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南国の海浜の村に新しく赴任してきた甲田巡査は平和を愛する好人物。その甲田巡査の日緑のかたちで綴られた「多甚古村」は、飄々とした著者独特の文体で、ジグザグした人間模様が生彩を放ちつつ展開される。この他、棲家である岩屋の居心地のよさにうっかりと2年間暮らすうち、一生外へ出られなくなってしまった山椒魚の狼狽と悲しみを描いた「山椒魚」など、機智的ユーモアとペーソスに溢れた井伏文学代表作参作品を収録。
Posted by ブクログ 2018年12月03日
「山椒魚」:言わずと知れた井伏鱒二の処女作(大正12年)です。お話自体は有名な小説ですので、あらかたの筋はみなさんご存知かも。2年間を文庫本12ページで読み切る短編です。標準の文法から逸脱しながら、抑制の効いた文章が綴られています。問題はラストの蛙のセリフですよね。色んな読み方ができると思います。私...続きを読む
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