【感想・ネタバレ】沈む祖国を救うには(マガジンハウス新書)のレビュー

あらすじ

物価上昇にステルス増税、政財界の癒着、そしてマスメディアの機能不全……
激動の国際社会の中で、沈みゆく「祖国」に未来はあるか!?
ウチダ流「救国論」最新刊!!

ここ数年で、加速度的に「冷たい国」になってしまった日本。
混迷を極める永田町、拡大する経済格差、税の不均衡、レベルが落ちた教育界など問題が山積となっている。
また、アメリカの新大統領がトランプに決まり、国際情勢も先行きが不安定である。
生活苦しい国民に手を差し伸べることのない冷たい国で、生き抜いていくためにはどうしたらいいのか……。
この「沈みゆく国」で、どう自分らしく生きるかを模索する一冊!

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Posted by ブクログ

思想家であり武道家である内田樹さんの考えには賛同できるものが多い。
今の日本社会は何かおかしい。
この新書は、内田さんがこれまで書いてきたコラムを集めたもので、
★「観光立国」という安全保障
★「最終学歴がアメリカ」を誇る、残念な人々
★ 加速する「新聞」の落日
★「食糧自給率」が低い――その思想的な要因
★ 第二期トランプ政権誕生の「最悪のシナリオ」
★ 民主政の「未熟なかたち」と「成熟したかたち」
★「自民党一強」の終焉
★ 100年後に残る都市は「東京」と福岡のみ
などなどが取り上げられている。
まえがきで内田さん自身が書いているが、「救うには」とは書いてあるが、
その処方箋は書いていない。内田さんもわからないという。
わからないのだ。どうしていいか。

ただ、思うのは、思考停止の人が増えている、ということ。
今必要なのは試行錯誤であって思考停止ではない。
アメリカべったりが正しいと思い込んでいる層が中心となっている限り、
日本に明日はなかろう。
若い人はどうなんだろ。どういう教育を受けているんだろ。
そう、教育しかない。それも工業化社会の、規則正しく、ミスしない、ではなく、
ミスしてもいいから自分で考える、、、そういう習慣はついているのか?
文科省がどこまでそれをやってくれるのか、、

そんなことを考えた。

第1部 冷たい国の課題
 第1章 衰退国家の現在地
 第2章 世界の中を彷徨う日本
 第3章 温かい国への道程
第2部 冷たい国からの脱却
 第4章 社会資本を豊かにするために
 第5章 教育と自由

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

audible 。人口減少問題は人口一極集中問題であるとの指摘には納得がいった。韓国の例を挙げるまでもなく日本はそういう道をひた走っていると思う。
内田樹さんの鋭さには感服する。佐高さんが悪くいうので少し離れていようと思っていたのだが。

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

いつも内田先生の本を読むと「ああ、そういことなんだ」と思わされることがあります。
歴史の見方、政治のあり方、人口のことから死にいたるまで広い視野で様々なことを学ばせてもらいました。これからも興味深い本を期待しています。

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2025年07月08日

Posted by ブクログ

もしかして、そうかな、と思ってたけど、やっぱりそうだったのか。
「今私たちが直面しているのは『近代の限界』というより、『前近代への退行』である、ということは、論理的に言えば、今必要なのは『近代の復興』、『近代への回帰』だということになる」
「『近代市民社会』などというものはまだ歴史上一度も実現したことのなかった幻想なのかもしれない」

じゃないかと私でも感じていたのだけど、そんなことを言うと、歴史家からバカにされそうだったから、口に出したことはなかったのだけど。
内田さんがキッパリ言うので、これからは胸を張って言える。ポストモダンなんてまだ早い!まずは近代化だ!

最後の講演が、少子化社会をどう乗り越えるか、明快でよい。
以前から一極集中には反対し、少ない人口で地方のコモンを大事にして生きていくことを提唱していた著者だが、ここでもその論を若い人たちに向けて、わかりやすく述べている。フランスはあの国土で6500万人。日本が5000万人に減っても都市に集中しなければやっていけるなと思う。
資本主義の要求に飲まれずに地方分散のビジョンを作る政治家を増やしていかなくてはね。(見当たらない…)

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2025年05月22日

Posted by ブクログ

現代社会の閉塞感、違和感の正体を鮮やかに敷衍してくれて、自分が何に気をつけて、何を日々のできる範囲で護り育てなくてはならないのか、気づかせて頂いた。
成熟するには、良識を持つには。
同質性を基準とするのではなく、広い視野を持って、長いタイムスパンの中で物事を観察すること。
自分自身を含む光景を上空から俯瞰する。

そんな視点を持って生きていくことが、大事なことだと学ぶ。

そして、そうした態度で示される氏の数々の見解から、多くの金言が得られる。

読んでいて思ったことは、次の三つ。

1.自由と教育について
自得するものこそが、真に自分のものとなる
だからこそ、教えるのではなく、自得できる環境を作ることこそが重要だ
この考え方は、学生時代に学んだ、エヒメアヤメの保全や、木村秋則さんの自然農にもつながる思想だと思った。

2.自由と平等を実現するには
私有財産は世代を超えて引き継げないとしては?
その上で、医療、教育、生活保障は、社会全体で見るとすれば良い。

3.社会共通資本を守るということ
自然や、文化、宗教、伝統という社会共通資本を護り、そのために、地方から小規模分散の社会を実現することが、持続的な日本をつくることになるということ。
自分の関心事項、夢と繋がる。私は、華厳的な世界の見方で、小規模分散の世界を作り、社会共通資本を守りたいと思っているということを自覚した。
役職定年まで残り10年弱。次のステージは、本当に目指しているそこ、自然と人の共存に向けていける様に、しっかり頑張ろう。

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2025年04月20日

Posted by ブクログ

何かとモヤモヤする物事に対して、普段の自分だけでは思いつかないような、ちょっと視点の異なる考え方に気付かさせてくれます。

そこから更に考えを深めたり、他の物事でも違った側面から考えられるようになったりと、筆者の本は考え方の勉強になることが多いです。

普段の仕事やお金の事に追われ、ついつい何にでも同じ物差しを当てている自分を反省しました。

沈む祖国から少しでも多く持ち逃げするような人間にはならず、沈む祖国を救うために自分なら何が出来るか?を諦めずに考えていきたいと思います。

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2025年04月09日

Posted by ブクログ

Audio bookで聞いたのですが、
おもしろかったです!

普段考えない視点から、
日本の変化や抱えている課題をピックアップして、
広い世界の長い歴史を俯瞰した視点から、
大きな文脈の中でそれら課題が何を意味するかを
論じてくれていることが本当に知的に刺激的でした!

もっと社会に貢献したくなりました。
・共感の限界と社会契約に基づく市民の在り方
・成熟した民主主義は「不信」を大切にする
・日本の高等教育と明治維新
・組織マネジメント原理主義vs使命
・公共の充実と近代市民社会

内田樹にほれ直しました。
他の著書も読みたいです!

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2025年10月31日

Posted by ブクログ

 タイトルがバタくさいのであまり期待してなかったが、とても参考になった。特に人口問題の捉え方については新鮮だった。今から100年後に日本の人口は5000万人になってしまうようだが、5000万人というのは明治時代の終期と同じであり、江戸時代の日本の人口は3000万人だったのだ。その人口で江戸時代には200以上の藩がそれなりに存続し、日本全国の隅々にあったそれぞれの藩に文化や名産品があったのだ。
 人口減少が問題なのではなく、一局に人口が集中して地方が切り捨てられていくことこそ問題なのだ。資本主義は効率性を追求し、お金儲けのためには儲からない地方ではなく、都心に人口を集め効率的に稼ぐことを狙う。藩の中でしか生きられなかった江戸時代はどんなに貧しい藩であっても、その存続のために必死になり、他藩より良くなろうと努力したのだ。そして明治政府は、学問と医療を偏らせることなく地方に分散した。帝国大学や旧制高校を全国どころか台湾や朝鮮にも張り巡らしたのだ。ところが現在は経済効率性を優先して、全て市場任せで政治家は何の戦略も展望も持たないのだ。このまま日本が沈没し続けるしかないのか?と考えさせられる本である。

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2025年09月08日

Posted by ブクログ

内田樹さんの本を定点観測的に読むようになってから随分経ちます。今回も「いつも通り」なのかな、と思いつつ読み進めたのですが、いつもよりも「なんかやばいな」と思わされてしまいました。それは最近読んだサンデルとピケティの対談本と通底するところがあるからかも知れないし、別々のスーパーで立て続けに感じたマンパワーの低下があるのかもしれません。でもこのまま拝金教の資本主義「だけ」でいくのは世界にとっては良くないことでしょう。打ち手が見えないのが辛いところですが、それでもほんの少しの希望を持たせてくれる内田さんは、やさしい。

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2025年05月08日

Posted by ブクログ

時事的な論考。
まとまりはないが、世相を捉える一つの見方。
答えはない。
知性の総量が変わらないとすれば、どこにどうやって水路をつくるか。

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2025年08月06日

Posted by ブクログ

内田氏の書籍はよく読みます。今回は我が国を憂う、そしてもうどうしようもない所まで差し掛かっていることをかんじました。特に物質的なことよりも、倫理的、精神的に蝕まれてしまっているという警鐘。最近のあらゆる書物では、お金はいずれなくなる、資本主義は形を変える、責任あるポストには立つべきではない、ゆるく生きていくべき、などの論調が跋扈しておりますが、本当にそうなのでありましょうか。

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2025年04月01日

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