出世と恋愛 近代文学で読む男と女

出世と恋愛 近代文学で読む男と女

1,001円 (税込)

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「青春とは何か」とは男女ともに簡単には定義できない命題だが、前提として必要なのは「精神的親離れ」である。しかし青春期は、自分の将来への不安に迷い、徐々に自分の世界を見つけるが、同時に好きな人ができる時期でもある。
日本の近代文学の主人公である青年たちは、恋を告白できず片思いで終わるケースが多い。たまに恋が成就しても、ヒロインは難病や事故などで、なぜか死ぬのだ。日本の男性作家には恋愛、あるいは大人の女性を書く力がないのではと著者は喝破する。
たかが文学の話ではないかと思うなかれ、近代文学が我が国ニッポンの精神風土に落としている影は思いのほか深い。
明治期の立身出世物語が青年たちの思想に与えた時代背景は見逃せない。同時に戦争が文学に与えた強い影響も。
しかし夏目漱石『三四郎』から20年、女性作家の宮本百合子『伸子』で、「新しい女性」が恋愛や結婚に縛られない「生きる価値」を見つける時代が近代にも到来する。男女ともに時代の変遷とともに成長するのだ。
近代文学で描かれた男女の生き方は、現代日本の「人生の成功と恋愛」にかける人々の思いを読み解く大いなる鍵となる。

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出世と恋愛 近代文学で読む男と女 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2024年01月22日

    斉藤美奈子に外れなし!
    ほとんど読んだことがない遠い遠い近代文学なのに(恥ずかしながら取り上げられた本で読んでいたのは2冊だけ…)斉藤美奈子さんの手にかかれば、ものすごく身近に感じられる。
    すぐにも読みたい、読み直したい!
    斉藤美奈子の男性作家への一刀両断ぶりが面白くて何度も笑った。「浮雲」も「近代...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2024年01月07日

    もう序章でココロ鷲掴みされました
    あの鋭い鉤爪でぐわしゃしあと

    はい、ということで文芸評論家斎藤美奈子女史の『出世と恋愛』です

    いろんなところで彼女の書評は目にしておりまして大好きな方だったんですが、ちゃんと一冊に纏められたものは読んだことなかったなぁとあらためて手にとったのは最新刊の本作です
    ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年11月17日

    NDC910

    近代文学批評。
    「日本の近代文学の主人公である青年たちは、恋を告白できず片思いで終わるケースが多い。たまに恋が成就しても、ヒロインは難病や事故などで、なぜか死ぬのだ。日本の男性作家には恋愛、あるいは大人の女性を書く力がないのではと著者は喝破する。
    たかが文学の話ではないかと思うなかれ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年11月04日

    青春小説の王道は「告白できない男たち」で恋愛小説の王道は「死に急ぐ女たち」
    もうほんとにコレに尽きる!
    青空文庫で色々読めるのもありがたい。

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    Posted by ブクログ 2023年07月27日

    べらぼうに面白い一冊。斎藤美奈子先生の本にハズレなし。『友情』とか『桜の実の熟する時』とか、スパッスパッと切っていく。ただし、通勤途中に読むのはおすすめしない。何度か吹き出しそうになった。
    『真珠夫人』が出ているのが新しいなあと思ったが、あの小説がテレビドラマになったのは、2002年のことだったと書...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年11月16日

    しっかり読んだことないけど、あれね、っていう題名は知ってる小説。男性の目線で描かれる恋愛や悩みすぎだろっていう主人公の青年や、意外にも奔放な女性像もあったり。これらをあまり読んでなかった分、面白く読めた。100年以上経った現代を見て、文豪達も驚くのか、変わってないと思うのか。

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    Posted by ブクログ 2023年10月06日

     齋藤さんは、『妊娠小説』以来変わらぬ日本で最も優れたクリティカル・リーダーだな。
     特質と問題点を、分かりやすく個性的な語り口で示してくれる。
     研究的な読みではなく、非常に批評的な読みの実践書。

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    Posted by ブクログ 2023年09月18日

    有名恋愛小説の解説をしながら恋愛パターンを学べる本。古典から恋愛を学べるのだから高校生にうってつけだろう。中学生にはまだ早いかもしれない。大人になって読んでも味わい深い。理解できるからおもしろい。人間を一歩深く知るための本。

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    Posted by ブクログ 2023年07月25日

    むかーし読んだあの小説この小説が、なるほどーそうだったかと面白い。時々入る「いったい何をやってるんだ、武男は!」とか「このウスラトンカチが!」とかの愛ある罵りが、そりゃあ絶妙で素晴らしい。特に「このバカたれが!」は、読んでるその時の私の気持ちをそのまま代弁してくれていて、スカッとしたほど。出世と恋愛...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年08月26日

    フェミニズム書評家斎藤美奈子(勝手に命名)の新刊を見かけて購入。
    なんせ近代小説はほとんど、というか全く読んだことがない(こころくらいしか)ので、何せあらすじ読みの気持ちで読む。

    『奴隷』の章は、ひーっ涙、となりながら読み、『金色夜叉』ってそう言う話なんだーってか、あの銅像ってそう言う話なのね、と...続きを読む

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