灰谷健次郎の一覧
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ユーザーレビュー
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古い作品だが、読み込む中でその世界観に入り込み今の時代でも感動を与えてくれる。昔だからではなく、今でも同様の問題や大事な考え方のヒントがあった。
鉄三や処理場の子供達の中に宝物があった。子供に必死に向き合った教師達たちから葛藤の中から得られる大事なものや人生の尊さも感じた。
Posted by ブクログ
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神戸の沖縄料理店に集まる沖縄出身の人々の過去の秘密や悲しみを、小学6年生のふうちゃんの目を通して描いた物語。
途中までは可もなく不可もなくと言った感じのやや重苦しい作品でしたが、キヨシ君が出てきてからはかなり面白かったですし、またいろいろと心に残る言葉の散りばめられた素晴らしい作品でした☆
最後
...続きを読むのピクニックはめっちゃ泣けましたし、ろくさんの娘さんの話のほか、いろいろと心に残った言葉はありますが、なにげに一番心に残ったのは、ときちゃんという地味で目立たない女の子が先生宛てに書いた手紙。あと、重苦しい話も多い中、ギッチョンチョンとれい子さんのデートの話は最高に面白く、かつ、心温まる感じでした☆朝ドラ「ちむどんどん」を見ていてどうにもピンと来なかった人には特におススメ!!
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p256
ギッチョンチョンは本当に嬉しそうだった。そんなギッチョンチョンを見て、良かったと、ふうちゃんは思うのだった。「アカナ」を歌うふうちゃんを、キヨシ少年はじっと見ていた。――あいつ、ええやつやな。チビのくせに、あんなええやつおらへんな。ほんまに、あいつ、ええやつや。
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Posted by ブクログ
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大学を出たばかりの新任教師・小谷芙美先生が受け持ったのは、学校では一言も口をきこうとせずハエを可愛がっているのが原因でトラブルを起こしている一年生・鉄三。
決して心を開かない鉄三に打ちのめされる小谷先生だったが、鉄三の祖父・バクじいさんや同僚の「教員ヤクザ」足立先生、そして学校の子どもたちとのふれ合
...続きを読むいの中で、苦しみながらも鉄三と向き合おうと決意する。
そして小谷先生は次第に、鉄三の中に隠された可能性の豊かさに気付いていくのだった。鉄三のことを知るためにハエのことを勉強していく中で、鉄三はバイ菌のついているハエを飼わないことやハエ博士と呼ばれるくらいハエに詳しいことを知る。鉄三が興味あるハエの研究を小谷先生が手伝う中で、字や絵を書いたり勉強するようになった。
小谷先生は、鉄三と暮らすバク爺さんの壮絶な過去を知る。小谷先生は、鉄三の他の子の家をまわって子供の勉強をみたりするようになった。
伊藤みな子という走るのが好きな女の子が、小谷学級に転入してくる。みな子は自分のものと他人のものの区別がつかないので、隣の子の給食をとって食べたりする。
小谷先生は小谷学級の子と相談して、交代でみな子の世話役をするみな子当番をすることになった。
鉄三のハエの研究が、近くのハム工場のハエ対策に役立った。ゴミ処理場の移転に反対した子供がストライキしたり、小谷先生たちも子供たちと戦う。
学校と家庭の荒廃が叫ばれる現在、真の教育の意味を改めて問いかける。すべての人の魂に、生涯消えない圧倒的な感動を刻みつける、灰谷健次郎の代表作。 2006年11月に逝去された、故灰谷健次郎氏の文壇デビュー作。
1997年の神戸連続児童殺傷事件の報道姿勢に対して新潮社からの版権引き上げなど、政治的な立ち位置は賛否両論あろうが、本作について言えば、日本における児童文学の金字塔であると断言できる。
共に助け合い暮らしていく中で、個人個人が人間的に成長出来るし世界が良くなっていく。教育とは、育った環境が違う者同士が学び合うもの。
優しさとは、苦労や喜びを分かち合うこと、寄り添うことであることそして死んだ生き物の命に感謝をして生きることであることを、バク爺さんは拷問にあって裏切り死なせた親友の命を、足立先生は貧しさから子供の頃一緒にどろぼうした兄貴の命を背負い生きる生き方やゴミ処理場の子供たちの優しさとたくましさを通して描かれていて、時代を越えて読み継がれるべき児童文学の傑作です。
「人間が美しくあるためには抵抗の精神をわすれてはなりません」
Posted by ブクログ
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作者の兄が自殺し、成績重視の教育界に疲れはて、流れついた沖縄で、彼は命は生きているものだけのものだけではなく死んだ命と繋がり生き生かされていること、痛みを分かち合うことを学びました。そのことがこの小説に込められています。
時は1975年。神戸市に住む大嶺芙由子は小学6年生の少女で、周囲からは「ふうち
...続きを読むゃん」と呼ばれている。
父は半年前から突然精神状態が不安定になり、心身症と診断されていた。
芙由子の母は、「てだのふぁ・おきなわ亭」という大衆料理店を営み、店には沖縄出身の人々が常連として集う。
その一人が、やはり沖縄出身で母に捨てられたキヨシ少年を店に連れてくる。だが、キヨシはそんな善意を無にするように、相手の金を盗んで姿を消してしまう。
芙由子が沖縄の風習にある風車を常連たちに配ったとき、沖縄戦の集団自決で片手を失ったロクさんは外で風車を握ってすすり泣いた。
芙由子は父が「ふうちゃんが殺されるやろが」と発作の時につぶやいたことを思い出す。父の主治医から「沖縄ではいろいろなことがあったらしいから、それが原因ではないか」と聞いた芙由子は、沖縄について調べ始める。
沖縄料理店が舞台だけに、ラフテーなど美味しそうな沖縄料理が食欲をそそりますけど、メインはふうちゃんが「てだのふぁ」の常連ギッチョンチョンから沖縄戦のことなどを教わるパートやキヨシ少年との交流で、沖縄戦で日本軍は沖縄決戦を前に日本軍は3分の1の兵力を他の地域に移したそのために女性や子供を含めた多数が死んだことなどを知り理解していく中で、本当の優しさは相手の苦しい歴史を知ることそして生きている人の中で死んだ命が生きていることを理解すること、本当の歴史の勉強とは身近な人の歴史を知り勉強することであることを知る展開で、今の日本に欠けているものの正体を考えさせる内容になっています。
Posted by ブクログ
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いるかさんの本棚で見かけて気になっていた一冊。心が温まりました。1974年刊行。教師経験を持つ灰谷健次郎作。日本児童文学者協会新人賞、第一回路傍の石文学賞受賞作品。もしかしたら子どもの頃に読んだことがあるかも。塵芥処理所のある町の小学校を舞台に新卒の女性教師が個性豊かな児童たちと共に成長する姿が描か
...続きを読むれています。22歳の小谷先生。自分がこの歳の時はこんなに立派じゃなかった汗 兎の眼とは、小谷先生の好きな西大寺の善財童子の眼。静かな光をたたえた優しいその眼を、人の眼ではなく兎の眼と見て、それを美しいと感じる小谷先生の心の美しさ。作中で出てくる小谷先生の恩師の言葉「人間が美しくあるために、抵抗の精神を忘れてはいけません」この場合の抵抗とは、周りに流されず正しいと思うことを貫く、ということなのでしょう。貴賤で人を差別せず、受持ちのクラスに進んで障害児を受け入れ、子どもたちにまっすぐ向き合う小谷先生の姿勢が、石のように押し黙って喋らない鉄三の心を開き、他の生徒やその親たちも変えていきます。YUMEさんが描く子どもたちの表情が生き生きしていてとてもよかったです
Posted by ブクログ
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