灰谷健次郎のレビュー一覧
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この本は今から半世紀前の教育現場出身の作者灰谷健次郎による「児童文学」
泣き虫だった新任教師の小谷先生は、劣悪な家庭環境を持つ子供や障害を持つ子供などを受け持つにつれ、次第に成長していく。
一方で子供たちは親や周りの人達にお構いなく、感じたままに人との接し方を学んでいく。
50年前のイデオロギーが見え隠れする中、新任教師の成長と純粋な児童たちの行動が、心を打つ物語。
現代の児童文学では“イジメ”や“性被害”がよく取り上げられるが、親の“格差、差別”は減っている。
でも、これらは大人たちが考えることで、子どもたちの本質は変わっていないと、つくづく思ってしまう。
少し子どもたちが“できすぎ -
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てだは太陽、ふあは子
てだのふあ は太陽の子 ふうちゃんの物語
神戸で沖縄出身の両親が営む琉球料理店
「てだのふあ・おきなわ亭」には沖縄出身者の
優しくて明るい常連達が集まる場所。
そしてその優しさと明るさの裏側には沖縄人にしか分からない悲しみと苦しみがあった。
ふうちゃんが6年生になった頃、沖縄戦が原因でお父さんが心の病気にかかってしまう。
沖縄出身者の中ではまだ戦争が終わっていなかった。
ふうちゃんの視点で沖縄戦での残痕、差別や偏見が描かれている。
前半から中盤はふうちゃんと常連さん達の交流が描かれ少し中弛みしてしまうが後半は怒涛の快進撃。
中盤あたりにふうちゃんが沖縄戦のグラビアを見る -
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半世紀以上前の小学校を舞台にした学校小説。いわゆる「大変な子」との関わり合いの中で成長する新米教師の話。
大変な子達を表面的にしか見ていなければ、心を通わすことなど絶対にできない。そう感じました。優秀な人が、いろいろなデータや傾向などからその子達を分析するなどしても、心を通わすのは難しいだろうと思う。大事なのは、やはり愛情をもって関わり続けることなのかもしれない。至って単純な感想になってしまったが、これに尽きる。
クラスには優秀な子もいれば、全体に悪影響を及ぼす子もいる。教師目線から、行動を正したいと思って強引な方法で指導しても響かない。例え正当で、最もすぎる理由を述べたとしても。そして、 -
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学生時代なので、20年以上前に初めて読んだ本。
それ以来なのか、どこかの時機で読んだか定かではないけど、とにかく久々の再読。
単行本の刊行が昭和49年ということで、令和の今では(というより、初めて読んだ平成でも)当てはまらないようなことも随所にある。
そして、もちろん創作ゆえの“うまく事が運ぶ”感ももちろんある。
それを差し引いても、教師とは、学校とは、教育とはを考えるのに有意義な教材と言えるだろう。
特に、ダイバーシティ、インクルーシブという観点で言えば、令和の今になってもまだなお本書に描かれる問題が解決できていないどころか、むしろ退行してさえいるのではないかと訝しむ思いすら生じる。