三月は深き紅の淵を

三月は深き紅の淵を

小説・文芸
880円 (税込)

4pt

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鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に2泊3日の招待を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、10年以上探しても見つからない稀覯本(きこうぼん)「三月は深き紅の淵を」の話。たった1人にたった1晩だけ貸すことが許された本をめぐる珠玉のミステリー。

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三月は深き紅の淵を のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    1冊の本にまつわる4つのお話。
    どれもつながっているようでつながっていないような、とらえどころのない不思議な感じがしました。
    特に4章では場面が様々に入れ替わり、あれ?これは…?となりながらも続きが気になりさくさくと読み進めることができました。
    中でも理瀬パートはいきなり面白く、この先のシリーズが気になっています。
    とてもおもしろかったです!

    0
    2026年07月23日

    Posted by ブクログ

    後世に語り継がれる、本当に面白い至高の一冊と言われて、どんな本が思い浮かぶでしょうか。

    まだこの本を読んでいないあなた。幸運です。もしかしたらそんな本が見つかるかもしれません。見つからないかもしれませんが。

    人に紹介するならきっとこんな言葉になるのだろうか。読んだ後でないと味わえない不思議な感覚に陥るお話でした。

    0
    2026年03月11日

    購入済み

    同作者の中で一番好きなのがこれ。
    厳密には、特に2章が素晴らしい。

    登場人物二人の、編集者としてのスタンスや
    仕事への取組み、物語に対するちょっと過剰な
    までの思い入れ、こういったものがギュッと
    つまっているシーンがとても好きだ。

    0
    2019年11月20日

    Posted by ブクログ

    思いのほか展開が目まぐるしく、情報量が多いというか。
    第一話で、ああ、こういう展開ね、ってちょっと緩めのイメージを持ったところから、3話なんて随分と重たげな話になって、最終話ではもう訳分からんけど、途中で誰かが言ってたみたいに傑作じゃないけど妙に印象に残る話なんよなぁ。って狙い通りじゃん。
    自分的には3話の感じは暗くて好きなんだけどね。てか1話以外はけっこう暗いな。そして暗いと言えば日本海、島根かー、というこの偏見を持つ自分もまた堪らん。

    0
    2026年09月30日

    Posted by ブクログ

    謎が解けない系のミステリーでした。
    本は色んな世界線に存在していて、4つの世界線の話だったのかな?と。でもこれだと普通過ぎる考察なので……実はあの本は恩田陸が昔執筆した本なのか…という考察はどうでしょうか。
    .
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    『彼等が大事に部屋に飾ってあるどの人形も、顔は目が大きくて幼女なのに、身体はやけにグラマラスで嫌らしいわけ。なんか悲しくなっちゃいましたよ。顔はあどけなくて、幼女のように素直で口答えしなくて、でも身体は大人っていうのは古くからの日本男性の悲願みたいなもんでしょ?』
    .
    『いいものを読むことは書くことよ。うんといい小説を読むとね、行間の奥の方に、自分がいつか書くはずのもう一つの小説が見えるような気がすることってない?』
    .
    『ワープロは不思議な機械だ。ワープロに向かっていると、思ってもいないことを書いてしまう。ぼんやりした陰でしかなかったものが、やたらとくっきりした形になってしまう。ワープロは嘘をつくのである。ワープロは、そういう意味では虚構にふさわしい。』
    .
    『飛行機というのは、人間の叡智と神の領域との狭間にあるのではないだろうか。なんとなく、人間の領域を1歩はみだしているところがあるような気がして、乗るのが恐ろしいのだ。』
    .
    『彼女は幼い頃から世界というものに対して漠然とした郷愁を抱いていた。郷愁という言葉が誤解を招くのならば、世界というものがぐるぐると大きな円を書いて、時間的にも空間的にも循環しているという感触である。』
    .
    『恐らく、人類には何種類もの物語がインプットされているのだろう。インプットされた物語と一致すると、ビンゴ(!)状態となる。なぜ?フィクションを求めるのは、人間の第四の欲望かもしれない。』

    0
    2026年09月27日

    Posted by ブクログ

    なぜ人々が説明できずに忘れ去ったような感情をサラッと表現できるのか...

    浮遊感に酔っていたら核心をつくような示唆があってドキドキする。

    とにかく自分は第三章が好みすぎた。

    0
    2026年09月20日

    Posted by ブクログ

    先日出雲・松江を旅行し出雲大社や小泉八雲記念館などを周った。そういえばこのあたりが出てくる好きな作品があったなと、ふと思い出したのが本書。

    前回読んでから10年以上、初めて読んでからも25年以上たっているが、私の読書人生と読書趣味のなかに色濃く影響を残し続けてる作品だ。4話の中編からなる本書は、「三月は深き紅の淵を」というタイトルの謎の小説を巡る話。

    その本は、著者も内容も謎で、自費出版で僅かな冊数が出版され配布されたがのちに謎の男に回収されてしまい、いまは世の中に流通していない。なんともそそられるこの設定と、入れ子式の物語構成と、登場人物たちのおしゃべりや食事がとても魅力的なのだ。

    1話目では、若い男が金持ちの老人の館に招かれ2泊3日の休暇を過ごす間に、館の何処かに埋もれているというその本を探す。合間合間に出てくる老人たちの談義と食事が何とも楽しそう。

    2話目は、女性編集者2名が寝台列車に乗って出雲を目指し、その本の著者であろう人を尋ねようという話。寝台列車でワクワク遠足気分からの、地方×真夏×じわりと忍び寄る謎の真相、の不穏さがいい。

    3話目は、女子高生の家庭教師をしていた女性が、その女子高生が亡くなった事故もしくは事件の真相を明らかにし、いつか三月は紅の淵をという小説を書こうとする話。一番まとまりがよく別の作品のようなテイストでもある。

    4話目は、ある小説家がまさにその本を書こうと執筆に試行錯誤する話。執筆中の作家の頭の中をのぞいているようなカオスで断片的な文章のまにまに覗く、物語の生まれる瞬間たち。

    そして全ての作品のなかに、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が、謎めいた空気を醸し出すモチーフとして登場する。小泉八雲にこのような役割を負わせるセンス、好きだ。

    どの話もおもしろいのだが、恩田陸ファンは別の楽しみ方もできる仕掛けになっている。物語のなかの人物たちが語る様々な小説作品、架空かと思いきや、その後恩田陸が発表する作品たちなのだ。黒と茶の幻想や、麦の海に沈む果実や、ロミオとロミオは永遠にや、おそらく、夜の底の柔らかな幻など…。

    それらの作品が生まれる前に、本書のなかで未来の作品たちの断片が語られているのだ。恩田陸をほぼ出版順に追いかけてきた自分としては、作品を超え時空を超えワクワクを何度も本書で味あわせてもらった。数年に一度読み返すと、当時読んでいたときは気づかなかったあの作品の兆しがすでにここにあったのか…!なんて楽しみ方もできる。何重にもおいしい、いぶし銀な作品である。

    0
    2026年04月18日

    Posted by ブクログ

    《そう、自分もその過程に加わったに過ぎないのだ。物語が形成されていく過程に。》p.207。
    《誰かに見られている。》p.360。
    《この書き出しは、どうだろう?》p.431。

    >第一章、ミッションは超巨大な屋敷から一冊の謎の本『三月は深き紅の淵を』を探せ!!
    >第二章、出雲に向かう二人の女編集者はそれぞれ『三月』を読んでおり、その著者は誰であるかディスカッションする。
    >第三章、一緒に崖から落ちて死んだ二人の美少女の関係は人によって印象が異なっていた。二人の死は事故か自殺が殺人か。
    >第四章、この本を書こうとしている女性作家の話と、謎の学園に放り込まれた理瀬の話。
    >枠の外側と内側の境界がしだいに曖昧になっていくような、最近わりとありがちなタイプかもしれないけれど、言葉の魅力で月並みではなくなってる。

    ■理瀬についての簡単な単語集

    【彰彦】室田利枝子と旅(安楽椅子探偵紀行)をしていた?
    【圷比呂央:あくつ・ひろお】金子さんちを建てた建築家。故人。極度の活字中毒。特に推理小説が好きだったらしい。全ての金を本に費やしたということだが、その割に超巨大な屋敷(今は金子さんち)を持っていた。ダイイング・メッセージとして「ザクロの実」という語を残した。それが広い館のなかにあるとある本へのヒントになるらしい。
    【アングラ】水越《今はアングラというものがなくなってしまった。》三月はp.34
    【一色】金子さんちのお客さん。ひょろ長い男。大学教授。英国文学。教え子だったNという学生から本を借りた。
    【稲垣史朗】篠田美佐緒と林祥子の実父。
    【江藤朱音:えとう・あかね】編集者。堂垣隆子とは同僚ではない。キャラクタで作家を摑む。酒は別腹という飲んべえ。自己表現の手段として物語を書いてますという作家は嫌い。
    【海老沢】鮫島巧一が勤める会社の秘書課の人。
    【おたく】金子さんちに呼ばれた誰かによるとおたくというのはマスターベーションでありそれを互いに見せ合おうとしてるところが気持ち悪いらしい。
    【女】水越《女はフィリップ・マーロウになった気持ちでハードボイルドを書こうなんて絶対に思わないわよ。ジゴロやチンピラの気持ちで女を見てみたいと思うことはあってもね》三月はp.64
    【金子慎平】鮫島巧一が勤める会社の会長さん。読書好きの社員を呼んでだますのが趣味らしい? 超巨大な屋敷の持ち主。
    【鴨志田】金子さんちのお客さん。巨大な男。銀座の天ぷら屋の三男坊で料理人。
    【神崎】篠田美佐緒と付き合うことになった男子高校生。そのために廣田啓輔はフラれた。金持ちのお坊ちゃんできれいな顔をしており男子生徒からはバカにされ気味だが、性格はよく努力家。
    【小泉】謎の男。『三月は深き紅の淵を』の関わるところに出没する? いつもなんとなく焦っている。
    【斉藤玄一郎】文芸評論家。堂垣が考える『三月は深き紅の淵を』の著者候補の一人。
    【佐伯嗣瑛:さえき・しえい】純文学の大家。堂垣が考える『三月は深き紅の淵を』の著者候補の一人。雰囲気的にはモデルというかイメージは福永武彦さんあたりで。ミステリ好きやし柳川やし。
    【烏山響一】画家。江藤朱音が嫌いな「畏れ」という絵を描いた。
    【ザクロ】『三月は深き紅の淵を』でキーワードになっているらしい語。
    【鮫島巧一】会長の家に呼ばれて困惑しているサラリーマン。
    【三月は深き紅の淵を】謎の本の書名。昔、圷比呂央が友人の金子さんに貸したことのある本。著名な作家が匿名で書いたという噂の、異なる作品をモザイクのように散りばめた、ミステリと言えなくもないような作品らしい。他者への譲渡は不可、たった一人に一晩だけ貸すのは可。鮫島が金子に呼ばれたのはその本を探すゲームに参加させるため。一部屋ずつ虫干しするとかいう無粋な方法は不可なんだとか。全ての金を本に費やしたという圷比呂央が超巨大な屋敷を持っていたというのはちょっと怪しい気もするのでどこまで本当か不明。第一部の題名は「黒と茶の幻想」てサブタイトルは「風の話」。第二部は「冬の湖」サブタイトルは「夜の話」。第三部は「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、サブタイトルは「血の話」。第四部は「鳩笛」、サブタイトルは「時の話」。
    【篠田美佐緒】高台の公園の展望台から林祥子とともに落ちて死亡した公立高校二年生。母子家庭で母親は大学教授で地質学者。林祥子とは異母姉妹。一冊の小説を書くのが夢。四部作構成で読んだ人が情けなくなって死んでしまうような本。
    【性別】水越《作品を読むという次元で見れば、作者の性別なんて関係ないはずなのに、やっぱり本を読む時、どこかで作者の性を気にしている。意識されていないようでいて、実は作者の性別というのは重大な問題なのよね》三月はp.67
    【堂垣隆子】編集者。江藤朱音とは同僚ではない。ビジネスライクなタイプ。
    【野上奈央子】篠田美佐緒の親戚? 大学を卒業し、出版社の編集者になる予定。
    【ノスタルジア】《彼女にとって、重要な、極めて個人的なテーマはずぼり、『ノスタルジア』である。あらゆる意味での懐かしさ。それは心地好く切ないものであると同時に、同じくらいの忌まわしさにも満ちている。》p.343。
    【早坂詠子:はやさか・えいこ】篠田美佐緒の美術部での後輩。野上奈央子と知り合う。
    【林祥子】高台の公園の展望台から篠田美佐緒とともに落ちて死亡した私立のお嬢様高校、志村女子高の二年生。篠田美佐緒とは異母姉妹。一年生のとき廣田啓輔とつきあったことがある。
    【白夜】堂垣隆子の父が学生時代に参加していた同人誌。その中に『三月は深き紅の淵を』の著者がいるのではないかと堂垣は考えた。候補は作風から、自分の父と、佐伯嗣瑛(さえき・しえい)、両角満生(もろずみ・みつお)、斉藤玄一郎の四人に絞った。父以外はプロの作家になっているようだ。
    【聖】理瀬と同じファミリーのメンバー。
    【評論】江藤朱音《評論というのは実は完璧な創造なんだけどね。》三月はp.158。それは僕もずっとそう考えてました。評論家って、結局自分のこと書いてるんやから私小説みたいなもんやなあと。
    【廣田啓輔】篠田美佐緒と付き合っていたらしい男子高校生。美佐緒が神崎啓輔に鞍替えしフラれたらしい。林祥子とも付き合っていたらしい。吉田秋生さんの『カリフォルニア物語』のヒースをイメージした。
    【ファミリー】理瀬の属するファミリーは理瀬を入れて七人。本当は十二人必要だが余った者を集めただけなので半端になっている。理瀬と同じファミリーのメンバーは五年生の光湖、最年長で数字に強いの聖、茶目っ気たっぷりでいとこ同士の俊市と薫、大柄でがっしりしていて豪放磊落な寛、ストレートな黎二。
    【穗積槙子】林祥子は篠田美佐緒に殺されたと考えている女子高生。
    【水越】金子さんちの女性のお客さん。ボクっ娘小説は嫌い。実家はホテル経営。
    【水野理瀬】→理瀬
    【光湖:みつこ】理瀬と同じファミリーのメンバー。
    【室田利枝子】旅(安楽椅子探偵紀行)をしていた?
    【森】《森の中には、生者と死者が混在している。》p.430。
    【両角満生:もろずみ・みつお】作家。アクの強い、耽美的な作風。堂垣が考える『三月は深き紅の淵を』の著者候補の一人。
    【役立たず】鴨志田の相棒。大きな白い犬。
    【屋敷】金子さんの超巨大な家。四つの巨大な屋敷林を囲んでいる。鮫島くんが行ったのは冬の家。
    【憂理:ゆうり】理瀬のルームメイト。四年生。
    【理瀬】水野理瀬。とある学院に来てただの理瀬になった。
    【麗子】理瀬と同じ学院の生徒。行方不明にならなければ同じファミリーになった。
    【黎二:れいじ】理瀬と同じファミリーのメンバー。
    【ワープロ】《ワープロは嘘をつくのである。ワープロは、そういう意味では虚構にふさわしい。》三月はp.337

    0
    2026年03月02日

    Posted by ブクログ

    これが本当に不思議な話なのだ。
    一冊のミステリー、それを巡る話なのだがこの本に関わった人々、その全員を巡る視点が実に魅力的だ。
    全く知らない話なのに、どこか郷愁を感じさせる恩田の文体とマッチしている。そう、「あれ? 自分はひょっとしたら人生のどこかでこの物語に触れているのではないか?」そんな風に思わせる力がある。もちろん、そんな物語があるかどうかもわからないのに。
    安易な謎解きがセットになっていないのもいい。意地悪で、そのくせ懐かしい。ひと癖もふた癖もある迷路のような小説だ。

    0
    2026年02月05日

    Posted by ブクログ

    難しかった!特に第四章。作者の思考をそのまま小説にしているような話だった。
    四章すべて繋がっているようでいないような不思議な感覚がした。この小説が本当に第一章で語られている稀覯本『三月は深き紅の淵を』の評価、構成になっているのがおもしろい。
    第三章がお気に入り。第一章も好事家たちの勢いがすごくて結構すき。

    0
    2025年12月26日

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