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「ハナニアラシノタトエモアルゾ/〈サヨナラ〉ダケガ人生ダ」(訳詩「勧酒」)。諧謔と哀愁に満ちた言葉を自在に駆使し、独自の詩世界を切りひらいた井伏鱒二(1898―1993)。「散文が書きたくなくなるとき、厄除けのつもりで」書いたという詩を集めた『厄除け詩集』に、初期の作品を加えた決定版全詩集。解説=東郷克己/穂村弘。
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Posted by ブクログ
無骨で老獪な小説の印象の強い井伏鱒二の詩集はどのようなものかしら、と手にした。 無知で恥ずかしいが、あまりにも有名な「サヨナラダケガ人生ダ」の「勧酒」は井伏の訳だったか。 吐き出されるように書かれた詩は情緒的ではないが、不思議と「詩的」である。
井伏鱒二さんの詩集ですね。 「散文を書きたくなくなるとき、厄除けのつもりで書いた」という『厄除け詩集』に初期の作品を加え、生涯の全詩作70篇を紹介されています。(解説ー東郷克美/穂村弘)。 「ひばりのす」 ひばりのす みつけた まだ誰も知らない あそこだ 水車小屋のわき し...続きを読むんりようしよの赤い屋根がみえる あの麦ばたけだ 小さいたまごが 五つならんでる まだ誰にもいわない 僕はこの詩で君のことを思ひ出した 陸稲のことにも気がついた 君のうちの庭は広かった それが空地利用で麦畠になった あのとき君の唯一の楽しみは いまに雲雀が巣をかけて 卵が宿るといふことだった あの畠に陸稲はどうだらう この稲は農林何号といふ名前か つい迂闊なことに聞きもらした いまは調べる手数を省くとして 仮に荻窪一号とでも呼びたまへ では今年の秋の豊穣を祈ります 「笛の音」 毎日夕方になると 笛の音がきこえて来る へたくそな笛である ピロヒピロヒピピ この音調ではじまつて ピロヒピロヒピピ この音調で終る いつもおきまりの音 どうもこいつが邪魔になる 止してくれと呶鳴りたいが それでは腹を立てるだらう 誰が吹くのかわからない よくもよくも捲きないものだ 今日もまた吹いてゐる ピロピロヒピロヒピピ この音調ではじまつて ピロヒピロヒピピ この音調で終る おきまりの音である 僕は机のごみを吹き払ひ 頬杖をつき 舌打ちをする ピロヒピロヒピピーー 「紙凧のうた」 私の心の大空に まひ狂ふはるかなる紙凧 北風をうけ裏かぜに まひ落ち舞ひ落ちてひるがへる 糸のたわみは畔を越え そこにかしこに 枯枝に吹く。 薄墨色の夢を刻んだ糸忰に たぐる糸のたわみをばゆさぶりつつ 目にたづぬるはるかなる糸凧のむくろ ーーまいあがれ舞ひあがれ 私の心の大空たかく舞ひあがれ 率直で、飾り気がないのんびりした詩情が好ましいですね。 私は、井伏鱒二さんが好きで、たまに読みたくなりますが、詩は初めて読みました。簡潔に自分の思いを文章にしてのける巧みさは、心地よいですね。
有名な「勧酒」と、他の詩も読んでみたくて購入。 のどかでありながら、どこか醒めた感じも受ける詩が多かった。 高校時代に教科書で読んで印象に残っていた「秋夜寄丘二十二員外」が収録されていて、懐かしい気持ちになった。
1937年(昭和12年)。 訳詩が素晴らしい。孟浩然『春暁』を直訳と井伏訳で比較すると(カッコ内が井伏訳)、 春眠暁を覚えず (ハルノネザメノウツツデ聞ケバ) 処々啼鳥を聞く (トリノナクネデ目ガサメマシタ) 夜来風雨の声 (ヨルノアラシニ雨マジリ) 花落つること知んぬ多少ぞ (散ッタ木ノ花イカホ...続きを読むドバカリ) 直訳の格調高さも良いけれども、井伏訳の大らかな自然体も捨てがたい。 そして何と言っても、于武陵『勧酒』の訳の完成度は一頭地を抜いている。いつか自分がこの世に別れを告げる時もこんなふうに飄々と去っていけたらいいな、なんて思ったりする。 君に勧める金屈巵(きんくっし) (コノサカヅキヲ受ケテクレ) 満酌辞するを須(もち)いず (ドウゾナミナミツガシテオクレ) 花発(ひら)けば風雨多く (ハナニアラシノタトヘモアルゾ) 人生 別離足(おお)し ( 「サヨナラ」ダケガ人生ダ)
死んだ後で何といってもらいたいかという石川淳の質問に「詩人」と答えたという逸話を記憶してます。これを読むと詩の方が寿命が長そうな気がします。いいです。岡山出身の内田百間は中世が現代に顔を突き出したという評言(種村季弘の言葉だったか)がありますが広島出身の井伏も同じ気配があります。中国地方の文学風土は...続きを読む江戸戯作を通過してないのかな?
好きな詩 『春暁』『聞雁』『田家春望』『紙凧』『泉』。 特に好きな詩の抜粋 『田家春望』p.56 ウチヲデテミリヤアテドモナイガ 正月キブンガドコニモミエタ トコロガ会ヒタイヒトモナク アサガヤアタリデ大ザケノンダ 『勧酒』p.59 コノサカヅキヲ受ケテクレ ドウゾナミナミツガシテオクレ ハナニア...続きを読むラシノタトヘモアルゾ 「サヨナラ」ダケガ人生ダ 『花に嵐のたとえもあるぞ「サヨナラ」だけが人生だ』は、何度考えても自分なりの解釈が思いつかない。しかし、つい口ずさみたくなるお気に入りの詩。 岩波文庫3/100冊目。次は、『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』を読む。
かの有名な「勧酒」目当てで購入した1冊。 前半から漢詩の訳のあたりまではわくわくしながら読めたけれど 後半は少しだれてしまったような印象。 あまりリズムとか韻にはこだわらずに書かれていたからかな。 散文を書きたくなったときに、厄除けのつもりで書いたとは、よく言ったものです。
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