Posted by ブクログ
2019年04月24日
初読みの作家さん。
なんとなく読んでみたが、とても良かった。
裏表紙の説明は、俗っぽく気を引きそうな部分を抜き書きしているが、この作品の読みどころは他にもたくさんある。
エロスと生活感と心理描写とホラー、ファンタジー…その辺のバランスが、私個人的には丁度いいと感じる。
「主婦病」というタイトルの短...続きを読む編が収録されているわけではない。
“病”ってなんだろう。
「みんなどこかおかしいんだから、おかしくなんかないわ」登場人物のセリフ。
そういう人たちの、人には言えない思いが描かれている。
夫たちは皆、経営者だったり、公務員だったりして、妻たちは全く収入に困っていないのが共通点。
けれど、お金以外の悩みを抱えている。
少女達の、あきらめや物分かりの良さも悲しかったり、逆に、生き抜くための大人へのおもねりが切なかったりもする。
そして、一番気になる、どんどん気になって…各作品をつなげているのが、“金髪の青年”
染めている金髪に抱く印象も人それぞれ。
『眠る無花果』
無花果は花が咲かないのではなく、果実の中に咲く。
見せたくないものは隠す。
『まばたきがスイッチ』
目を閉じれば現実は遠ざかる。
『さざなみを抱く』
それは隠しておいてほしかった一言。
悪あがきだったのか…彼女の努力と虚無感。
『森と蜜』
骨よりは肉。「眠る無花果」と繋がっている。
『まだ宵の口』
朝の4時から7時まで、団子屋でパートする、子供の出来ない主婦。
『月影の背中』
ああ、そうだったのか…とある意味繋がる。
彼女の願いが叶う時は来るのだろうか。