斎藤美奈子の一覧
「斎藤美奈子」の新着作品・人気作品や、最新のユーザーレビューをお届けします!
-
作者をフォローする
- フォローするとこの作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
配信予定・最新刊
ユーザーレビュー
-
安倍晋三元首相の国葬の是非をめぐり、また北朝鮮拉致被害者の帰国から20年という節目を迎えるにあたり、「政治」に関心を集めたいと思って本を探している中で出会った一冊です。
学校では特定の政党や政治スタンスについての授業(指導)ができない(教員個人の意見表明、という形であっても非常に神経質にならざるを
...続きを読む得ない)という事情がある一方で、生徒に対しては「政治に関心を持つように」指導してゆかねばならないというジレンマがあります。
なぜ、政治に関心が持てないのか、それは「自分のスタンス」と「推しが誰(何)か」が明確になっていないからだ、と筆者は主張します。
そして「右派/左派」「保守/リベラル」「体制派/反体制派」などの対立軸を設定して社会問題を紹介し、「政治スタンスに”中立”はない」と繰り返し主張します。
自分自身がどのような政治スタンスなのか、今の世の中に対して「このままでよい」と思っているのか「変えなければならない」と感じているのか。
私憤や義憤を抱いたところから、人は政治的になる、という筆者の「あとがき」に共感しましたし、ぜひ生徒に紹介してみたいと思う本でした。
文章は中学・高校生を意識したのか、少しフランクすぎる印象もありますが、「何をめぐって”対立”しているのか」ということがわかりやすく解説されていますし、自分がそれぞれの立場に「賛成」なのか「反対」なのかを考えるきっかけを与えてくれる本だと思います。
Posted by ブクログ
-
わかりやすい文章を書く著者でした。
政治を語る上で中立はあり得ないという切り口、ほんと、その通りだと思います。
学校では政治的中立を守って授業しなければならないと学習指導要領に書いてあるので、社会の先生たちはよほど勇気がないかぎり、踏み込んだ授業ができないと思う。でも、こういう風に学校教育で政治的中
...続きを読む立を掲げているから、みんな政治に無関心になっちゃうんじゃないの?って思ってしまいます。若者が投票行かないのは、馬鹿だ、じゃないよ、興味を持たせられるような授業がマニュアルで禁止されてる体制に問題があると思うよ。ほんとに。
…脱線してしまいましたが、著者は結構リベラルな思想なので、右派の人が読むとイライラしてしまうのかもしれません。ですが、右派の人にも読んでほしいと思います。右派にとっては敵であるリベラルの考え方がわかる本になってますから。あと、右派の考え方も同時にわかるようにもなっているので、再確認ができるかもしれません。
Posted by ブクログ
-
プリマー新書は取っつきやすくて良い。好みの著者だったり、興味のあるジャンルだったりするとなおさらのこと、良い。そんな自分的に、本書がプリマー新書の理想的なラインナップと思える。その道の専門家じゃないからこそ書ける、初心者に理解しやすい入門書。本書を読めば、『選挙権を持つ年齢にはなったけど…』っていう
...続きを読む心理的ハードルを、大胆に下げてもらえること請け合い。何を判断基準にすれば良いのかってあたりも、すんなりと腑に落ちる。これ、中高生時代に読みたかったな。政治・経済や現代社会の教科書より、こっちをまずは当たった方が良いのでは、とすら思う。
Posted by ブクログ
-
子どもの頃はそうと意識して読んでいたわけではありませんが、いわゆる少女小説と言われるジャンルの小説は、小学生の頃の愛読書でした。
19世紀後半から20世紀前半に書かれて、作者も多くは女性です。
”少女小説は、広い意味での児童文学に含まれますが、文学史的には「家庭小説」と呼ばれるジャンルに属します。家
...続きを読む庭小説は、家庭を主な活動の場とし、将来的にも家庭人となることを期待された少女のためのジャンルとして発展しました。”
小学生の私にとっては家庭人となるための知識ではなく、遠い外国の知らない世界を見せてくれるのがこれらの作品でした。
もちろん少女小説以外にも「宝島」や「トム・ソーヤ」なんかも読みましたし、民話や童話なども読みましたけど。
なんでこんなに少女小説が好きだったのか考えてみると、主人公たちが伸び伸びと活動しているのがうらやましいというか、眩しかったんだと思います。
だから実は『小公女』はあまり好きではなかったな。
ちょっといい子過ぎて。
あと、校長先生の掌返しが怖かった。
帯の裏側にポイントが書いてあります。(なんと親切設計だこと)
”あの名作にはいったい何が書かれていたのか――!?
魔法使いと決別すること@バーネット『小公女』
男の子になりたいと思うこと@オルコット『若草物語』
資本主義社会で生きること@シュピーリ『ハイジ』
女の子らしさを肯定すること@モンゴメリ『赤毛のアン』
自分の部屋を持つこと@ウェブスター『あしながおじさん』
健康を取り戻すこと@バーネット『秘密の花園』
制約を乗りこえること@ワイルダー『大草原の小さな家』シリーズ
冒険に踏み出すこと@ケストナー『ふたりのロッテ』
常識を逸脱すること@リンドグレーン『長くつ下のピッピ』”
これらの作品に書かれているのは、自分の居場所をつくること、守ること。
自分らしく生きること。
子どもの頃は気づきませんでしたが、そういうことです。
「ピッピ」以外は全部完訳版や一般向けの文庫本で読みなおしましたが、大人が読んでも十分に楽しめました。
この本を読んで、子どもの頃にはわからなかった、深いメッセージの意味を知り、また読み返してみたいと思いました。
特に、ケストナーの『ふたりのロッテ』。
ナチスに強く抵抗していたことは知っていましたが、両親の離婚により別れ別れになった双子のロッテとルイーゼの物語は、戦勝国の勝手により分断された祖国ドイツの物語である、とは気づきませんでした。
子どもにとって親は独裁的な権力者。
著者は、少女小説には父親の影が巧妙に遠ざけられていると言います。
それは、少女が自由に活躍するためには、家父長的な父親が邪魔だからだ、と。
唯一父が健在の『大草原の小さな家』は、自由人の父親が定住派の母親の希望通り、町に住むことで家庭内権力闘争に負けたということになるのだそうです。
少女が飛び立つための大きな障害が父親という存在(または家父長制という家システム)。
私常々思っていたのですが、どうして朝ドラの主人公の父親はろくでなしが多いのだろう、と。
いい人であっても、家長としては役立たずとか、いい人ですらなかったり、とか。
それは、しっかり者の父親が健在であっては朝ドラのヒロインが活躍できない、ということなのですね。
腑に落ちました。
Posted by ブクログ
-
『日本の国語教育は、文学教育というより道徳教育だとよくいわれる。「主人公の気持ちになって考えなさい(共感読み)」と「作者のいいたいことを五〇字でまとめなさい(教訓読み)」のような質問はいまも授業につきものだ。』(p.90)
Posted by ブクログ
斎藤美奈子のレビューをもっと見る