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総監へのレクチャー中、部下の拳銃自殺を知った。柴崎令司は三十代ながら警部であり、警視庁総務部で係長を務めつつ、さらなる出世を望んでいた。だが不祥事の責任を負い、綾瀬署に左遷される。捜査経験のない彼の眼前に現れる様々な事件。泥にまみれながらも柴崎は本庁への復帰を虎視眈々と狙っていた。日本推理作家協会賞受賞作「随監」収録、あなたの胸を揺さぶる警察小説集。
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Posted by ブクログ
警視庁警備部の係長、三十代にして警部とうエリートコースに乗っていた主人公の柴崎令司が、不祥事を理由に綾瀬署に左遷させられる。捜査部門の経験が殆どないままいきなり所轄の総務部門にて奮闘する連作短編集。柴崎令司シリーズの一作目。 出世欲があり本庁への返り咲きを狙う柴崎のキャラは、正直共感しにくいしあまり...続きを読む魅力的ではない。だが、上司である捜査畑出身の助川副署長の元で、捜査のコツや面白さに気づいていく成長物語の様相がなかなか面白い。連作短編という形式のなので、柴崎は様々な事件に関わることで経験を積んでいく流れである。 本作の一編である『随監』は日本推理作家協会賞短編部門受賞作。
警視庁総務部から所轄の警務係に左遷された柴崎。事務方の彼が現場に直面し、「何故自分が」と内心悔しい思いをしながらも細かく捜査をしていくのは持って生まれた真面目さなのでしょうか。
警視庁総務部に勤めるエリート警官の柴崎は、部下の拳銃自殺という不祥事の詰め腹を切らされ左遷される。虎視眈々と復権を狙う彼だが、所轄での経験を経て徐々に「警察官」へと変貌していく…。警察の内幕を描きながら事件の謎解きも楽しめる。横山秀夫を彷彿させる良本。今まであまり縁のなかった作者さんだが何冊か読んで...続きを読むみたい。
総監へのレクチャー中、部下の拳銃自殺を知った。柴崎令司は三十代ながら警部であり、警視庁総務部で係長を務めつつ、さらなる出世を望んでいた。だが不祥事の責任を負い、綾瀬署に左遷される。捜査経験のない彼の眼前に現れる様々な事件。泥にまみれながらも柴崎は本庁への復帰を虎視眈々と狙っていた。
よくある警察小説だろうと思って大して期待せず読んだけどすごくよかった。後から知ったが著者は鬼子母神を書いた人らしく、なるほどねーと納得。無骨だけど丁寧な描写で静かな怖さに趣のあるあの小説の人かー納得ーと。 本作は何がいいって主人公がクソ野郎で保身のことや自分の地位を損ねた男を貶めることしか考えていな...続きを読むいのがいい。そして、著者の筆致は誰のこともえこひいきせず、公平に人間の汚さやどうしようもなさを描いている。そして、そんな人間がときに素晴らしいことを成し遂げるという希望があることも、大樹の幹みたいにごつごつとした文体で、さりげなく匂わせる。さりげないのがよい。誰も内心で正義を実現しようなんて思っていないのがよい。正義はあくまで結果として偶々実現されるにすぎないのだ。クール!他の作品も読みたくなった。ミステリの短編集で久々のヒット。しょうもないやつばっか読まされた自分に短編の神が微笑んだ。
警視庁総務部のエリート、柴崎は、不祥事の責任を負い、所轄の綾瀬署に異動させられる。 綾瀬署での様々な事件の中で、果たして、本庁に異動できるのか。 警察官を主役にした短編ミステリー集。
初読の作家さん。外向きではなく警察内部の話。派手な事件や殺人がないのにかなり面白く読めた。柴崎さん、どこかのシリーズのあの方の様に、管理職に収まっているより断然現場で活躍するタイプとお見受けいたします!個人的には助川さんのファンになりました。シリーズものらしいので、次も読まなくちゃ。
これを読んではっと思ったのは、管理部門とかだと警察の人でも捜査とかに関わらないんですね。警視庁の人なんて言われたらそういう事にみんな1回位関わっていると勘違いしそうです。エリートだったのに左遷でそういう部署に飛ばされたら、周りからは使えない奴めなんて言われて悔しい思いしてしまうのでしょう。どんな業種...続きを読むでも現場と事務職の軋轢っていうのはありますですね。 この主人公正義の味方でも悪党でもなく、ひたすら組織の中でもがいて自分の立ち位置を模索する様が何とも人間的で、僕的にはかなり良い作品だと思いました。 主人公が自分を陥れた同僚上司たちに一矢報いようと、正規の方法では無く弱みを握ろうと画策しますが、現場の空気を吸う事によって、次第に考え方が変わっていく描き方も自然で違和感なく読めました。 警察も人間の集まりだし、これ以上無い位に部署ごとの軋轢や思惑にまみれているだろうし、警察組織の内部事情と絡み合って色々なものが置き去りになって行くんだろうなとしみじみと思う本でした。
何とも、変わったキャラクターの、短編連作警察小説であることか。 何しろ、現場が嫌、事務部門が好き、という警察官が主人公なのだから。 バリバリのエリートだった主人公は、陰謀により所轄に移動させられる。そこでは、否応なしに事件に遭遇し、いやいやながら捜査に携わっていく。 今後、刑事魂に目覚め、活躍するの...続きを読むか、あるいはまた、本人が望む本庁の職場に復帰できるのか、次回作以降が楽しみ。
掲題の短編から、意表を突くような、 引き込まれる展開になっているが、 その後も主軸はありつつ、進んでゆく。 綾瀬署に異動してからも、周囲のサポートを得つつ、 捜査とは違うのだろうが、そういう能力を身につけてゆく。 ただ、あまりにも自然にできすぎて、 そこに違和感を抱かざるをえない。
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