Posted by ブクログ
2011年09月15日
とうとう我が愛する森繁久彌が逝ってしまいました。96歳で老衰といいますから大往生ですね。
小さい頃から日本の古い映画も大好きでよく見ていましたが、ことに駅前シリーズ24本は、私にとっては寅さんや釣りバカ以上に親しみ深いものとして記憶の底にあります。
駅前シリーズの森繁久彌と伴淳三郎とフランキー堺...続きを読むは、喜劇というものがどんなにすばらしいものかということを、骨の髄まで私に教えてくれた人たちでした。
正直言って、その後、中学生で漫才に目覚め、高校で落語に開眼しと、お笑いの世界の拡張は著しいものがありましたが、これ以上のものにお目にかかったことがありません。
あっ、それと、この本ですが、たまたま高校生の時に、原作が気になって手に入れてみると、それまで、どうも感じでは獅子文六っぽいと思っていたのが、意外や意外、なんと大作家・井伏鱒二ではありませんか、随分おどろいて、なんだか拍子抜けした覚えがあります。
モリシゲは、私にとって最高の喜劇役者だったのですが、本人はシリアスな俳優を指向して、『夫婦善哉』や『警察日記』を境に、喜劇役者の名を返上してしまった感があります。
あ、思い出しました、あと源氏鶏太原作の『三等重役』というサラリーマンものも面白かった記憶があります。
ただ私は残念ながら、世評高い『屋根の上のバイオリン弾き』は、見苦しくて滑稽なだけだと思って、まったく評価しません。もっとも、あまたの有名無名の日本のミュージカルを見てきましたが、キャッツも宝塚もすべて失格、いまだ日本のミュージカル現われず、という気でいるのですからどうしようもありません。
ともかく、モリシゲさん、お疲れさまでした、喜劇をどうもありがとう。