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一瞬の閃光に街は焼けくずれ、放射能の雨のなかを人々はさまよい歩く。原爆の広島――罪なき市民が負わねばならなかった未曾有の惨事を直視し、“黒い雨”にうたれただけで原爆病に蝕まれてゆく姪との忍苦と不安の日常を、無言のいたわりで包みながら、悲劇の実相を人間性の問題として鮮やかに描く。被爆という世紀の体験を、日常の暮らしの中に文学として定着させた記念碑的名作。野間文芸賞受賞。
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Posted by ブクログ
広島に落とされた原爆のさなかに居た、庶民の悲惨な姿を丁寧に描写された文章が、とても素晴らしい。 かと言って決して希望を見失わない情景もあり、余計に悲しさを誘うものであると、感じられました。 戦争文学の頂点とも言える作品に仕上がっているのではないでしょうか。
8月6日の原爆投下の瞬間から、主人公だけでなく様々な被爆者たちから語られた想像を絶する惨状に言葉が出ない。8月6日以降広島の街がどんな状況だったのか、そこに住んでいた人々は死者から生き残った人々までがどのような苦しみを味わったのか、戦争を知らない私が初めて知る市井の人々の生の声が記されていた。平和...続きを読む記念資料館では隅から隅まで資料を熟読した訳ではないが、そこだけでは知り得ない当時の人々の暮らしも詳細に書かれている。悲惨という言葉では言い表せないほどの死体の山の描写に、感覚が麻痺してうまく想像も働かなかった。 原爆症の症状が出ていなかった矢須子の縁談が反故にされるなど、目に見える症状だけでなく日本人同士での差別も生み出され、原爆は想像よりも遥かに甚大な被害をもたらしていたことを知る。原爆症についてはほぼ知識がないため、関連本も併せて読んでみたい。
庶民から見た原爆とは何かを率直に表現したもので、戦争を知らない世代が丁寧に読むことに意義があると思う。
生まれ育った街が燃えても、家族や友人や恋人が死んでも、淡々と生活を続けねばならない市井の人たちの描写がこの出来事の悲惨さを強調しているようで辛く、休み休み読んだ 夏に繰り返し読むだろう
梅雨が明けて夏が来ると読みたくなる、いや、どこか「読まなければ」という義務感に駆られて繰り返し読んでいる一冊。 声高に「反戦」や「No moreヒロシマ・ナガサキ」を訴えるのではなく、淡々と、市井からの目線で1945年8月の広島を描いているところに、静かな凄みのようなものを感じる。
原爆が広島に落とされた日から月日が経っても苦しめられている人々の事を改めて思い知らされる。 目を背けたくなる描写はあるが、多くの戦争を知らない人々に是非読んでもらいたい。
後世に、絶対に残さないと行けない作品。 戦争は絶対に起こってはいけないことを、特に若い人たちにこの本を読んで、感じてほしい。
「八月六日の午前八時十五分、事実において、 天は裂け、地は燃え、人は死んだ」 日本人として、読みたかった。 叔父は姪の幸せを望み、姪は結婚に胸膨らませ、 皆ただ、生きようとした。普通に普通に普通に。 無作為に汚された雨が、街が、それを許さない。 「きみたち日本人は、アメリカにこれほど残虐な目にあ...続きを読むわされて、腹が立たないのか」 Ernesto “Che” Guevara —25th july 1959, Hiroshima 2022年8月6日原爆死没者名簿に4,978名が追加。 累計333,907名。 戦後77年。 〝戦後〟ってなんだろう。
終戦から20年過ぎた1965年、雑誌『新潮』に連載された広島市への原爆投下を題材にした小説。 被爆者である重松静馬の日記と、軍医の岩竹博の手記が元になっています。 「閑間重松」という被爆者が中心となります。 原爆後遺症によって労働をすることができない彼は、被爆者の仲間と共に川釣り等へでかけますが、...続きを読む村人からは心無い言葉を投げかけられ、除け者扱いされます。 また、同居する姪の「矢須子」は、実際は爆心地から離れた場所におり、原爆の影響がある兆候は見られないにも関わらず、被爆者という噂が立っているがために縁談が決まらずにいます。 そんな姪を不憫に思った重松は、矢須子が影響を受けなかったことの証明と、彼が経験した原爆の悲惨さを残すために、当時の日記を持ち出して清書します。 本作は、日記に書かれた原爆投下当時の様子と、落とされてずいぶん立つにも関わらず現在も原爆の影響を受ける重松たち家族の日々が書かれた内容となっています。 激しい光と巨大な轟音、立ち上るきのこ雲は、普段どおりの変わらない日常を過ごしていた大勢の人々の生活を一瞬で破壊しました。 人は溶け、弔いもされないままやがて蠅まみれになって、無惨にも人骨を晒す。 生き残っても、正体の分からない新型の兵器とやらによって苦しみ、内蔵が不調を来し、生きたまま蛆が湧いて呻きながら死んでいく。 "原爆の恐ろしさ"といえばそうなのですが、"原爆"というものがわからない当時の人々に取っては、"原爆"という兵器ではなく"戦争は嫌だ 平和が良い"という祈りを感じる内容だと思いました。 戦争小説というと、軍機の厳しさ、兵隊の勇ましさがクローズアップされますが、本作に登場する人々は、兵隊、勤め人、含めて、そこに住んでいた人です。 原爆によって焦土と化した広島にいた人々がどうなってしまったのかが描かれていて、戦争の悲惨さを訴えかける戦争小説でした。 2021年、「黒い雨」訴訟で、住民側が勝訴したというのが話題になりました。 落下現場から遠く離れた場所にいた人々も、原爆による健康被害を受けたと思われる人がおり、その人々を被爆者と認めるための訴訟でした。 作中でも、健康体に見えた矢須子ですが、実は原爆投下後に降った黒い雨を全身に浴びており、後に原爆症に苦しむことになります。 その後、重松は、原爆症で死地の淵から回復したという『軍医予備員・岩竹博の手記』を手に入れ、本作中で紹介しますが、その内容も壮絶なものでした。 本作は矢須子の回復を祈るシーンで終幕していますが、その文面には、諦念が込められているように感じます。 本作で書かれた矢須子が被爆者であるということが、57年越しにようやく認められたというのは、なにかすごいことのように思いました。 原爆の影響は落とされた場所だけではなく広範囲であることが認められ、改めて原爆の恐ろしさ、戦争の恐ろしさを再認識させられる名著だと思いました。
息子の中学の課題図書として購入したためついでに読んでみました。 読んでいる間にちょうど広島出張も重なり広島の現地でこの作品を読むことが出来 80年近く前の広島に思いをはせました。 本当に市内は川が多くて橋だらけだなぁとそんなことを思いました。 今まで原爆については「はだしのゲン」や修学旅行での被爆...続きを読む者の講演など で聞いたくらいの知識しかありませんでした。 黒い雨は当時の日記形式で語られるため(どこまで真実か分かりませんが) リアルに市井の人々の状況を想像することが出来ました。 特に火事が酷い状況で沢山亡くなった方もいたんですね。 確かに当時は木造住宅も多いですしとんでもない熱で熱せられたら 手が負えなくなるのはよく理解できます。 さらに放射能による影響など当時の人は考えてもいなかったでしょうから 原子爆弾というのは本当に非人道的な兵器だと再認識しました。 そして個人的に印象に残ったのは物語の最終版の戦争末期に軍医として 徴兵された方の日記です。 当時の日本軍の内部の壮絶なしごきの描写が非常に怖かったです。 徴兵されていきなり戦争末期までなぜ志願しなかった お前たちはクズだみたいな訓話から始まり人間として扱われない状況に なんか絶望を感じました。 原爆も怖いですが、全体主義的な世の中というのも怖いですね。
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