灰谷健次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
カフェでぱらぱらと読んでいて、何度も涙がこみ上げてきた。
児童文学批評家の清水真砂子は灰谷文学を「良心のいきつくところ」と題して、その意義と限界を論じた(『子どもの本の現在』)。灰谷文学の是非はともあれ、彼がそこから学ぼうとした、社会的弱者(人間的弱者ではない)への眼差しは、今の日本で皆無に等しい。
時に鼻につく部分や、あまりに素朴すぎる部分があるのは事実だが、この本のエッセイには、読者にその良心を喚起するだけの力がある。
灰谷が子どもと縁した時代からさらに社会と子どもは変わってきている。それでも、大人が子どもに対するとき見失ってはいけない良心の力を彼の文章は持っていると思う。 -
Posted by ブクログ
10年前、初めて子供を持つ頃、灰谷さんの本を読みまくったのですが、その中でも自分にとって一番印象に残る言葉がたくさん綴られているのが「天の瞳」かも知れません。
久々に再読して、好きだった言葉を再確認しました。
ところどころ芝居がかりすぎてるセリフは照れくさくなってしまうのですが…
ともかくじいちゃんがめっちゃいい味出してるんですよねー。
「心の目の開いてない人は、本当の人の心が読めんから、人からも相手にされんし友達もなかなかできん」
「知識を説く職人にろくな仕事師はおらん。知識を知恵に変えた職人がほんとうの仕事師。」
かっこいいっす。
とくに、出会いについてのじいちゃんのセリ -
Posted by ブクログ
短篇集なのだが、灰谷さんの短篇集どれもいいんだけど、今回はすべての短篇にはっとさせられた。もの凄く鋭い『ワルのぽけっと』から、例によって風の子保育園の『いくちゃんというともだち』まで、本当にどっきりさせられる視線の鋭さ。灰谷さんの眼はつよい。ファンなら誰でも知っていることだが、それでいてもの凄くやさしい……。今までと順位が変わった。灰谷さんの小説は、1位太陽の子、2位ワルのぽけっと、3位少女の器、で決まりですね。(個人的には、ですが。)それと、『ブゥ一等あげます』が、好きです。
こんな感想しか書けませんでした。
いつか作家になることを夢見ている者としては、すごく悔しいのですが、(言い訳でな -
Posted by ブクログ
ネタバレ天の瞳シリーズは、あまり好きでないので、すべて読んでいるわけではない。
だが最終話を読んでいて、いろいろ感じるところはあった。
また最後の作品、ということで、かなり気になっていた。
『乾いた魚に濡れた魚』は、好みドストライクで、
またものすごい感銘を受ける。
それだけに、完結していないことを残念にも思うが、
途中の作品――なので、灰谷健次郎という作家の仕事の途中を
見られて、親しげな感じを抱いた。
よくも悪くも一番最後だ。先生が伝えたかったことは、
ほぼ取りこぼさずに、私の中に生きていると思う。
取りこぼしたこと、汲み取れなかったこと、それもたくさんあるとは思うが。
それでも、先生のお陰で