灰谷健次郎のレビュー一覧

  • 太陽の子

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    ネタバレ

     ふうちゃんはキヨシに会ってからすごく心が不安定になった。この文章は、‘人と出逢う事’というのはどういう事なのか、どんな意味があるのか考え直すきっかけとなった。
     キヨシは今までふうちゃんが想像もしなかった世界で生きてきて、ふうちゃんとは違う価値観を持っている。それを受け入れようとしたからふうちゃんは一時不安定になったんだと思う。また、それに伴って今まで悪口を言わなかったふうちゃんが人の悪口を言うようになったという描写もある。これはふうちゃんがおとなになっていっていることを示しているのではないか。
     自分にとって嫌な人を遠ざけるのは身を守る手段として妥当である。でも、私達は幼い頃、そんなことを

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    2025年11月25日
  • 太陽の子

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    ネタバレ

    沖縄の人々の温かい性格と、戦争の残酷さを強く感じた。戦争は終わったとされても、全てを奪われた人々にとっては決して終わりではなく、苦しみが続いていくという現実に胸を打たれた。

    そんな中で登場するふうちゃんは、子どもでありながらとても聡明で、人の気持ちを深く理解できる存在だった。最後におとうさんを亡くしてしまっても自暴自棄になることなく、キヨシ少年の思いを受け止めようとする姿に感動した。

    この作品を通して、私自身もふうちゃんのように他人を思いやれる人間になりたいと強く感じた。戦争の悲惨さと同時に、人を信じて支え合うことの大切さを学んだ一冊だった。

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    2025年08月17日
  • 太陽の子

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    主人公は、小学6年生で、沖縄2世の女の子です。ときは、1975年、家は神戸の下町にある沖縄居酒屋で、沖縄出身者が集まる場所。
    みんなに可愛がられて、優しい人たちに囲まれていて幸せだと思う反面、大人には、子供に話さない、なにか事情のようなものがあることを、なんとなく感じるようになっていた。
    戦後、沖縄出身者の心情に迫る小説である。

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    2025年08月08日
  • 少女の器

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    読んでから10年ほど経ったが、未だにこの本のフレーズがふと浮かぶことがある。主人公の絣がとても魅力的で印象に残っている。

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    2025年05月11日
  • 太陽の子

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    ・親に勧められるもなかなか機会がなく、ようやく読むことができた。戦争に翻弄された沖縄と沖縄の人々。その悲惨さと悲しみを描きつつも、てだのふあ・おきなわ亭に集う人の温かさに心が慰められた。

    ・p.340 「沖縄の人間が戦争をはじめたわけやなし、まして、子どもになんの関係があるねん。みんな戦争のあったことなんかすっかり忘れて暮らしているときに、なんにも悪いことをしてえへん沖縄の人間が、まだ戦争をさせられとるわけやろ」

    ・今年はちょうど戦後80年。もう80年なのか、まだ80年なのか。戦争はまだ終わってない。

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    2025年03月16日
  • 太陽の子

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    ふうちゃんのまっすぐな気持ち、てだのふあに集う人々のあたたかさ、辛い沖縄の記憶 泣けてしかたない。八重山諸島行きたいな。神戸港町も行きたい。

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    2025年03月12日
  • 兎の眼 (角川つばさ文庫)

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    齋藤孝先生おすすめ。高度経済成長のときに書かれた名著。
    小学校の先生と、ゴミ処理場の近くで住む生徒たち、特にはたから見ると問題児と見える生徒を中心に、いさかいや問題が生じ、それに取り組む中で成長していく先生と生徒を描いている。
    主人公の小谷先生はよく泣くが、読んでいるこちらも泣かされる。
    現実はこの本ほどはうまく進まないかもしれないが、小学校のすべての先生が読んでくれたら、小学校に居辛さを感じる子が少なくなるのではと感じた。

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    2025年03月01日
  • 兎の眼

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    ネタバレ

    なんという美しい話だろう

    登場人物がみなわけもなくハエを捕獲できるのには、時代を感じた。私、まだ生涯一度もハエ叩きすら成功したことないです。

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    2024年11月21日
  • 太陽の子

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    児童書?
    いえ これは今の大人へのメッセージです

    我が家のわりと近くに「太陽の子保育園」がある
    神戸出身の灰谷健次郎さんが理想の保育園を目指して創設されたとか
    昔読んだ本を再読した

    〈 ふうちゃんが六年生になった頃、お父さんが心の病気にかかった。お父さんの病気は、どうやら沖縄と戦争に原因があるらしい。なぜ、お父さんの心の中だけ戦争は続くのだろう?〉

    本当のやさしさとは?
    絶望から?

    沖縄にまだ平和はない
    美しすぎる海
    海岸に巨大な基地がどんどんつくられている
    報道はない

    神戸を愛し、何よりも沖縄を愛した灰谷健次郎
    この本はもっと読まれるべきだと

    ≪ ひっそりと 考えるのよ かなしい

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    2024年08月04日
  • 兎の眼

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    古さは感じたけどおもしろかった、小谷先生かっこよくて、こんな先生がいたらいいなと思った
    小学校で学ぶのは勉強だけじゃなくて、はなから切り捨てないとか、自分だけがよければいいんじゃないとか、ずっと必ずじゃなくても、そういう考え方が身に付いてるのは大事だと思った

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    2024年05月30日
  • 兎の眼

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    社会弱者の視点に気付かされる 予備知識なしに読み始め、まず児童小説であることを知り、プロレタリア文学に分類されるものであると分かった。社会的弱者について知った風な顔をしている自分たちが、まったく実際を理解していないことに気付かされる。裕福な家の娘であった小谷先生が、純粋な性格から様々な経験を通して子供達に分かり合えるようになっていく過程が描かれている。夫は一般社会ではごく普通とされる人物だが、弱者の視点からいえば何もわかっていない、下らない人間だという見方になり、読者の側も大いに恥じ入ることになる。タイトルの兎の眼は物語のストーリーとは一見直接の関連はないが、写真で善財童子の顔を見ると、そこに

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    2025年12月03日
  • 兎の眼

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    ネタバレ

    「人間が美しくあるために抵抗の精神をわすれてはいけません」
    「そんなだれでもやるようなことはやるな、たちまち人が困るようなことをとくとくとしてやるな。どんなに苦しくてもこの仕事をやりぬけ。それが抵抗というものじゃ。」

    心に残った言葉です。気に食わないからやらない、そんなことをしていた自分が恥ずかしい。やり抜く、それは自分への抵抗。卑怯で怠ける自分への抵抗。私も善財童子の美しさ、バクじいさんの優しさがほしい。

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    2024年02月26日
  • 太陽の子

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    沖縄の友人はたくさんいましたし、沖縄の歴史についても知ったつもりでした。優しい人が多いし、おおらかでとても気が合う仲間が多い。
    でも、その人たちや、その人たちの祖先が沖縄戦のつらい悲しい経験をしてきたからこそ、強く優しいのだと思いました。
    ふうちゃんの明るさと素直さ、見習いたいほど魅力のあるとても良い子。こういう子が、この作品を通して増えたらいいなと思います。
    心が温かくも悲しく、優しい気持ちになれた不思議な良書です。世の中から悲惨な経験をする人が少しでも減りますように‥また思い出したときに読みたいです。

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    2024年01月27日
  • 兎の眼

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    ネタバレ

    "「学校の先生をやめます。きょうから、ただのオッサンになります。さようなら」"。この後書に辿り着くために読み始めました。
    学校に通う中で出会うひとつひとつの出来事に触れ、向き合い、少しずつ逞しくなる小谷先生。子供達の成長がみずみずしくもあり、また、最後の闘いは何か人間の根本に触れているようで、心にシンとくるものがありました。心の素直さ、が描かれていました。

    1番心が振れたのは、鉄三ちゃんの書いた文章を小谷先生が読めたこと。ふたりの関係の表れなのだなと。

    少しずつでも毎日を積み重ねて生まれたつながりの強さは、彼らの等身大の姿でもありながらひとつ教科書のように尊かったです。

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    2024年01月27日
  • 兎の眼

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    読んでいるあいだ、自分が小学生だった頃に、タイムスリップしました。
    自分が小学生のときに出会ったできごとや先生の対応、学校の帰り道の風景、埃っぽさと、子どもたちの汗のにおいや笑い声と一緒に、完全に小説の世界にいました。
    本当に純粋なものに触れたときの、感動だけではない苦しさも味わいました。
    素晴らしい世界観を読むことができました。
    また必ず読もうと思います。
    好きな本は?と聞かれたときの返答の一冊に仲間入りしました。

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    2023年08月21日
  • 太陽の子

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    テレビや教科書では知ることのない沖縄と沖縄の人たちの苦労が痛烈に心に響く作品。過去の出来事が現在の沖縄にも繋がっている。どの世代でも読むべき必読本

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    2023年08月15日
  • 太陽の子

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    優しさとは何か、歴史を学ぶとはどういうことなのかが物語を通してじわじわ伝わってくる。沖縄で起きた惨劇は、その時も、その後も社会の中で形を変えて影響し続けた。

    ふうちゃんの幼さが人との出会いやお父さんの心の病気を通してどんどん成長していく。そんなふうちゃんの成長に合わせて読者も同じように喜んで、怒って、悲しんで、傷ついて、沖縄の歴史や本当の優しさを知っていく。

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    2023年08月14日
  • 兎の眼

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    相手の立場、事情、気持ちを汲む。
    その為に自分が出来る事を考える。
    至って単純なのに、日々埋もれさせてしまっている事に、小谷先生や足立先生、子ども達はそれぞれの形でぶつかり、表現し、仲間としての信頼と思いやりを育んでいく。
    それは、いくら時代が変わったとしてもあてはまる大切な心の在り方ではないでしょうか。
    小谷先生が教育者として、一人の人間として成長していくにつれ、夫との”生き方の違い”は誤魔化しのきかないものとなってしまいました。
    それが幸か不幸か、それを決めるのも自身の手にかかっているのでしょう。
    日々生きていると、たくさんの感情が生まれ、付き纏います。
    その沢山の中から、喜びと哀しみ、こ

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    2023年08月12日
  • 兎の眼

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    先生のキャラクターは人それぞれ多々あるけど、この作品では、各先生が誰を主語にして考えているかが、はっきり分かる。自分たちの身のためなのか、子供達のためなのか。

    視座が高くなると、こんなにも子供達を信頼して待つことができるようになるのか。それを小谷先生が子供達と関わりながら成長していく中で、視座が高くなるにつれて言動が変わっていくのがよく分かる。

    誰かを想い、誰かのために動く、こんな教育を小学校の頃から本気で取り組めていたらよかったなと心から思いました。

    時代を経ても同じ課題を感じさせるこの作品は、もう一度読んだら、もう一歩深い部分で、西大寺の善財童子との関連を何か読み解けそうな気がする。

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    2023年07月28日
  • 太陽の子

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    最近読んだ小説の中では久しぶりの5つ星。
    もちろん「名作」とは聞いていた。初出版(1978年)直後の大学当時で既にその「好評」を耳にし「読んでみよう」と思ったものの、それから丸45年も経つまで一度たりとも書店で手に取ることも無かったとは。斯くも「読書は長く人生は短い」のだ。これからも、死ぬまでに一度たりとも手に取って読むことなく記憶にも残らぬ本が無限に存在するのだと思うと、本当に悲しくなる。
    ...そんな哀しさすら本気で感じるほど、読み終えるのが惜しいくらいに「いつまでもこの本の世界の中に居続けたい」と思える稀有な読書体験が味わえた。
    中でもやはり主人公・ふうちゃんの超弩級の魅力に尽きる。少年

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    2023年05月24日