内田樹のレビュー一覧
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初版2009年。著者内田樹はこの本の要約を梅棹忠夫の「文明の生態史観」の次のような文章を引用して述べています。
「日本人にも自尊心はあるけれども、その反面、ある種の文化的劣等感がつねにつきまとっている。それは、現に保有している文化水準の客観的な評価とは無関係に、なんとなく国民全体の心理を支配している、一種のかげのようなものだ。ほんとうの文化は、どこかほかのところでつくられるものであって、自分のところのは、なんとなくおとっているという意識である。
おそらくこれは、はじめから自分自身を中心にしてひとつの文明を展開することのできた民族と、その一大文明の辺境諸民族のひとつとしてスタートした民族とのち -
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学問の自由は私たちの生活とも関係している。学問をすることが自由なのもあるが、学問はそれ自体国の権力から自由で独立したものでなくては、また再び、戦争に使われる可能性がある。過去の過ちを繰り返さないという学者の決意から生まれた学術会議の経緯を知っていれば、今回の件は学者集団にとって、赤信号であるとともに、私たちの身にも危険が近づいていることを示している。
さまざまな学会から声明が出され、報道を賑わせたが、最近また忘れられそうになっている気がしてならない。しかし、このことは決して忘れてはならない。
個人的には内田樹さんの部分が、自分が薄々感じていたことをはっきりと明文化して提示されたようで戦慄が走っ -
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『日本霊性論』内田樹×釈撤宗
東日本大震災以降、新たに日本の霊性を捉え直すというのが本書のテーマ。内田老師が常々仰っていることが新たに霊性という観点で書かれている。
・霊性とは人智を越えたものを感じ取る構え。「ここに何かがありそうだ」という直感を推し進め、とにかく触ってみる。そして、それを様々な用途で検討し続ける、そのようなブリコロール的な知性も、ここでは霊性と呼べるであろう。非常に面白いのは、科学的知性と宗教的知性は本質的に同じものであるという記述である。「神の摂理が存在する。宇宙の全てを統御している理法が存在するという宗教的な覚知と、万象の背後には数理的な秩序が存在するという直感は構造 -
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何げなく手にとった本だったけど、
最初の方から泣けてしまった。
お互い言葉づかいが丁寧で優しい。
この往復書簡で、あのときききたかった
こととか思っていたこととか、
自分の想いや考えなんかを
整理していってるような感じ。
でも共有した出来事でも、お互い
思ってたことは違っていたりする
という。
最近あきらめとかではなく個人的に
他人でも身内でもやっぱり自分以外と
わかりあえるなんてことは
ないなと思っていたところだったので
この本を読んで安堵するような気持ちに
なったりもした。
とはいっても、そんななかでも
わかりあえたって
思うような一瞬もあるってようなことを
るんちゃんが書いていて、そ -
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この夏は長崎に行きたかったが、コロナで行けず、代わりにと手にしたのが本書。キリシタンをテーマに長崎、大阪を紀行する。内容的には潜伏キリシタンを多く扱っている。
釈徹宗、内田樹両先生の当意即妙なやり取りが心地よい。出典等はなく、学術的なものではないのだが、ラフな「しゃべくり」の方がこのコンビには合っている気がする。特に内田先生がその土地に触れて反射的に発するコメントにはキラリと光るものがある。信長や秀吉は成長型の社会システム、家康は定常型として、アメリカも実は定常系なんだというのは面白い指摘だと思う。
4年前の刊行なので、その後、社会は変わっている。アメリカの定常的な社会に、中国が対抗できるほど -
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本好きが本棚に並べているのは、いま読む必要がある本ではなく、いつか読めるようになることを希望している本である。という内容が印象に残った。たしかに私やお父さんを見ても、本棚にある本をすべて読んでいるわけではない。「この人は、こんな難しそうな本も読んでいるんだ」と思われたい、とまでは、私はまだ思っていないが、その考え方も面白かった。
著作権についての話も、長く書いてあった。本そのものに価値が内在しているのではなく、受け取った人が「これには価値がある」と思ったときに初めて価値が生まれる、という話。本に限らずコミュニケーションや経済活動の根本はそのような様相らしい。よって、内田さんは本をタダ読みする -
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「古典の知識つけたいな。難しいかな、でも学んで知ることができたらこれからもっといろんな本を楽しく読めるだろうな。ものの見方も変わるかもしれない」そんな思いを持ちながらも何もしていなかった私が、入門のようなものになるかもしれないと思って手に取った本です。読んだから知識が増えた、とは言えないけれども、自分のいろんなところが沢山の刺激を受けて、興味を示す範囲がぐんっと広がった感じがしました。心境の変化があったり、環境の変化があったり、少し期間を開けてみたり、そういう風にしながら何度も手に取って、言葉を咀嚼して、長く長く自分の変化を感じながら読んでいきたい本です。