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「最近の若いのは」という言葉をよく耳にする。
実際に使ったことがある人も、少なくないだろう。
言葉こそ違えど同じニュアンスの文言は、明治の文豪たちの作品にも垣間見られる。
つまり、この言葉は昔からずっと、時代毎の若者が浴びてきた罵倒の言葉である。
では、現代に生きる若者は、明治に生きた若者より相当質が落ちているのであろうか。
決してそんなことはない。
そして、悪いのは子どもではない。
悪いのは、いつの時代もその状況を作り出した大人である。
どれぐらい子どものことを知っているか。
その心に直接的な関心を持って接しているか。
そこに生きるかけがえのない命を心底大事に想っているか、また、扱っているか。
本書は児童文学ですが、大人の方こそ読むべき作品です。
「美しい心」とは何なのか、「生きる」って何なのか。
そして、生きていく上で、また、人と接する上で、一番大切なことを本書は学ばせてくれます。
Posted by ブクログ
社会弱者の視点に気付かされる 予備知識なしに読み始め、まず児童小説であることを知り、プロレタリア文学に分類されるものであると分かった。社会的弱者について知った風な顔をしている自分たちが、まったく実際を理解していないことに気付かされる。裕福な家の娘であった小谷先生が、純粋な性格から様々な経験を通して子供達に分かり合えるようになっていく過程が描かれている。夫は一般社会ではごく普通とされる人物だが、弱者の視点からいえば何もわかっていない、下らない人間だという見方になり、読者の側も大いに恥じ入ることになる。タイトルの兎の眼は物語のストーリーとは一見直接の関連はないが、写真で善財童子の顔を見ると、そこに込められた非常に深い感覚の一端が理解できる気がする。
Posted by ブクログ
相手の立場、事情、気持ちを汲む。
その為に自分が出来る事を考える。
至って単純なのに、日々埋もれさせてしまっている事に、小谷先生や足立先生、子ども達はそれぞれの形でぶつかり、表現し、仲間としての信頼と思いやりを育んでいく。
それは、いくら時代が変わったとしてもあてはまる大切な心の在り方ではないでしょうか。
小谷先生が教育者として、一人の人間として成長していくにつれ、夫との”生き方の違い”は誤魔化しのきかないものとなってしまいました。
それが幸か不幸か、それを決めるのも自身の手にかかっているのでしょう。
日々生きていると、たくさんの感情が生まれ、付き纏います。
その沢山の中から、喜びと哀しみ、この二つを同じ思いで理解し合える事が何より大切だと考えます。
人の幸せと痛みに寄り添える心を育んでいきたい。
読書中、何度も何度も涙で目が滲んだのは、無垢だったかつての自分を懐かしむ気持ち、理想と違う自分への悔しさ、胸を打たれる優しさ...この本からいろんなものを感じ取ったから。
自分にとってかけがえのない時間をくれた本です。
出会えて良かった。
Posted by ブクログ
先生のキャラクターは人それぞれ多々あるけど、この作品では、各先生が誰を主語にして考えているかが、はっきり分かる。自分たちの身のためなのか、子供達のためなのか。
視座が高くなると、こんなにも子供達を信頼して待つことができるようになるのか。それを小谷先生が子供達と関わりながら成長していく中で、視座が高くなるにつれて言動が変わっていくのがよく分かる。
誰かを想い、誰かのために動く、こんな教育を小学校の頃から本気で取り組めていたらよかったなと心から思いました。
時代を経ても同じ課題を感じさせるこの作品は、もう一度読んだら、もう一歩深い部分で、西大寺の善財童子との関連を何か読み解けそうな気がする。
出会えて良かった
灰谷さんの名前は知っていても児童文学の認識で、著作を手に取ることはなかった。偶然とはいえ、この本との出会いは人生の喜びである。まさに読まずに死ねるかであった。
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