Posted by ブクログ
2009年10月04日
児童虐待・・何とも傷ましい事件がテーマとなるこの小説。
心を病んでいる母親のダークな描写に、何とも「どんより感」が漂っている。
しかし主人公である保健婦:工藤公恵も、清廉潔白なわけではない。
スーパーで万引きするし、自分の娘も虐待している・・・
タイトルである「鬼子母神」は、母でありなが...続きを読むら他人の子を捕えて食べてしまうため、釈迦は彼女が最も愛していた末子・愛好を隠して子を失う母親の苦しみを悟らせ、仏教に帰依させたという。
このような鬼の面と菩薩の面の二面性を持った神(鬼子母神)が、工藤公恵と似ているところがあるという意味なのだろうか。
断っておくが、エンディングはハッピーエンドではない。
だからこそ「世の中には、こういう人もいるんだろうなあ・・」と、かえってリアリティがある。
名作とは言えないホラー小説だけど、何だか癖になりそうな感じ。