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全編が優しさで溢れている
大人になって改めて触れた灰谷健次郎さんのことばはどれも美しく、心が洗われる物語ばかり。
表題作はもちろん、先生と子どもたちの関係性が素敵な「きみはダックス先生がきらいか」、「ひとりぼっちの動物園」の最後の「三ちゃんかえしてんか」が特に心に沁みた。
いつの時代も子どもの健やかな心の成長を狭い視野で妨げているのは大人たちなのだろう。
Posted by ブクログ
表題作『海になみだはいらない』のほか、『君はダックス先生がきらいか』『三ちゃんかえしてんか』の3作品が収められている。さらに最後の『三ちゃんかえしてんか』は5つの独立した短編から構成されている。
どの作品も、灰谷さんの物語だと言われずしてわかる灰谷さんらしい温かさと人間愛にあふれている。
多くのレビューにあるように『君はダックス先生がきらいか』はやはり珠玉である。
『海になみだはいらない』ももちろん素晴らしい作品だが、物語の展開的に短編にするには少し惜しい気もする。まだまだ広がっていきそうな濃密さなので、長編としても成立したのではないかと思う。
『三ちゃんかえしてんか』の導入として書かれている短い詩のなかに、人を愛するということは自分が知らない人生を知ることだ、というような文句があるが、同作はまさしくこれをテーマにして5つの短編が展開されているというのがよく感じとれる内容で、誰かの弱さもつらさも欠点も、他の誰かがそれをきちんと知って、能動的に補っていく。そんなまっとうで温かい人間関係に満ちた作品群です。
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