空の色紙

空の色紙

小説・文芸
770円 (税込)

3pt

精神科医の小野寺は、殺人容疑者の精神鑑定を依頼された。妻との関係を疑い、自分の息子を殺したというその男は、本当に狂気のさなかにあったのだろうか? 小野寺は調査を進めながら心の動揺を覚える。実は彼自身も、ある事情のために妻への屈折した嫉妬の感情を抱きつつ生きてきたのだった――。表題作をはじめ、デビュー作「頭蓋に立つ旗」など初期の医学もの中編3編を収録。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    空の色紙
  • タイトルID
    :
    288846
  • 電子版発売日
    :
    2014年11月14日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

     帚木蓬生の初期中短編3作。全てが医学もので、医学界の暗部を抉る強烈なものがある。
     表題作「空の色紙」は、嫉妬をめぐる夫婦群像とでもいうのだろうか。狂気とは誰の内にでも存在すること、狂気を治療する医者の内部にさえ巣食っている事実をまざまざと突きつけてくる。そこに、戦争を交えることで、昭和というマクロと夫婦というミクロが同時に描かれていて、その広さと深さが読後感を充実したものにしてくれる。しかし、特攻で死んだ兄の色紙が実は幻だった、という終局は、なんだか稚拙さすらも感じられてしまった。それが残念。
     「墟の連続切片」は、荒々しさも感じられる筆致で、ある面で「失敗作」と評されたことに納得もできる。でも、私には、その荒々しい文章、全体としての脈絡を微妙に欠いたその一編、という存在にこそ、作者の描きたい心情が投影されているようで、ドキドキし、そして鬱々としながら読み進めた。ショックだったのは、東富士の実弾演習の振動や、学校の屋上スレスレを飛ぶ軍用機に怯えた経験を持つ私が、アメリカ、そして安保反対を叫ぶ若者に共感できなかったこと。いや、それ自体には共感できた。でも、それを無視して研究活動を続ける教授陣に「それでも人間か」と迫る学生や若い医師たちの姿には共感できなかった。今の私の立場とは、彼らに近しいものであるはずなのに。米軍問題と研究活動とを結びつけるものは私の中にはない。それが、学園紛争時代と今の学生との距離なのだろう。
     「頭蓋に立つ旗」は、デビュー作であり、その点節々に稚拙さの目立つ作品。しかし、医学部内部のあり方と、戦時中の人体実験や障害に苦しむ一人の人間の心情を複雑に絡ませた意欲作だと思う。淡々とした語り口の中に、切々と訴えるものがあった。これが昭和か、と感じた。

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    最初の作品を読んで"やはり帚木さん!"次を読んで"エッ?"、最後で"アリャリャ”という感じ。
    空の色紙はなかなかです。第2次大戦が出てくるところも、ヒューマニスティックなところも、いかにも帚木さん。
    しかしあとの2作はね。「頭蓋に立つ旗」はデビュー作だそうですが、文章にやたらと力が入っている感じですし、何がテーマなのか判り難いし、最後に力尽きたようです。「墟の連続切片」はそこまででは有りませんが、やはり何か生硬な感じがします。
    とは言え、「空の色紙」の良さに免じてこの評価です。

    0
    2017年10月30日

    Posted by ブクログ

    精神科医の小野寺は、殺人容疑者の精神鑑定を依頼された。妻との関係を疑い、自分の息子を殺したというその男は、本当に狂気のさなかにあったのだろうか?小野寺は調査を進めながら心の動揺を覚える。実は彼自身も、ある事情のために妻への屈折した嫉妬の感情を抱きつつ生きてきたのだった―。表題作をはじめ、デビュー作「頭蓋に立つ旗」など初期の医学もの中編3編を収録。

    0
    2016年10月21日

    Posted by ブクログ

    自分が知らない時代の話。戦後や学生運動を舞台に生きた人たちを読むことは、いまを生きる者として損な事ではないだろう。

    著者のデビュー作ということで、メディカルサスペンスではないけれど、その時代の無情は感じれた気がする。

    0
    2013年05月06日

    Posted by ブクログ

    重さは相変わらずだが、初期短編ゆえに書評の通りやはり硬い気もする。が、箒木作品に親しい人ならば気になるほどではないだろう。

    0
    2012年10月31日

    Posted by ブクログ

    著者は九州で開業している精神科医。
    メディカルフィクションと言うらしい。
    専門医療用語は難解な面もあるが、私にはほとんどが未知の世界なので面白かった。
    野次馬的興味かもしれないが・・・
    「象牙の塔」と言われる医学界、医師の世界も垣間見えた。

    0
    2012年01月18日

    Posted by ブクログ

    知覧の特攻兵のことが描かれていると知って、読み始めた。人間の嫉妬心がテーマだ。医学専門用語が難しかったが、医学の世界も人間の世界だ、と感じた。

    0
    2025年11月25日

    Posted by ブクログ

    帚木蓬生の初期作品3作を収めた本書は、時代背景もあり、鬱屈した、しかしなにか正義の上に立ち続けたいという複雑な意思を表明しつつ環境に流されてしまうもどかしさあるいは諦めが表現されている作品である。つまり、文学的であるというよりも著者の意図が前面に立ち、言いたいことは何かあることはわかるが、分かりにくいといったある意味それが若々しさなのかもしれん、と感じたのだ。(「つまり」になっていなようだが。)

    表題作『空の色紙』は精神鑑定に携わる精神科医の視点から、精神鑑定の意義を問いかけていることとは別に精神的に病むほど思い込んでしまう男女関係の疑いの恐ろしさと、精神科医といえでもその状況にはまり込んでしまう危うさを描いている。題材としても独特で、その後に続く各著作の片りんを感じさせる。

    『墟の連続切片』は当時の大学医学部における諸問題と学生運動を絡めた意欲作にも思えるが、いろいろな「書きたいことが」詰め込まされているようで、結局最も言いたいことは何だったのか?よくわからなかった。(作品名も自分ではタイプできなかった)

    『頭蓋に立つ旗』は医師を育てる教官が、何故そのようなスタンスをとるのか過去や自身の経験を振り返っていく物語。学生運動との関係を混ぜつつ、真の思いが別のところにあることを文学的表現にチャレンジした作品という印象。チャレンジャブルな感じが好感を持てたが、多少最後はあっさりとしている。

    いずれの作品もいわゆる帚木作品とは異なるものの、そこに至る道程を垣間見ることができてそれはそれで楽しめた。

    0
    2020年01月11日

    Posted by ブクログ

    言い回しが古かったり、専門的な記述がすぎる部分はありますが、内容的には自分の知らない時代の異常な状態での心理状態や葛藤などが読めて興味深かったです。

    0
    2015年11月07日

    Posted by ブクログ

    デビュー作を含めた医学もの中編3編。

    戦争時代の話では、特攻隊が飛び立った場所の話や学生運動時代の話、解剖実習の具体的な話など興味深かった。

    「良質の日本語で書き尽くした、面白くてためになる作品が、ひそかな目標である」あとがきより。

    0
    2014年01月26日

空の色紙 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    空の色紙
  • タイトルID
    :
    288846
  • 電子版発売日
    :
    2014年11月14日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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