あらすじ
『共産党宣言』『ヘーゲル法哲学批判序説』をはじめとする、初期の代表作5作を徹底的に噛み砕いて紹介。その精神、思想と情熱に迫る。初心者にも分かりやすく読める、専門用語を使わないマルクス入門!
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Posted by ブクログ
石川康宏先生の書簡部分は、正直内容が難しかったのですが、難しいなりに読み飛ばしながら(すみません)読み切りました。
でも、難しいと諦めずに最後まで読めてよかったです。
内田樹先生の部分は、読みやすかったです。
マルクスってすごいなーと漠然と感じ、
マルクスの言葉の力にカリスマ性を感じました。
マルクスかっこいい。
という、カジュアルな気持ちでマルクスに触れることができてよかったです。
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小説ではない本が久しぶり。
マルクスは読んだことない。
今年65の親父の時代はケインズが主流で、マルクスはやらなかったって。
そんなマルクス。
全然基礎知識なし。
共産主義の源流ってくらい。
でも、この本はそうじゃない現状の問題点に向き合い、自分の頭で考えた人の話。
流されて日々を送っている自分は背筋が伸びる思いがした。
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マルクス思想の超入門書。
往復書簡形式でマルクスの著書が噛み砕いて解説されており、知識の無い私もマルクス思想のエッセンスを理解出来た。
マルクス思想は共産主義の一言で理解され、破綻した過去の理論と受け取られている事が多いと感じる。しかし、マルクスのテキストは政治的・経済的正しさの範疇のみで読み解かれるものではなく、読者の知性を鍛えるものとして今尚有効であるという内田先生の話に深く共感した。
印象に残ったマルクス思想に「類的存在」が挙げられる。人間は、利己主義者としての市民と、法に従って公民として分裂した個人を統合し、自身と他者の幸福を共に気遣う存在であるべきとする人間観は大変魅力的である。早速「ユダヤ人問題について」を購入し、マルクスの扉を叩きたいと思う。
Posted by ブクログ
石川先生のところは引用が多くて難しいけど、時系列に沿ってマルクスの思想の変遷を辿っていくため手厚くガイドしてくれていて助かります。
一方、内田さんはマルクスのここがいい、ここが聞かせどころというのをすごく楽しそうに語られていて、読んでるだけでマルクスが好きになってきます。
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20代のマルクスが残した書物を、内田樹と石川康宏が往復書簡の形で読み解く本。
石川氏による専門家ならではのしっかりとした解説と、内田氏による極限まで噛み砕いた説明のバランスが良く、知識がなくても読んでいて楽しめた。
「AがBであるのではなく、BがAなのだ」(内田氏書簡、p.218)という修辞に代表されるように、既存の枠組みそのものを問い直すマルクスの姿勢はとても魅力的だと思ったし、読んでみたくなった。古典的なテキストを読むことの醍醐味を感じることができる本。
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誰の思想でも年月の経過による変遷があるのは当然で、それはわかってはいる。しかし、門外漢がマルクスの思想を理解しようとすると、どうしても様々な時代に展開された考え方をひっくるめて「これがマルクスの思想です」と言えるようなものを求めてしまい、結局よくわからなくなってしまう。その点、この本はマルクスの著作を年代順にとっつきやすく紹介していてくれるので、ありがたい。石川の強烈なマルクス愛にややひきそうになるが、そこに挟まれる内田の文章がよい箸休めとなって、最後までおもしろく読める。ちなみに、高校生が読めるような本にした、とのことだが、普通の高校生には無理な気がする。
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共産主義が敗北したかにみえる現代に、マルクスを読む意義とは何か?それは彼が残した主張やその結果にあるのではなく。マルクスという天才が世界をどのように観てどのように発想したのか、というプロセスを知ることにあるという。世界中を熱狂させ、歴史の中で大きな影響力を持った彼の思想がどのような思考回路から生まれたのかを知ることこそが、答えのない現代を生きるための武器となることを、この二人の著者は心から信じている。10代、20代で読むべだった。答えが出てしまう前に…(それは危険な毒だったかもしれないが)。
Posted by ブクログ
最近(2014年の暮れ)本屋で「マルクス」や「資本論」という言葉がタイトルにつく本が増えている。
世界中の人が資本主義に対してうっすらと違和感を持ち始めているからだろうか。トマ・ピケティの「21世紀の資本論」が世界的に売れているらしいが、これも経済格差について論じている。
社会主義とか共産主義というのは歴史上、成功している例がないためにネガティブな印象を持ちがちだが、対義語である資本主義が必ずしも正義かというとそれは盲目的すぎる。
内田樹さんと石川康宏さんの往復書簡という形で交互に書かれている。
正直言って石川さんのほうはちょっと固くて難しい。(正確な説明なのだろうと思うが)
一方内田さんのほうは軽くて読みやすい。(薄っぺらいのかも知れないが)
青年期マルクスの代表作を取り上げている本作。若いエネルギーと、世界を変えなければいけないという使命感をひしひしと感じる。
取り上げられている著作
『共産党宣言』
『ユダヤ人問題によせて』
『ヘーゲル法哲学批判序説』
『経済学・哲学草稿』
『ドイツ・イデオロギー』
自分もマルクスについて誰かと語らえるくらいになりたい・・・と思いました。というのが現時点での感想。
続編も文庫化された時にもう一度読み返してみようと思う。
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memo:
44
「共産主義者は、これまでの一切の社会秩序を強力的に顚覆することによってのみ自己の目的が達成されることを公然と宣言する。(中略)万国のプロレタリア団結せよ!」※『共産党宣言』より
79
反ユダヤ的な感情はヨーロッパ世界においてはごく自然なものでした。それは、キリスト教がユダヤ教から「分派」した宗教として登場してきたから当然のことです。(中略)彼らがもともと足していた「母体」が腐りきっていて、使い物にならないものであることを主張しなければなりません。
179
つまり共産主義は、理想の国(ユートピア)の手前勝手な設計図から生まれるものではなく、資本主義がもつ問題をひとつひとつ解決していったその先に、結果として形をさだめるものとなる
202
「哲学者たちは、世界をさまざまに解釈しただけである。肝要なのは、世界を変えることである。」
211
「かれらがなんであるかは、かれらの生産と、すなわちかれらがなにを生産し、またいかに生産するかということと一致する」※『新訳 ドイツ・イデオロギー』より
『ドイツ・イデオロギー』史的唯物論を「ひとこと」で言えば、これに尽くされる。
Posted by ブクログ
対談形式ではなく往復書簡。すらすら読めるような本ではありません。
とはいえ、「マルクスを読むと、頭がよくなる」という感覚は読んでいくと少し分かります。
共産主義は失敗したものだから読んでも仕方ない、なんていう考えは本当に勿体ない。難しいことは分からなくても、元気が湧く本でした。
まえがきと『共産党宣言』くらいまで読んでマルクスの情熱と知性に引き込まれたら、実際のテキストをパラパラ見ながら石川先生のパートを読んでみるのがいいかもしれません。内田先生のパートはいつも通りなので、さきに全部ざっと読んでしまうのも手。
Posted by ブクログ
へえ〜、マルクスを誤解(=誤理解)していたなぁ、と思うことと、何かを分析し理解しようとすることそのものの意味を誤解(=理解不足)していたなぁ、というのが感想。
一番驚いたのは、共産主義社会という理想像があり、そこを目指すのが革命ではない、という指摘。
確かに、マルクスは「空想的社会主義」とは異なる「科学的社会主義」と言っていたんだった。
「つまり共産主義は、理想の国(ユートピア)の手前勝手な設計図から生まれるものではなく、資本主義がもつ問題をひとつひとつ解決していったその先に、結果として形をさだめるものとなる」(p.179)
著者の一人が内田樹氏なので、正統なマルクス研究者は眉をひそめるかもしれないけど、以下のくだりは一顧に値すると思う。
(引用者注:共著者の石川氏と必ずしも同じ意見ではない、と述べて)「ぼくはここまで書いてきてわかったんですけれど、ぼくたちは若い人に『政治について礼儀正しく語る』という、今の日本ではたぶん誰も推奨していないことのたいせつさを知ってほしいと思って書いているんじゃないですかね。対話におけるディセンシー(礼儀正しさ)はしばしばそこで交わされている意見の当否や命題の真偽よりも重要である、と。」(p.142)
Posted by ブクログ
中高生向けに書いただとう!?原文抜きに解説だけ読んでも…御三家諸氏じゃないと難しいのでは。
大人には、まあまあ分かりやすい、レベル。
2人の学者が奮い立たせられるほど天才、とマルクスを賞賛されているのだが、それは将棋の棋士の攻防の凄さがまるで素人にわからないのと同じかな感じた。
20代でこんな文章書いてるのは、純粋に凄い。
Posted by ブクログ
お二人のマルクス本に対するスタンスの違いを、如実に感じるものでした。僕が最も違いを感じたのは誤解という言葉でした。石川先生はこの言葉を多く用いていた印象を持ちました。
歴史や社会などのコンテクストの中のマルクス理論に価値を置くのか、活動の背景としてのマルクス理論それ自体に価値を置くのかと単純化して理解しました。マルクス理論自体が行動の根拠となる場合に、理論を崩さないこと自体が大事な世界なのかなと、想像し興味深かったです。内田先生の返答はとても興味深いです。あと、先行はやりづらそうです。ユダヤ人関連の反論は成立してたのか、僕には難しかったです。
誰を相手として想定した文章なのかに最初に言及している点などはじめ、書き手としての力量な気がしました。
Posted by ブクログ
マルクスの思想の解説というよりは、マルクスがどのように問題と向き合ったかという「姿勢」についてよくわかる内容であった。
マルクスの思想が現在でも通用するのかについては私は判断できないが、マルクスの「姿勢」(と倫理観)からは学ぶことが多いと感じられた。
続編も読みたい。
Posted by ブクログ
マルクス入門編として読んでみた。
感想としては、(かなり噛み砕いて書いて頂いていることは伝わったけれどもそれでも)難しいということ。
ただ、この本の目的はマルクスに興味を持つことにあるので、目的は達成された。
私が感じたマルクスの凄さは、論理的に正しいことだけを言わずに、倫理観も兼ね備えていたこと。裕福な家柄に育つも、貧困層の労働環境を想像し、フェアではないことに対して怒りの声を上げる情熱的な人物であることが非常に伝わった。
また、様々なものの考え方を伝えてくれることで人の心を軽くしてくれる要素もある。例えば、人は中身の人間性ではなく、「なにを生産し、いかに生産するか」が大事であることなど(心の中でどう思っていても、善行することが何より大切)
まんまとマルクスをしっかり学んでみたくなったけれど、難しそうなのでもう少し入門編を読んでみようかなという感じ。。。
読解力が欲しいですね。。
Posted by ブクログ
自然にあるものはすべての人にとって平等に出現する。でも、「額縁の内側のもの」はそうではない。それは平等には与えられない。額縁の中で示された物語をどう受肉するかという仕事は個人の責任で果たさなければならない。額縁というのは、「そこの中にあるものについては、一人一人が違う意味を汲み出しなさい」というメッセージの解釈についての指示のこと。額縁をどこにつけるのか、何を額縁で囲むのか、ということは、思いがけなく大切な仕事。
人間が何者であるかは、その人が「何であるか」という本質的な条件によってではなく、「なにを生産し、いかに生産するか」によって決定される。
自分のことを善良で有徳な人間であると思いこんでいる人の方がむしろ卑劣な行為や利己的な行為をすることをためらわない。
マルクスのイデオロギー批判というのは、「人間たちが語ること、想像すること、表象すること」の適切性は、「現実に活動する人間たち」に即して、「彼らの現実的な生活過程の側から」検証されなければならないという考え方のこと。
脳がどれほどすばらしいことを考えても、身体の方は脳についえいけない。「生身が許すうちで最良のこと」を選び出して、「やれるところから、ぼちぼちと」と。
「共産主義社会では、各人はそれだけに固定されたどんな活動範囲ももたず、どこでもすきな部門で、自分の腕をみがくことができるのであって、社会が生産全般を統制しているのである。だからこそ、私はしたいと思うままに、今日はこれ、明日はあれをし、朝に狩猟を、昼に魚取りを、昨夜に家畜の世話をし、夕食後に批判をすることが可能になり、しかも、決して漁師、漁夫、牧夫、批判家にならなくてよいのである。」分業によって人間が、「ある特定の範囲だけにとどまること」を強いられ、特定の職業に縛り付けられるおき、その労働は「かれにとって疎遠な、対抗的な力」となる。マルクスはそのような言葉づかいで分業を批判した。