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放送局のディレクターを辞した葛原順は、三五歳にして初めて臨時採用の中学の先生になった。受け持ったクラスは、一筋縄ではいかない生徒たちが談論風発。陳腐な価値観の押しつけ、型通りの授業などは即刻一刀両断に。周囲の教師は、「札付きですから厳しく締め付けないと…」と繰り返すばかり。あらかじめ生徒を偏見でみることだけはしないという信条を頼りに、葛原は素顔の生徒に向き合う。だが、丸刈りに反対して学校に通わない少年、一切口をきかない少女、そして神経症の闇に沈む妻透子の存在が、葛原に大きな問いを投げかけていく。子供から学ぶことの大きな可能性を伝える感動の小説。
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Posted by ブクログ
子供の素直な疑問をストレートな表現でぶつけられると、それがあまりに的を得ているので、大人は返答に窮することがありますな。
オトナの世界には、「落としどころ」という、双方にとって都合のいい空間というか、そんなものが用意されておりまして、だからなのかはわかりませんが、納得のいくまで説明せずに曖昧な決断をしているように子供からは見えるのかもしれないし、実際にそうなのかもしれませんな。それを「そうだ」と指摘されたら「なんだと小童がー!」といきり立ったりして、どっちが大人なんだか・・・。
とかなんとかワヤワヤと意味不明の文章をまとめきれずに書き綴っておりますが、この本は、またしても素晴らしい内容でして、帯にもコメントがありますが
「なにも言わなくていいから、ぼくたちのこと もっとよく見て。
すべての親へ、教師へ、子供と関わる人たちへ」
つまりは、全国民の皆様に御一読いただきたい一冊なのでありますな。
Posted by ブクログ
2008.10.15.
2006.05.14. こんなに気骨ある中学生がいるだろうか。読むたびにそう、思ってしまう(違和感としてでなく感嘆として)。荒れてると言われる札付きのクラスメイトたちは、おのおのの個性を踏みにじられて嫌になっていたんだ。そこへ、「偏見を持たない」を信条に臨時採用で担任になった葛原が現れ、子供たちの心を拾い上げていく…。ラスト、本当に感動するよ。やっぱり、灰谷さんの作品はすごい。灰谷さんは今の教育をどう見ているんだろう…。
2005.6.15. 気骨のある中学3年生。今、ヒキコモリや事件を起こす子たちは、西くんや水谷さんの1%もアタマがないと思う。厳しい現実は、今も昔も変わっていないけど、どんどん子供たちが弱くなっていっている。灰谷さんは、どんな気持ちでニュースを見ているんだろうか。
Posted by ブクログ
脱サラ後に農場経営をしていた35歳の葛原順が、ある日妻の病をきっかけに中学校教師となり、「札つき」生徒たちの本音に触れ合うストーリー。
以前読んだときは中学生で、葛原の教師とは思えぬ謙虚さに惹かれたけれど、今読み返すと、彼の謙虚さの裏側にある、揺るぎない自信のほうに惹かれていく。
きっと、肩の力を抜いて生徒の気持ちに心を傾けられるのは、色々な経験を経て、不完全な自分のまま、人に寄り添う自信を持った人なんだろうなと思う。そして、相手を完全に理解できるという傲慢さを捨ててはじめて、お互いのことを少しずつ理解していく喜びを味わえるのかもしれない。
と、読んでいてふと感じた。
最後に、教材という設定で引用されている印象的な文章をふたつほどメモ。
「人間が本気で何かやろうとする時、過去に楽しい思い出をたくさんもっておくことは、困難を乗り越えるためのエネルギーの根源となる」(河合雅雄氏
「もうすんだとすれば これからなのだ
あんらくなことが 苦しいのだ
暗いからこそ 明るいのだ
なんにも無いから すべてが有るのだ 」(まど•みちお氏
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