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Posted by ブクログ
すごいなぁ。素晴らしい作品だった‼︎
602ページ夢中で読み、今朝の電車で読み切ってしまいました。何度も胸が熱くなり涙が滲みました。ますます帚木蓬生作品、好きになりました。
人間性そのものへの探究と、事件性のミステリーとの両面、どちらも読み応えたっぷりです。
ちょっと大袈裟な言い方だけど…全人類が読めば良いのに…なんて思いました。
泌尿婦人科の医師、秋野翔子は、天才と評判の医師、岸川に誘われて、サンビーチ病院に転勤する。
医療技術や人材も、施設も充実した病院で、翔子の人柄と技量に魅了され、病院にも活気がでる。
そんな中、翔子は、岸川の周辺での奇妙な変死に気づき…!
両性具有という言葉は知っていたけれど、インターセックスというのは『性分化疾患』という医学用語も使われているそうです。ネット検索したら、
「体の性に関する様々な機能・形・発達が、一般的に『男』『女』とされる典型的な状態と一致しない部分がある」という状態。
(以下ネタバレあります)
染色体の区別だけではない、形や機能も、そして気持ちも…。
医学的な考え方で、早くどちらかに決めた方がいいと、赤ちゃんのうちから手術され、思春期にも周りに隠しながら、何人もの研修医たちに見られながら、手術を繰り返す。
それに対して、翔子は言う。
(注: 私の抜粋です、本文ではもっと詳しい)
「しばらくこのままでいい。形はどうあれ、赤ちゃん自身が元気なのに、白黒つけるための手術は…幼い頃から何度もメスを入れられ取り返しのつかない傷をつけられる。書類やしきたり上は、男か女か決めろと、世間の目もそうでしょう。でも、親や家族は真ん中も許されるのだという信念を持っておくべき。大人になって、18歳くらいになって、本人が決めれば良い。それまでの辛さをやわらげてあげるのが、両親、家族、そして医師です。
もちろん辛いこともあるでしょう。形以上に気持ちが揺れ動く。気持ちは外見で決まるものではない。
男、女ではなく「人間」として考えて接してあげる。家族の中ではタブーとせず、オープンに話し合う。もちろん私もずっと相談に乗ります。
自分の意思でしたことは耐えられます。意思に反してされることは、傷として心の中に残ります。」
この辺りの、悩む両親とのやり取りが…もう、翔子の素晴らしさに、当事者たちの苦悩に、涙が出ます。
ドイツでの自助グループのシーンも切なくて力強くて、素晴らしい。
この中でも、男と女だけでなく、その真ん中を3つに分けて5つの性として考えるといい!という話もあり、なるほど〜と感じました。
日本中に、世界中にそういう人たちが本当はたくさんいて…言えないからわからないだけなのだということ。
もちろんこの世には沢山の病気があり、難病、心の病、それは数限りないと思う。好きで病気になる人はいないのに…。
大っぴらに言えない、周りの目が嫌で、恥ずかしくて、何を言われるか差別が怖くて…そういう理由で人に言えない病気って多いと思う。(私自身も経験あります)
翔子の言葉にもあります。
「コソコソする必要なんてありません。何も悪いことをしてないのだから」そう!そうなのに…。
人間として生まれ、人間として生きることが大切。そんなことを、いろいろ考えながら読みました。
インターセックスに限らず、人に言えず悩んでる人、みんなに読んで欲しい傑作です。
Posted by ブクログ
『エンブリオ』の続編。
天才だがサイコパス的な岸川先生は、前作では圧倒的な存在感だった。
しかし本書では秋野先生という才色兼備で患者に寄り添うスーパードクターの登場によって、岸川の異常な才能や性格がやや薄まった印象。
秋野先生には岸川の罪を究明してほしい気もするし、してほしくない気もして、ドキドキして一気読みしてしまった。
また、インターセックスの患者を取り巻く現状が描かれており、その点は非常に勉強になる。
医療はマイノリティを排除する側面があるという考えにはなるほどと思わされたが、どんな状況でも人工中絶は悪だとする秋野先生の信念には、正直なところ全面的には共感できない。
ラストでは秋野先生の境遇が明かされて驚かされると同時に、男女という枠ではなく人間として捉える視点は、とても良い考え方だと感じた。
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