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Posted by ブクログ
恩田陸さんの名前で選んだ短編集。私は長編に悪い人が出てこないところが多分好きなのだが、こちらは意外に「悪そうな人」とか素性のわからない人」がわんさか出てきて意外だった。
どっちかというと学園もののドロドロした感じ、理不尽なルール、子供時代の自分の自由にならないのに閉じ込められている無力感(←三宅香帆さんのいうところの昔の学園ものっぽい?)が多い作品群だった。それはそれで面白く、どっちかというと昔よく読んだ小川洋子さんを思い出した。どの作品も結末が気になって一気に読んでしまった。
一番好きなのは睡蓮かなあ。この兄妹の関係は?大きい女(男?)は何者?と謎が謎のまま。でも「春よこい」もよかった。結局2人の運命は?「いま」はどこ?とこれまたモヤの中に桜の咲きそうな、まだ寒い季節の学校の風景が見えるようだった。
Posted by ブクログ
『ノスタルジア』では、しっかり涙が溢れました。
僕にとって“懐かしさ”とは。読み終えた今日は10月19日で、僕の中で10月といえば、かつてはハゼ釣りの時期だった。以前は…震災の前は、毎年この季節になると、お気に入りだった漁港で釣り糸を垂れたものです。秋雨前線が解消して、いわゆる秋晴れの、端切れのような雲が並んだ空を見上げては、当時の空気感が、まさしく昨日のことのように思い出されるものの、お気に入りだった漁港の岸壁が、震災以降は釣り禁止になってしまったことが惜しくて惜しくてたまらない。当時とは何もかも変わってしまったけれど“懐かしい”と思うことができる何事かが、今でも僕の中に残っている、確かに、あのとき体験した空気感が実際に存在していたという事実が。僕自身が、自ら体験したことは、時の作用で“懐かしさ”に変化した。体験しなければ、その事実が存在していなかったら“懐かしさ”は生まれない。その事実の存在が、すでに消えてしまっていても、むしろ消えてしまっているからこその“懐かしさ”とは、つまりそういうことなのだなあ、と思い至ることができた。
恩田陸さんの物語としては、硬質な印象の一冊だった。すべての短編に読者としての手ごたえを感じた。
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