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基本はオマケ、だが、人はしばしばオマケのためにモノを買う。マルクス、漱石、松本清張。『武士道』『なんクリ』『永遠の0』──古典名作にベストセラーがずらりと揃う文庫本、その巻末の「解説」は、読み出すとどうにも止められないワンダーランドだった! 痛快きわまりない「解説の解説」が、幾多の文庫に新たな命を吹き込む。
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Posted by ブクログ
単行本にはつかないが、文庫本のほとんどには解説がついている。この解説が千差万別。作品のキズや欠点をあげつらうものから、褒めて褒めて褒め通すものまで。あたりさわりのない解説から、解説者自身の自分語りに終始するものまでと、多種多様。 本書は、そうした解説についての解説。いわばメタ解説。なんともワンダホー...続きを読むな企画、俎上に載せる文庫本のチョイスもナイス。 とくに夏目漱石『坊ちゃん』、林芙美子『放浪記』、太宰治『走れメロス』、高村光太郎『智恵子抄』の章が秀逸。赤川次郎『三毛猫ホームズ』の章では、鶴見俊輔が赤川の大ファンということも書いている。鶴見は赤川が書いた本の冊数よりも100冊も多く読んでいるそうな!?
『日本の国語教育は、文学教育というより道徳教育だとよくいわれる。「主人公の気持ちになって考えなさい(共感読み)」と「作者のいいたいことを五〇字でまとめなさい(教訓読み)」のような質問はいまも授業につきものだ。』(p.90)
論壇誌や新聞の書籍解説などとは違い文庫の解説は大抵は一人なわけで、そこにおそらく緩み、油断が生じてしまう。 ある人は作品や作者に媚びへつらい、ある人はあくまでも自己顕示欲の発露として終始する。 つまり、どうしてもイキったりカカったりしてしまうツッコミどころ満載の不思議な風習なのであった。 こんないじ...続きを読むりがいがある素材を見つけた斉藤先生の快刀乱麻は止まらない。三島由紀夫だろうが大江健三郎だろうが果てはおそらく精神的な師でもあろうと思われる小林秀雄までも。完膚なきまでにおちょくっている。本当に気持ちがいい。 それでも最後の二篇、戦争題材のものに関してはしっかりと重くシリアス。戦争への同調圧力はもちろんだが平和や民主主義のそれも同等に警告しているのが感動的。
斎藤美奈子さんが岩波の小冊子『図書』に連載した文庫解説の批評集。著者らしい毒舌やユーモアに満ちていて、軽快に読める。本領発揮だなぁ。 文庫解説はどうあるべきかに正解はない、というのが本書の最後に書かれているが、著者自身は、国語(文学の鑑賞)よりも社会科(地理的歴史的背景)を重んじている。本が書かれ...続きを読むた時代的背景は、十数年もすれば忘れ去られてしまうからだ。実際、本書でも、『小公女』の背景にある階級差と植民地の問題や、1940年に書かれた『走れメロス』を日本の戦時体制のパロディとして読む視点など、後世の読者にとって有益な指摘がたくさんある。
それほど気にしていなかったオマケに思っていた、文庫本の解説コーナー。 でも、オマケだからいいやとはならなくて、しっかり読んでしまう本好きのサガでもあった。 その文庫本の解説に光を当てて、解説・分析・批評のおかしくもほろ苦い本。 当然、文庫本の著者と「解説」者は別人だ。 そこが肝心なところね。 た...続きを読むだしこの本によると、著者は解説者を選べるらしい。 ちなみに あの解説って稿料もらえるんだろうか?もちろんもらえるだろう。 だけどね、この文庫がふたたびブレイクして売れ、著者の印税が増えたとして、 「解説」者は恩恵を受けるのかなあ?というはしたない疑問がわく。 そういうわけなら、「解説」者はあまり力が入らないのでは・・・。 なんてことは、いっさい分析してない、よ。 さて、「斎藤美奈子節」満載、おかしみの中に厳しいご指摘がある。 曰く、解説とはその作品について述べることなり。 当たり前だ。 けれども、 著者の友人としてお付き合いのあるひとは、その成り行きをとうとうと書き綴る例。 作品に関係ない持論を述べるパターン。 難解な解説でその解説に解説がいりそうな例。 あるある。 「本当の解説とは?」この本文を読んでください、わかります(笑) わたし、途中まで読んできて 「はて、こんな厳しいこと言っちゃって、斎藤さん、解説お書きになってるよね」 と、このご本に「解説」は無いから(笑)著者の「あとがき」に走った。 おう! 「なんだけど、もしかして私、自分で自分の首絞めてない?」 とあった。 100は超えないけどそれなりにお書きになって、しかもお得意だとか。 この本の雑誌に連載中にも「解説」の仕事ありで「冷や汗タラー」だったそう。 30篇以上、ベストセラー・名作など本の「解説」部分を比較検討、展開する批評は斬新。 現代文学史でもあり、読書指南でもあった。
毒舌書評で知られる斎藤美奈子が古典文学から現代まであれやこれやの「解説」をメッタ斬り。文庫のオマケと考えられがちな末尾の「解説」に注目しただけでもかなりの変わり種だが、さらにその解説をどう読むか、解説はどうあるべきかを例の歯に衣着せぬ論調でまくしたてるのだから、これは必読だ。 三島由紀夫(『伊豆の...続きを読む踊子』)を「チンプンカンプン」と斬って落とし、井伏鱒二(『富嶽百景・走れメロス他八篇』)を「ふざけてんの?」とこき下ろす。反戦小説『少年H』(妹尾河童)に寄せられた著名人の書評を「翼賛的な絶賛体制」と揶揄すれば、返す刀で児玉清(百田尚樹『永遠の0』)の零戦賛美を「作品を相対化する視点がまったくない」と一刀両断。 そういう読者にわたしもなりたい。
普段、文庫の解説は注意して読むことはないが、『こういう楽しみ方もあるんだ』と新発見。読書の別の楽しみ方を教えてもらった。 ばっさばっさ切りまくる文章は痛快。著者の読書量の凄さも感じることができる。
この840円の本を書くため、斎藤さんがどれほどたくさんの本を精読したか考えると、本当にすごいと思う。そして、本当に面白かった! わかりやすいところでは、例えば、「走れメロス」の解説。角川文庫のカバーの紹介文みたいに、「メロスがんばれ!」と、私は一度も思ったことはないが、太宰治を知らない純粋な小中学生...続きを読むなら思うのだろうか、そしてそういう「読み」が正しいのか、とずっと疑問に思ってきたが、それを否定するような解説もなく、太宰作品の中では最も嫌いな一つとなっていたのだが、 「<メロスは激怒した>ではじまり<勇者はひどく赤面した>で終わるテキストは、心身ともに「裸」だった若者が「見られている自分」に気づいて最後に「衣」を手に入れる物語である。この瞬間、メロスはコドモ(赤子)からオトナ(赤面を知る)に変わるわけで、『走れメロス』は「裸の王様」ならぬ「裸の勇者」の物語とも言えるのだ。」(p35~36) という斎藤さんの「読み」に初めて納得できる「メロス」の解説を読んだ気持ちになった。心から納得した。 難解と言われる小林秀雄については 「小林秀雄はかつて「試験に出る評論文」の代表選手だったのだ。試験に出る評論文の条件は名文であることではない。「論旨がわかりにくいこと」だ。」(p148) で、また納得。そして 「そうだった、思い出したよ。コバヒデの脳内では、よく何かが「突然、降りてくる」のである。こういった箇所を読むと(少なくとも私は)鼻白む。しかし、小林にとってはこの「突然、降りてくる」が重要で、こうした一種の神秘体験を共有できるかどうかで、コバヒデを理解できるか否かが決まるといっても過言ではない。」(p150) でさらに納得。 『少年H』については 「もしかして、妹尾河童も「こうありたかった少年像」を描いたのではないか。戦争の欺瞞を鋭く見抜き、母を雄々しく守り、敗戦の日に天皇の戦争責任に思いを致すような少年を。このような物語は読者に歓迎される。「日本人はみな本当はHのように戦争に反対したかったのだ」という気分を共有することで、庶民の戦争責任は免責されるからである。」(p234~235) 当時を生きた人でないとわかりにくい安保闘争やバブルの頃のベストセラーの読み解きも面白いし、もちろん渡辺淳一の部分は笑える。 納得しないまま読んできた作品やその解説を、この本で初めて納得できた。 こんなに面白くて中身が濃くて840円か。30分で読めて中身スカスカで、他の文献を当たったのか大いに疑問の本が倍の値段することもあるんだから、大いにお買い得の本。 今度は翻訳読み比べをやってほしいなあ。 ついでに言うと、この本のあとがきに引用されている、著者の恩師、浅井良夫の文章がまたわかりやすくて面白く、この師にしてこの弟子ありってことだなと深く感心したのであった。
文庫本には大抵つけられている解説に着目して批評した本。著者が結構好きなので本屋で見つけて購入。 文庫の解説って完全にオマケ扱いしてて、好きな作家なんかが書いてたらラッキーぐらいの感覚だったんだけど、解説にもタイプがあること、時として「解説してるのこれ?」と思った感覚は自分だけじゃなかったことなんか...続きを読むが知れて、ほんと読んでラッキーな本だった。 そして夏目漱石はやっぱり天才だと思った。「三四郎」、再読します!
いやー切り口が面白かった! 共感するものもそうでないのもあるけど、解説にここまでフォーカスして今まで考えてみたことのない角度からの分析は新鮮で面白かったです。
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文庫解説ワンダーランド
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斎藤美奈子
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