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Posted by ブクログ
ここは私たちのいない場所
後書きまで読んで、この物語が分かった気がしました。フッと湧いたように仕事を無くして、それ以後、何か中途で止まったままで何処へ向かうのか?どう決めようか何も思いが浮かんでこなかった。
これまで仕事が第一優先として生きてきた。ずっと立ち止まらせてきた人生を見つめ直して、自分の為の新しい一歩を何方へ向けて踏み出そうか、ずっと持ち合わせていなかった選択権をどう使おうかと逡巡しているような印象を読んでいてずっと感じていました。
最愛の者であっても違っても、見知った誰かを喪失したその時、なにか自身を振り返る瞬間があって、それが起因にこれまで観ていた景色の色あいが少しずつ変化して行くような…その変化を感じていた。
ちょっとした気まぐれから起こった気持ちの変化は、それまで自分を縛り付けてきたロープが自然と緩み解けてしまっていた。まだ自分では理解出来ていないかもしれないが、心の傷の再生が始まっている…そんな気持ちにさせる優しい物語だった。
Posted by ブクログ
「人は親にならない限りずっと子供。子供を持たない人は、最後までずっと子供でいようとしている人」
刺される。否定できない。少なくとも「子供を持つ努力をしない人」と「子供を持ちたくないと強く思っている人」に限定して当てはまるものだとは思うけど。
そしてさらに「親友のお葬式に出られないことを悔やむ感情もない」。
これは主人公と自分が重なって、冷たい種類の人間であることを痛感した。
でも存実はそれを客観的に気付いているし、珠美の存在によりこれから変わっていくのであろう良い未来が想像できる終わり方でした。※それにしても突然の終わり方で驚く。ページを探して二度見。
Posted by ブクログ
短編だけれども白石一文がぎゅっと詰め込まれた再生の物語だなと思った。
解説で、パートナーを亡くした編集者の方(中瀬ゆかりさん)へ贈ったものだと知って納得。
とても優しくて包み込むような文章だったから。彼の作品はどれも優しい物語なのだけれど、文章からそれを感じることはあまりなかったから。
物語の終盤、芹澤と珠美は明らかに救われ、再生されるのだけれど、では何から救われたのか、については明確ではない。(出来事としてはあのことがかっかけでそれは明確に描写されているけれど、そのことが2人の心に明確なダメージを与えたとは思えなかった)
人は日々、傷付き、恐れ、挫け、そして日々、癒されてゆく。
芹澤と珠美がゆるやかに再生していく心地よい物語を背景に、白石一文が中瀬ゆかりさんへのメッセージを伝える構造になっているのかなと思う。
香代子の思い出の曲の話や、生と死の話、子どもがいる世界・いない世界の話。
Posted by ブクログ
死ぬことについての哲学のような本。
人が死ぬこと、または、自分が死んだ後の世界。
それは恐れることも悲しむ必要もないのではないか。
人の死とその人の不在が同じ意味を持つとしたら、、、。
長いこと会っていない親友の死。
知らされる前は、彼は存在する世界なのである。
たとえ、彼がもうこの世の中にいないにしても。
また本筋とは少し異なるが
主人公とかつての部下との付かず離れずの距離間が
たまらなく私は好きだ。
また子供を持つ持たないという価値観に触れる部分もすごく気に入っている。
中瀬ゆかりのあとがきも含め、
本書を包む穏やかな空気感も良き。
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