乳癌と闘いながら、懸命に仕事を続ける、泣き虫先生(「雨に濡れて」)。診療所を守っていた父を亡くし、寂れゆく故郷を久々に訪れた勤務医(「百日紅」)。三十年間地域で頼りにされてきたクリニックを、今まさに閉じようとしている、老ドクター(「終診」)。医師は患者から病気について学ぶのではなく、生き方を学ぶのだ――。生命の尊厳と日夜対峙する、十人の良医たちのストーリー。
Posted by ブクログ 2011年12月30日
かざはなびょうとう と読むのですね。
10人の医師が診療に携わる姿勢が、それぞれの立場や周りとのかかわり方から浮かび上がる。
命と向き合うことを職業に選んだ彼らは、人と向き合い学びながら生きている。真摯に人と関わっている。お金のためでも自らのプライドのためでもなく。病を得た人とゆったりと真面目に関わ...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年11月14日
生きることのさみしさと、喜びとが、しんみりと沁みてくる。
死と向き合う医者という仕事は、同時に自分の生き方をも見つめ直すことになる。
父の生き方、戦争という歴史、貧困、癌、・・・・・扱っている題材は、どれも生き方を見つめ直させるものばかりだが、
作中に描かれる、花の記憶が、作品に灯りをともしてい...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年05月08日
十編を収めた短編集。
いずれも老若男女の「良医」が主人公・花が必ず登場するもので、どれもものすごく大きな起伏があるという話ではないけれど、なんだかじんわりよかったなと思わせられた。
現役精神科医である作者によると、メディアなどで大きく名医だと取り沙汰される医者よりも、日の当たらないところに良医はいる...続きを読む