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その死は弟子たちにも伏せられていた。立川談志、享年七十五。この不世出の落語家に入門したのは十八歳の春だった。それから四十年近く惚れ抜いた師匠から突然の破門宣告。「てめえなんざクビだ」。全身が震えた。怒りの理由が分らない。振り回され、腹を立て、やがて気づいた。大変だ。壊れてるんだ、師匠は――。偉大な師匠(おやじ)の光と影を古弟子(せがれ)が虚実皮膜の間に描き尽す傑作長篇小説。
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Posted by ブクログ
一気に読ませる。 談春の『赤めだか』が出てベストセラーになったのが2008年。談四楼が書評で褒めたら、談志が激怒し、おまえは破門だという。還暦近くになって破門されるとは。なにが悪かったのか、理由がわからない。この時、談志72歳、亡くなる3年前のことだ。 最初は家元の怒りにまともにとりあっていたが、し...続きを読むかし少しずつ異変に気がつき始める。書いてあるエピソードを読むかぎりでは、強迫的嫉妬、記憶障害や相貌失認の症状。病気なのだ。 小説風の展開で、モノローグが随所にあり、回想シーンも頻出する。なまなましすぎて、多少脚色しないと書けなかったということなのかもしれない。 (蛇足。「談志が死んだ」という回文は生前からあった。談志がぴんぴんしている時に、同名の本も出ていた。あえてこの書名にしたのは、談志の死を知った直後のことを冒頭に据えているからか。)
これは本の雑誌ランキングから、だったかな?落語のことを殆ど知らず、談志といえば第1回M-1での辛辣コメントしか思い浮かばないんだけど、ランキング上位に選ばれる以上、門外漢でもいけるのかな、と思って入手。偏ってはいるけど基本的にはお笑い好きだし、立川一門のことなら意外に楽しめるかも、っていう思いも抱え...続きを読むつつ。とはいえ、そもそも本著者のことも知らないし、出てくる名前も殆ど初めて聞く人ばかりとなると、さすがにハードル高めだった(苦笑)。とはいえ、巨星が墜ちたときの一門の混乱とか、だいぶ頭が怪しくなってきていた最後の日々とかは、かなり楽しく読めました。
師匠 談志の死と、かつて同じ師匠の下で修行しながらも袂を分かれることになった同期 小談志の死。 師匠 談志の陰陽を虚実合わせて紡ぐストーリーに引き込まれた。 あくまで、ノンフィクションではなく長編小説という形にしているのが粋。
物書きでもある落語家が描く、稀代の落語家の晩年の日々。師匠の心身の異常による理不尽な仕打ちへの恐怖と悩み、自分も年齢を重ね、かつての師匠が通った道程と照らし合わせたときの思いなどが軽快なリズムの文体から体験できます。 談志はピカソ、と称する山藤さんの言葉が、その生涯を表すのにぴったりだと感じられまし...続きを読むた。
まさに虚実皮膜の間。どこまでが実話でどこからが創作なのか判然としない。 ただ、孤高の天才が直面する老いの問題を巧みに救いとっていると感じた。
談志の懐古本。書かれているエピソードはどれも面白い。しかし談志と談四楼の結びつきがどのようなものであったかはいまいちわからない。 談志がそれほど凄い落語家であったのか、どんな無理難題をふっかけられても、弟子が何も言えないような、それほどのものであったのか。 学生時代(浪人時代?)、後楽園ホール...続きを読むの公開録画に行って談志が司会の「笑点」を見た。たしかにものすごく面白かった、ハチャメチャと言っていい面白さだった。当時の落語もスピード感あふれるハチャメチャだったと記憶している。ただしこの頃は寄席へは行っていない。 このとき「マカオのおかま」という回文が出てきたように記憶している。本の表題になっている「談志が死んだ」もこのとき出てきたような気もするがこちらは確言はできない。 この本によれば談志はピカソのように何度も変わったとのことだが、継続して談志を見ていないのでそれはわからない。 最後に見たのは横浜であった談志の会で、もう病気になってからだった。澤田隆三がプロデュースしていて、志の輔が談志が来るまでのつなぎをやっていた。志の輔が前座をやるくらい談志はえらいんだと思った。 しかし談志の演目は柳亭痴楽の綴り方教室? みたいなもので、朝鮮語なまりでしゃべってみせてもほとんど笑えないものだった。何をやっているのかとがっかりした記憶がある。
一つではなく そのほかにも 秀でているモノを 持っておられる人のモノは やはり面白い 談四楼さんの この「小説」には そのことを強く感じた 立川談志さん 確かに稀有なる噺家のお一人だったろう 古今亭志ん朝さんが亡くなられた時に 「寄席の灯が消えた」などという常套句が 新聞、雑誌に載せられた時 ...続きを読む「けっ 何を言ってやがる 俺(談志)がいる!」 と言われたとか、言われなかったとか、 そんなエピソードを 彷彿とさせられる一冊です
噺家さんが書く文章にはずれはない、まして直弟子がその師匠について記した本書は外しようがない。そこに著されるのは「ここまで書いていいのか」と思うような故人の陰鬱たる面が多いのだが、それが結果的に陽の部分を浮かび上がらせる絶妙な効果になっている。
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