無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
お手本のようなSFモダンホラーだ。間違いない。未読の方は幸せだ。情報など欠片も仕入れずにこの本を手に取り、頁を開け。夢か現かわからない悪夢にうなされる事は間違いない。保証する。
20年振りに再読してもなお、本書は新鮮だ。奇妙な出来事に直面した登場人物たち、彼らが追っていく事件の一つ一つ、そして明らかになっていく真実と事件の姿……この様に静かに悲鳴をあげたくなった。大口を開けて悲鳴をあげるのではない。息を押し殺して心の中で叫ぶのだ。このねっとりとした、まとわりつくような恐怖は詩的で、郷愁を誘い、魅力的だからタチが悪い。一度取り込まれたら最期だ。もう引き返せない。
Posted by ブクログ
●所感
2025年、最も、考えさせられる小説かもしれません。
いや、小説という括りが適当ではない書籍といえるかもしれません。
感想は後日改めます。
簡単には、書けないからです。
------------
●2025年12月記録 感想
1.世界観
『月の裏側』は、私たちを日常の裏側に潜む不確かな世界へと誘い込む、冷たくも美しい傑作です。
物語の根幹を成す不可解な現象――人が唐突に失踪し、しばらく後に記憶を失ったまま戻ってくるという出来事と、街の至るところに溢れる水源という異様な設定から生まれています。
2.テーマ
この小説が提示するのは、「見えているものの本来の姿は何なのか?」という、哲学的な問いかけです。
物語の舞台となる街は、失踪と水源という二つの「異界の兆候」を抱えながら、あたかも何も起こらなかったかのように日常を営んでいます。
この不気味な状況は、私たちが生きる「自分」という存在の基盤を揺るがします。
それは、私たちは、生きているが、「どこまでが己なのか?」「肉体と精神の境界は何なのか?」という根源的な問いです。
3.得体の知れない怖さ
記憶を失って帰還した者たちの姿を通して鮮烈に突きつけられます。
それは、自分の肉体が知らない時間を過ごし、精神が空白を抱える状況に、、、です。
私たちが「私」だと認識しているアイデンティティは、いかに脆く、曖昧な境界の上に成り立っているのかを痛感させられるのです。
4.恩田陸さん
日常の隙間から滑り込む「月の裏側」のような異世界を、恩田陸さんは圧倒的な想像力と創造力で具現化しています。
あり得ないはずの現象を、あたかも現実であるかのように描写する筆致に、ただただ圧倒されました。
この作品を読み終えて痛感したのは、AIが論理的な「物語」を構築できても、恩田さんのような作家が作り出す、読み手の存在そのものを問い直す「作品」は生み出せないのではないか? というものでした。
以上
------------
●2025年11月内容
このレビューでは、なぜそのように考えたのか?
そのきっかけの原文を転記しておきます。
なお、□は、私側で勝手につけた分類である。
------------
●お願い
もしも、どれか一つでも、皆様の心を捉えるならば、ぜひご一読をお願いしたい
------------
『月の裏側』は、生物史であり、人類史であり、哲学であり、そしてそれらの上でのミステリーであるのかもしれない。
-----以下は原文-----
□男のひと、女のひと
「男はさ、たまにバラバラな奴もいるけど、だいたい同じ方向向いた矢印がいっぱいぶら下がってるんだよ。
でも、女の子って、向きの違う矢印がいっぱいぶら下がってるのね。
だから、男は自分の矢印と女の子の矢印の向きを合わせようとするんだけど、女の子の矢印は全部方向が同じわけじゃないから、いつのまにか他の矢印と正面衝突したり立体交差になっちゃてたりする」
------------
□人類
「なあんで、こんなに複雑な生き物になったのかなあ、人間って。僕らのサブカルチャーなんて、人類の進歩には全く貢献してないよねえ。人間って無駄なことばかりする方向に向かってるけど、これも何か戦略と関係あるのかなあ」
------------
□進化
「この一世紀、人間はどんどん身体を使わない方向に向かってますよね!!乗り物が発達して足を使わない。道具が発達して手も使わない。首から上ばかりを使う。話す、聞く、読む。
つまり、目に見えない部分、言い換えれば『意識』をどんどん発達させて、イメージを広げて頭の中のものを目に見えるようにしたいと思っているわけです。これがさらに進んでいくと、テレパシーに近い状態になっていく。意識だけで他人と交信する。」
------------
□共同体
『ひとつ』になりたいという誘惑だ。宗教も、家族も、社会も、我々の「ひとつ』になりたいという誘惑が生み出した形式なのではないかと思うことがある。なぜなら、個々に自分の戦略を探るのは大変なストレスが伴うが、「ひとつ』になるのは楽だし何も考えずに済むからだ。
------------
□同化、多様性
我々は無意識のうちに他者と同化することを避け、恐れてきた。なぜならば、多様性こそが我々の生物としての戦略だからだ。
------------
□日常への観察と認識
みんながどっぷり平凡な日常に浸っていて変化に気付かない。または、頭から変化を否定して気付かないふりをしている。
------------
□生命の歴史
人間が意識を獲得し、社会を作り、倫理や哲学を確立して自らの行く末を模索してきた歳月も、生命というもの自体の巨大で冷徹な流れには何の関係もない。
Posted by ブクログ
あらすじを読まずに表紙買いしたので、あれあれ……と思ううちにホラーになって、思わず笑ってしまいました。詩的な表現の多い作家さんだというイメージだったので、序盤で、この不穏な感じがだらだら続いていくのかな?とのんびり歩くような気持ちで読んでいたら、三分の一くらい読んだ辺りからSFホラー……それも、段々と何かが人間に入れ替わるという、どっかで見たSFホラーに。個人的には大好物なので、『面白くなってきたあ!』と駆け足になり、最後は全速力で走る気持ちで読み切りました。ホラーとは言いましたが、中盤以降は洋画的な、動きのある展開が多く、SFとか洋画とか好きなら笑いながら読めるかも。
むしろ、ストーリーよりも、登場人物の語る「生命の戦略」についての話のほうが刺さりました。「私って、なんでこうなんだろう……」に対しての力強いアンサーにも感じてしまいます。一つになれば平和になるし楽になるだろうけど、やっぱり私は他の人と同じにはなりたくないかなあ……。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。