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四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。やがて噂どおり、一人の女生徒が姿を消した。町なかでは金平糖のおまじないが流行り、生徒たちは新たな噂に身を震わせていた……。何かが起きていた。退屈な日常、管理された学校、眠った町。全てを裁こうとする超越的な力が、いま最後の噂を発信した! 新鋭の学園モダンホラー。
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Posted by ブクログ
東北の地方都市にある4つの高校で広がる奇妙な噂。恩田陸先生お得意の、思春期のモヤモヤしたフラストレーションと、日常のすぐそばにある異世界。多彩なキャラクターそれぞれの心理描写が緻密かつ自然。 「この世で毎日朝起きて、鏡の中に自分の老いていく顔を見て、真面目に人生の意義を考えながらコツコツ生きていく...続きを読むことくらい恐ろしいことはないからな」
『球形の荒野』ではない。『球形の季節』だ。 『六番目の小夜子』に続く恩田陸の2作目だが、恩田陸としてはすでに完成しているんだけど、でも、まだまだ途上みたいな?w 続く『不安な童話』やその次の『三月は深き紅の淵を』になると、逆に(プロとして)暗中模索しているのが窺えるんだけど、これは、自分が書きたいの...続きを読むはコレ!(というよりは、今はコレしか書けない?)みたいな勢いがあって、そこがいいんだと思う。 確か、『六番目の小夜子』のあとがきで、著者は“「少年ドラマシリーズ」のオマージュとして書いた”みたいなことを書いていたが、これもまさにそんな話。 すごくそそられる展開に対して、結末は尻すぼみという流れは「赤外音楽」に近いw (もっとも、「赤外音楽」は怖すぎて最後まで見られなかったのでw、あくまで原作の結末) ただ、この話って。それなりの結末をつけたら、逆につまんなくなっちゃったんじゃないかなーという気もするかな。 というのも、どうやらこの話の真相というか、底流にあるものは、晋や静の世界らしいんだけど、この話にその世界観でそれなりの結末をつけられてもなーという気がするのだ。 その世界観って、普通に考えればホラーやファンタジーだし。 もしくは、変な屁理屈もってきてSFにするというものあるとは思うんだけど、でも、そういう話になっちゃたら、主人公がみのりというキャラクターでいいの?ということになると思うのだ。 この話の魅力は、みのりというどこにでもいる平凡な女子高生と、その周囲のやっぱり平凡な人たちが暮らす谷津という、やっぱりこれもどこにでもある平凡な東北の小さな町に起きる、“日常の”不思議な出来事という、あくまでそのレベルの話なところにあるんだと思う。 解説では、ファンタジー云々と語られているけど、そうではなくて。 言ってみれば、「日常の謎」として解釈してしまうなら解釈できてしまって(だって、ほとんどの人は晋たちの世界は知らないわけだもん)、後に誰もが「あの時のあれって不思議だったなー」と思い出すみたいな、たんなる淡い青春譚と読めるからこそ、読者(特に恩田陸のファン)は惹きつけられるんだと思うのだ 例えば、変な話、心霊スポットに行ったところで、何もないことが普通なわけだ。 でも、それだとつまらないから、写真に写った水滴を「オーブだ!」とみんなで共有することで思い出にする。 と言ってしまったら身も蓋もなくなってしまうけど、でも、これってそういう誰しもの青春にあった出来事の話として読んだ方が楽しめる気がする。 ていうか、恩田陸の小説の魅力って、そこなんだろう。 プロットで書く小説全盛(なのかどうかは知らないw)の中、書くことで想像がどんどん膨らんで、ストーリーが勝手に動き出すタイプの作家の小説というのは独特の魅力があるし。 なにより、読んでいて面白い。 恩田陸という作家は、その極端なパターンなんだろうw とはいうものの、この小説、青春譚として読むには、主人公であるみのりの存在感が妙に薄いんだよなー。 それこそ、みのりの関係ないところで、話がどんどん展開されていく。 だからって、話を展開していく登場人物たちも、その展開の必要に応じてちょこっと出てくるだけだから、やっぱり存在感がなくて。 際立つ登場人物がいないことで、さらにみのりの存在が希薄になっていくような気がする。 それも青春なんてそんなものと言ってしまうなら、確かにそうなんだろうけど。 とはいえ、これは小説なわけでw 個人的には、みのりと久子の二人を主人公に書いたら、ストーリーがもっと締まったんじゃないのかなーなんて思った。
田舎とかだとよくありそうな感じの内容です。 登場人物の魅力がたまりません!! 皆んなどこか大人っぽい感じで私個人としては好きなストーリーと登場人物の性格に惹かれてしまいます!!
噂、おまじない、、って聞くとワクワクする。そんな何かを期待させてくれるような雰囲気が溢れているから好き。 ただ、何度も読んでいるのに、この物語が伝えようとしている本質のようなものにたどり着けていないような気がする。 そういう感覚もまた私にとっては魅力的なのかも。
まず各章の中のセリフからとった章タイトルのつけかたがかっこいい。噂を効果的に使っており、向こう側の世界が出てくるものの全体をこちら側にとどめながら雰囲気を盛り上げる手腕は新鮮だった。噂は人々が語りたいから広まるという説明はなるほどと思わせられた。だから「ノーライフキング」で子供たちに死の噂が広まるの...続きを読むは彼らが潜在意識の中で死を身近に感じていたからだということが今更ながら納得できた。東北の眠ったような町という設定や次々起こる事件の配し方が効果的。「十六番目の小夜子」も読んでみよう。
心情の描写がかなり観察されて完成されていると感じた。 心の機微をよく描いている。 ストーリーの創造性の高さも良かった。 人の名前が途中で忘れそうになるのが難点。 藤田晋になりたい
『緑は危険』が気になる。。 自分にとっては大好物なラストでした。その後を色々想像してしまう。 登場人物、目立ちたいが故のいわゆる霊感強い女の子かと思ったら本物でした。すみません。。 何不自由なく暮らしていても悩みはあるだろうし 逃げられない状況下で苦しんでいる子もいるだろうし 住んでいる場所同...続きを読むじであっても、 「みんな違って」となるのだなぁ、と改めて感じた。 何分学生時代は遠い記憶のかなたなので。 登場人物が多いのに、実在するように書き上げる作家さんて凄いなぁ、とこの年になって気づく。 違う子に重点を置いてまた読み返したい。
再読7回目。 何度読んでも痛いなぁ。青春小説。人が大人になるとは。成長するとは。それでも生きていかなければならない、ということの意味は。変わってもいいし、変わらなくてもいいんだよ。
デビュー作である『六番目の小夜子』と同様に、日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった、恩田陸さんの二作目の長編です。 故郷に対する閉塞感と噂を題材に、高校生の葛藤が表現されています。 一見、デビュー作と似通った設定に思えるのですが、創り出される作品世界は全くの別物と言っても過言ではなく、そ...続きを読むこに才能の片鱗を見る思いがしました。 超常現象や特殊能力を扱いながら、将来何者にもなれない漠然とした不安や焦燥感と、日常が非日常に反転する恐怖感の演出も巧みです。 舞台となる地方都市の、のどかでおおらかな情景描写に見え隠れする不穏な空気感が、数多くの登場人物を通して描かれているのが印象的でした。 後に発表される幾つかの作品に、繋がるようなエピソードも散見されることからも、デビュー作と並んで原点と呼べる作品なのかもしれません。
どんな怪異よりも、人生、平凡で凡庸で、ダラダラと続く人生ほど怖くはないという真理をさらりと提示する、これはまさに究極のホラー。こうした恐怖にはまだしも女性の方が耐えられる、というのが結末の意味だろうか。
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