの言う形は、いわば途上国のモデルですよね。それでは一部の人しか得しません。多くの若者はそこから除け者になっていきます(P.196)
Posted by ブクログ
日本の株式会社化は今も着々と進んでいる。
「選択と集中」というプロパガンダに煽られ、私たちは次々と国に大事な物を手渡している。
その結果がどうなるのか、私は今から非常に楽しみにしている。