【感想・ネタバレ】竹と樹のマンガ文化論(小学館新書)のレビュー

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Posted by ブクログ 2017年06月22日

竹宮さんが大学の学長になって学校で漫画を教えているとは知りませんでした。
しゃべりすぎる内田さんとの対談は刺激がたっぷり。
内田さんによる「ボーイズラブ漫画は少女漫画家のアンチアメリカ(仮)説」は
頭でっかちというか、きれいにつじつま合わせてる分だけ鼻息荒過ぎというか。
でも竹宮さんの話で、実際はわ...続きを読むりと単純な理由だったのが読んでておかしかった。
以前読んだ内田さんの著作の中に
「いかに労力(勉強)をかけず資格を取るかが、教育におけるコスパの良いこと」な
ミもフタもないことが書いてあったけど、
同じように大学にお金を出して漫画を教わりに学生は
あまり能動的に動いていくということがないみたいだ。
それでもこの学校の、
複数の教授たちから多角的に指導を受けられるシステムはとても面白い。
マンガはもともとオープンソースなもの、という指摘に目からウロコ。
オリジナリティやら、誰が始めたとか、そんなつまらなことで世界を固めてしまうより
イイものはイイで、みんなが取り入れて盛り上げていくという形はとても健全。
漫画は基本的にはすべて一人で作るものなので、
なにからなにまでやらなければいけない、というのも
改めて言われると凄いことなんだよね。
そして漫画は読む人がいなければ意味のないただの紙で、
そのために読者をひきつけるあらゆることを考えて作っていく。
発行部数が文学書などとは比較にならない世界にいた人の言葉は
すごく説得力がある。
竹宮さんが教えることを引き受けたのは、
積み上げてきて前提となっているはずの漫画の基礎が、
受け継がれず形が崩れたまま続いていくことへの危機感や
同じく漫画を作る編集者もまた、サラリーマンとなって経済的な結果ばかりを追い
長い目で育てていくという視点が薄くなってきているということからだそうだ。
最後の章で、内田さんが言っていた「ストックフレーズの乱れ打ち」はコワイ話だった。
気の利いた文章を書く子がさらさらと書き上げた文章ほど、致命的に定型的。
マニアな雑誌の投稿欄、オタクのTwitterみたいに、
誰が書いても同じニオイなんだろうなあ。

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Posted by ブクログ 2014年12月08日

竹宮惠子と内田樹が「マンガ」をテーマに大いに語る、という夢のような対談本。タイトルはもちろん「風と木の詩」のオマージュ。竹宮先生が自分の主要作品について、裏話も含めてここまで整理して語るのを見たのは初めてで、それだけでもとても衝撃的な内容。また、若き日の竹宮惠子・山岸凉子・萩尾望都が、一緒にヨーロッ...続きを読むパ1周旅行をしていた事実が明らかに。(ヨーロッパ旅行の件、内田樹は「少女マンガ史上の決定的事件」と評した。まさに「その時、歴史が動いた」のかもしれない)
本書の後半は、竹宮先生が15年ほど前から精力的に取り組んでいる「マンガ教育」の重要性と難しさの議論に費やされている。漫画家は本質的に「職人」なので、徒弟制度ならともかく、授業料をとって大人数を均等に教育するモデルとは相性が悪い。それでも、デジタル技術の発達などによりマンガ製作環境が急変しており、最低限の基礎を無視したマンガが広まりつつある中で、手塚治虫や石ノ森章太郎らが苦労して築き上げたマンガ製作の基本リテラシー(これを守らないと、マンガがマンガでなくなってしまう最低限の約束事)を明文化・可視化して、若者に伝授したいという強い思いをもって、マンガ学部の教授職を務めてきたことが痛いほど伝わってきた。竹宮先生は、2014年4月から京都精華大学の学長に就任しており、より広く高い視点から、マンガに代表される新しい日本文化の保全と発展に貢献されるのだと確信している。

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Posted by ブクログ 2015年01月21日

相変わらずの内田節と、少女漫画大家の対談。オープンソースであることの重要性を始め、なるほどと思わされる内容でした。確かに漫画の界隈だと、カリパクがどうこうとかいう話、聞かないですもんね。だからこそというか、そこに参入する敷居も低くて、若手がどんどん台頭できる、ってのもこの世界の素敵なところですよね。...続きを読むそれでふと思い浮かんだのが、日本と欧米の政治家の年齢層の違い。漫画の世界とは逆転してますよね~。もっと若手が参入していけるようになれば、低迷し続ける国家運営も上向くのでは、と思うんですがね。それはともかく、漫画がもっともっと読みたくなりました。

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Posted by ブクログ 2015年08月31日

「少女マンガ読み」でも知られる内田樹さんが、巨匠竹宮恵子さんと対談。日本独自の文化と言える「少女マンガ」を掘り下げる。興味深く楽しい対談。

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Posted by ブクログ 2015年01月16日

竹宮惠子さんのお話に世界が広がっていくような爽快感。
新年にぴったり。
『若草物語』とケストナーは、自分にとっても背骨のような物語なので、内田樹さんの考え方に共感を覚える理由の一つなのかも、と思った。

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Posted by ブクログ 2014年12月20日

マンガ論で核心をついてると感じたのは初めてで、本当に面白い一冊でした。クリエイティヴィティはどういう環境に生まれるのかに関する議論には何度も膝を打ちました

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Posted by ブクログ 2014年12月02日

マンガ発展の歴史と、今かかえている問題を、書き手の事情を誠意もって、読み手のことをよく考えながら、率直に語っているように思えて、とてもうれしくなっちゃう。
少女漫画は、大泉サロンメンバーの1か月のヨーロッパ旅行で塗り替わったのだ!

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Posted by ブクログ 2018年04月11日

竹宮恵子と内田樹による、主に少女漫画を対象とした文化論。

寡聞にして竹宮恵子の漫画を全然知らないので、内容を十分に理解できなかったが、彼女の漫画を含む少女漫画に造詣のある人なら楽しめるかと。

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Posted by ブクログ 2016年03月30日

竹宮恵子と内田樹の対談によるマンガ論。マンガはオープンソースだ、機能マンガの話、構成とは何か、などなるほどの話がいっぱいだ。

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Posted by ブクログ 2017年09月12日

竹宮恵子はじめ山岸凉子、萩尾望都が大泉サロンと呼ばれる花の二十四年組と言うことをはじめて知りました。

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Posted by ブクログ 2014年12月24日

二人が漫画の進化についてや今後について語る対談本。描き手側の話や熱心なファンの話が多いので、多数のリーダーにとってはなんとなくしか分からない部分があるかもしれません。
マンガの凄さについて知るには作家さんに聞くのが正しいため,その点でいい本です。

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Posted by ブクログ 2014年12月13日

 成績をつけるシーズンに、成績をつけ終わった解放感から、本屋に行き本を買ったんですが、


なんでこの本を買ったかって、
授業で漫画をやってるから。


頭の中は学校のことでいっぱい。


最近の漫画って、線がきれいすぎて、読みごたえのないものが多い気がする。
 それって、パソコンで描かれてるとかそ...続きを読むういう理由からかなぁ、なんて思った。

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