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四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。やがて噂どおり、一人の女生徒が姿を消した。町なかでは金平糖のおまじないが流行り、生徒たちは新たな噂に身を震わせていた……。何かが起きていた。退屈な日常、管理された学校、眠った町。全てを裁こうとする超越的な力が、いま最後の噂を発信した! 新鋭の学園モダンホラー。
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Posted by ブクログ
日常が得体の知れない不気味なものに変質していく様は『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』にも繋がってくるのではないか。初版出版が31年前、今回再読したが改めて構成の巧みさ、日常に何かが忍び込んできて我々の知っている日々が何か異様なものに取って代わられている描写の上手さには舌を巻いた。 怖さはとは本...続きを読む来、血まみれの殺人鬼でも、巨大な怪物でもなく(もちろんそれも怖いのだが)、日常がひっくり返る事でもあるのではないか。 本作は日常が一気にひっくり返りはしない。少しずつ少しずつ、引き返せないところに向かっていくのだ。この緊張感がたまらない。
東北の地方都市にある4つの高校で広がる奇妙な噂。恩田陸先生お得意の、思春期のモヤモヤしたフラストレーションと、日常のすぐそばにある異世界。多彩なキャラクターそれぞれの心理描写が緻密かつ自然。 「この世で毎日朝起きて、鏡の中に自分の老いていく顔を見て、真面目に人生の意義を考えながらコツコツ生きていく...続きを読むことくらい恐ろしいことはないからな」
『球形の荒野』ではない。『球形の季節』だ。 『六番目の小夜子』に続く恩田陸の2作目だが、恩田陸としてはすでに完成しているんだけど、でも、まだまだ途上みたいな?w 続く『不安な童話』やその次の『三月は深き紅の淵を』になると、逆に(プロとして)暗中模索しているのが窺えるんだけど、これは、自分が書きたいの...続きを読むはコレ!(というよりは、今はコレしか書けない?)みたいな勢いがあって、そこがいいんだと思う。 確か、『六番目の小夜子』のあとがきで、著者は“「少年ドラマシリーズ」のオマージュとして書いた”みたいなことを書いていたが、これもまさにそんな話。 すごくそそられる展開に対して、結末は尻すぼみという流れは「赤外音楽」に近いw (もっとも、「赤外音楽」は怖すぎて最後まで見られなかったのでw、あくまで原作の結末) ただ、この話って。それなりの結末をつけたら、逆につまんなくなっちゃったんじゃないかなーという気もするかな。 というのも、どうやらこの話の真相というか、底流にあるものは、晋や静の世界らしいんだけど、この話にその世界観でそれなりの結末をつけられてもなーという気がするのだ。 その世界観って、普通に考えればホラーやファンタジーだし。 もしくは、変な屁理屈もってきてSFにするというものあるとは思うんだけど、でも、そういう話になっちゃたら、主人公がみのりというキャラクターでいいの?ということになると思うのだ。 この話の魅力は、みのりというどこにでもいる平凡な女子高生と、その周囲のやっぱり平凡な人たちが暮らす谷津という、やっぱりこれもどこにでもある平凡な東北の小さな町に起きる、“日常の”不思議な出来事という、あくまでそのレベルの話なところにあるんだと思う。 解説では、ファンタジー云々と語られているけど、そうではなくて。 言ってみれば、「日常の謎」として解釈してしまうなら解釈できてしまって(だって、ほとんどの人は晋たちの世界は知らないわけだもん)、後に誰もが「あの時のあれって不思議だったなー」と思い出すみたいな、たんなる淡い青春譚と読めるからこそ、読者(特に恩田陸のファン)は惹きつけられるんだと思うのだ 例えば、変な話、心霊スポットに行ったところで、何もないことが普通なわけだ。 でも、それだとつまらないから、写真に写った水滴を「オーブだ!」とみんなで共有することで思い出にする。 と言ってしまったら身も蓋もなくなってしまうけど、でも、これってそういう誰しもの青春にあった出来事の話として読んだ方が楽しめる気がする。 ていうか、恩田陸の小説の魅力って、そこなんだろう。 プロットで書く小説全盛(なのかどうかは知らないw)の中、書くことで想像がどんどん膨らんで、ストーリーが勝手に動き出すタイプの作家の小説というのは独特の魅力があるし。 なにより、読んでいて面白い。 恩田陸という作家は、その極端なパターンなんだろうw とはいうものの、この小説、青春譚として読むには、主人公であるみのりの存在感が妙に薄いんだよなー。 それこそ、みのりの関係ないところで、話がどんどん展開されていく。 だからって、話を展開していく登場人物たちも、その展開の必要に応じてちょこっと出てくるだけだから、やっぱり存在感がなくて。 際立つ登場人物がいないことで、さらにみのりの存在が希薄になっていくような気がする。 それも青春なんてそんなものと言ってしまうなら、確かにそうなんだろうけど。 とはいえ、これは小説なわけでw 個人的には、みのりと久子の二人を主人公に書いたら、ストーリーがもっと締まったんじゃないのかなーなんて思った。
田舎とかだとよくありそうな感じの内容です。 登場人物の魅力がたまりません!! 皆んなどこか大人っぽい感じで私個人としては好きなストーリーと登場人物の性格に惹かれてしまいます!!
噂、おまじない、、って聞くとワクワクする。そんな何かを期待させてくれるような雰囲気が溢れているから好き。 ただ、何度も読んでいるのに、この物語が伝えようとしている本質のようなものにたどり着けていないような気がする。 そういう感覚もまた私にとっては魅力的なのかも。
まず各章の中のセリフからとった章タイトルのつけかたがかっこいい。噂を効果的に使っており、向こう側の世界が出てくるものの全体をこちら側にとどめながら雰囲気を盛り上げる手腕は新鮮だった。噂は人々が語りたいから広まるという説明はなるほどと思わせられた。だから「ノーライフキング」で子供たちに死の噂が広まるの...続きを読むは彼らが潜在意識の中で死を身近に感じていたからだということが今更ながら納得できた。東北の眠ったような町という設定や次々起こる事件の配し方が効果的。「六番目の小夜子」も読んでみよう。 ----- 20241110 再読 ★4.4 おもしろかった (自分でもどうにもまとまっていないとは思うが とにかく思ったことをメモしておく) 最近は合理的な解釈とか納得のいく結末とか もしくは読んだあとにそれを考察することで補完しようとか そういう作品が多い風潮があるように感じる(たまたまそういうのを立て続けに読んだというのもあるが) でもこれはそういう作品ではない だけどおもしろい 先に挙げたような作品はたくさんあるがおもしろいと感じたものはあまりない でもこの作品は逆に そういう作品じゃないけれども読んでいてとにかくおもしろい それはやはり<事件を通して人を描こう>としているからなのか 宮部みゆきに近いようなスタンスなのだろうか 谷津という町 今の夢を見続けている谷津と 本来の荒々しく「跳んだ」先にある谷津 生物の進化で「跳んだ」先にある風景 そういうものに対して ふっとそこに入っては出てくる人たちがいる 町のそこかしこにその入り口がある そういう町 「小夜子」と同じように<場所が持つ力>のようなものをこの作品でも描こうとしているように感じる 無意識のうちにそういった場所? による<跳ぶ>こと? を望む者たちが教会に集まってくる でもみのりはそこには行かない そして彼女はあくまでも今の谷津で弘範が戻ってくることを願っている だから最後に石を拾いに行こうと思う やっぱりここで書かれてるのも「小夜子」と同じように 高校生たちのものすごく不安定な心情であり 何も変わらない日常から踏み出してみたいはみ出してみたいという願いとそれに対する不安だったり そういったものが複数の登場人物の心情を通して描かれているのがとても良い 物語としては「小夜子」よりもこちらのほうが数倍おもしろかった この作品は「小夜子」とセットで楽しむのがいいと思う 似ているところ 違うところ それは小説を書き始めたばかりの作者の成長なのか? そういう楽しみ方ができる
心情の描写がかなり観察されて完成されていると感じた。 心の機微をよく描いている。 ストーリーの創造性の高さも良かった。 人の名前が途中で忘れそうになるのが難点。 藤田晋になりたい
『緑は危険』が気になる。。 自分にとっては大好物なラストでした。その後を色々想像してしまう。 登場人物、目立ちたいが故のいわゆる霊感強い女の子かと思ったら本物でした。すみません。。 何不自由なく暮らしていても悩みはあるだろうし 逃げられない状況下で苦しんでいる子もいるだろうし 住んでいる場所同...続きを読むじであっても、 「みんな違って」となるのだなぁ、と改めて感じた。 何分学生時代は遠い記憶のかなたなので。 登場人物が多いのに、実在するように書き上げる作家さんて凄いなぁ、とこの年になって気づく。 違う子に重点を置いてまた読み返したい。
再読7回目。 何度読んでも痛いなぁ。青春小説。人が大人になるとは。成長するとは。それでも生きていかなければならない、ということの意味は。変わってもいいし、変わらなくてもいいんだよ。
ちょっと不思議(藤子不二雄)系も書かれるんだと、恩田陸さんの引き出しの多さにびっくり。 (生意気すみません) 若干パラレルワールド的な話が、村上春樹作品に愛通ずる感覚。 場面の切り替わりや登場人物の多さに若干戸惑いましたが、巧みな展開は読み進めたくさせてくれました。(百年の孤独を諦めた直後だから...続きを読む余計に)
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