灰谷健次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ同作者の「兎の眼」が好きだったので手に取り一気読み。収録短編四作はいずれも「子ども」を主軸にしている。大学病院で闘病する少女が主人公の「燕の駅」、謎めいた少年と曖昧な邂逅を繰り返す男性の視点の「日曜日の反逆」、中学生の少女が主人公の「友」、4歳の男の子が主人公の「子どもの隣り」のいずれも、揺れ動く心を静かだが力強く描いていて迫力があった。
「燕の駅」:長期入院して心臓手術を繰り返している女の子の視点。厭世的・攻撃的になっていた心が隣室に入院した患者との交流でほぐれていくお話。
「日曜日の反逆」:大人の男性の視点、何か秘密を隠している男の子との交流。この2人はもう会うことはないんだろうけれど、それぞれが次の一歩を踏み出せたんだろうな、と思える結び。
「友」:中学生の女の子が主人公。学校(教員)と生徒との軋轢や、生徒同士の緩やかな諍いや共感など、人間関係の機微の内容。
「子どもの隣り」:三人称視点。4歳の男の子が主人公で、彼のお父さんとその恋人(お母さんは故人)、街で会うおじいさんや中高生くらいの女の子たちとの関わりが展開する中にも「死ぬこと」の話題が折り込まれている。男の子は密かな悩みに折り合いをつけられたのかな、ずっと感じていたかもしれない寂しさが少しずつ解消されるかな、と思える結び。 -
Posted by ブクログ
この本は今から半世紀前の教育現場出身の作者灰谷健次郎による「児童文学」
泣き虫だった新任教師の小谷先生は、劣悪な家庭環境を持つ子供や障害を持つ子供などを受け持つにつれ、次第に成長していく。
一方で子供たちは親や周りの人達にお構いなく、感じたままに人との接し方を学んでいく。
50年前のイデオロギーが見え隠れする中、新任教師の成長と純粋な児童たちの行動が、心を打つ物語。
現代の児童文学では“イジメ”や“性被害”がよく取り上げられるが、親の“格差、差別”は減っている。
でも、これらは大人たちが考えることで、子どもたちの本質は変わっていないと、つくづく思ってしまう。
少し子どもたちが“できすぎ”だけど、わかりやすいストーリーの中で教育現場の難しさが“大人”に起因していることを、感じさせてくれる物語でした。
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Posted by ブクログ
てだは太陽、ふあは子
てだのふあ は太陽の子 ふうちゃんの物語
神戸で沖縄出身の両親が営む琉球料理店
「てだのふあ・おきなわ亭」には沖縄出身者の
優しくて明るい常連達が集まる場所。
そしてその優しさと明るさの裏側には沖縄人にしか分からない悲しみと苦しみがあった。
ふうちゃんが6年生になった頃、沖縄戦が原因でお父さんが心の病気にかかってしまう。
沖縄出身者の中ではまだ戦争が終わっていなかった。
ふうちゃんの視点で沖縄戦での残痕、差別や偏見が描かれている。
前半から中盤はふうちゃんと常連さん達の交流が描かれ少し中弛みしてしまうが後半は怒涛の快進撃。
中盤あたりにふうちゃんが沖縄戦のグラビアを見るシーンがあるが小学生にはかなりきつかったんじゃないかな?ひめゆりの塔を以前読んだことがあるので沖縄戦の悲惨さ凄まじさが目に浮かぶ。
そんなお父さんや常連さん達の苦しさや悲しさを理解しようとするふうちゃんの優しさにじーんときてしまう。
琉球料理もたくさん出てくる。
ミミガーサシミ、アシティビチ、ラフティ、
イラブーのスープ沖縄に行ったら一度食べてみたい。
後半、自分の手を戦争でなくしたろくさんが語る沖縄戦には胸にグッと来るものがある。
日本軍の命令で我が子を… そして集団自決。
そして家族で沖縄にいく前日おいしいご飯を食べお父さんも少し元気になり翌日沖縄にいき、良い展開で終わるのかなと思ったら、まさかの展開で絶句、お父さんが…。
何がお父さんをそこまで追い詰めたのか!
ふうちゃんの苦しさ悲しさが伝わって、それが
「肝苦りさ」。
最後まで明るく前向きなふうちゃんに救われる。
私達は決して忘れてはいけない。
沖縄戦のことも、ふうちゃんやお父さんのように戦争が終わってもまだ戦い苦しんでいた人がいた事を。