【感想・ネタバレ】アフリカの蹄のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2022年03月02日

主人公の作田信は30代の外科医師。心臓移植手術を学ぶため、南アフリカの大学病院に留学している。この国では、白人の命を助けるために黒人の臓器が提供され、その逆はない。医学技術の進歩が人種差別の犠牲の上に成り立っている皮肉に、作田も疑問を感じざるを得ない。
作田は、勤務時間外を利用して、町のスラム地域に...続きを読むあるサミュエルの診療所を手伝い始める。
サミュエルはエリート医師として豊かな生活も出来るが、使命感と反骨精神から、自らスラム地域に留まっている。しかし、スラムの環境は劣悪で、医者の手はいくらあっても足りない。
そんな中、黒人の子供たちの間に奇妙な病気が広がり、特に体力の乏しい幼児は次々に落命していく。
ウィルス性の伝染病ではないかと推測するが特定出来ず、作田が大学病院へ患者を連れて行っても、黒人だという理由で診察を拒否される。直面した驚くべき黒人差別に怒り、貧しき人々を救うため、作田は正義の闘いに命をかけてゆく…。

南アフリカ共和国がモデルとなっているであろうこの作品。
絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を滅亡させようとする非人間的な白人支配層に立ち向かう若き日本人医師の冒険サスペンス!と裏表紙にも書かれていて、そういう側面としての面白さも抜群で、どうなるの⁉︎ と先が気になり映画のようで夢中で読みました。そして、何よりも“名誉白人”とされる日本人であり、エリートでもある作田が、その立場に甘んじることなく身を挺して戦う姿に、深い深い感動があるのです‼︎

改めて「人種差別」というものについて考えさせられました。人間って、何か人と区別をしたい生き物なんだろうな〜とは思いつつ…。自分自身も生きている中で、なにか「差」を意識することは、大なり小なりあるとは思う。しかし、同じ人間でありながら、ただ生きているだけで、それを虫けらのように考え扱う、白人優位の思想、白人至上主義というものの怖さ、薄気味悪さを強く感じました。ある意味、単純でありすぎるがゆえに、力を持ってしまうというか…。
作田も気付く「日本にいる時は、自分の皮膚の色など考えたこともなかった」という気持ちは、日本人である自分には、とてもよく分かります。もちろん日本にいても、格差というのは大なり小なりあるけれど、やはりレベルが違う。簡単に、本当に簡単に次々と子供たちが犠牲となり、死んでゆく場面は心が痛みました。

サミュエルや、黒人解放運動の闘志のニール、その妹のソーシャルワーカーのパメラ、そして自らの危険を承知しながらも協力する、国立衛生研究所部長の父と、ウィルス学の助教授である息子のレフ親子。損得ではなく、本当に虐げられ命の危機にある人々を救おうと闘う人々に頭が下がります。世界はこういう人達の働きで救われるんだなあ〜と思ったのでした。

恥ずかしながら…アフリカのことや、人種差別のことなど、TVや映画で知ってはいても、身近な生活に結びつけることは出来てなかった私でしたが、この作品で多少ながら理解が深まったような気がしています。
人間の“尊厳”を求め、耐えて、武器を持たずに闘い抜く場面に心震え、ラストの作田の言葉に涙が滲みました。

やっぱり、帚木蓬生さんは、凄い!少しずつ、また読み進めていきたい作家さんです。

心に残ったところを少し。
ーーーーー
解剖学的にみれば、白も黒もたかだか皮膚のメラニン色素の量の差です。脳だけ取り出したら、黒白の見分けはつかない。

シン、ここが大切なところなんだ。黒人が解放されることは、白人が解放されることなんだよ。

解剖や生理学を嫌というほど叩き込まれた医者でさえ、偏見からは自由でないのだ。精神的に盲人なら、目がどんなに見開いていても、何も見えない。

いつかこの街がパリみたいになればいい。街路や建物は整然としていても、なかにいる人間は種々雑多なんだ。白人も黒人もアジア人も、そこがまるで花園みたいにいい顔をして生きている。

「あなたが生きていてさえくれるなら、たとえ何年会わなくても私は平気よ」

最後の自分の砦は、身体じゃなくて〈意志〉です。これがある限り、拷問には負けない。・・・(中略)
ぼくは、多分そんな拷問にあえば骨なしになるかもしれない。しかしそれでも構わない。このままあの国を去っては、生きていても無意味なのだ。

歌だけは奪えない。歌には原料も維持費もかからない。息さえできていればうたえる。

赤ん坊はすべて先祖の生まれ変わりです。人が死ぬとき、必ずどこかで赤ん坊になって生まれているのです。
ーーーーー

1

Posted by ブクログ 2019年01月26日

おそろしい物語でした。さすがにこれはフィクションだと思いますが、つい20年ほど前までアパルトヘイトという差別が現実に存在していたというおそろしさを垣間見た気がします。

0

Posted by ブクログ 2015年03月11日

これは星5つで問題ないでしょう。
若干うまくいきすぎなところはなくもないけど、でも、これくらいじゃないと酷すぎて読んでられないもの。
救いが必要。
現実はもっともっともっと過酷なんだよね。
日本人として日本に住んでいて、カトリック教育を受けていると今一つ差別してしまう気持ちが理解できないのだけど、あ...続きを読むる意味人間の本能的な部分なのではないかと思ってしまったりも。
考えさせられる作品でした。
そして「あ~よかった」的な感じでは終わっているけれど、そんな一筋縄ではいかないよね。きっとここからがまた大変なんだよね・・・。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年04月18日

帚木さん、さすがです。
ストーリーはドラマチックでぐいぐい読ませるし、人物は魅力的だし、何よりこの題材。

フィクションではあるが少し前の南アフリカ共和国に状況が似ていて、スラムに生きる黒人たちが欲していたのは本当に小さな、よその国では疑問すら持たないような当然の権利だった。

日本人として恵まれた...続きを読む環境に生きていること、充分幸せ(偏った価値観かもしれないが)なのにきちんと感謝できていないこと。そういうのはもちろん感じて頭のどこかで反省したりはするんだけど、たぶん大事なのはそこじゃない。別に説教くさいわけでもなく、読んでいる間はただただ子供たちの病気が治りますようにと祈っていた。

ただ白人側の章を読んでいると、あんなに親から刷り込まれていたら迫害を当然と思うのも無理はないのかも…と思ってしまった。流されやすい自分が嫌になる。いやでもやっぱり重要なのは人種ではなく一人ひとりの人格だよね。

最後のゼネストと、そこからの世界の反応は感動でした。

目次を読むだけでも、そこにまた物語があるようで涙ぐむ。

AMANDLA!

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Posted by ブクログ 2013年04月10日

天然痘ウィルスを使った黒人撲滅無差別テロ事件。
天然痘ウィルスを国外に持ち出し、感染を防げるか!?というストーリー。
2作目よりも私は1作目のほうが好きでした。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年05月06日

傑作。
ただ感動。
帚木さんの本はいま別のを読み進めているが、
この"アフリカの蹄"は越えられないと思う。

アパルトヘイト下の南アフリカが舞台。
心臓移植を学ぶため、一人日本から留学した作田信。
友人のサミュエルと恋人のパメラとの出会いから、
黒人スラム街の診療所を手伝う事に。...続きを読む

ある日から黒人の子供のみに原因不明の奇病が発生。
薬も医療器具もないなかで必死に戦い続けるが、
裏では国家的な民族浄化が粛々と進められていた、という話。

まぁーまぁー、よくあるストーリだが、
まず白人の差別感情がすさまじい。
黒人を家畜以下に考え、家畜以下に扱う。
どこまでも追い詰めていく狂った選民思想に寒気がする。

ただ、差別する側の人間は、自分が見えない。
いかに狂ってしまおうが、狂った側に居てはそれが分らない。
そして、差別する側とされる側の中間にいる人間は、
疑問を持ちながらも、差別する側付いてしまう。

作田信は、そんな邪念を払い除けながら、
ついに黒人スラム街の人間と共に差別に対して立ち上がる。

非暴力による行動によって、最後には勝利を勝ち取る。
作田達の行動を世界中が助けるシーンは、涙なしには読めない。
感動。
感動。
感動。

どれだけ援助を必要としている人々がいるか。
何をしろと言うわけではない。
何かをしなければと考えさせられる作品である。

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Posted by ブクログ 2011年12月11日

心臓移植を学ぶために、アフリカに留学した日本の外科医師の物語。
アフリカの「実際」を見ていくうちに、それまでとこれからの自分の道に違和感を感じ始める。

国際協力がどのような意味を持つのか
何のためにその道に進むのか
自分の意思と照らし合わせながら読み進めた

時代設定が人種差別のもっとも激しい時代...続きを読む(アパルトヘイト時)が舞台なので、現在とは異なるだろうが、感じるものは多かった。

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Posted by ブクログ 2009年11月30日

小説の中での「この国」とは南アフリカのことでしょう。あえて国名は明記していない。

この国に心臓移植の外科医として留学した若き医師がアパルトヘイトに衝撃を受け、黒人たちと共に撤廃の活動をしていく様子を描いています。

アパルトヘイトとはどんなものなのか、知識だけの理解が恥ずかしい。その知識も現実感が...続きを読むない。若いときに、十代にこのような世界を見ておく必要性がありますね。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

これはNHKのドラマがやってるので読んでみたけど 
人種差別もここまでくると地獄だよ 
そこまで肌の色にこだわる精神はわかんないけど絶対、人種差別っていうものはどこの国にもあることだしのめり込めた 
いや、この作品フィクションだけど 
すっごい考えさせられた

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

アパルトヘイト解放後もなお残る黒人差別をモチーフに描き上げられたサスペンス。フィクションとしてだけでなく、社会派小説としてもとても勉強になった。確かNHKで特番ドラマ(主人公は大沢たかお)になったはずなのだが、後編を見逃してしまった。再放送してくれないかなぁ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年08月28日

南アフリカのアパルトヘイトを題材にし、白人の支配層が絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を殲滅しようとする。

そんな中で心臓移植を学ぶ為に南アフリカに来ていた日本人医師・作田信が主人公をつとめます。

大学病院へ行かない時間を使い、スラム街の診療所の手伝いを始めた頃にその地域で生活する黒人の子供た...続きを読むちの間で奇妙な病が流行りだす。

次々と命を落としていく幼い子供たち。

作田はなんとかしょうと、大学病院に患者を連れて行くも、黒人だからという理由で診察すら受けることを許してもらえない。

時を同じくし、作田の周りの人々が彼に対し圧力をかけ始める。

その間にもどんどん広がりをみせる病と、命を落とす子供たち。

使命感に燃える作田はウイルスの専門家レフ助教授に助けを求め、ついに絶滅したはずの天然痘が黒人の子供たちの間でだけ蔓延していることを突き止める。

医療ミステリーの要素、冒険小説の要素も加わった作品であるが、アパルトヘイトという人種差別に立ち向かうヒューマニズム作品。

積読となっているネルソンマンデラの「自由への道」を読みたいという欲望と共に、人間の恐ろしさと温もりに触れられる作品でした。



説明
内容紹介
絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を滅亡させようとする非人間的な白人支配層に立ち向かう若き日本人医師。留学先の南アフリカで直面した驚くべき黒人差別に怒り、貧しき人々を救うため正義の闘いに命をかける。証拠品の国外持ち出しは成功するか!? 黒人差別に怒る日本人医師を描く冒険小説!絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を滅亡させようとする非人間的な白人支配層に立ち向かう若き日本人医師。留学先の南アフリカで直面した驚くべき黒人差別に怒り、貧しき人々を救うため正義の闘いに命をかける。証拠品の国外持ち出しは成功するか!? 山本周五郎賞受賞作家が描く傑作長編冒険サスペンス。
内容(「BOOK」データベースより)
絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を滅亡させようとする非人間的な白人支配層に立ち向かう若き日本人医師。留学先の南アフリカで直面した驚くべき黒人差別に怒り、貧しき人々を救うため正義の闘いに命をかける。証拠品の国外持ち出しは成功するか!?山本周五郎賞受賞作家が描く傑作長編冒険サスペンス。
著者について
1947年、福岡県生まれ。東京大学仏文科卒業後、TBS入社。2年間の記者生活を経て九州大学医学部に進んだ、現職の精神科医。’93年『三たびの海峡』で吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』で山本周五郎賞を受賞。著書は『臓器農場』『空夜』『総統の防具』『逃亡』など多数。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年02月11日

これは良かった!正直『閉鎖病棟』があんまり好きじゃなかったから、期待はしてなかったんだけれど、いい具合に重くて。
アパルトヘイトがあった頃の南アフリカ共和国を舞台にした、日本人医師・作田信を主人公としたストーリー。本当にこんな非人道的な政策がとられていたのか…。人間てむごいな。合衆国大統領が黒人の現...続きを読む代からは考えられない。まあまだ差別は残っているんだろうけど。
ラストの大行進(スト)の場面は、なんだか胸がじ~んってんなったよ。

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Posted by ブクログ 2017年11月08日

帚木さんらしいヒューマニスティックな作品です。
一般的にはミステリーに分類されるのかもしれませんが、私にはヒューマニズムの面から純文学のように見えます。
やや、定型的過ぎるかもしれません。右翼白人は皆悪人ですし、黒人は皆善人のような書かれ方です。そういった面での深みを感じられないのは、少し減点で...続きを読むす。
しかし、読み始めると同時に、帚木さんの筆力に一気に引き寄せられます。そして感動の終末。お勧めの作品だと思います。

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Posted by ブクログ 2015年10月23日

私は自分が生まれる前の出来事は書物に出てくる「歴史上の出来事」として一歩引いて見ているが、アパルトヘイトは紛れもなく私が生まれてからもしばらくは存在していて(中学生の時に文化祭の壁新聞でアパルトヘイトについて書いた覚えがある)、そういう意味では私にとってアパルトヘイトは歴史上の出来事ではなく、現実に...続きを読む認識できた出来事と言える。

にもかかわらず、中学生の頃、「名誉白人と呼ばれる日本人を私はちっとも名誉だとは思いません。」みたいなことを偉そうに壁新聞に書いた私は、アパルトヘイト撤廃のために何かした訳でもなく、その後は正直遠い国の話としてあまり考えたこともなかった。

今更ではあるが、この本を読んで、もう少しアパルトヘイトについて知る努力をしてみたいと思った。

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Posted by ブクログ 2014年06月12日

人種差別よる天然痘のパンデミック。ウィルス感染が怖いという以前に差別ということがとても怖く感じた。今ではたくさんの命を救うことができる心臓移植についても人種差別や人権の問題がとても関わっていたことを知り、いろいろ考えさせられる小説でした。

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Posted by ブクログ 2013年03月03日

白人の人種差別から来る陰謀としてのパンデミック、というなんともおぞましいスケールの大きいテーマの割にドキドキハラハラ、といった切迫感よりは黒人側につく主人公の静かな怒りが物語全体に低通している感じがした。

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Posted by ブクログ 2013年02月04日

この国がどうして〈アフリカの蹄〉と言うのか教えてやろうか。白人が我々黒人を蹄で蹴散らし、踏みにじっている場所だからだー。
アパルトヘイト政策のもと、人種差別が激烈であった南アフリカ共和国が舞台のモデルとなっている。

根絶したはずの天然痘が、爆発的な勢いで黒人の子供達に蔓延した。白人の子供達には被害...続きを読むは無く、黒人の子供達だけが毎日多く命を落とす。この不可解な出来事と相重なって衛生局は病人を隔離し、病の拡散を防ぐことを謳い黒人達を黒人居住区へ追いやる。この国の白人は、古くからこの地で暮らしていた黒人を排斥して白人だけの国家を築くことを強く願っていた。一連の出来事は何者かの陰謀なのか?
心臓外科を学ぶため留学中の若き日本人医師、作田信は義憤に駆られ、貧しき人々を救うため非人道的な白人極右組織に立ち向かう。
十分な設備や医薬品がない状況下では作田の懸命な治療活動も虚しく、日に日に犠牲者は増加の一途を辿る。黒人の子供達が死に絶えてしまうのも時間の問題だ。報道管制が敷かれ国外にこの事件の情報が伝わることがない以上、患者の水疱から摘出したウイルスを国外に持ち出すことで国際社会の関心を集め、国連やWHOにワクチン運搬の協力を要請するしか事態を打開する手立ては無かった。作田は証拠品の国外持ち出しに成功し、果たして愛する人々を救うことができるのか?

苛烈な人種差別のなかに生きる人々の、人としての尊厳を問う社会派サスペンス。

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Posted by ブクログ 2013年01月05日

新年一冊目は、チョット真面目なお話。ずっと気になっていた帚木蓬生さん。心臓移植を学ぶ為にアフリカに留学した若い日本人医師。そこで黒人差別の酷さを目の当たりにする。白人が黒人社会を排除する為に絶滅した天然痘ウィルスをばらまき、黒人の子供達の間に天然痘が一気に流行する。なんとかして助けてやりたいと、若き...続きを読む日本人医師が自分の命の危険を犯してまでも白人社会と闘う。教科書では知る事の出来ないアパルトヘイトについて書いてあって、どうしてこんな差別が起きたのか哀しくなった。最後は、日本人医師の人種を越えた勇気にただただ感動。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年08月08日

「絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を滅亡させようとする非人間的な白人支配層に立ち向かう若き日本人医師」の話。

医療系のパニック小説も実は好きなので、本の紹介文を見て予約。
だが実際に読んでみて、ウィルスの怖さ以上に人種差別の問題が何よりも大きく重い。
アパルトヘイトについて、恥ずかしい事に大雑...続きを読む把な知識しか持っていないが
本書に描かれる「この国」の様子は、当時の実際の状況を表しているのだと思う。
黒人医師サミュエルの言葉「黒人が解放されることは、白人が解放されることなんだよ」が胸に来る。
誰かを抑圧し支配して生きる事は、実際には自分自身が、人間として大切なものをすり減らし失って生きていくことなのだと思う。
久しぶりに真面目なことを考えたような・・・心に残る一冊です。

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Posted by ブクログ 2009年10月15日

「アフリカの蹄」の12年前のお話。シンやパメラの出会いや若き日々を知ることができた。天網恢恢疎として漏らさず、に尽きると思った。そこまで動かす、人種差別というものは何なのだろうか。感染してしまった小さな子供を抱きながら、何もできずに諦めて呆然としている母親…というのを思っただけで、胸どころではなくお...続きを読む腹まで深くえぐられるような、突き刺さった思いがした。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

「閉鎖病棟」が有名な著者なのに、「閉鎖病棟」を読まずに、初めて帚木作品を読みました。
医療ミステリーにも分類してもいいような気がしたけど、敢えて、ミステリーとは別分類とさせていただきました。
アフリカのある国で、絶滅したはずの天然痘と闘う日本人医師を描いた作品。
差別社会、ウイルスとの闘い、人種を超...続きを読むえた人間のつながりetc・・・
いろんな難しい内容がてんこもりだけど、ほとんど抵抗もなく、最後まで一気読み。
もう少し、ハラハラドキドキがあってもいいような感じもしたけど、久々に読んで良かったと思える作品でした。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

NHKでやっていたドラマの方はどうかと思うが、こっちの作品はやはり『さすが』の一言。

人種差別という日本人にはあまり馴染みの無いような(ここには個人的にもちょっと言いたい事もあるが・・・)テーマながら、それをしっかりと理解させる内容に出来ているのではないでしょうか?
そして、箒木蓬生お得意の医学関...続きを読む係がうまく使われている。

人種差別というテーマが無ければただのパニックアクションものにでもなりそうな内容ですが、そこを箒木蓬生の筆力でしっかりと押さえ込んでいます。

とりあえず、この続編の『アフリカの瞳』にも期待です。

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Posted by ブクログ 2015年11月21日

歴史上の事実として知識はあったものの、こうして物語として紡がれるとそこで生きてきたであろう人たちがフィクションではあれ現実感をもってたちあがってくる。
そしてそのような現実が驚く程最近まで起きていた事実。
あってはならないことが現実に起きていた事実をしっかりと胸に刻んでおかなければならない。
そして...続きを読む、目には見えないウィルスで何かを支配できてしまうことの恐ろしさ。

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Posted by ブクログ 2013年02月19日

徹底的な黒人排除。天然痘を使ってまで黒人社会を滅亡させようとする白人支配層。それに立ち向かう日本人医師の作田の活躍。病気の黒人の子供達を救えるのか、先が気になってどんどん読みたくなる。
でも、自分が正しいと思って他人を排除(差別)するって誰の心の中にもあるのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2013年01月17日

面白かったけど、国連の部分がどうもしっくりこなかった。けど良かった。
チリ、オソルノからプエルトモンへの移動のバスで。

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Posted by ブクログ 2011年08月18日

何度か読んだことのある作家さんです。古本屋で購入しました。

自分は天然痘のワクチンを受けたことがないので生物兵器として実際使用されたら怖いだろうなあ…なんて思いながら読みました。そういえば日本人はバナナなんて呼ばれてたなあ~なんてことも思い出しながら読みました。(外は黄色いけれども中は白い、と言...続きを読むう意味らしいです)実際こういう立場になったとき、弱者側につける人間がどれだけ居るだろうか。

お話としてはル・カレのナイロビの蜂のほうが圧倒的なスケールで迫ってくるのでそちらのほうが自分は好きかな。

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Posted by ブクログ 2011年07月16日

アフリカを舞台に留学生の日本人医師が黒人差別の激しい国の中で立ち上がる。絶滅したはずの天然痘ウィルスによって黒人たちを絶滅しようとする白人組織。ワクチンは手に入るのか。帚木蓬生はこれで何冊目かになるが、病院内部の陰謀をテーマにしたミステリーものから「逃亡」のように戦争をテーマにしたもの、「千日紅の恋...続きを読む人」のようなほのぼの恋愛小説と割りといろんなジャンルを書いているのだなと思っていたが、やはりこういった医療関係のサスペンスものが一番という気がする。舞台は多分あの国だろうけど、武力行使で戦って兵器の充実した白人たちに殺されるなら職場放棄のデモで職を失い餓死したほうがいいという考え方、そしてそれによって勝利する当たり、ほんとうにそうならいいのにと思う。

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Posted by ブクログ 2010年11月09日

アメリカの防疫センターでの火災で、保管されていた20万トンの医薬品が焼失した。このことが事件の発端だった。
 アフリカの大学病院に留学した作田信は、黒人のスラムに出入りしている。ある日、スラムの医師サミュエルの診療所に、全身に水泡が現れた黒人の子どもが診療にくる。その後も、多くの黒人の子どもに同じよ...続きを読むうな症状が現れる。それは、WHOが1980年に絶滅を宣言したはずの天然痘だった。
 NHKでドラマを見て、読んでみました。ドラマよりももっと暗かったですが、アフリカの現実がよく解りました。

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Posted by ブクログ 2019年03月04日

絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を滅亡させようとする白人支配層に立ち向かう日本人医師の話。
スリル満点でおもしろいけど、白人による黒人差別の根本的問題には触れてないので、作品として終わってしまっているのが残念。
ただ、差別を受ける黒人たち・スラムの子どもたちのために自分の特権も何も捨てて献身する...続きを読む主人公の考え方・姿勢・価値観に考えさせられる点が多かった。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

帚木蓬生が描く医療サスペンス。

アフリカの大地で絶滅した天然痘が流行し始めた。
そのアフリカで最先端の臓器移植を学ぶ日本人医師がとった行動は・・・。

今、世界各地でテロが起き、そして今恐れられているシナリオの一つが天然痘を使った生物テロ。
そんなテロの恐怖と人種間対立の醜さが存分に描かれています...続きを読む

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