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キスをして抱きしめられ、初めて普通の状態になれたあの頃。今の私は年下の彼に、昔の自分を重ねてしまう(「試着室」)。私の性を抑圧し続けてきた、私に対して1ミリも動かなくなった彼の性器に、今、私は復讐をした(「ポラロイド」)。他の男と寝て、気づく。私はただ唯一夫と愛し合いたかった(「献身」)。幸福も不幸も与え、男と女を変え得る愛と結婚の、後先を巡る六つの短篇。
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Posted by ブクログ
「青山」が一番好き。 だいたいの物語、好きではなかった。 登場人物も、ストーリーも。 それでも、評価は高めなのは、文体が好きだった。 金原ひとみさんが好きになった。 素直な文章。それによって、想像しやすい=面白くなる。 絶妙な感情をストレートに書いてある。 好き。
初金原ひとみ作品。 どれも主人公の内面を強いタッチで書いているため大変見応えがあって面白かった。 個人的には「仮装」と「婚前」が好き。
結婚を踏まえた人間関係を題材にした作品。どれも気持ちを持て余した人たちが出てくる。考えさせれる興味深い作品群だった。
”男とは一体何なのだろう。そして女とは一体何なのだろう。私にとって男とは、気分によって着たり着なかったりする、服のようなものなのだろうか。裸でいるのが恥ずかしいから着ているだけなのだろうか。そしてその服は、かっこ良かったり可愛かったりすればいいという、それだけのものなのだろうか。そんなはずはない、私...続きを読むは全身を焦がして愛している。強烈に愛している。でもその愛の行方が分からない。自分が、身をたぎる愛が、どこへ向かっているのか分からない。”
帯のキャッチがとにかくまっすぐ。 『あなたとしたい、という欲望。』 『こうした結末を残酷と思うだろうか。結婚をしても、子どもを持っても、人はどうしようもなく一人なのだ。』 結婚というものの見つめ方がとても大人で、好きな分類の短編小説だった。 特に、仮装、はとても切なかった。
愛と性、結婚と離婚など男女の関係について考えさせられる内容だった。 本書の6つの短編はどれもどことなく不安定で儚さが感じられる。ちょっとしたきっかけで全てがガラガラと崩れてしまいそうなギリギリのバランスで保たれている。 もっと現実は違うという気持ちとこんな感じでいつも不安定なのかもしれないと自分の...続きを読む気持ちも複雑であることを改めて思う。 『献身』にあった「今私は自分が、自分自身に固く拘束されていて、でも途方もなく自由だと感じる」のフレーズにはなぜか非常に納得できるものがあった。 本書の中では『仮装』が一番好きな話だった。子供を愛する気持ちと子育ての苦労から解放されたい気持ちとのバランス、そしてどっちも大事でどっちかに偏ったら何かを失う複雑な状況が悲しかった。 本書では、男女関係における生きにくさに強く共感できるからこそ、もっと割り切れて楽な世の中だったらいいのにと感じずにはいられなかった。
金原ひとみの作品は好きでよく読むけれど、短編集はあまり読んで来なかった。 サクサク読めて一日足らずで読んでしまった。 試着室、が1番好きだった。 どれもどこか不穏で自分の醜さも人の醜さも直視しなければならないような作品たちだと思った。
素直な作品だった。 どんな立場でもずっと一人なのに、一人で生きていられる人間でありたいと思う混沌について考えた。
金原ひとみさんの小説は定期的に読みたくなる。何故か? そこには嘘の無い、日常の本音があるからだ。そして、それは時に残酷で、酷く汚い。ただ、何故か安心する。 それは自分の日常が幸せである一方での 冒険の渇望、生の中にある、タナトス、破滅への憧れであるのか? 安定と真逆の不安定に身を委ね、読ませてくれる...続きを読む数少ない作家である。 タイトルのマリアージュとはフランス語で結婚を意味するが転じて別の2つのものが 調和している状態の組み合わせのことであるが、我々人間は我儘な生き物である。 アンビバレンスな感情の中、完全な調和は困難である。… が、そうでないと信じたい。
今作も完璧にキレキレでした。 すべて結婚に絡んだ男女関係の事情で、 お得意の金原ワールド全開。どの物語も読み進めるうちに人間の二面性が露呈する展開になっていて、とてもスリリング。ひとみ嬢の小説を読み続けていて自覚している事だけど、ひとみ嬢の小説に出て来る登場人物の視点は、私が他人を見る視点とリンクす...続きを読むる事が多く、無意識の感覚を言語化され追体験するような快感がある。 「口ごもりもせずはっきりとした口調でそういった瞬間、何がかは分からないけれど、彼はおかしい人なんだと私は思った。私の思い込みかもしれない。彼が魅力的に見えて、だから彼が神秘的に見えただけかもしれない。でも彼の事を初めて激しく、疑った瞬間だった」(ポラロイド) 人間の二面性を信じているからこそ、些細な表情の変化や口調や目線からその人がまったく別の何者かに見えてしまう事がよくある。そして、そういう二面性は多かれ少なかれ誰しも持ち合わせている。 これまで割と、個人の中で追及していく世界観が多かったような気がするけど、マリアージュマリアージュでは完全に二者間に発展している。 追及の手を緩めることは一切なく、個人から他者へ見事に移行されていく世界観。 小説も作者と共に変化成長していて、同じ年代を生きる私にとってはなんともいえない感慨深く、幸せな体験をさせてくれる作家なのだった。 ところで「仮装」。 これだけは唯一異質な作品だと思った。 かなりパンチの効いた作品であることは間違いないし 登場人物への突き放し感も凄いものがあって。 ただ、まれにワンオペで子育てしている身としては、 凄まじい復讐の物語に思えました。笑 ワンオペで苦しんでいる人はこの短編を読むと 夫に優しくなれるような気がする。笑 少なくとも、私はそうだ。。。笑 新作も出たことだし、心おきなく次は「持たざる者」を読もうと思う。
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