新潮文庫作品一覧

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  • 女刑事音道貴子 嗤う闇
    3.6
    レイプ未遂事件発生。被害女性は通報者の男が犯人だと主張。被疑者は羽場昂一──。レイプ事件の捜査に動いていた音道貴子に無線が飛び込んだ。貴子の恋人、昂一が連続レイプ犯? 被害者は大手新聞社の女性記者。無実の通報者に罪を着せる彼女の目的とは? 都市生活者の心の闇を暴く表題作など、隅田川東署へと異動となった貴子の活躍を描くシリーズ第三弾。傑作短篇四編収録。
  • 千日紅の恋人
    3.6
    宗像時子は父が遺した古アパート、扇荘の管理人をしている。扇荘には様々な事情を抱えた人たちが住んでおり、彼女はときには厳しく、ときには優しく、彼らと接していた。ある日、新たな入居者が現れた。その名は有馬生馬。ちょっと古風な好青年だった。二度の辛い別離を経験し、恋をあきらめていた時子は、有馬のまっすぐな性格にひかれてゆく。暖かで、どこか懐かしい恋愛長篇。
  • 空の色紙
    3.6
    精神科医の小野寺は、殺人容疑者の精神鑑定を依頼された。妻との関係を疑い、自分の息子を殺したというその男は、本当に狂気のさなかにあったのだろうか? 小野寺は調査を進めながら心の動揺を覚える。実は彼自身も、ある事情のために妻への屈折した嫉妬の感情を抱きつつ生きてきたのだった――。表題作をはじめ、デビュー作「頭蓋に立つ旗」など初期の医学もの中編3編を収録。
  • 狂気という隣人―精神科医の現場報告―
    3.6
    人口の約1%が統合失調症という事実。しかし、それが我々に実感されることがないのはなぜか。殺人、傷害にかかわりながら、警察から逮捕もろくな保護もされず、病院さえたらい回しにされる触法精神障害者。治癒して退院したはずなのに、再び病院へ戻ってくる精神病患者。疲弊する医療関係者。社会の目から遮蔽されてきた精神医療の世界を現役の医師がその問題点とともに報告する。
  • 黙示録殺人事件
    3.6
    休日の銀座に、突然、蝶の大群が舞った。蝶の舞い上ったあとには、聖書の言葉を刻んだブレスレットをはめた青年の死体があった。これが、十津川警部の率いる捜査本部をきりきり舞いさせた連続予告自殺の始まりだった。次々に信者の青年たちを自殺させる狂信的な集団。その集団の指導者・野見山は何を企んでいるのか……。“現代の狂気”をダイナミックに描き出した力作推理長編。
  • 駅前旅館
    3.6
    昭和30年代初頭、東京は上野駅前の団体旅館。子供のころから女中部屋で寝起きし、長じて番頭に納まった主人公が語る宿屋稼業の舞台裏。業界の符牒に始まり、お国による客の性質の違い、呼込みの手練手管……。美人おかみの飲み屋に集まる番頭仲間の奇妙な生態や、修学旅行の学生らが巻き起こす珍騒動を交えつつ、時代の波に飲み込まれていく老舗旅館の番頭たちの哀歓を描いた傑作ユーモア小説。
  • 娼婦の部屋・不意の出来事
    3.6
    男に翻弄され、ほかの職業についてもすぐに元の娼婦に戻ってきてしまう女に対する「私」の奇妙な執着を描いた『娼婦の部屋』。場末のキャバレーで働く女と、女のヒモで気の弱いヤクザ、三流週刊誌の記者である「私」との三角関係を淡々と描いた『不意の出来事』。ほかに『鳥獣虫魚』『寝台の舟』『風景の中の関係』など、初期の傑作短編13編を集めた作品集。新潮社文学賞受賞。
  • 美しいアナベル・リイ
    3.6
    かつてチャイルド・ポルノ疑惑を招いて消えた映画企画があった。それから30年、小説家の私は、その仲間と美しき国際派女優に再会。そして、ポオの詩篇に息づく永遠の少女アナベル・リイへの憧れを、再度の映画制作に託そうと決意するのだが。破天荒な目論見へ突き進む「おかしな老人」たちを描く、不敵なる大江版「ロリータ」。『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』改題。
  • つねならぬ話
    3.6
    海の下の、奥の奥で眠っている神の夢。大地をうごめき、すべてを食い尽くす不快なブガン。アステカの怪しげな薬草に酔って義経がみる昔日の幻。満月の夜にとらえた人魚を食べてしまった男たちのゆくえ――。天地の創造、人類の誕生などを語りつがれてきた物語が、いま奇抜な着想で生れかわる。あなたを空想の小宇宙へ誘う、幻想的で奇妙な味わいの52編のワンダーランド。
  • 井上ひさしの日本語相談
    3.6
    日頃何気なく使っていても意外に知らないことばかり。日本語にまつわる珍問・奇問・難問に言葉の達人がお答えします。ニホンとニッポン、どちらが正しい? 形容動詞はなぜ冷遇されるの? 当て字の歴史は? 日本製の漢字(国字)の数は? 日本語の音はいくつ? あらゆる文献を渉猟し国語学者も顔負けの博覧強記ぶりを発揮、著者一流のユーモアも駆使した日本語読本の決定版登場。
  • 月光の東
    3.6
    1巻825円 (税込)
    「月光の東まで追いかけて」。出張先のカラチで自殺を遂げた友人の妻の来訪を機に、男の脳裏に、謎の言葉を残して消えた初恋の女性の記憶が甦る。その名前は塔屋米花。彼女の足跡を辿り始めた男が見たのは、凛冽な一人の女性の半生と、彼女を愛した幾人もの男たちの姿だった。美貌を武器に、極貧と疎外からの脱出を図った女を通し、人間の哀しさ、そして強さを描く傑作長編小説。
  • 写楽 閉じた国の幻(上)
    3.6
    世界三大肖像画家、写楽。彼は江戸時代を生きた。たった10ヵ月だけ。その前も、その後も、彼が何者だったのか、誰も知らない。歴史すら、覚えていない。残ったのは、謎、謎、謎──。発見された肉筆画。埋もれていた日記。そして、浮かび上がる「真犯人」。元大学講師が突き止めた写楽の正体とは……。構想20年、美術史上最大の「迷宮事件」を解決へと導く、究極のミステリー小説。
  • 放浪記
    3.6
    第一次大戦後の困難な時代を背景に、一人の若い女性が飢えと貧困にあえぎ、下女、女中、カフェーの女給と職を転々としながらも、向上心を失うことなく強く生きる姿を描く。大正11年から5年間、日記ふうに書きとめた雑記帳をもとにまとめた著者の若き日の自叙伝。本書には、昭和5年に刊行された『放浪記』『続放浪記』、敗戦後に発表された『放浪記第三部』を併せて収めた。

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  • ボヴァリー夫人
    3.6
    田舎医者ボヴァリーの美しい妻エマが、凡庸な夫との単調な生活に死ぬほど退屈し、生れつきの恋を恋する空想癖から、情熱にかられて虚栄と不倫を重ね、ついに身を滅ぼすにいたる悲劇。厳正な客観描写をもって分析表現し、リアリズム文学の旗印となった名作である。本書が風俗壊乱のかどで起訴され、法廷に立った作者が「ボヴァリー夫人は私だ」と言ったのは、あまりにも有名である。

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  • 愛する人達
    3.6
    母の死後、母の初恋の人、佐山に引きとられた雪子は佐山を秘かに慕いながら若杉のもとへ嫁いでゆく――。雪子の実らない恋を潔く描く『母の初恋』。さいころを振る浅草の踊り子の姿を下町の抒情に托して写した『夜のさいころ』。他に『女の夢』『燕の童女』『ほくろの手紙』『夫唱婦和』など、円熟期の著者が人生に対し限りない愛情をもって筆をとった名編9編を収録する。

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  • ため息の時間
    3.6
    1巻528円 (税込)
    愛したことが間違いなんじゃない。ただ少し、愛し方を間違えただけ──。完璧に家事をこなす妻を裏切り、若い女と浮気する木島。妻が化粧をするのを許さなかった原田。婚約寸前の彼女がいるのに社内で二股をかけた洪一。仕事のために取引先の年上女性に近づく孝次…。裏切られても、傷つけられても、性懲りもなく惹かれあってしまう、恋をせずにいられない男と女のための恋愛小説9篇。

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  • 私の嫌いな10の言葉
    3.6
    「相手の気持ちを考えろよ! 人間はひとりで生きてるんじゃない。こんな大事なことは、おまえのためを思って言ってるんだ。依怙地にならないで素直になれよ。相手に一度頭を下げれば済むじゃないか! 弁解するな。おまえが言い訳すると、みんなが厭な気分になるぞ」。こんなもっともらしい言葉をのたまう大人が、吐気がするほど嫌いだ! 精神のマイノリティに放つ反日本人論。

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  • 天才画の女
    3.6
    座の一流画廊に画を売り込みに来た女流新人画家・降田(おだ)良子。その斬新な手法と構成が有名なコレクターの眼にとまり、良子の作品展は画壇の注目をあつめる。しかし、彼女の風変わりな制作態度に秘密を感じたライバル画廊の支配人・小池は、真相を求めて良子の郷里福島へと向う。画商の商算と美術評論家の欺瞞が交錯する画壇に二重三重にはりめぐらされた策謀を暴くサスペンス長篇。

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  • 死の枝
    3.6
    途方もなく膨張し、混乱し、錯綜した現代社会の裏面で複雑にもつれ、からみあうさまざまな犯罪。その陰に澱む愛憎と執念――狂気を装い、法の網の目を潜りぬけようとする男、交通地獄という世相の盲点を巧みに利用した殺人、猟奇事件の影に踊る札つきの不法建築業者、北国の闇を引き裂く夫婦殺害事件…。死神に捉えられ、破滅の深淵に陥ちてゆく人間たちを描く連作推理小説。

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  • 残響
    3.6
    私の頭の中に反響する“声”。それは、事件のつらい真相を告げた──。ヤクザの元夫・石神の家庭内暴力から逃れ、ジャズ・シンガーとして生きる杏子。だが、彼女には、死者の残留思念と共鳴できるという忌まわしい能力がまつわりついていた。その力を捜査に利用したい警察は、杏子の前に石神を送り込む。力はなぜか石神が一緒のときにだけ発揮されるのだ。時間の底を探る連作ミステリー。

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  • 花匂う
    3.6
    幼なじみの多津が嫁ぐ相手には隠し子がいる。それを教えてあげようとして初めて、直弥は自分が多津をずっと愛していたのだと気づく。そうであるからには隠し子のことは告げるわけにはいかない。中傷になるから…。その後の二人のたどる歳月を通し、人生の深い味わいを感動的に語りかけた表題作。ほかに「矢押の樋」「愚鈍物語」「椿説女嫌い」「蘭」「渡の求婚」など全11篇を収める。

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  • 「少年A」14歳の肖像
    3.6
    一億人の心臓を鷲づかみにした「神戸連続児童殺傷事件」。審判は終わった。真実は詳らかにされることなく、少年Aは闇の中に消えた――。彼の内なる「酒鬼薔薇聖斗」はいつ、どんな家庭で産声をあげたのか。母親は魔物の誕生に気付かなかったのか。第一級捜査資料に綴られた生々しい「肉声」。少年が初めて語る狂気と虚無、そして両親の慙愧……。今ようやく浮き彫りとなる驚愕の全貌。

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  • 羅生門・鼻
    3.6
    京の都が、天災や飢饉でさびれすさんでいた頃。荒れはてた羅生門に運びこまれた死人の髪の毛を、一本一本とひき抜いている老婆を目撃した男が、生きのびる道をみつける『羅生門』。あごの下までぶらさがる、見苦しいほど立派な鼻をもつ僧侶が、何とか短くしようと悪戦苦闘する姿をユーモラスに描いて夏目漱石に絶賛された『鼻』。ほかに『芋粥』『好色』など“王朝もの”全8編を収録する。

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  • メリーゴーランド
    3.6
    1巻649円 (税込)
    過労死続出の職場を辞め、Uターンしたのが9年前。啓一は田園都市の市役所勤務。愛する妻に子供たち、あぁ毎日は平穏無事。……って、再建ですか、この俺が? あの超赤字テーマパークをどうやって?! でも、もう一人の自分が囁いたのだ。〈やろうぜ。いっちまえ〉。平凡なパパの孤軍奮闘は、ついに大成功を迎えるが――。笑って怒って、時々しんみり。ニッポン中の勤め人の皆さん、必読。

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  • 縦走路
    3.6
    北アルプス、冬の八ヶ岳で二人の山男は、「女流登山家に美人なし」と言う通念をくつがえす、美貌のアルピニスト“千穂”に夢中になる。彼女の旧友でライバルの美根子を交えた四人の間に恋愛感情のもつれが起こるが、命がけの北岳胸壁攻撃の後、千穂は……。きびしい冬山と氷壁を舞台に、“自然対人間”そして“男対女”を通して緊迫したドラマをみごとに描く傑作長編山岳小説。

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  • 秀吉と武吉 目を上げれば海
    3.6
    戦国末期、瀬戸内海の村上水軍を率いて独立自存の勢力を誇っていた海賊の総大将・村上武吉。毛利一族などとの争いの末に獲得した徴税権と領土が、天下統一を狙う豊臣秀吉に奪われそうになった時、武吉はいかにして、それと戦ったのか。いかなる権力にも臣従することなく、己れの集団を守りぬいた武吉の生涯を通じ、時代の転換期における指導者のあり方を示唆した歴史小説。

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  • 蒼ざめた礼服
    3.6
    大学卒業から四年。就職難で仕方なく入った会社の仕事に男は気が乗らない。だが、古本屋でふと手にした雑誌をきっかけに、政財界の裏で活動する柿坂経済研究所に入るや、持ち前の好奇心を発揮し始めた。しかし、独自に探っていた謎に、国会でも注目の特殊潜水艦の建造計画が絡んで、殺人事件まで相次ぎ……。国防問題と巨大軍需産業の闇を背景に描かれた白熱の社会派ミステリー。

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  • 憎悪の依頼
    3.6
    私の殺人犯罪の原因は、川倉甚太郎との金銭貸借ということになっている。――金銭のもつれから友人を殺害した男が刑の確定後に、秘められた動機を語る表題作。女性が失踪し、カメラだけが北海道でみつかった。死体は発見されず、容疑者の新進画家には堅牢なアリバイがある。巧みなトリックを生かした「すずらん」など、多彩な魅力溢れる全10編を収録した傑作短編集。

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  • 渦

    3.6
    テレビの視聴率によって、局は一喜一憂し、番組制作者は才能を問われ、人事まで左右される。だが、存在さえもはっきりしない調査メーターの集計は信用に価するものなのか? 一通の投書に端を発し、その実体を掴むため、視聴率調査会社の執拗な監視を開始した二人の男と一人の女。やがて、明らかにされる意外な事実とは……。テレビ界を操る視聴率の怪に、独特の洞察力で挑む長編。

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  • 影の地帯
    3.6
    1巻1,034円 (税込)
    飛行機の中から富士山を写したばかりに、思いもかけぬ事件に巻込まれたカメラマンの田代は、撮影旅行先の木崎湖や青木湖で不気味な水音を聞き、不審な波紋を目撃する。行く先々に現れる小太りの男と謎の木箱を追う田代の周辺で、次々に起る殺人事件は、保守党の有力幹部失踪事件と関連を持ち始め、偶然と必然の織りなす経過のうちに、醜悪で巨大なその全貌を現わし始める……。
  • 黒地の絵―傑作短編集(二)―
    3.6
    現代小説の第2集。朝鮮戦争のさなか、米軍黒人兵の集団脱走事件の起った基地小倉を舞台に、妻を犯された男のすさまじいまでの復讐を描く「黒地の絵」。美術界における計画的な贋作事件をスリリングに描きながら、形骸化したアカデミズム、閉鎖的な学界を糾弾した「真贋の森」。他に、一画家のなにげない評伝から恐るべき真実を探り当てる「装飾評伝」など7編を収める。

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  • いつか陽のあたる場所で
    3.6
    小森谷芭子29歳、江口綾香41歳。ふたりにはそれぞれ暗い過去があった。絶対に人に知られてはならない過去。ふたりは下町の谷中で新しい人生を歩み始めた。息詰まる緊張の日々の中、仕事を覚え、人情に触れ、少しずつ喜びや笑いが出はじめた頃──。綾香が魚屋さんに恋してしまった! 心理描写・人物造形の達人が女の友情に斬り込んだ大注目の新シリーズ。ズッコケ新米巡査のアイツも登場。

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  • ならぬ堪忍
    3.6
    城代家老の“御意討ち”を命じられた新八郎は、直(じか)に不正を糺すが、逆に率直な説明を受け、初めて真実を知る。世間の風聞などは信を置くに足らぬと説いた著者の人間観が現れる『宗近新八郎』。藩の“家宝”が象徴する武家の権威を否定して“人間第一主義”を強調する『浪人走馬灯』。生命を賭けるに値する真の“堪忍”とは何かを問う『ならぬ堪忍』など戦前の短編全13作を収める。

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  • 菊月夜
    3.6
    四年間の江戸詰めの間に許婚・小房の父が狂死し家族は追放されるという運命に遭った信三郎が、事件の決裁に疑問をいだいて真相をさぐり、小房と劇的に再会するまでを描いた「菊月夜」。周五郎が年少の読者に向けて、母の愛とは何かを感動的に語りかけた「花宵」「おもかげ」。ほかに「柿」「一領一筋」「蜆谷」や、名作「青べか物語」の原型となった「留さんとその女」「蛮人」など全10編。

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  • 風流太平記
    3.6
    紀州徳川家がイスパニアから武器を密輸して幕府転覆をはかっているらしい――前代未聞の大陰謀を解明すべく奔走をはじめた兄たちによって花田万三郎は長崎から江戸に呼びもどされる。しかし、人間への思いやりにあふれ、彼を慕う二人の女性の間で翻弄される万三郎は、事件解明第一の兄たちに叱られてばかり。独特の人間観をにじませながら、波瀾万丈の剣劇をくりひろげる長編小説。

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  • 楽天旅日記
    3.6
    大吉田藩七十万石の正嫡順二郎は、四歳の時、側室一派の陰謀によって廃嫡され、国許で幽閉同然の生活を送る。ところが、二十四歳になった時、世継ぎとされていた側室の子が突然死亡し、順二郎は隠密裡に江戸表へ迎えられる事になるが……。お家騒動の渦中に投げ込まれた世間知らずの若殿の眼を通して、現実政治に振り回される人間たちの愚かさとはかなさを諷刺した長編小説。

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  • あんちゃん
    3.6
    妹に対して道ならぬ行為をはたらき、それを悔いてグレていった兄の心の軌跡と、思いがけぬ結末を描く『あんちゃん』。世継ぎのいない武家の習いとして、女であるにもかかわらず男だと偽って育てられた者の悲劇を追った『菊千代抄』。ほかに『思い違い物語』『七日七夜』『ひとでなし』など、人間をつき動かす最も奥深い心理と生理に分け入り、人間関係の不思議さを凝視した秀作8編を収録。

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  • 夕映え天使
    3.6
    東京の片隅で、中年店主が老いた父親を抱えながらほそぼそとやっている中華料理屋「昭和軒」。そこへ、住み込みで働きたいと、わけありげな女性があらわれ……「夕映え天使」。定年を目前に控え、三陸へひとり旅に出た警官。漁師町で寒さしのぎと喫茶店へ入るが、目の前で珈琲を淹れている男は、交番の手配書で見慣れたあの……「琥珀」。人生の喜怒哀楽が、心に沁みいる六篇。

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  • まんぞく まんぞく
    3.6
    深夜、覆面をして、酒に酔った侍に喧嘩をしかけては、髷を切ったり川に投げ込んだりして楽しんでいる男装の女剣士。それは、十六歳の時、浪人者に犯されそうになり、家来を殺された堀真琴の、九年後の姿であった。真琴は、敵討ちを心に誓って剣術の稽古に励んだ結果、剣を使うことが面白くて仕方なくなったのだが……。女剣士の成長の様を、絶妙の筋立てで描く長編時代小説。
  • 忍びの旗
    3.6
    戦乱の渦がいやおうなく忍びの世界をも巻きこんだ豊臣秀吉の治世――甲賀忍者・上田源五郎は、亡父の敵とは知らず、その娘を愛した。彼の運命を変えたのは、実にこの時であった。“忍びの生死は闇から闇へ消えるもの。だが俺は……”組織の非情の掟にそむき、執拗な追跡をうけつつも、人間の熱い血と忍者の苛酷な使命とを、見事に溶け合わせて生きぬいた男の流転の生涯。
  • あほうがらす
    3.6
    人間という生きものの不思議さ、運命のおそろしさ……“ポン引き”の生き方を活写した軽妙洒脱でユーモラスな表題作、忠臣蔵の悲劇の主人公浅野内匠頭の、説明のつけようもない二面性を照射した「火消しの殿」、芝居や映画のヒーローとしてではなく、一人の武士として己れの立場を貫いた男を描く「荒木又右衛門」など、著者の多岐多彩な小説世界の粋を精選した11編を収める。
  • 東電OL殺人事件
    3.6
    彼女は私に会釈して、「セックスしませんか。一回五千円です」といってきました――。古ぼけたアパートの一室で絞殺された娼婦、その昼の顔はエリートOLだった。なぜ彼女は夜の街に立ったのか、逮捕されたネパール人は果たして真犯人なのか、そして事件が炙り出した人間存在の底無き闇とは……。衝撃の事件発生から劇的な無罪判決までを追った、事件ノンフィクションの金字塔。

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  • 向日葵の咲かない夏
    3.6
    夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。
  • 憑神
    3.6
    妻夫木聡主演の映画原作。時は幕末、処は江戸。貧乏旗本の次男の身ながら、その才を見込まれて大身の入婿となった彦四郎。だが、跡継ぎを授かったとたん離縁され、実家に出戻るはめに。ある夜、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、なんと神様があらわれた。だが、この神様、神は神でも、貧乏神! 果たして、貧乏侍vs.貧乏神の行方は……!? とことんツイてない男が最後に選んだ真実の生きる道とは――。抱腹絶倒にして、やがては感涙必至。最近ツイてない、ツキが欲しいと思っている人、必読。

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  • 心がだんだん晴れてくる本
    3.6
    話の間をもたせようと頑張ってしまう……相手の反応が恐くて、自分から誘えない……「印象に残らない自分」がイヤだ……なんだか自分を好きになれない……そんな風に思ったこと、ありませんか? 心がどんよりしてどうしようもない時、そんなにがんばらなくても、むりしなくてもいいのです。たまには「がんばる自分」をお休みしましょう。時に逃げたり避けたりするほうが正しい場合もあるのだから――。むりせず元気になるためのこころの処方箋。

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  • アクセス
    3.6
    親友の死から立ち直るまもなく、可奈子の携帯が着信した。電源を切っても聞こえる押し殺した笑い声――「おまえが殺した」。毎日はフツーだった。そう、「2mb.net」を知るまでは。誰かを勧誘すればネットも携帯も無料というプロバイダに登録した高校生たちを、奇怪な事件が次々襲う。自殺、失踪、連続殺人……。仮想現実に巣くう「極限の悪意」相手の、壮絶なサバイバルが始まった!

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  • コールドゲーム
    3.6
    高3の夏、復讐は突然はじまった。中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく……。犯行予告からトロ吉が浮び上がる。4年前、クラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉。だが、転校したトロ吉の行方は誰も知らなかった。光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜しはじめるのだが――。やるせない真実、驚愕の結末。高3の終らない夏休みを描く青春ミステリ。

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  • 駅路
    3.6
    平凡な永い人生を歩き、終点に近い駅路に到着した時、耐え忍んだ人生からこの辺で解放してもらいたいと願い、停年後の人生を愛人と過ごそうとして失踪した男の悲しい終末を描く「駅路」。邪馬台国の謎を追究する郷土史家を描きながら、“邪馬台国論争”に関する著者の独創的見解を織り込んだ力作「陸行水行」。他に「ある小官僚の抹殺」「万葉翡翠」など全10編を収めた傑作短編集。

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  • 花探し
    3.6
    イケよ、と綿貫は命じた。「我慢しないでイケよ」――男が射精するのをこらえるように、舞衣子は別のことを考える。だって男に命じられるのは好きじゃない。男を選ぶのは私――。舞衣子は不動産王に磨き上げられた愛人のプロ。美しく洗練された容姿を高級ブランドに包み、ベッドではテクニックの限りをつくす。そんなある日、舞衣子は新たな「男」を探すことを決意する。とにかく金を持っている男。それを惜しみなく女に遣う男を――。SM趣味の御曹司、一夜に何度もイカせる有名作家……秘密の館で、ホテルのベッドで、官能と欲望の日々がはじまる。果たして次の「男」は……

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  • 猿田彦の怨霊―小余綾俊輔の封印講義―(新潮文庫)
    3.5
    天孫降臨の先導役として大役を務めながらも、謎の死を遂げたという猿田彦神。以来、「記紀」から姿を消し、脇役として民間伝承のなかに現れる。道祖神、庚申待ち、括り猿――。神はなぜ神話から抹殺されたのか。なぜ「猿」なのか。民俗学者・小余綾俊輔の歴史推理は、古代史の闇に容赦なく切り込んでいく……。歴史の封印が解ける時、常識を覆す真実が現れる。驚愕の古代史推理ミステリー。(解説・北夏輝)
  • 津軽通信(新潮文庫)
    3.5
    1巻572円 (税込)
    疎開先の津軽の生家で書き綴られた、新しい自由な時代を迎えた心の躍動が脈うつ珠玉編『津軽通信』。原稿用紙十枚前後の枠のなかで、創作技巧の限りをつくそうと試みた中期の作品群『短篇集』。戦時下の諷刺小説『黄村先生言行録』シリーズ。各時期の連作作品を中心に据えて、それに戦後期の『未帰還の友に』『チャンス』『女神』『犯人』『酒の追憶』を加えて編集した、異色の一冊。(解説・奥野健男)
  • 二十世紀旗手(新潮文庫)
    3.5
    1巻649円 (税込)
    麻薬中毒と自殺未遂の地獄の日々、小市民のモラルと既成の小説概念のいっさいを否定し破壊せんとした前期作品集。“二十世紀旗手"という選ばれた自負と「生れて、すみません」という廃残意識に引き裂かれた現代人の心情をモザイク的構成のうちに定着させた表題作、後年「人間失格」に集約される精神病院入院の体験を綴った『HUMAN LOST』ほか『虚構の春』『創生期』など7編を収録。文体の途中からの変更、助詞の極端な省略、文章の断片による構成、演説体・オペラ風・日記風などの文体の駆使、等々、手練手管の限りを尽くす。(解説・奥野健男)
  • 筋肉と脂肪 身体の声をきく(新潮文庫)
    3.5
    スポーツが得意だったら、自分の人生も少しは違っていたのかもしれない――。そんな夢想に端を発し、アスリートの身体と精神に迫る取材の旅が始まった。力士、プロレスラー、陸上選手、そしてスポーツ栄養士、サプリメントや体脂肪計の開発者との、驚きと発見に満ちた対話。食をライフワークとして書き続けてきた著者の集大成にして新境地! 『ルポ 筋肉と脂肪 アスリートに訊け』改題。(解説・谷本道哉)
  • 舞姫(新潮文庫)
    3.5
    空前のバレエブームに沸く戦後。バレエ教室を主宰する波子の夢は、娘の品子をプリマドンナにすることだった。だが、夫は家に生活費を入れてくれず、暮らしは苦しくなっていく。追い詰められる波子の心の支えは、かつて彼女に思いを寄せた男、竹原だった――。終戦後の急速な体制の変化で社会や価値観が激変する時代に、寄る辺ない日本人の精神の揺らぎを、ある家族に仮託して凝縮させた傑作。(解説・池澤夏樹)※三島由紀夫による解説は収録しておりません。
  • 虹いくたび(新潮文庫)
    3.5
    建築家水原のそれぞれ母の違う三人の娘、自殺した母の悲劇と戦争に恋人を奪われた心の傷(いた)みのために次々と年下の美少年を愛する姉百子、京都の芸者の子である妹若子、全く性格の違う姉や妹をはらはらと見守る優しい麻子。大徳寺、都踊、四条から桂離宮――雅(みやび)やかな京風俗を背景に、琵琶の湖面に浮かんだ虹のはかなさ美しさにも似た三姉妹の愛と生命(いのち)の哀しみを詩情豊かに描く名作。(解説・北条誠、田中慎弥)
  • 春のこわいもの(新潮文庫)
    3.5
    世界が一変してしまったあの春、私たちは見てはいけないものを覗きこんでしまった――。持てる者と持たざる者をめぐる残酷なほんとう。死を前にして振り返る誰にも言えない秘密。匿名の悪意が引き起こした取りかえしのつかない悲劇。正当化されてゆく暴力的な衝動。心の奥底にしまい込んだある罪の記憶。ふとしたできごとが、日常を悪夢のように変貌させていく。不穏にして甘美な六つの物語。
  • 光の犬(新潮文庫)
    3.5
    1巻1,045円 (税込)
    ひとりひとりの人生は奇妙にゆがみ、奇妙に偏っている――。助産婦の祖母、独身の三人のおばたち、会話の少ない父母、のびやかな姉・歩と気難しい弟・始。それぞれの願いと葛藤が溶けあいながら、三世代の時間は進んでゆく。北海道の小さな町を舞台に、失われてゆく一族の姿と、色褪せない人生の瞬間を、記憶をたどるようにして描き出す。読後、静かな余韻に包まれる百年にわたる家族の物語。(解説・江國香織)
  • 擬傷の鳥はつかまらない(新潮文庫)
    3.5
    訳ありの依頼者の身分を偽装し、別人としての人生を与える「嘘の仕立て屋」を生業とするサチ。ある日、彼女のもとへ大金を持った二人の少女が訪ねてくる。その数日後、少女の一人が謎の転落死を遂げた。残された少女を守るべく、事件の鍵を握る男を探し始めるサチは、嘘と裏切りにまみれた過去からあまりに切実な「真相」にたどり着く——。ミステリ界を牽引する若き鬼才、衝撃のデビュー作。
  • ブロッコリー・レボリューション(新潮文庫)
    3.5
    近所にあるパン屋をめぐる彼の変化を私が描く「楽観的な方のケース」。突然の訪問者が繰り広げるラップに衝撃を受け、横浜の街に思いを巡らす「ショッピングモールで過ごせなかった休日」。人はいつだって誰かの思いや言葉、記憶の中の場所に思いをはせるものだ――。実存や不可能性を超越した、第35回三島由紀夫賞受賞の表題作を含む全5編の短編集。多和田葉子氏との特別対談も収録!(解説・高橋源一郎)
  • 工藤會事件(新潮文庫)
    3.5
    クラブ襲撃、建設事務所への発砲、見せしめとして射殺。「血の掟」で結ばれ、一般市民への攻撃を繰り返す指定暴力団・工藤會。その暴走は止まることなく、北九州市は「修羅の街」と化していた。この状況を打破するべく警察と検察はタッグを組み、全国から精鋭を集結、史上最大の頂上作戦を展開する。紆余曲折の舞台裏からトップ逮捕まで、前例のない捜査の全貌を描く圧巻のノンフィクション。
  • 熔果(新潮文庫)
    3.5
    博多駅付近で発生した五億円相当の金塊強奪事件。堀内信也はヒラヤマ総業調査員の伊達誠一に誘われ、金塊の行方を追うことに。二人は大阪府警の元刑事で現在もバディを組んでいるのだ。関西、九州、中部をBMWで駆け抜けながら、堀内と伊達は、ヤクザ、半グレ、ブローカー、汚職警官らと対決する。頭脳と暴力の〝捜査〟から浮かび上がった闇の構図とは。痛快無比のクライム・サスペンス。(解説・市田隆)
  • 高虎と天海(新潮文庫)
    3.5
    1巻737円 (税込)
    六尺二寸の巨躯にして全身に九十九の傷を持つ戦国屈指の荒武者・藤堂高虎。徳川家康を天下人と見定め家来として仕えることにした高虎は、関ヶ原合戦勝利祝賀の席で、その博識と器量を家康に認められた喜多院の僧侶・天海と共に天下安寧を目指す。島左近の暗躍、風魔対伊賀者の諜報合戦、魑魅魍魎渦巻く朝廷対策、そして大坂の陣。徳川幕府の礎を築いた二人の智略と交友を描く書下ろし小説。
  • 決定版カフカ短編集(新潮文庫)
    3.5
    この物語はまるで本物の誕生のように脂や粘液で蔽われてぼくのなかから生れてきた――。父親との対峙を描く「判決」、特殊な拷問器具に固執する士官の告白「流刑地にて」、檻の中での断食を見世物にする男の生涯を追う「断食芸人」。遺言で原稿の焼却を頼むほど自作への評価が厳しかったカフカだが、その中でも自己評価が高かったといえる15編を厳選。20世紀を代表する巨星カフカの決定版短編集。
  • 飢餓同盟(新潮文庫)
    3.5
    眠った魚のように山あいに沈む町花園。この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちは、革命のための秘密結社“飢餓同盟”のもとに団結し、権力への夢を地熱発電の開発に託すが、彼らの計画は町長やボスたちにすっかり横取りされてしまう。それ自体一つの巨大な病棟のような町で、渦巻き、もろくも崩壊していった彼らの野望を追いながら滑稽なまでの生の狂気を描く。(解説・佐々木基一)
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)
    3.5
    誰からも愛された弟には、誰も知らない秘密があった。突然姿を消した弟、希望(のぞむ)。行方を追う兄の誠実(まさみ)は、関係者の語る姿を通し弟の持つ複数の顔を知る。本当の希望(のぞむ)はどこにいるのか。記憶を辿るうち、誠実もまた目をそらしてきた感情と向き合うこととなる――。痛みを抱えたまま大人になった兄弟が、それぞれの「希望(きぼう)」を探す優しいエールに満ちた物語。文庫化にあたり、書下ろし短篇を収録。(解説・山中真理)
  • 阿修羅草紙(新潮文庫)
    3.5
    1巻1,100円 (税込)
    最高の忍びタッグ誕生! 無駄な殺しはしないくノ一・すがると、手段を選ばない伊賀忍者・音無。正反対の考えを持つ二人は奪われた「呪いの巻物」を取り返すため、陰謀渦巻く京の都に向かう。伝説の忍びとの死闘や大名家への潜入を通して、徐々に真相に近づいていく二人。そして明かされた驚愕の真実と二人の想いとは……。任務のために陰で命を捧げた忍者たちを描く一気読み必至の傑作長編。
  • 江戸の空、水面の風―みとや・お瑛仕入帖―(新潮文庫)
    3.5
    大好きだった兄の長太郎を亡くしたお瑛も、今は成次郎と夫婦になり幸せに暮らしていた。そんな時、圭太という男が現れる。料理茶屋『柚木』の新しい奉公人だ。何くれとなくお瑛を助けてくれた女将のお加津は、優しくて手際のよい圭太を褒めちぎる。でも、何かおかしい……お瑛の胸はざわついた。お加津さんは何を考えているの? お瑛は猪牙舟を大川に漕ぎだしていく。好評「みとや」シリーズ!(解説・細谷正充)
  • 湖の女たち(新潮文庫)
    3.5
    湖畔の介護施設で暮らす寝たきりの男性が殺された。捜査にあたった刑事は施設で働く女性と出会うが、二人はいつしかインモラルな関係に溺れていく。一方、事件を取材する記者は死亡男性がかつて満州で人体実験にかかわっていたことを突きとめるが、なぜか取材の中止を命じられる。吸い寄せられるように湖に集まる男たち、女たち、そして――。読後、圧倒的な結末に言葉を失う極限の黙示録。(解説・諏訪敦)
  • サーカスの夜に(新潮文庫)
    3.5
    1巻649円 (税込)
    両親の離婚でひとりぼっちになった少年は、13歳の誕生日を迎え、憧れのサーカス団・レインボーサーカスに飛び込んだ。ハイヒールで綱の上を歩く元男性の美人綱渡り師、残り物をとびきり美味しい料理に変える名コック、空中ブランコで空を飛ぶ古参ペンギンと、個性豊かな団員達に囲まれて、体の小さな少年は自分の居場所を見つけていく。不自由な世界で自由に生きるための、道標(みちしるべ)となる物語。(解説・ミムラ)
  • 国道16号線―「日本」を創った道―(新潮文庫)
    3.5
    横須賀から、横浜、町田、八王子、川越、柏などを経て木更津まで。東京をぐるりと囲む16号線エリア。約1100万人が住む一大経済圏である。旧石器時代から人々が集まり、二つの幕府の礎となった。絹の輸出で近代国家を支え、戦後はユーミンをはじめ新たな才能がここで育まれる。子供たちも増加し、未来へつながる道となった16号線、その秘密とは。胸躍る、新・日本文明論。(解説・三浦しをん)
  • プロジェクト・インソムニア(新潮文庫)
    3.5
    睡眠障害(ナルコレプシー)のせいで失業した蝶野は、極秘人体実験「プロジェクト・インソムニア」の被験者となる。極小チップを脳内に埋め込み、夢を90日間共有する――。願望を自在に具現化できる理想郷(ユメトピア)は、ある悪意の出現によって恐怖と猜疑に満ちた悪夢へと一変する。次々と消えてゆく被験者たち、はたして連続殺人鬼の正体は――。驚愕の真相に涙が落ちる。最注目の新鋭作家による、大満足の長編ミステリー。(解説・千街晶之)
  • 魚は粗がいちばん旨い―粗屋繁盛記―(新潮文庫)
    3.5
    魚の粗(あら)ほど旨いものはない! 築地に日本初の魚の粗料理専門店・粗屋ができた。金目鯛の粗汁、烏賊の腸煮、皮剥の肝和え――通常は捨てられてしまう粗が、魚を知り尽くした店主、鳥海五郎にかかると絶品料理へと大変身。はやる気持ちを抑え、今宵も粗屋の暖簾をくぐる。いったいどんな料理が待っているのか。粗を肴に酒を呑む、至福の時間の始まりだ。『骨まで愛して 粗屋五郎の築地物語』改題。(解説・太田和彦)
  • 孤独の意味も、女であることの味わいも(新潮文庫)
    3.5
    人に絶望しても、性暴力に遭っても。愛する子を喪って、すべての「いま」に正解がないように思えても。人生には必ず意味がある。救えない人間などどこにもいないのだから――。母親の後ろに隠れていた少女が、異性の欲望に晒されて呆然とした青春時代を経て、自由を渇望し、自らの言葉だけで生きるに至るまで。気鋭の国際政治学者が、端正な文章で紡ぐようにして綴った等身大のメモワール。(解説・茂木健一郎)
  • 道行きや(新潮文庫)
    3.5
    カリフォルニアで夫を看取り、二十数年ぶりに日本へ愛犬と帰国。“老婆の浦島”は、週の四日は熊本で犬と河原を歩き、植物を愛でる。残りは早稲田大学で、魚類の卵のように大勢の若者と対話する。移動の日々で財布を忘れ、メガネをなくし、鍵をなくし、犬もなくしかけた……思えば家族を、あらゆるものを失って、ここに辿り着いたのだった。過ぎ去りし日を噛みしめ、果てなき漂泊人生を綴る。(解説・ブレイディみかこ)
  • 秘密の花園(新潮文庫)
    3.5
    私は、なにをしているんだろう。どうしたら「私」でいられるんだろう? カトリック系女子高校に通う、三人の少女、那由多、淑子、翠。性格の異なる三人の「私」は、家族、学校、男たちの中にあって、それぞれが遠いはるかを、しずかに深くみつめている。「秘めごと」をかかえる彼女たちの微笑の裏側の自由。甘やかな痛みの底に眠る潔くも強靭な魂。自分を生き抜いていくために「私」が求めていたことは――。記念碑的青春小説。(解説・穂村弘)
  • 焔(新潮文庫)
    3.5
    焔を囲んだ人達が、それぞれの身に起こったことを語り出す――。近隣諸国と武力衝突の危険性が高まるなか、人々が“あること”を始める「ピンク」。突然泣き出してしまう“謎の病”が大流行する「眼魚」。南米やアフリカなど各地から集まった力士が頂点をめざす「世界大角力共和国杯」。祈りや驚嘆、希望など様々な思いを込めて語られた九つの物語は、最後に大きく燃え上がる。谷崎潤一郎賞受賞作。
  • 歩道橋シネマ(新潮文庫)
    3.5
    1巻781円 (税込)
    それは他愛のない噂だった。その日、その時間にその場所に行けば、かつて大事にしていた記憶に出会えると――。郷愁と不思議に彩られた表題作。学園のおぞましい秘密「球根」。偶然出会った光景が物語を生成する「皇居前広場の回転」。ある青年の死をめぐる驚愕の真実が明かされる「降っても晴れても」。憧憬、恐怖、諧謔、戦慄、衝撃、恍惚……あらゆる感情が押し寄せる小説の奇跡、全18話。
  • 家康の女軍師(新潮文庫)
    3.5
    家康の側室於奈津は、鎧姿で関ヶ原の戦場に立った。将軍の女影武者・軍師として戦況を見極めつつ、「お屋形様の本気を」と鼓舞。小早川秀秋へ問い鉄砲を仕掛けさせる――。この女傑、元は商家の女番頭。持ち前の機転で家康の心を摑み、物事に動じぬ良き相談相手となった。大坂冬夏の陣にも参陣し、真田信繁とも対峙。今は徳川家の菩提寺に眠る波瀾の生涯を描く。『将軍家康の女影武者』改題。(解説・末國善己)
  • ハレルヤ!(新潮文庫)
    3.5
    1巻737円 (税込)
    アカネたち五人は、学生時代のバンド仲間。社会人になって解散した後は、それぞれ子育てや仕事、恋愛に奮闘をつづけ、気がつくと、もう四十六歳になった。音楽さえあればゴキゲンだった青春時代とは違う「人生の後半戦」に鬱々としていたある日、あのキヨシローが遠くへ旅立った。伝説の男の啓示に導かれ、五人は再会を果たすのだが――。「ベイビー、生きるんだ」。勇気わきあがる感動長編。
  • 蒼猫のいる家(新潮文庫)
    3.5
    家庭で居場所を失ったキャリアウーマンが年下の男と出会って……。意外な成り行きに大人の孤独がにじむ表題作の他、未体験の快感と美容効果を保証する、謎の無脊椎動物が巻き起こす騒動を描く「ヒーラー」、借金まみれのカメラマンが山奥で雌犬の“ヒモ”となる「クラウディア」など。濃厚な物語世界に、動物たちの凜々しさや人間の愚かさを凝縮した絶品の五篇。『となりのセレブたち』改題。(解説・田中兆子)
  • からくり写楽―蔦屋重三郎、最後の賭け―(新潮文庫)
    3.5
    1巻880円 (税込)
    謎の絵師を、さらなる謎で包んでしまえ――。前代未聞の密談から、「写楽」売出しの大仕掛けは始まった……。一ツ、正体は決して知られてはならない。二ツ、噂を流し影武者を作れ。三ツ、御公儀に一泡吹かせるべし。江戸っ子の意地を賭け、蔦屋重三郎が動く。かくして「写楽」はデビューした。だが感づいた者がいた。危機一髪の尾行、想定外の事態、「写楽」はどうなる……。痛快時代小説。(解説・細谷正充)
  • ふたりぐらし(新潮文庫)
    3.5
    元映写技師の夫・信好は、看護師の妻・紗弓と二人暮らし。映画脚本家の夢を追い続けて定職はなく、ほぼ妻の稼ぎで食べている。当の妻は、余裕のない生活で子供を望むこと、義母との距離、実母との確執など、家族の形に悩む日々だ。幸せになるために生涯を誓ったはずなのに、夫婦とは、結婚とは、一体何だろう。夫婦が夫婦になっていく“家族のはじまり”を、夫と妻交互の視点で描く連作短編集。(解説・友近)
  • 編集長の条件―醍醐真司の博覧推理ファイル―(新潮文庫)
    3.5
    転落死を遂げたマンガ雑誌編集長、南部正春。悪名は高かったがマンガを深く愛していた。フリーの凄腕編集者・醍醐真司は彼の死に疑問を抱きつつ、後継編集長に就任する。一方、“出版専門の探偵”水野優希も南部の調査を依頼される。やがて昭和史最大の謎「下山事件」が見え隠れし始めて。『20世紀少年』などのヒット作を手がけた元編集者が創作の原点と現場のリアルを描く、傑作エンターテインメント。(解説・澤田康彦)
  • 王都の落伍者―ソナンと空人1―(新潮文庫)
    3.5
    1巻649円 (税込)
    名将軍のひとり息子として生を享けながら、退廃した生活に甘んじる青年・ソナン。自らの悪事が発端で死に瀕するが、朱く長い髪をもつ神・空鬼(そらんき)のたった一度の気まぐれで、名も知らぬ異国へと落とされる。しかし、その地・弓貴(ゆんたか)では古来からの統治者が反逆者に追いつめられ、全員で討ち死にしようとしていた――。終わったはずの人生から物語が動き出す。執筆4年、1800枚の傑作ファンタジー。
  • なめらかで熱くて甘苦しくて(新潮文庫)
    3.5
    少女の想像の中の奇妙なセックス、女の自由をいまも奪う幻の手首の紐、母の乳房から情欲を吸いだす貪欲な嬰児と、はるか千年を越えて女を口説く男たち。やがて洪水は現実から非現実へとあふれだし、「それ」を宿す人々を呑み込んでいく……。水/土/空気/火の四つの元素、そして世界の名をもつ魅惑的な物語がときはなつ生命の迸りと、愛し、産み、老いていく女たちの愛おしい人生。
  • 人とつき合う法(新潮文庫)
    3.5
    誰しも苦手な人がいる。酒癖の悪い人もいる。一方で、ウマの合う人がいる。社会で生きるということは、様々な人たちと、時には自分を殺して、時には少し遠ざけて、上手にやっていくことかも知れない。博覧強記の教養人河盛好蔵が古今東西の偉人先賢先哲の名言やエピソードとともに人づき合いの極意を開陳した本書は人生のバイブルとして昭和の大ベストセラーとなった。待望の注釈付新装復刊。(解説・岸見一郎)
  • 消えた警官(新潮文庫)
    3.5
    小幡弘海巡査部長は、二年前に忽然と姿を消した。生活安全課に異動した矢先のことだ。綾瀬署に所属する、柴崎令司警務課長代理、上河内博人警部、高野朋美巡査の三人は、小幡についての捜査を始める。ひき逃げ。老女の不審死。女子高生絞殺。足と頭脳で難事件を解決しながら、三人は底知れぬ謎へと迫ってゆく。警視庁が放棄した失踪事件に果てはあるのか。あなたの胸を貫く本格警察小説。
  • ハンニバル・ライジング(上)(新潮文庫)
    3.5
    1941年、リトアニア。ナチスは乾坤一擲のバルバロッサ作戦を開始し、レクター一家も居城から狩猟ロッジへと避難する。彼らは3年半生き延びたものの、優勢に転じたソ連軍とドイツ軍の戦闘に巻き込まれて両親は死亡。残された12歳のハンニバルと妹ミーシャの哀しみも癒えぬその夜、ロッジを襲ったのは飢えた対独協力者の一味だった……。ついに明かされる、稀代の怪物の生成過程!
  • リア家の人々(新潮文庫)
    3.5
    1巻605円 (税込)
    帝大出の文部官僚である砺波文三は、妻との間に3人の娘をもうけた。敗戦後、文三は公職追放の憂き目に逢うが、復職の歓びもつかの間、妻はがんで逝く。やがて姉たちは次々に嫁ぎ、無口な老父と二人暮らしとなった年の離れた末娘の静は、高度成長の喧噪をよそに自分の幸せを探し始めていた。平凡な家族の歳月を、「リア王」の孤独と日本の近代史に重ね、「昭和」の姿を映す傑作長編。
  • ピアニストだって冒険する(新潮文庫)
    3.5
    華やかで力強いピアノの魂とともに――。何も知らず母に連れられて行った三歳のレッスン。十五歳でソリストを務めたN響世界一周演奏旅行。十八歳でジュリアード音楽院に留学して味わった挫折感。自らの人生をユーモラスに描き、国際コンクールの舞台裏、かけがえのない友人や恩師、そして日本の未来への想いを綴った文章の数々……。亡くなるひと月前まで書き継がれた最後のエッセイ集。
  • ほのぼのお徒歩日記(新潮文庫)
    3.5
    わたくし宮部みゆきの初めての小説以外の本であります――。著者初の散文集は、江戸を、日本を「歩く」ことから始まった。赤穂浪士討ち入り後の道のり。市中引廻しのルート。そして、島流しの行き着く先。担当編集とともに歩き、食べ、語り尽くした珍道中。ひとたび読み始めれば、あなたもきっと、ミヤベと「町」を歩いてみたくなる。『平成お徒歩日記』に書き下ろし一編を加えた新装完全版。
  • ワシントンハイツ―GHQが東京に刻んだ戦後―(新潮文庫)
    3.5
    終戦からほどなく、東京の真ん中に827戸を擁する米軍家族住宅エリアが出現した。その名も「ワシントンハイツ」。「日本の中のアメリカ」の華やかで近代的な生活は、焼け野原の日本人にアメリカ的豊かさへの憧れを強烈に植え付けた。現代日本の「原点」ともいうべき占領期を、日米双方の新資料と貴重な証言から洗いなおした傑作ノンフィクション。日本エッセイスト・クラブ賞受賞。
  • 血族の王―松下幸之助とナショナルの世紀―(新潮文庫)
    3.5
    米相場で破産、没落した家名を再興すべく、松下幸之助は九歳で大阪へ丁稚奉公に出た。事業拡大への飽くなき執念は、妻と始めた家内工業を従業員38万人の一大家電王国へと成長させた。されど、好事魔多し。盟友だった義弟との訣別、GHQの圧力、後継者問題、スキャンダル……。激動の時代を背景に、数々の神話に彩られた「経営の神様」を、新資料と徹底取材で丸裸にした評伝決定版。
  • 私の裸(新潮文庫)
    3.5
    1巻572円 (税込)
    女は皆、平和を装っているだけ。ライターの天音は、妻としても職業人としても自己不全感を抱いていた。ある日、友人の紹介で俳優の朔也と出会う。人とは違う肉体を生かして役者になった朔也を取材するうち、彼の周りの女性たちが変貌した瞬間を知る。いい子の呪いに苦しむ鈴美、男性経験のない冬美恵、朔也の妻・理都子、そして天音自身も――。未知の私が現れる5編。『幸福なハダカ』改題。(解説・寺地はるな)
  • ニセモノの妻(新潮文庫)
    3.5
    「もしかして、私、ニセモノなんじゃない?」妻と思ってきた女の衝撃的な一言で始まったホンモノの妻捜し。けれど僕はいったい誰を愛してきたのだろう(「ニセモノの妻」)。ある日、仲睦まじい夫婦の妻だけが時間のひずみに囚われてしまった。共に明日を迎えられない彼女のために夫がとった行動は――(「断層」)。その他、非日常に巻き込まれた4組の夫婦の、不思議で時に切なく温かな短編集。(解説・中江有里)
  • スカラムーシュ・ムーン(新潮文庫)【電子特典付き】
    3.5
    1巻1,100円 (税込)
    新型インフルエンザ騒動で激震した浪速の街を、新たな危機が襲う。今度は「ワクチン戦争」が勃発しようとしていた――霞が関の陰謀を察知した異端の医師・彦根新吾は、ワクチン製造に必要な鶏卵を求めて加賀へ飛び、さらに資金調達のために欧州へと旅立つ。果たして、彦根が挑む大勝負は功を奏するのか? 浪速の、そして日本の医療の危機を救えるのか。メディカル・エンタメの最高傑作! ※【電子版あとがき】をはじめ、ストーリー上の出来事が一目でわかる【桜宮年表】や【作品相関図】、小説・ノンフィクション作品の【海堂尊・全著作リスト】、小説作品の【「桜宮サーガ」年代順リスト】など数々の電子版特典を巻末に収録!
  • ナニワ・モンスター(新潮文庫)【電子特典付き】
    3.5
    1巻1,100円 (税込)
    浪速府で発生した新型インフルエンザ「キャメル」。致死率の低いウイルスにもかかわらず、報道は過熱の一途を辿り、政府はナニワの経済封鎖を決定する。壊滅的な打撃を受ける関西圏。その裏には霞が関が仕掛けた巨大な陰謀が蠢いていた――。風雲児・村雨弘毅(ドラゴン)府知事、特捜部のエース・鎌形雅史(カマイタチ)、大法螺吹き(スカラムーシュ)・彦根新吾。怪物達は、この事態にどう動く……。海堂サーガ、新章開幕。※【電子版あとがき】をはじめ、ストーリー上の出来事が一目でわかる【桜宮年表】や【作品相関図】、小説・ノンフィクション作品の【海堂尊・全著作リスト】、小説作品の【「桜宮サーガ」年代順リスト】など数々の電子版特典を巻末に収録!
  • 周五郎少年文庫 木乃伊屋敷の秘密―怪奇小説集―(新潮文庫)
    3.5
    古代蒙古の王族の棺を持ち帰った考古学の権威厩川博士だが、木乃伊(ミイラ)が夜毎棺から出て、枕元の水差しの水を飲むことに気づいた。博士は恐怖のあまり……(表題作)。かの名探偵ホームズが来日し、財宝をめぐって悪漢たちと壮絶な戦いを繰り広げる「シャーロック・ホームズ」等、痛快探偵小説の内、怪奇性の強い名品珍品13編を精選。(解説・末國善己)
  • ギンイロノウタ(新潮文庫)
    3.5
    極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。アニメの魔法使いみたいに杖をひと振り、押入れの暗闇に銀の星がきらめき、無数の目玉が少女を秘密の快楽へ誘う。クラスメイトにステッキが汚され、有里が憎しみの化け物と化すまでは……。少女の孤独に巣くう怪物を描く表題作と、殺意と恋愛でつむぐ女子大生の物語「ひかりのあしおと」。衝撃の2編。
  • 砂の上のあなた(新潮文庫)
    3.5
    最期ののちはきみのそばで眠りにつきたい――。亡父が残した愛人への手紙。それは砂上の出会いから続く「運命」の結実だった。愛を失った夫。心を病む元婚約者。愛人の息子を名乗る男。35歳の主婦・美砂子は、自らを取り巻く人間関係の根源に、父の妄執と、千億の愛すら呑み込む「超越」をみる。生きるとは何か。人はなぜ、子を成すのか。果てなき愛への答えを示す、圧倒的長篇小説。

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