あらすじ
放送局のディレクターを辞した葛原順は、三五歳にして初めて臨時採用の中学の先生になった。受け持ったクラスは、一筋縄ではいかない生徒たちが談論風発。陳腐な価値観の押しつけ、型通りの授業などは即刻一刀両断に。周囲の教師は、「札付きですから厳しく締め付けないと…」と繰り返すばかり。あらかじめ生徒を偏見でみることだけはしないという信条を頼りに、葛原は素顔の生徒に向き合う。だが、丸刈りに反対して学校に通わない少年、一切口をきかない少女、そして神経症の闇に沈む妻透子の存在が、葛原に大きな問いを投げかけていく。子供から学ぶことの大きな可能性を伝える感動の小説。
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Posted by ブクログ
子供の素直な疑問をストレートな表現でぶつけられると、それがあまりに的を得ているので、大人は返答に窮することがありますな。
オトナの世界には、「落としどころ」という、双方にとって都合のいい空間というか、そんなものが用意されておりまして、だからなのかはわかりませんが、納得のいくまで説明せずに曖昧な決断をしているように子供からは見えるのかもしれないし、実際にそうなのかもしれませんな。それを「そうだ」と指摘されたら「なんだと小童がー!」といきり立ったりして、どっちが大人なんだか・・・。
とかなんとかワヤワヤと意味不明の文章をまとめきれずに書き綴っておりますが、この本は、またしても素晴らしい内容でして、帯にもコメントがありますが
「なにも言わなくていいから、ぼくたちのこと もっとよく見て。
すべての親へ、教師へ、子供と関わる人たちへ」
つまりは、全国民の皆様に御一読いただきたい一冊なのでありますな。
Posted by ブクログ
こういうものに触れていないと、なかなか普段の生活の中では自分の身の回りのことだけでいっぱいいっぱいになってしまって、考える機会すら減ってきている。一人一人が少しの時間でも、教育のことやその他のことでも、自分の頭で考える時間を持っていたいものだと感じさせてくれる本。
Posted by ブクログ
中学〜高校時代に(私自身ではないが)いろいろあり、そのころ擦り切れるまで読んだ本。
(著者の教育論には全面的に賛成ではないが、この作品は例外)
Posted by ブクログ
こんな教師に出会えてたら、自分はもっとまともな人間だったのだろうか。第一印象は「なぜこんなにも子供の視点で物事をみることができるのだろうか」。その年齢にはその年齢相応の世界観や考えがあるのに、それを過ぎてしまった大人は大人の価値観を子供に押し付けたりしてしまうもの。自分もいつか自分の親のようになってしまうのが怖いとずっと思っていたが、今はどうなのか。もし自分に子供がいても子供の視線に立って一緒に気持ちを共有できるのか。時々読んで思い出したい。
Posted by ブクログ
中学校教諭っていう視点が新鮮だった。
こんな先生に出会えてたらなぁ。
自分の使命を感じずにはいられない本。
出てくるお料理がめっちゃおいしそう。
Posted by ブクログ
2008.10.15.
2006.05.14. こんなに気骨ある中学生がいるだろうか。読むたびにそう、思ってしまう(違和感としてでなく感嘆として)。荒れてると言われる札付きのクラスメイトたちは、おのおのの個性を踏みにじられて嫌になっていたんだ。そこへ、「偏見を持たない」を信条に臨時採用で担任になった葛原が現れ、子供たちの心を拾い上げていく…。ラスト、本当に感動するよ。やっぱり、灰谷さんの作品はすごい。灰谷さんは今の教育をどう見ているんだろう…。
2005.6.15. 気骨のある中学3年生。今、ヒキコモリや事件を起こす子たちは、西くんや水谷さんの1%もアタマがないと思う。厳しい現実は、今も昔も変わっていないけど、どんどん子供たちが弱くなっていっている。灰谷さんは、どんな気持ちでニュースを見ているんだろうか。
Posted by ブクログ
ちょうど中学生の時に出会った。これが灰谷作品との初めての出会いでこのあとしばらく読み漁ることに。主人公と自分は全く違うのに彼の心の痛みを自分のことのように感じた。この本に出会ってなかったらもっと冷たい人間になっていたかもしれない。
Posted by ブクログ
こんなにも素直というかよくできた子どもたちがいるのだという幻想というか、いや確かにあの頃は五厘を強制するような学校もあったけど、こんな子供たちもいなかったというか、いやそういう子供も何処かにいたのだと言われればそうかもしれない、という自分が子供目線になったり大人目線になったり。
何にしてもたまにはこの人の本を読んで心を洗われるのもまた良いではないか。子どもに対しても色々と思うところはああっても少しは信じてあげようとか思うようになるのではないか。という説教臭さを醸し出すのもいとおかし。
Posted by ブクログ
自分が子供時代は、学校から規則を押し付けられること、言われたとおりに授業を受け、試験を受けることに特に違和感を覚えず、黙々と従っていた。今改めて大人の目線で見ると、明らかに子どもの個性を押しつぶしているし、それに黙々と従う子どもは気持ち悪くも思える。
本書を読むと、そのような教育現場での理不尽さがよく分かる。
登場する中学生は不良というタイプではないが、とにかく個性が強く、自分の意見をはっきりと述べる。このような中学生が実際にいるのかというのが素朴な疑問ではあるが、生徒を押しつぶそうとする教師、それに反発する生徒、生徒を理解し現状の教育現場に違和感を覚える新任の臨時教師、という構図にはすがすがしさが感じられる。
理想とも感じられるが、文句を言わなければ何も考えなくてすむ現状の方を好む生徒もいるのだろう。当時の自分のように。
Posted by ブクログ
脱サラ後に農場経営をしていた35歳の葛原順が、ある日妻の病をきっかけに中学校教師となり、「札つき」生徒たちの本音に触れ合うストーリー。
以前読んだときは中学生で、葛原の教師とは思えぬ謙虚さに惹かれたけれど、今読み返すと、彼の謙虚さの裏側にある、揺るぎない自信のほうに惹かれていく。
きっと、肩の力を抜いて生徒の気持ちに心を傾けられるのは、色々な経験を経て、不完全な自分のまま、人に寄り添う自信を持った人なんだろうなと思う。そして、相手を完全に理解できるという傲慢さを捨ててはじめて、お互いのことを少しずつ理解していく喜びを味わえるのかもしれない。
と、読んでいてふと感じた。
最後に、教材という設定で引用されている印象的な文章をふたつほどメモ。
「人間が本気で何かやろうとする時、過去に楽しい思い出をたくさんもっておくことは、困難を乗り越えるためのエネルギーの根源となる」(河合雅雄氏
「もうすんだとすれば これからなのだ
あんらくなことが 苦しいのだ
暗いからこそ 明るいのだ
なんにも無いから すべてが有るのだ 」(まど•みちお氏