灰谷健次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
千葉の海を通ったのに、一瞥もしないで海の本を読んでいたようです。海の生活の問題は、他人事でないな。
灰谷健次郎さんの本は、小さい頃怖い印象があって、なかなか読めなかったのだが、残念なことをしたなぁ。(「兎の眼」の挿絵と灰色っぽい装丁、見たこともない「兎」の漢字が、何か恐ろしかった覚えがある)。登場人物への人見知りをすぐに解消してくれる、丁寧な人間描写に引き込まれて、あっという間に読んでしまった。
子どもも大人も、いざというときは素直な心で。何がほんとの気持ちなのか、自分でもわからなくなってしまう時もあるんだけど…この本に出てくる人たちは、それぞれの正義がどれも間違いでなくて、だからこそぶつ -
Posted by ブクログ
脱サラ後に農場経営をしていた35歳の葛原順が、ある日妻の病をきっかけに中学校教師となり、「札つき」生徒たちの本音に触れ合うストーリー。
以前読んだときは中学生で、葛原の教師とは思えぬ謙虚さに惹かれたけれど、今読み返すと、彼の謙虚さの裏側にある、揺るぎない自信のほうに惹かれていく。
きっと、肩の力を抜いて生徒の気持ちに心を傾けられるのは、色々な経験を経て、不完全な自分のまま、人に寄り添う自信を持った人なんだろうなと思う。そして、相手を完全に理解できるという傲慢さを捨ててはじめて、お互いのことを少しずつ理解していく喜びを味わえるのかもしれない。
と、読んでいてふと感じた。
最後に、教材という