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千年読み継がれる物語は、かくして生まれた――帚木文学の集大成にして最高到達点の長編小説〈全五巻〉 父や祖母の薫陶を受けて育った香子(紫式部)は、「いつの日か、『蜻蛉日記』を超えるものを書いてほしい」という早世した姉の想いを胸に、物語への素養を深めていく。夫との短い結婚生活、家族とともに向かった越前での暮らし……その中で、香子はまったく新しい物語を紡いでいく。香子の人生とともに、1巻では『源氏物語』「桐壺」~「末摘花」の帖についても描き出した、著者渾身の長編小説。
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Posted by ブクログ
大河ドラマの描かれ方との違いを比較しながら読め、楽しかった。 源氏物語の下地には、紫式部の漢籍の素養があり、本当に偉大な文学なのだなぁ。 漢詩が多く出てきていて、一度で理解するのは難しかったので、再読して味わえるようになりたい。
紫式部物語を読みながら、源氏物語を読む。 贅沢な作品。 源氏物語がいかにして出来たのか。 古今和歌集や蜻蛉日記、白氏文集、長恨歌………もう全然知識が足りないな(笑) 誠に人の世は、野分や雲、雨と同じで、人の手ではどうにも動かせない。その摂理の下で、翻弄され続けるのだ。
なるほど、そりゃ全5巻にもなるわ。一作で二度美味しい。といいつつ作中作の部分はさらさらと…。頑張って5巻まで読みます。
一つで二度味わえる小説。紫式部物語を読む中で作中で書かれる源氏物語を読んでいることになる。香子(かおるこ)は父から「香子(きょうこ)、今日からそなたのことを、かおること呼ぶことに決めた」と言われた。女子にしておくのは惜しい。男子であればこの堤第を再興してくれるだろう。誰でもが認めるひとかどの人物にな...続きを読むる、その資質が薫るからだ、と言われる。和歌と漢詩が作中にふんだんに出てくる。漢詩は漢字が難しく意味を取りがたいものも多いが、和歌は二度読んでみるとなんとなく雰囲気で分かってくるものが多い。源氏物語の桐壺、帚木、空蝉、夕顔、若紫、末摘花まで書かれた。
紫式部が香子と呼ばれるようになり、源氏物語を書き始め、物語も劇中劇のように進む。 紫式部の父親為時が越前に行ったことで紙が自由に使えることで物語も書き始められたのだと感慨深い。
作者の、源氏物語への深い思い入れがよく分かる。式部=香子とした伝記物語かなと思いきや、思い入れの深さなのか、何事も源氏物語に結びつけ、半ばからは源氏物語の作者なりの解釈と香子の現状が交互に書かれていく。 二巻、三巻と、源氏物語の厚みが増すにつれ、香子の物語が潰れていくように感じるので、作者が一体何を...続きを読む書きたかったのかがちょっと不明。源氏物語を原作あるいは谷崎か与謝野あたりの訳でしっかり読んでいないと、作者の解釈に引きずられそう。源氏にある催馬楽や白氏文集ぶんを減らせば随分とスリム化できるのではないかと思う。
著者作品は3作目。 そのペンネームから源氏物語とはなにかしら所縁があろうことは想像できたが、ついに手を付けたかという感じだ。 折しも今年は大河ドラマでも紫式部の物語が放映されている。満を持してということだろう。 400頁を超える文量だが、まだ第1巻。今後も、続巻が予定されている(すでに3...続きを読む巻までは出てる?!)。毎月の上梓とは恐れ入る。 この第1巻は、紫式部こと香子が8歳のときから物語は始まり、藤原宣孝と結婚する20代半ばのころまでが描かれる。 そして、「源氏物語」はすでに書き始めている。 もとより、謎多き女性であり、生没年も不詳。世界最古の小説である「源氏物語」も、いつ書き始め、どの章から書いたのかも不確かなところがある。 本書では、父為時の越前赴任を機に書き始めたことになっている。理由は、そこが越前紙の生産地であり、物語をしたためる紙、料紙を自由に手にすることができたから、と。 そして、もうひとつは、全五巻にまんべんなく「源氏物語」のお話をちりばめるには、1巻ですでに書き始める必要もあったのだろうと邪推もする(笑) 本書の一番の白眉は、第十一章の「起筆」だろう。 父の影響で、古今の書、詩歌どころか中国の漢詩にも通じた博学ぶりを遺憾なく発揮し、「長恨歌」を下地にしたという「源氏物語」を書き始める。 ”これまでの物語の書き出しの部分には、不満があった”と、まずは「竹取物語」の、「今は昔」の書き出しを批評し、「宇津保物語」は、”この書き出しだと、説明がくどく、物語を予感させる広がりに欠ける”と。 そして、大歌人伊勢の家集の冒頭の詞書にある、”いずれの御時”にいきつく。 「これだと、時代をぼかしながら、いかにも今の出来事のように思わせる文章になっている。しかも、物語の舞台が内裏であることをほのめかす効果もあった」 と、ひとり得心し、自画自賛気味にほくそ笑む感じが、実に良い。 後半は、こうして書き始めた「源氏物語」を、章ごとに家族に読ませるのだが、著者による現代語訳が、各「帖」ごとに披露される。 曰く、「桐壺」「帚木」「空蝉」「夕顔」・・・。 さて、今後の続巻でもこの体裁は続くのか? 全54帖を繰り広げられるのは、さすがに萎えそうだ。 続きも読むかどうかは、二巻まで見てみて考えるとするか。
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