Posted by ブクログ 2022年03月02日
主人公の作田信は30代の外科医師。心臓移植手術を学ぶため、南アフリカの大学病院に留学している。この国では、白人の命を助けるために黒人の臓器が提供され、その逆はない。医学技術の進歩が人種差別の犠牲の上に成り立っている皮肉に、作田も疑問を感じざるを得ない。
作田は、勤務時間外を利用して、町のスラム地域に...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年03月11日
これは星5つで問題ないでしょう。
若干うまくいきすぎなところはなくもないけど、でも、これくらいじゃないと酷すぎて読んでられないもの。
救いが必要。
現実はもっともっともっと過酷なんだよね。
日本人として日本に住んでいて、カトリック教育を受けていると今一つ差別してしまう気持ちが理解できないのだけど、あ...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年12月11日
心臓移植を学ぶために、アフリカに留学した日本の外科医師の物語。
アフリカの「実際」を見ていくうちに、それまでとこれからの自分の道に違和感を感じ始める。
国際協力がどのような意味を持つのか
何のためにその道に進むのか
自分の意思と照らし合わせながら読み進めた
時代設定が人種差別のもっとも激しい時代...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年11月30日
小説の中での「この国」とは南アフリカのことでしょう。あえて国名は明記していない。
この国に心臓移植の外科医として留学した若き医師がアパルトヘイトに衝撃を受け、黒人たちと共に撤廃の活動をしていく様子を描いています。
アパルトヘイトとはどんなものなのか、知識だけの理解が恥ずかしい。その知識も現実感が...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年11月08日
帚木さんらしいヒューマニスティックな作品です。
一般的にはミステリーに分類されるのかもしれませんが、私にはヒューマニズムの面から純文学のように見えます。
やや、定型的過ぎるかもしれません。右翼白人は皆悪人ですし、黒人は皆善人のような書かれ方です。そういった面での深みを感じられないのは、少し減点で...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年10月23日
私は自分が生まれる前の出来事は書物に出てくる「歴史上の出来事」として一歩引いて見ているが、アパルトヘイトは紛れもなく私が生まれてからもしばらくは存在していて(中学生の時に文化祭の壁新聞でアパルトヘイトについて書いた覚えがある)、そういう意味では私にとってアパルトヘイトは歴史上の出来事ではなく、現実に...続きを読む