灰谷健次郎のレビュー一覧
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もう何度読んだかわからないくらいの小説。
小学生の時に出会ってから、ずっと読んでいて、私のバイブルみたいな小説。
昔は、この小説の世界がすごく好きで正しくて自分の中の指針だった。
大きくなってから読み返すと、昔とはまた違ったことを感じることも多い。ここは同感だけどここはちょっと考え方違うなって思う部分も出てくる。
でも、それ以上に、細かなところで、こんなにも優しさに溢れてたんやと思うことがめちゃくちゃ増えた。
なんやろう、人間であることを肯定してくれてる感じの優しさ。こんなにも人間らしくて優しい小説なんやと、最近になってから気づいた。
あの時出会っていて、この小説を大好きでよかった。
私が幸せであるということの根っこの部分に、たぶんこの小説の存在はずっとある。 -
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全編が優しさで溢れている
大人になって改めて触れた灰谷健次郎さんのことばはどれも美しく、心が洗われる物語ばかり。
表題作はもちろん、先生と子どもたちの関係性が素敵な「きみはダックス先生がきらいか」、「ひとりぼっちの動物園」の最後の「三ちゃんかえしてんか」が特に心に沁みた。
いつの時代も子どもの健やかな心の成長を狭い視野で妨げているのは大人たちなのだろう。 -
購入済み
優しいという事、人間ということ、生きるということ。いろんな人生観が凝縮されています。
ヒトに対する不信感に疲れたとき、
自分の道徳観に自信が持てなくなったとき、
何かに「優しさ」を求めるとき、
この本を読んでみるといいと思います。
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Posted by ブクログ
我利馬は25年前の私だった。
自分が嫌いで、生まれ変わりたい私にそっくりだった。
だから、この本の内容に凄く共感した。
我利馬は、生まれ変わるために、ヨットで航海に出かけ、
私は、生まれ変わるために、アメリカへと渡った。
我利馬は、自分の居場所を見つけた。
50歳の私も、結婚して居場所を見つけたような気がしている。
居場所を見つけるまでの、時間と空間の旅、
苦しみと悲しみを乗り越える旅、
嵐の中、彷徨い、何度、雨の中立ち尽くしたのか?
自分を受け入れてくれる人と場所、
自分が苦しみと共に成長することで勝ち取った
現在。
でも、今でも、25年前と少しも変わってないな、と自分に対して感じることがある。
三つ子の魂百まで、と言うか。
結局、生まれ変わることは出来なかった。
でも、少しはマシになれた。
人生とは旅だろう。
昨日の自分より少しマシになるくらいの旅だ。
生まれ変わることは出来なかったが、我利馬と共に、
居場所を見つけ、お互い良かったね、と思いながら、
僕は、これからも、この本を読んでいくのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「どうしてですか。説明してください」
キヨコがたずねた。
「はいはい」
とダックス先生は言った。
「ろうかはいつも右側をしずかに歩く、というのはこまるのです。火事が起こったら焼け死んでしまいますからねぇ」
「まじめにしゃべってください」
「はいはい。
あなたひとりとか、二、三人で歩いているときは、ろうかの右側を歩こうが左側を歩こうが、そんなことはどっちでもいいのです。たくさんの人間が歩くときは右側通行をまもったほうがいい。つまり、ろうか一つ歩くにしても、そのときそのようすを判断して歩くのが人間なのです。もし、まだほかのクラスが勉強中なら、今は静かに歩かないとひとのめいわくになる、そう考えて静かに歩ける人がちゃんとした人間というものでしょう。そう考えると1の目標はいらないということになります」
「いらない目標を学校がなぜ決めたのですか?」
キヨコはくってかかった。
「なかなかするどい質問ですね」
とダックス先生はあわてなかった。
「あのね。ここだけの話ですがね……」
ダックス先生は声をひそめた。
「決めたことをまもらせるのが教育だとおもってるアンポンタンの先生が、まだ、いっぱいいるのですよ」
「わあ、いうたろ、そんなこというて」とコウヘイが大声をあげた。
「あらまあコウヘイくん、そりゃないでしょう」
とダックス先生はあわれな声を出した。みんながくすくすわらった。
「2の説明もしますか」
とダックス先生はいった。
「2も3も、ちゃんと説明してください」
キヨコはいった。
「はいはい。2はですね……」
ダックス先生はたのしそうにいった。
「自由時間をどうすごすかということはとてもだいじなことなんです。あそび時間はあなたたちの学校生活の中でたった一つの自由時間ですから、あなたたちが自由に使う権利があります。本の好きな人は本を読んでもいいでしょう。音楽の好きな人は笛を吹いたり、オルガンをひいてもいいでしょう。もちろん、運動の好きな子は運動場に出てからだをうごかすのもいいのです。それぞれが自分の考えで決めればいいので、一つのことをおしつけるというのはよくありません」
「じゃ学校はよくないことを決めてわたしたちにおしつけているのですか」
「そういうふうにとらないほうがいいのではありませんか、キヨコさん」
「………」
「太陽のもとでのびのびあそんでほしいという先生たちのねがいだとおもえば、べつにどうってことないじゃありませんか。なにせ、そうとうおいぼれた先生方がたくさんいらっしゃいますからねえ」
「またいった」とコウヘイがさけんだ。
「あれまあ、また、いっちゃった」 -
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表題作『海になみだはいらない』のほか、『君はダックス先生がきらいか』『三ちゃんかえしてんか』の3作品が収められている。さらに最後の『三ちゃんかえしてんか』は5つの独立した短編から構成されている。
どの作品も、灰谷さんの物語だと言われずしてわかる灰谷さんらしい温かさと人間愛にあふれている。
多くのレビューにあるように『君はダックス先生がきらいか』はやはり珠玉である。
『海になみだはいらない』ももちろん素晴らしい作品だが、物語の展開的に短編にするには少し惜しい気もする。まだまだ広がっていきそうな濃密さなので、長編としても成立したのではないかと思う。
『三ちゃんかえしてんか』の導入として書かれている短い詩のなかに、人を愛するということは自分が知らない人生を知ることだ、というような文句があるが、同作はまさしくこれをテーマにして5つの短編が展開されているというのがよく感じとれる内容で、誰かの弱さもつらさも欠点も、他の誰かがそれをきちんと知って、能動的に補っていく。そんなまっとうで温かい人間関係に満ちた作品群です。 -
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4作品が収録された短編集で、どれも素晴らしい作品ですが、私的にはとくに「水の話」と「声」が良かったです。
相変わらず灰谷さんの優しい眼差しが溢れていて、そこに描かれるのは、障害を持った子供であったり、在日朝鮮人であったり、貧しい家庭の子供であったりと、社会的に弱い立場にある人にフォーカスが当てられているので、やはり哀しい。哀しいのですが、それを描いている灰谷さんの眼差しが温かいゆえに、どこか希望や光が見えるし、そうした人達に対する筆者の深い理解と愛情がまぎれもなくあるからこそ、決して上辺だけの感動話に終わっていないし、短編ながらも浅い切り取り方ではなく幸せも不幸せもないまぜになった深みがある。今の時代に灰谷さんがいたらなあ、としみじみ思った。 -
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何回読んだだろう
引っ越しの時失くしてしまった。灰谷健次郎の文庫本はほとんど残っているのに
「兎の目」が無くなっていた。
しっかり覚えているが、やはり感動を新たにした。自分自身、教職歴34年。管理職を目指すことなく、子供と多く接した。同感する事が、多々ある。