あらすじ
あなたも、わたしも、この国の当事者。自分の言葉で、ちゃんと語るために。考えるためのヒントがいっぱい。激動の時代を、本を読んで考え続けた5年間、42の同時代批評。
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Posted by ブクログ
積読していた本
時事問題が多いので、早く読んでしまわねば!と思って読んだら、これがまた!ものすごく面白かった。
2020年初版の本なので、買ってすぐ読んでおけばと後悔。しかし、残念ながら今読んでも大丈夫なのでした。全く2024年の今と現状は変わらず(オリンピックが開催され、安倍氏が死去したにもかかわらず)何も解決されてないので…。
家族が購入した本なので、購入した本人や家族に、自分のことはさておき、何やってんのよ、早く読んで読んで!と勧めた。
斎藤美奈子に外れなし。常に予想より面白い。
積読の斎藤さんの本まだあるので早速他の本も読もうっと。
後ろの章から読んだのだが、全部いいけど、最初の二つの章が際立ってよかった。
いつから日本は変わってしまったのか。一つは1985年、もう一つは1996年。
確かに20年かけて世の中を地道に?変えていった政権与党。それに対して左派リベラルはいつまでたっても、景気回復に後ろ向き、反知性的な人たちを啓蒙しようとする上から目線。そして手法に柔軟性がなく頭が固い。
確かに確かに。
反知性主義的なポピュリズム政権に対する嫌悪感もあり、自分にも知性至上主義的なところがある。なので、あの内田樹をバッサリ斬る最初のコラムに、斎藤美奈子の本気度を感じた。
いやあ、斎藤さんすごいわ。
こんな本が読みたかった、という、まさにど真ん中の本でした。
Posted by ブクログ
斎藤美奈子の本の読み方は、私の手法とは全く違って面白い。そして、問題意識もいまの時代にフォーカスして、実に巧みな解説をする。
6つのテーマの選定がうまい。時代の核心に触れる。とにかく、「忖度しません」と言う題名さえも素晴らしい。現在の官僚やマスコミも忖度しすぎの時代に、これまで言えるのはいい。
6つのテーマは、①「バカが世の中を悪くする、とか言ってる場合じゃない」ー反知性主義とは何か?を追いかける。またなぜ反知性主義が台頭したのだろうか?
②「戦後日本の転換点はいつだったのか」ー60年安保。田中角栄をどう評価するか?1985年阪神タイガースが優勝。くつろいすぎの司馬史観。坂の上の雲はもう見終わった。ネットウヨのアイデンティティ。
③「わかったつもりになっちゃいけない、地方の現在地」ー観光でも基地でもない、沖縄の実像、沖縄の革新は琉大という階層の中で構築される。「オール沖縄」を育てた翁長雄志、沖縄の保守本流がなぜ辺野古基地反対を掲げるのか?長崎の隠れキリシタン。天皇が象徴であることから、なろうとした。君たちはどう生きるかが?なぜはやるのか?
④「文学はいつも現実の半歩先を行っている」ー認知症が文学になる。老人たちの玄冬小説。そもそも源氏物語って?
⑤「当事者が声を上げれば、やっぱり事態は変わるのだ」ー教授やジャーナリストのセクハラ。セクハラ当事者が自覚していない現実。フェミニズム、フェミニスト、LBGTと時代の変遷の中で、METOOと声を上げる。⑥「新型コロナが来た」ーペスト文学を読む。
問題意識が鮮明だと、本のセレクションも鮮明だ。面白い本がたくさんあったけど、それより面白い本があるので、それを読もう。
Posted by ブクログ
どこかで『災間の唄』と並び称されているのを読んで、同作に痛く感じ入った身としては、本作も是非と手に取ったもの。期待通り、存分に味わわせて頂きました。それにしても幅広く読んでいらっしゃって、小説、ノンフのみならず、新書やら専門書にまで、その読書対象は広がってるんですね。凄い。その上で提示される、現体制への危機感だけに、説得力もいや増すというもの。これを読みながら、またちょっと新書への読書欲が湧いてきました。という訳で、今手元にある中で、特に気になるものをピックアップして読み始めることになった訳です。
Posted by ブクログ
政治の話からLGBT、反知性主義、現代進行中のコロナについてまで。時事について、三冊の本を読みながら考える。真面目に考え込むところと、クスっと笑えるところの振幅が魅力的。静かに淡々と説明したかと思うと、「でもさ」といきなり切り返す。そのあたりの動きになんかしびれるね。読んでいて楽しかった。楽しかったでおわるのではなく、あぁ自分にはもっとできること、やらなければいけないことがあったんじゃないかな、と振り返ることができるし、その元気が出てくるんだ。
「忖度とは、コミュニケーションの回路を閉じて、腹のさぐりあいをすることです。ろくなもんじゃありません。「当事者が声を上げれば、やっぱり事態はかわるのだ」なんです。みんな、つまんない忖度はやめて、いいたいことはいったほうがいいんだよ。」
あとがきのことばが、なんか、いろんなことへ背中を押してくれているような気がしたな。
年末年始に読んでいたんだけど、2021年の読書を本書で始められたことは、良かったなぁと思う。
Posted by ブクログ
斎藤美奈子の新刊は、本屋で見かけたら買うことにしている。
で、数年放置してしまう。
絶対読むのだから、今でなくてもいい。
『月夜にランタン』も『ニッポン沈没』も数年放置した結果、第二次安倍政権が発足したタイミングで第一次安倍政権の突然の終焉と総括について読んだのだった。
それはそれで面白かったけど。
今回はひと月も寝かせず、すぐ読んだ。(当社比)
テーマごとに3冊の本を紹介し、世相を斬る。
私が彼女を好きな理由は、知識の(彼女の興味)の幅の広さと、上下左右どこにも忖度しない語り口の鋭さにある。
今作も、目からうろこがドバドバ落ちた。
「バカが世の中を悪くする、とか言ってる場合じゃない」
「戦後日本の転換点はいつだったのか」
「わかったつもりになっちゃいけない、地方の現在地」
「文学はいつも現実の半歩先を行っている」
「当事者が声を上げれば、やっぱり事態は変わるのだ」
上記5つのテーマの他に、「新型コロナウイルスが来た!」を番外編として収録。
「オール沖縄」についてとか、司馬史観やアイヌ民族についてなど、個別に語りだすとキリがないので、2つだけ。
私は官僚が忖度をするようになったのは、安倍政権が「内閣人事局」を作ってからだと思う。
それまで官僚と言われる人たちは、独善的なところはあったとしても、行政のプロとしてのプライドと自信があった。
省の推薦を、「これで総理が納得すると思いますか」と突き返す菅官房長官。(当時)
これを繰り返して、官僚は骨抜きにされた…というか、骨のない人しか上がっていけなくなった。
結果、やる気と能力のある若手が大勢霞ヶ関を去った。(霞ヶ関ではないけれど、うちの職場も若手の流出が止まらない)
今度は学問の世界を骨抜きにするつもりなんだ、とニュースを見て思っている。
もうひとつは田中角栄について。
「ロッキード事件で金をもらった悪いやつ」というイメージしかなかった田中角栄だけど、「小粒なタカ派」しかいない今の政治家の中で、「大物ハト派」という存在がどれだけ大きなものだったかと知った。
そして、脱アメリカ依存、全世界を視野に置いた「資源外交」等が、キッシンジャーとCIAの逆鱗に触れて陥れられたという陰謀説は、どうも荒唐無稽とばかりは言えないらしいのだ、
ちょっとそのあたりの本でも読んでみたくなる。
Posted by ブクログ
現代日本のさまざまな問題点を読み解くためにどんな本を読んだかという、ブックガイドも兼ねた時評集、というところがいかにも興味深い。その選書も、一方的にならず、対立する側の意見についても目配りが行き届いている。
北朝鮮による拉致問題では、「家族会」とは別に「救う会」があるとは、この本を読むまで知らなかった。自らの不明を恥じたい。
Posted by ブクログ
見返しの「続・裸の王様」から笑ってしまった。で、次にまたいきなり、内田先生編の「日本の反知性主義」に厳しいご意見。確かに「日本の知識人はバカの悲しみに鈍感なところがあるからな」っていうの常々私も感じる。
やっぱり斎藤美奈子さんいいわ、と思って最後まで読み続ける。
次に読みたい本がたくさん見つかった。読むのが追いつかない。
Posted by ブクログ
ちゃんと読んで
ちゃんと考えて
ちゃんと自分の言葉で発信
斎藤美奈子さんの「書評集」
PR誌「ちくま」に連載中の「世の中ラボ」
から出来上がった一冊
初めから読んでも
後から読んでも
どこから読んでも
すっきり はっきり
こりゃ面白い
自分だったら絶対に買わない本も
(批評のために)ちゃんと取り上げてくださっているのが
また嬉しい
〽「本」は世に連れ 世は「本」に連れ
「世間」を眺め渡している視点が
さすが 斎藤美奈子流ですね
Posted by ブクログ
「月夜にランタン」「ニッポン沈没」に続くシリーズ三作目。「ニッポン沈没」が暗めのトーンだったのに比べて、今回は、「政治も世の中も相変わらずひどいもんだけど、それでも希望はある」という前向きな思いを感じる一冊だった。タイトルにもそれが表れていると思う。
いつもながら取り上げられる本の幅広さに感嘆する。不愉快になるに決まっている安部ヨイショ本とか嫌韓本とかもしっかり読んで、自分の意見をはっきり述べる姿勢がすがすがしくカッコイイ。あとがきがとても良かったので、以下その抜粋。
「言論空間が『敵と味方』『内と外』『ホームとアウェイ』に二分され、仲間うちでしか通じない言葉が増殖していく。いわば思想のタコツボ化です。
左派リベラル陣営においても、タコツボ化は急激に進行しています。なぜ野党は選挙で負け続けているのか。なぜ市民運動の現場には、高齢者しかいないのか。
それは日本人が劣化したからだ。若者の意識が低いからだ。
と、もしかしてあなた、思ってません?だからダメなんですってば。リベラルが後退戦を強いられているのは、相手がバカだからではなく、こちら側に魅力がないからです。
自分はぜったい正しくて、自分以外はみんなバカ。愚かな大衆諸君に、賢い私が正しいことを教えてあげる。そんな不遜な人たちに、だれが与したいと思います?民主主義の危機をいいつのる人々のやり方は、ぜんぜん民主的じゃないんだよね。」
「『バカが世の中を悪くする、とか言ってる場合じゃない』ってことです。
忖度とは、コミュニケーションの回路を閉じて、腹のさぐりあいをすることです。ろくなもんじゃありません。『当事者が声を上げれば、やっぱり事態は変わるのだ』なんです。みんな、つまんない忖度はやめて、いいたいことはいったほうがいいんだよ。意見の表明の仕方も、既存のスタイルに忖度する必要なんかない。人それぞれでいいんです。」
「『倦怠』『停滞』と申しましたが、歴史というのは、いつどんな形で動きだすかわかりません。希望は捨てない。どんなときでも。」
Posted by ブクログ
「世の中ラボ」をまとめたこのシリーズは、正直、日本の現代史を当事者としての生活感とともに記してくれる。歴史の書である。
いつも思うが、要点を確実にまとめてくれる、斎藤さんの技量の高さは何より尊敬する。
Posted by ブクログ
やっとシリーズ最新作までよめた。シリーズ通して安倍憎しエネルギー全開だった。安倍さんを外したら3冊が2冊になるのではと思わないこともない。
彼ら彼女の主張がさっぱりもってわいに受けいられないのは、著者のあとがきにも記載されている部分以外にも、身内に甘くて、敵に強く当たるところ。が大いにあると思う。ぶっちゃけ今の現役世代は1に2に3に4に5に経済が重要視されてると強く思う。
結局、著者たちの主張はお金がある裕福な視点から立っているので、いつまでも少数派なのではとシリーズを通して読んで思った。
主義主張も大事だが、生き延びることがもっと大事なんだよね・・・。