国内文学作品一覧
-
3.7本書は、「カッコいい」男、「カッコいい」女になるための具体的な指南書ではない。そうではなく、「カッコいい」という概念は、そもそも何なのかを知ることを目的としている。 「カッコいい」は、民主主義と資本主義とが組み合わされた世界で、動員と消費に巨大な力を発揮してきた。端的に言って、「カッコいい」とは何かがわからなければ、私たちは、20世紀後半の文化現象を理解することが出来ないのである。 誰もが、「カッコいい」とはどういうことなのかを、自明なほどによく知っている。 ところが、複数の人間で、それじゃあ何が、また誰が「カッコいい」のかと議論し出すと、容易には合意に至らず、時にはケンカにさえなってしまう。 一体、「カッコいい」とは、何なのか? 私は子供の頃から、いつ誰に教えられたというわけでもなく、「カッコいい」存在に憧れてきたし、その体験は、私の人格形成に多大な影響を及ぼしている。にも拘らず、このそもそもの問いに真正面から答えてくれる本には、残念ながら、これまで出会ったことがない。 そのことが、「私とは何か?」というアイデンティティを巡る問いに、一つの大きな穴を空けている。 更に、自分の問題として気になるというだけでなく、21世紀を迎えた私たちの社会は、この「カッコいい」という20世紀後半を支配した価値を明確に言語化できておらず、その可能性と問題が見極められていないが故に、一種の混乱と停滞に陥っているように見えるのである。 そんなわけで、私は、一見単純で、わかりきったことのようでありながら、極めて複雑なこの概念のために、本書を執筆することにした。これは、現代という時代を生きる人間を考える上でも、不可避の仕事と思われた。なぜなら、凡そ、「カッコいい」という価値観と無関係に生きている人間は、今日、一人もいないからである。 「カッコいい」について考えることは、即ち、いかに生きるべきかを考えることである。 ――「はじめに」より
-
3.7穂村弘推薦! 1980年代に彗星の如く現れ、突如姿を消した天才ゴス歌人。 その謎に満ちた生涯を、彼の作品と関係者の証言で追う、異色の伝記小説。 1990年に亡くなった紫宮透(しぐう・とおる)という歌人がいて、友人だったんだけど----。 歌人が遺した31首の短歌から紐解かれていく彼の生涯。 虚構と現実が入り乱れた作品世界で、「私」が見つけた真実とは。 1980年代の日本を舞台に繰り広げられる、当時の若者文化と短歌が混ざり合った「ザ・文化系」の青春グラフティ。 『ゴシックハート』『不機嫌な姫とブルックナー団』の著者、待望の書き下ろし長編小説! ●穂村弘・推薦文 極度に文系な魂のための青春のバイブル、ただし80年代限定版。 著者プロフィール 高原 英理(たかはら えいり) 1959年、三重県生まれ。小説家、文芸評論家。立教大学文学部卒業。東京工業大学大学院博士課程修了(価値システム専攻)。1985年、小説「少女のための鏖殺作法」で幻想文学新人賞受賞(選考委員は澁澤龍彦・中井英夫)。1996年、三島由紀夫と江戸川乱歩を論じた評論「語りの事故現場」で群像新人賞評論部門優秀作を受賞。著書に『怪談生活』『ゴシックハート』(立東舎)、『不機嫌な姫とブルックナー団』(講談社)、『うさと私』(書肆侃侃房)、『ゴシックスピリット』(朝日新聞社)、『抒情的恐怖群』(毎日新聞社)、編著に『リテラリーゴシック・イン・ジャパン----文学的ゴシック作品選』(ちくま文庫) など。
-
3.7
-
3.7七一三年の官命によって編纂された「風土記」。全国各地の産物や土地、神話などを記す古代の貴重な資料である。その地誌としての性格をふまえ「風土記」を読み解けば、日本人に通底する心のありようが見えてくる。 【目次】 はじめに 第一章 「風土記」とはなにか 第二章 「風土記」の時間 序 説 第一節 「風土記」の時間認識 ―「古」「昔」「今」― 第二節 神の歴史 ―オオナムチ神話の国作り― 第三節 天皇の歴史 ―風土記巡行伝説― 第四節 祖先の歴史 ―「祖」「初祖」「遠祖」「始祖」「上祖」の世界― 第三章 「風土記」の空間 序 説 第一節 神話の空間認識 第二節 里長の役割と「里の伝承」 第三節 巡行伝承の空間的再配置 第四章 「風土記」からみた日本文化 序 説 第一節 松になった男女の「罪」と「恥」 第二節 天女の追放 終章 「風土記史観」でみた古代の日本 おわりに 引用文献および参考文献
-
3.7アメリカの作家エドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人事件』(1841年)に始まる推理小説の歴史は、平成28(2016)年で175年を数えます。世界最古の小説といわれる紫式部の『源氏物語』が書かれたのが寛弘5(1008)年ですから、推理小説の175年という数字は、小説の歴史のうえでは決して長いとはいえないでしょう。けれど、名探偵シャーロック・ホームズを創始したイギリスのコナン・ドイルが登場してからというもの、推理小説はイギリスを中心に飛躍的な発展を遂げました。 日本における推理小説は、明治10年代に欧米からもたらされたところから歴史がスタート。明治26(1893)年頃に翻訳物、創作物合わせて一つの頂点に達したのち、停滞期を経て、大正10(1921)年に横溝正史が『恐るべき四月馬鹿』を、翌11年に江戸川乱歩が『二銭銅貨』と『一枚の切符』を発表すると、活況を取り戻しました。以来、推理小説は戦時中の10年ほどの空白を除いて発展の一途をたどり、その勢いは今日まで続きます。 一方、1830年、イギリスに誕生した鉄道は、明治5(1872)年にそのイギリスの指導を仰いで新橋~横浜間で開業して以来、大正時代には旅行の大衆化が一気に進みました。その後、第2次世界大戦で被害にあったものの復興し、昭和39(1964)年には東海道新幹線も開業。日本の経済を時に支え、時に牽引しながらその進展に貢献してきました。そして昭和50年代には国鉄が破綻、民営化されるという経過をたどりましたが、今は再び活気を取り戻しています。本書は、このような推理小説と鉄道双方の歴史と相関関係を踏まえて、鉄道を舞台にした作品、鉄道を主題にした作品などを総称して「鉄道ミステリー」と決め、これはと思われる作品を厳選したうえで時代を追って紹介します。推理小説と鉄道――この二つの相性が抜群によいこともあり、鉄道が重要な要素として、また格好の素材として推理小説に盛んに取り込まれるようになったことは、いわば必然の成り行きだったのでしょう。 ■著者紹介 原口隆行(はらぐちたかゆき) 昭和13(1938)年東京生まれ。上智大学卒業後凸版印刷(株)に入社。 在職中より『鉄道ジャーナル』『旅と鉄道』などに寄稿をはじめ、昭和57(1982)年にフリーに。 著書に『時刻表でたどる鉄道史』『日本の路面電車I・II・III』『鉄道唱歌の旅 東海道線今昔』(以上JTB)、 『イギリス=鉄道旅物語』『イタリア=鉄道旅物語』(以上東京書籍・共著)、 『文学の中の駅』『鉄路の美学』『汽車ぽっぽ最後の時代』(以上国書刊行会)、 『最長片道切符11195.7キロ』(学習研究社)、『ドラマチック鉄道史』(交通新聞社)など。
-
3.7
-
3.7
-
3.7
-
3.7
-
3.7
-
3.7
-
3.7
-
3.7
-
3.6自分にないものを思って憂うのではなく、 他のひとにはなくて、 私だけが持っているらしいもののことを考えよう――。 国境と言語を跨いで射し込む光に照らされた、日本と台湾、4つの物語。 ――これからあたしたちは、飛行機に乗ってパパのところに行くのよ。 幼い頃、父と一緒に暮らすため、母と共に台湾から日本へ旅立った「私」。 四十年が経ち、祖母の葬儀に出席するため台湾に向かう「私」の心に蘇るのは、 かつて耳にした台湾語と懐かしい家の光景、亡き母の朗らかな歌声だった。(「二匹の虎」) 表題作「恋恋往時」や姉妹編「二匹の虎」をはじめ、 しなやかな生のありようを描いた4作を載録する作品集。 【著者略歴】 温又柔(おん・ゆうじゅう) 1980年、台北市生まれ。両親とも台湾人。幼少時に来日し、東京で成長する。2009年、「好去好来歌」で第33回すばる文学賞佳作を受賞しデビュー。2016年、『台湾生まれ 日本語育ち』で第64回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。2020年、『魯肉飯のさえずり』で第37回織田作之助賞受賞。著書に『来福の家』『真ん中の子どもたち』『空港時光』『永遠年軽』『祝宴』、木村友祐との往復書簡『私とあなたのあいだ――いま、この国で生きるということ』、編著に『李良枝セレクション』など。
-
3.6
-
3.6「徒然草」は過激な思想書だった! 世をはかなんだ老人が書いた退屈な古典――。 『徒然草』をそんな風に思っていないだろうか? それは大間違いだ。 作者の兼好法師は「腐った世の中と戦え」と叫んでいる。 兼好は言う。「世論に流されるな! 」「高を括るな! 」「知ったような顔をするな! 」 「不安に支配されるな! 」「常識を疑え! 」と。 いくら知識があっても過ちを犯すのは今も昔も同じ。 そこで重要なのが「見識」だ。 『徒然草』には兼好法師の見識力の高さが至るところに見られる。 急速にデジタル化が進む現在、人間関係も言論でも本質が見えにくくなった。 そんな時代だからこそ、改めて『徒然草』から学びたい。
-
3.6「なぜもっと早くいらっしゃらない?」 廃墟に響いた幽霊の声―― 100年前、「田園の憂鬱」で一躍文壇に躍り出ながら、極度の神経衰弱に陥った佐藤春夫は台湾へと旅立つ。そこで目にしたもの、感じたものは、作家の創造力を大いに刺激した。台湾でブームを呼ぶ表題作など、台湾旅行に想を得た、今こそ新しい9篇。ミステリーあり、童話あり。異国情緒のなかに植民地への公平なまなざしと罪の意識がにじむ。文豪・佐藤春夫評価に一石を投じる文庫オリジナル企画。 収録作 「女誡扇綺譚」 「鷹爪花」 「蝗の大旅行」 「旅びと」 「霧社」 「殖民地の旅」 「魔鳥」 「奇談」 「かの一夏の記」
-
3.6※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人気シリーズ「乙女の本棚」第21弾は谷崎潤一郎×イラストレーター・夜汽車のコラボレーション! 小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。 お前さんの命を貰った代りに、私はさぞ美しくなったろうねえ 刺青師の清吉には、いつか理想の美女の肌に刺青を入れたいという野望があった。 谷崎潤一郎の『刺青』が、ノスタルジーを感じさせる美しい作品で大きな話題を呼び、本シリーズでは坂口安吾『夜長姫と耳男』を担当するイラストレーター・夜汽車によって描かれる。 名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。 自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
-
3.6
-
3.6※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 古典として時代を超え読み継がれている『古事記』。「八岐大蛇」、「因幡の白兎」など誰もが聞いたことがある物語への興味から、また、「国生み」「天孫降臨」「ヤマトタケルの遠征」など、壮大なスケールで繰り広げられると神々の物語の魅力から、最近では若い層にも人気が広まっている。 「八岐大蛇」や「因幡の白兎」「天の岩屋戸」――うろ覚えでも一度は聞いたことがあるであろう、これらの物語はすべて『古事記』に収められています。またスサノオやアマテラスオオミカミ、ヤマトタケルなどその名前は知っていても詳しくは知らないという人も多いのでは。この世の始まりから神々の誕生、日本の国土の形成、列島の統一、天皇の誕生と歴代天皇の業績など、古事記にはたくさんの「日本のルーツ」が記されています。だからこそとても興味深く感じるのです。人物紹介、相関図や、名場面、地図などの図版により、ビジュアルにわかりやすくした決定版です。
-
3.6
-
3.6
-
3.5日清戦争前夜,古代伝説の地出雲から,軍都の色彩を強めていた熊本に移住したハーン.旅の宿屋で夢のあわいに浦島伝説へと入りこんだような「夏の日の夢」,一つの心中事件を描いて日本人の〈信仰〉に迫る「赤い婚礼」他,〈詩人の直観と哲人の思索〉に基づく繊細な筆をもって書き綴った,近代日本の肖像.(解説=西成彦)
-
3.5※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人気シリーズ「乙女の本棚」第49弾は、文豪・堀辰雄×イラストレーター・粟木こぼねのコラボレーション! 小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし こうして私の脱皮はすでに用意されつつあった。そしてただ最後の一撃だけが残されていた。 寄宿舎に入れられた十七歳の「私」。学友たちとの交流を通じて、彼の中に何かが生まれつつあった。 堀辰雄の名作が、映画のワンシーンを切り取ったような美しさを持つ作品で人気を集め本シリーズでは江戸川乱歩『悪霊物語』を担当するイラストレーター・粟木こぼねによって描かれる。名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。 自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
-
3.5『文豪ストレイドッグス(文スト)』の原作者・朝霧カフカ監修! 破滅願望、借金癖、薬物中毒、メンヘラ、少女趣味、不倫癖、酒乱、超甘党、重度の潔癖症、超短気――。 あなたは知っていますか? 日本の文学史に燦然と輝く文豪たちが、じつは驚くべき“癖(へき)"に囚われていたことを。 芥川龍之介や太宰治の目を疑うような破滅的な行動、夏目漱石や森鴎外の常軌を逸した食への偏執、川端康成や石川啄木の型破りな借金や金遣い、谷崎潤一郎や田山花袋の変態的な性癖など、35人の文豪がとり憑かれた衝撃の嗜好・性向・こだわり・性分を徹底的に深掘りします。 彼らの人間味あふれる“こじらせ"エピソードを読めば、きっとあなたも彼らの新たな魅力に気づくはず! [目次] 【第1章】破滅や衝動の癖(へき) 生きるべきか「死ぬべきか」……生涯の大問題 -------------------------------------- 芥川龍之介 「唯ぼんやりした不安」 狂気に囚われることに怯え自死を選んだ不世出の天才 太宰 治 「死にたがり」の意気地なし 人を恐れ、死を恐れ、そして愛を恐れて人間失格 有島武郎 最期は人妻と縊死心中 追いこまれた理想主義者の愛のカタチ 坂口安吾 “堕落"に憧れた革命児 破天荒にも見える生き方は敏感と繊細の裏返し 【第2章】嗜好や偏愛の癖(へき) 選ばれし者たちがハマった奇妙なこだわり -------------------------------------- 夏目漱石 ジャムを舐めすぎてドクターストップ? 吾輩は“超超超甘党"である 森 鴎外 ドイツで衛生学を学び潔癖症をこじらせて悪食に 饅頭茶漬けを好んだ文豪 志賀直哉 生涯の転居数は20回以上 居住地を作品に昇華した小説の神様の引越し癖 江戸川乱歩 エロ・グロ・ナンセンスとフェティシズムに彩られた 探偵小説の草分け 檀 一雄 原稿なんてそっちのけ? 頭の中は料理・料理・料理 火宅の人は“料理人" 安部公房 ワープロをいち早く導入 最新テクノロジーを偏愛しノーベル賞に近かった男 澁澤龍彦 サドを広めた博覧強記な文学者の 純粋無垢なガラクタ蒐集 【第3章】依存や中毒の癖(へき) ワラにもすがる思いに呑まれて泥沼に -------------------------------------- 中原中也 度を越した“ダル絡み" 酔うとケンカをふっかける酒に溺れた天才詩人 石川啄木 近代短歌のパイオニアは無類の女好きで借金魔 川端康成 ギョロッとした目で威圧し ためらいなく借金しまくるノーベル文学賞作家 梶井基次郎 檸檬を置いた文学青年の繊細なイメージとは対照的 野蛮でがさつな酒乱 直木三十五 大衆文学の評価を高めたが 行き当たりばったりで借金まみれの濫費ヤロウ 【第4章】恋愛や性欲の癖(へき) プラトニックからフィジカルまで恋の呪縛 -------------------------------------- 谷崎潤一郎 文体を巧みに操る耽美派は 女性に踏まれたがるドMな足フェチ 国木田独歩 武蔵野の林を愛した自然主義文学の先駆者は 重度のメンヘラ気質 田山花袋 “蒲団"の匂いを嗅いだ? 少女趣味でストーカーで髪の匂いフェチな妄想家 岡本かの子 年下男子からモテモテ「一妻多夫」の女人ぼさつ 織田作之助 二股上等!! 浪速のモテ男に同居する クズなたらしこみと一途さ 与謝野晶子 嫉妬の炎に身を焦がす情熱の歌人はダメ夫フェチ 永井荷風 付き合った女性の経歴や花街に通い詰めた日乗を 事細かに書き留めた女好き 樋口一葉 24歳の若さで逝った“こじらせ女子"の初恋が 「奇跡の14カ月」として結実 島崎藤村 恋愛対象は生涯ずっと20代 姪まで妊娠させた写実派作家の恋愛暴露癖 宇野千代 規格外れの楽観主義者 天真爛漫な恋愛体質で百歳近い生涯を生き抜く 【第5章】気質や性向の癖(へき) “偏執"の深淵を覗き続けたからこその習性 -------------------------------------- 三島由紀夫 仮面の下には劣等感? 筋肉フェチで美を追求 尾崎紅葉 親分肌で多くの弟子を育成 日本初の文豪は超短気な江戸っ子気質 泉 鏡花 日本酒は煮立たせて飲む 幻想文学の大家は胃弱で度が過ぎる潔癖症 菊池 寛 文藝春秋の創業者は 天性のお人好しでお金をばらまくおごり魔 折口信夫 極度の潔癖症に女性恐怖症、異常な量の食料備蓄…… “マレビト"の執着と執念 夢野久作 怪奇幻想小説の奇才が抱く父親への強い愛着と依存 宮沢賢治 作品には最愛の妹の影 禁欲・独身主義の天才童話作家はシスコン? 北原白秋 思い込んだら一直線 誌上で周囲にケンカを売る“激情癖"の詩人 中島 敦 謹厳で繊細な作風とは真逆 短編の名手の放蕩人生と主体性のない“流され癖"
-
3.5盛者必衰の嫌われ者なのに なぜ平家に心を寄せてしまうのか? 多くの作者たちが書き足し、書き変えてきた壮大な物語を、 図解でわかりやすく解説した入門書の決定版! 鎌倉から南北朝期にかけ、多くの作者たちによって練り上げられた『平家物語』。 史実をベースにしながらも巧みに時を操り、歴史的人物のキャラクター化がなされてきました。 そこには作為があり、政治的背景が隠されています。 本書は覚一本『平家物語』をもとにそれらを紐解き、あらすじや有名エピソードのほか、当時の武士・貴族の行動や考え方なども解説しています。 本書は、『平家物語』の入門書として最適なだけでなく、その複雑さを読み解くことでより深く楽しめるように構成されています。 平安武士の生き様がマルわかりの1冊です。 実は、『平家物語』は滅びの美学や、「諸行無常」を語るための書ではなかったのです。
-
3.5※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人気シリーズ「乙女の本棚」第39弾は、文豪・谷崎潤一郎×イラストレーター・ねこ助のコラボレーション! 小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。 私はむしろ人間よりも人魚の種属に堕落したい。 歓楽の絶頂を極め、なお新たな楽しみを求めつつもそれが手に入らない貴公子。あるとき彼は、珍しいものを扱う外国人に出会う。 谷崎潤一郎の名作が、書籍の装画、ゲーム、CDジャケットなどで美麗な人や獣を描き本シリーズでは『ルルとミミ』『鼠』『魚服記』『山月記』『赤とんぼ』を担当するイラストレーター・ねこ助によって描かれる。名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。 自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
-
3.5※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人気シリーズ「乙女の本棚」第38弾は、文豪・太宰治×イラストレーター・すり餌のコラボレーション! 小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。 ああ。この誘惑は真実に似ている。あるいは真実かも知れぬ。 おおきな海を渡った先は、深い霧に包まれた島だった。そこで私は同郷の者と出会い、ある決意をする。 太宰治の名作が、水墨画のような柔かな色合いの和風イラストで話題のイラストレーター・すり餌によって描かれる。名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。 自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
-
3.5男たちは日記を書き、女たちは歴史を書いた 2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』の最良の手引き! 物語が女の人生を照らし、男たちの政治をも動かす――。 宮廷を中心に文学が花開いた平安時代。 壮大な人間ドラマである『源氏物語』はいかにして書かれ、どう読まれたか? セクシュアリティと権力の観点から平安文学を読み解いてきた日本文学研究者が、紫式部と同時代を生きた男たちの実像を通してその歴史を描き出す。 〈目次〉 はじめに 紫式部はなぜ『源氏物語』を書いたのか 第1章 『源氏物語』の時代 第2章 摂関政治下の色好みの力 第3章 すべては『蜻蛉日記』からはじまった 第4章 女の物語の系譜 第5章 呪いと祈祷と運命と 第6章 女房たちの文化資本 第7章 『源氏物語』はどう読まれたか 第8章 女が歴史を書いた おわりに 色ごとが政治に直結していた平安時代。女房たちが宮廷に出仕し、和歌や散文を読む教養あふれるサロンが形成され、そのサロンの趨勢もが政治を左右しました。紫式部をはじめとする女たちが物語を書き、その物語が女たちの人生を照らし、時に男たちの政治をも動かす。物語と現実とが深く響き合った稀有なこの時代の手触り、そして人々の生きざまを、『源氏物語』を読み解きながら蘇らせる、めっぽう面白い一冊が誕生! 〈性と権力〉に着目して平安文学を読み解いてきた著者・木村朗子さんの鋭くも小気味よい読みに誘われ、いつしか紫式部の人生、『源氏物語』の神髄に触れることになるはずです。 2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』のまたとない手引きである本書、ぜひお読みください。
-
3.5
-
3.5男は何故、61年も服役しなければならなかったのか。 更生と刑罰をめぐる、密着ドキュメンタリー。 令和元年秋、1人の無期懲役囚が熊本刑務所から仮釈放された。 「日本最長」61年間の服役期間を経て出所したのは、80代のやせ細った男。 出所後も刑務所での振る舞いが体に染みつき、離れないでいた。 男はかつてどんな罪を犯し、その罪にどう向き合ってきたのか? 一地方放送局の記者2人とディレクター1人の取材班は、男に密着取材を行った。 更生の物語を期待し、取材を進めるものの、一向に態度が変わらない男。 それでも彼らは、この謎めいた男がなぜ服役し、どう罪と向き合ったのか 伝えることをあきらめなかった。 取材班が一丸となって、各々の巧みな取材手法を使い分け、番組制作を進めていった。 度々の全国放送が見送られつつも、 いよいよ放送前日となったある日、取材班に衝撃的な連絡が入った。 その時、彼らがとった行動とは―― 「更生」とは。「贖罪」とは。そして「報道」とは。 3年にわたる取材の全記録。 【目次】 【目次】 はじめに 第1章 その男との出会い 第2章 偶然か、必然か 取材班結成秘話 第3章 プリゾニゼーションの現実 第4章 裁判記録、その入手までの長い道のり 第5章 日本一長く服役した男“誕生”の秘密 第6章 彼は「ありがとう」と唱え続けた 第7章 刑務官たちの告白 無期懲役囚と社会復帰の理想 第8章 遺族はいま 母との思い出を辿って 第9章 もう一度、問いかけることができたなら 終章 〈鏡〉としての日本一長く服役した男 おわりに 注・参考文献
-
3.5※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人気シリーズ「乙女の本棚」第29弾は、文豪・泉鏡花×イラストレーター・しきみのコラボレーション! 戯曲としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。 人の生命のどうなろうと、それを私が知る事か! ......恋には我身の生命も要らぬ。 竜神が住むといわれる夜叉ヶ池。1日3回鐘を撞かなければ、池から津波が起こり、村は水の底に沈んでしまうという言い伝えがあった。 泉鏡花の名作が、有名ゲームのキャラクターデザインなどで知られ、本シリーズでは萩原朔太郎『猫町』、『詩集『青猫』より』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』、夏目漱石『夢十夜』、坂口安吾『桜の森の満開の下』、谷崎潤一郎『魔術師』を担当する大人気イラストレーター・しきみによって描かれる。 名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。 自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
-
3.5※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人気シリーズ「乙女の本棚」第27弾は、詩人・中原中也×イラストレーター・まくらくらまのコラボレーション! 詩集としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。 汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる 30歳でこの世を去った詩人による、生前に刊行された唯一の詩集。 中原中也の『山羊の歌』が、アンティークのような不思議な魅力を放つイラストで話題の大人気イラストレーター・まくらくらまによって描かれる。 名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。 自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
-
3.5阿片に溺れた友人の謎、遺書が語る恋と殺人、妻への妄執が生む惨劇――。江戸川乱歩が「大正期文壇の一角に燃え上がった、かくの如き犯罪と怪奇への情熱」と評した幻のミステリ特集号、「中央公論」秘密と開放号(大正七年七月臨時増刊)を現代に復刻。七編の創作と佐藤・乱歩の随筆を収録したアンソロジー。〈解説〉北村 薫 ◆目次 ・一般文壇と探偵小説/江戸川乱歩 ・指紋/佐藤春夫 ・開化の殺人/芥川龍之介 ・刑事の家/里見弴 ・肉屋/中村吉蔵 ・別筵/久米正雄 ・Nの水死/田山花袋 ・叔母さん/正宗白鳥 ・「指紋」の頃/佐藤春夫 ・解説 大正七年 滝田樗陰と作家たち/北村 薫
-
3.5
-
3.5※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人気シリーズ「乙女の本棚」第22弾は室生犀星×イラストレーター・げみのコラボレーション! 詩集としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。 ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの 故郷・金沢への思いやその風景をうたった作品が中心となった第2詩集。 室生犀星の『抒情小曲集』が、 書籍の装画やCDジャケットなどで活躍し、 本シリーズでは、小川未明『月夜とめがね』、 梶井基次郎『檸檬』、芥川龍之介『蜜柑』を担当するなど 幅広い世代から支持を得ているイラストレーター・げみによって描かれる。 名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。 自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
-
3.5第12回コミチ漫画大賞受賞作。 幼なじみ2人がたどった1000日を綴り、Twitterで「泣ける」との声が殺到した純愛物語。 幼稚園の入園式で出会ったおさむとつかさはすぐ、“ふうふ”とからかわれるほどの仲良しに。 おだやかでちょっと不器用なおさむ。感情豊かで友達想いなつかさ。 やがてふたりは青春期を迎え、大人になり、それぞれ別の道を歩みはじめた。 しかし、つかさに起きたある出来事をきっかけに、ふたたび人生が重なりはじめる。 コロナが明けたら…。 ふたりが交わした約束とは? たまごっちやmixiから、コロナまで、それぞれの時代に流行したものを背景に描きながら、成長していくふたりの姿に、思わず自分の人生を重ね合わせてしまう。 コロナが明けたら…。 どこにでもいる男の子と女の子を主人公に、いま、誰もが考える未来に向けて、ユーモアを交えながら描いた喪失と再生、そして希望の物語。 きっとあなたは、3回涙します。
-
3.5
-
3.5
-
3.5※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 時代を超え、遠い憧憬を呼びさます鏡花の傑作短篇、初の画本化! 異界を覗く愉悦と甘美な慄き! 言語のみを媒介として組み立てられた、 鏡花の自我の奥底にひそむドラマの構造が、 私の目にありありと映り、その超現実的な 言語体験を私もまた痛切に共有し得るという、 芸術作品の秘密は何であろうか。 澁澤龍彦 (『偏愛的作家論』より) 尾崎紅葉のもとで小説修業をし、作風は、川端康成、石川淳、三島由紀夫、澁澤龍彦らに多大な影響を与えた、 泉鏡花の幽玄華麗な文体が煌めく名作短篇。 金沢の年間約2万人、開館以来、約40万人が訪れた、泉鏡花記念館で開催予定の 「泉鏡花×金井田英津子『絵本の春』原画展」公式画本。 こちらが覗けば向こうからも、というわけで魔の小路を覗いた 少年は美しいあやかしに微かな毒意を秘めたいたずらをされます。 鏡花の少年は常に無垢で純粋な魂の標号のような存在ですが、 それが無惨なもの悪意あるものと対置されるとき、私にはちょうど 手で作った窓のような装置となって束の間の幻想を見せてくれるように 思われました。 ―「あとがき」より―
-
3.5
-
3.5※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人気シリーズ「乙女の本棚」第14弾は夢野久作×イラストレーター・ホノジロトヲジのコラボレーション! 小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。 「私の運命を決定《きめ》て下さい」浦塩の町で、一人の男が話しかけてきた。彼が語るのは、兵隊時代の話と、それにまつわる「死後の恋」についてであった。 夢野久作の『死後の恋』が、有名ゲームのキャラクターデザインなどで知られ、本シリーズでは夢野久作『瓶詰地獄』、泉鏡花『外科室』を担当する大人気イラストレーター・ホノジロトヲジによって描かれる。 名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。 自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
-
3.5
-
3.5南京虐殺事件を中国の知識人の視点から記した『時間』、時代を冷静に見つめる観察者を描いた『方丈記私記』『ゴヤ』などの評伝、『インドで考えたこと』『上海にて』などアジア各国を歴訪して書いた文明批評など、数多くの優れた作品を残した作家、堀田善衞(一九一八~一九九八)。堀田が描いた乱世の時代と、そこに込めた思いは、混迷を極める現代社会を生きる上での「羅針盤」として、今なお輝きを放つ。堀田作品は、第一線で活躍する創作者たちにも多大な影響を与え続けている。堀田を敬愛する池澤夏樹、吉岡忍、鹿島茂、大高保二郎、宮崎駿が、堀田善衞とその作品の魅力、そして今に通じるメッセージを読み解く。 【目次】はじめに 『方丈記私記』から 富山県 高志の国文学館・館長 中西 進/第一章 堀田善衞の青春時代 池澤夏樹/第二章 堀田善衞が旅したアジア 吉岡 忍/第三章 「中心なき収斂」の作家、堀田善衞 鹿島 茂/第四章 堀田善衞のスペイン時代 大高保二郎/第五章 堀田作品は世界を知り抜くための羅針盤 宮崎 駿/終章 堀田善衞 二十のことば 富山県 高志の国文学館/おわりに/【年表】堀田善衞の足跡/付録 堀田善衞 全集未収録原稿──『路上の人』から『ミシェル 城館の人』まで、それから……
-
3.5明治から現代までの作家の名品を、作品の時代背景順に収める『近現代作家集』。III巻には日本文学の未来を切り拓く18篇を集成。内田百間、村上春樹、津島佑子、筒井康隆など。 昭和から平成、「3・11」、そして宇宙へ。 日本文学の未来を切り拓く名品18篇 解説=池澤夏樹 月報=池澤春菜・山本貴光
-
3.5
-
3.5対照的な二組の夫婦と復員兵の愛をめぐる心理小説の傑作『武蔵野夫人』とその創作過程に関する「『武蔵野夫人』ノート」、南方での戦争体験を元にした思索的小説『俘虜記』から「捉まるまで」等三篇、ユーモア溢れるおとぎ話の続編「一寸法師後日譚」、花柳小説の佳品「黒髪」、神話と文学の起源をさぐる評論「母と妹と犯し」、昭和天皇重篤に際して心情を綴った「二極対立の時代を生き続けたいたわしさ」など、戦争と人間の真実を、理性と知性に基づいて希求した戦後文学最高峰の多面的な魅力を示す。 解説=池澤夏樹 月報=青山七恵・大林宣彦
-
3.5
-
3.5
-
3.5本書は、性愛にまつわる内容に焦点を当てながら、古典文学の魅力に「裏口」から迫る文学入門。『古事記』『源氏物語』、近松に西鶴、さらには近世の奇談集などあまり知られていないものまで、ありとあらゆる性模様が展開される! エロ、グロ、BL、なんでもありの底抜けエロス、フルスロットルの全54篇。『古事記』や『源氏物語』が大らかな性やきらびやかで奔放な恋愛を描いたものであることを知る人は多いでしょうが、そもそも日本の古典文学は、今から見れば「とんでもない」物語の宝庫なのです。異常性愛やストーカー・変質者まがいの人物・出来事はもちろん、動物虐待、幼児虐待、倒錯した愛など、現代のほうがよほどおとなしく見えるような話の数々を、文学史を概観しながら伝えてくれる本書は、現代とは違う価値観の中で、人々がどのように生きていたかを伝えると同時に、「クールジャパン」と呼ばれる日本独自の文化が脈々と受け継がれていることも明らかにします。現代に生き続ける古典、という認識を「学術的」にではなく、「実感として、生きたものとして」感じさせてくれる一冊です。
-
3.5
-
3.5日本の近代文学史上、稀代の私小説作家として知られ、数々のベストセラーを生み出した水上勉の生涯を、実子である無言館館主が書き下ろす、注目の力作。戦前、小説家になることを志し、福井から上京した水上は、食うや食わずの状態で転職を重ねながら、やがてある女性と同棲、彼女は一子を設ける。いろいろな事情で父母は幼な子を他家に養子に出すことになるのだが、その子が著者だったことは、これまで水上の『冬の光景』などに詳しい。一方戦後三十余年を経て、著者は「父」と奇跡の再会を果たす。二十年もかけて実父を捜し歩いた記録はNHKの連続テレビドラマで放映されたこともあり、感動的な物語としてよく知られるところとなっている。早い話、父母から捨てられた形ではあったが、その後著者は「父」を許すどころか、敬意をもって接することとなる。本書は〈わたしは父親の真実を知りたいという欲求におそわれる。その「人」に惹かれる。何とかして、その「人」を知りたいと思う〉という著者の強い意欲がもたらしたもので、丹念な資料収集や作品の精読はもとより、何よりも「父」との対話を通じて、評伝を超えた評伝としての姿を見せている。
-
3.5
-
3.5
-
3.5
-
3.5
-
3.5
-
3.5
-
3.5
-
3.5
-
3.5貴族文化が咲きほこった平安時代だが、庶民の生活は追いはぎ・盗賊が横行し、災いや鬼や魔物たちにおびえながら暮らす、混沌の世界だった。『今昔物語集』には、武士・僧侶・農民といった、それまでの文学では無視されがちだった人々が主人公として登場し、人間ドラマを展開する。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。
-
3.5『落窪物語』は、早くに母を失った姫君が、継母にいじめられ、苦労しながらも、やがてすばらしい貴公子とめぐりあい、幸せを得る物語である。このストーリーの基本的なパターンは、シンデレラに代表されるが、古来、世界各地で作られ、今に語り継がれている。平安時代に書かれたこの物語も、みやびな恋物語というより、生身の人間の喜怒哀楽を興味深く描いた大衆文学として、長く読み継がれ、語り継がれてきたロングセラー小説の一つである。