灰谷健次郎のレビュー一覧
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- 幼年編では夫婦の会話がおもしろかったけど、少年編では芽衣と潤子の話がおもしろい。大きな組織の歯車になっている自分の旦那たちを見て、男女格差があるからこそ、自分たち女の強さがあるという視点。意識すらしたことなかったけど確かに、と思った。そしてこれを男の作者が書いてるのもまたいい。作家という、歯車になりきらない立ち位置だからこそ、冷静に物事を見られるのかも。
- 倫太郎とフランケンは相変わらず大人で、宿題を写したアズサに対しての言動とか、お節介と親切の違いとか、読んでいるこっちが勉強させられる。
- 倫太郎がリエの部屋の前で話しかけるシーン。イケメンすぎて…。小学校入りたての頃、先生に怒られそ -
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- 自分も保育園行ってたからか、親近感を持って読めた。おじいちゃんの保育園に対する姿勢がとても好きだし、自分も子供を通わせたいと思った。
- 最初はただただ生意気で憎たらしかった倫太郎が、成長するにつれて一貫性のある意見を持っていく。それにどんどん引き込まれていくし、それを頭ごなしに否定する大人たちに、一緒になってムカついてきてしまう。小学校入学した時にはすっかり保育園の先生達と一緒にやまんば先生に腹たっていたw
- フランケンをかばうのとか、普通の子供じゃなかなかできないし、人間としてかっこいい。
- 両親の芽衣と宗次郎の会話が、不器用なりにとても建設的で、読んでいて心地いい。子供を中心にそ -
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暴力による非行が横行していたころの学校の姿。
小学校での担任ヤマゴリラと、本音を話せる時間の共有から、制服や規則を守らせようとする中学校の先生とのいざこざまで、学校とか、先生のあり方を考えさせられる。
制服を着てこない生徒にじぶんだったらなんていうだろう。
制服を着てこない、規則を守らない、それだけで非行少年と認定して、その子の中身に寄り添えない、それは人と人の関係として、やはり何か異様なものを感じてしまいました。
暴力に訴える少年たちに、少林寺拳法の使える倫太郎はどう立ち向かうかが見どころでした。
人として誠実に正直に、そして主体的に生きていくことは難しいけれど、そうしようと賢明な倫太郎は確 -
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灰谷さんの生い立ちや子どもたちとのかかわりを書いている。灰谷さんって人格者の熱血先生って感じの人かと思っていたけど、この本を読むとそうでもなさそう。冒頭の若くて仕事がなかった頃の話なんてなかなか壮絶。精神的にも荒んでいた感じがするんだけど、それがどうして子どもたちの本当の姿をちゃんと見ることができる人になれたのだろう。
ガムを万引きしちゃった女の子と向き合った話が出てくるんだけど、昔の傷を思い出してしまった。私も友達の家からなぜか雑貨を隠し持ってきて母に諭されて白状したことがあったなあ。そのとき怒られなかったけど、母が悲しかっただろうことが今なら想像つくし、その後同様のことをせずに生きてこられ -
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この時の教育事情と、現在の教育事情は違うものだとわかっていつつも、やはり惹かれてしまう、灰谷さんの教育観が透ける。
久しぶりに続きを読んでみて、一人の大人として、教育者として襟を正したくなる。
今回のお話では、倫太郎の友人、タケヤンの家庭事情が明らかになります。
思った以上にもつれているように思える家庭。
ですが、倫太郎やフランケンの、家庭のあり方、タケヤンの姿勢、男女関係の捉え方が、世間の常識とはまた違ったところにあるのがとても面白い。
リエの不登校の問題も浮上。
今時の不登校とは違うが、お節介と親切の違いは深く考えさせられる。
結局、根本的解決にはならなくても、誰かがなにかを言ってくれ -
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灰谷さんの作品三作目です。
根底にある教育的な視点がとても印象的な小説であることは、「兎の眼」「太陽の子」と変わりません。
教育的ではあるけれど、それは厳しいものではなくて、人に対する、深くてあたたかな姿勢があって、子供を育てる人に対しても優しさを感じずにはいられない。
それと同時に子供を育てることに対する真摯な姿勢も、やはり感じます。
幼稚園時代から小学校時代まで、倫太郎という、いわゆるちょっと困った子になりそうな、そんな子供を中心にしたお話です。
倫太郎のものの見方や考え方はとてもユニーク。
どこか芸術家的なものも感じられます。
率直に思ったことを話す倫太郎です。
当初はつかみどころの -
購入済み
ほっこりと人間的に成長できる
担任の若い先生・子供たちが、問題児との交流を通してさまざまな困難を乗り越えながら、その親たちを含め、まわりの皆が人間的に成長していく過程が心地よい。
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子供の頃から大好きな灰谷さん。
大切な、素敵な言葉が沢山詰まっている本。
登場人物の子供も大人も真っ直ぐで、真摯に生きている。
真っ直ぐすぎて胸が少しチクッとしてしまう。
ついこの間、主人が娘に『悪いことはするな!』
と説教をしていました。
その瞬間、スイッチが入ってしまい
『じゃああなたは悪いことを全くしないのか。あなたの中での悪い事とは何か。自分の中にある悪い事とちゃんと向き合ったことがあるのか。』
と逆に説教をしてしまい、シュンとさせてしまいました。
私はまだ『悪いこと』を子供に説教出来るほど理解できていないので、そんなアホくさい言葉で子供と話せない。
大人にとって都合の悪いことを -
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離婚家庭で暮らす思春期の少女・絣。一緒に暮らす母は奔放な恋愛を繰り返し、絣はたびたび傷つきながらも日々母への理解を深めてゆく。
そして傷ついた時に絣を癒してくれるのは、版画家である別れた父だった。
絣、両親、そして不良のボーイフレンドを主軸に、彼女たちを取り巻く少し変わった人たちの物語。
自分も離婚家庭で育って、母と暮らし時々父と会う思春期を過ごしたから、重なるところがあるなと思いながら読んだ。(私は絣ほど父と頻繁に会っていたわけではないけど)
絣は思春期らしくとても繊細で傷つきやすいのだけど、発する言葉や思想がびっくりするほど大人びていたり、哲学的だったりする。だけど大人と違って真っ直ぐに -
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ネタバレ自分が子供時代は、学校から規則を押し付けられること、言われたとおりに授業を受け、試験を受けることに特に違和感を覚えず、黙々と従っていた。今改めて大人の目線で見ると、明らかに子どもの個性を押しつぶしているし、それに黙々と従う子どもは気持ち悪くも思える。
本書を読むと、そのような教育現場での理不尽さがよく分かる。
登場する中学生は不良というタイプではないが、とにかく個性が強く、自分の意見をはっきりと述べる。このような中学生が実際にいるのかというのが素朴な疑問ではあるが、生徒を押しつぶそうとする教師、それに反発する生徒、生徒を理解し現状の教育現場に違和感を覚える新任の臨時教師、という構図にはすがすが