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2011年から令和まで、計6回おこなわれた本をめぐる対話から、日本社会が浮かび上がる。思いもよらない解釈や、意外な作品との繋がりなど、驚きと発見に満ちた、白熱の対談集!
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Posted by ブクログ
どちらも好きな作家、評論家でそれぞれの書く文章も好きなのだが、対談となるとまた違った趣を呈する。「この30年」というのは平成の総括であり、最後に現在のコロナ禍の状況についても述べられている。元々は「SIGHT」に掲載されていたものだそうだが、休刊したらしい。これは私自身が高校時代に読み耽った「ロッキ...続きを読むング・オン」の雑誌らしい。「SIGHT」を読んだこともないが休刊は残念である。本題に戻ると、共に職業柄か多読の著者で、しかも読み込みが深いというか、好みである。掲載された小説はほとんど読んでないが、このような物を読む事で読んだ気になるのは本当はいけないのだろうが。ただ、ここでも書かれているように小説は時代を移す鏡であると言われるが、それぞれ単独ではわからない。このように、まとめて書評をすることで見えてくる部分もある。本書は書評のようでありながら、社会評論と読めるものだと感じた。
軽い気持ちで読み流せるかと思ったら、意外と面白かった。 特にコロナ期の頃はまだ覚えているのと、考察も興味深くて、なかなかよかったです。 前半は、なぜか、よくわからなかった。忘れかけてるから共感できなかったかな?
30年間の間に発表された小説、主に10年間の間に発表された小説を中心に本読みのプロである2人が対談形式で徹底的に語った一冊。世相や日本のみならず世界で起きた出来事と絡めて、日本の文学について語られるが、凡人とは見る視点が違いすぎて、終始驚かされた。 文学から日本の社会の動向がここまで分かってしまうと...続きを読むは、小説がフィクションだと軽視できない存在であると改めて思い知らされた。この30年で、イラク戦争や9.11、東日本大震災などの日本だけでなく世界をも変えるような出来事が文学にも大きく反映されていて、いかに私たちの生活にもこれらの出来事が影響を及ぼしているのか知ることができた。 しかし、自分が読んだことがない小説に対しては、2人の対談を読んでもしっくりこない部分があったので、未読の作品は自分で読んで、改めてこの本を読み返したいと思わされた。
ロッキング・オン社長、渋谷陽一責任編集の雑誌『SIGHT』(1991年〜2014年)の年末恒例特集として組まれていた高橋源一郎・斎藤美奈子対談の再録(2011年〜14年)、19年の『すばる』誌での対談、21年の語り下ろしを収録。 『サイト』誌上の書評対談といえば大森望と北上二郎の「読むのが怖い!...続きを読む」が名物企画であったが、当時の編集者曰く「取り上げられている本を一切読まなくてもおもしろい」つまり、「読み物を論評する」を超えて、「これ自体がおもしろい読み物である」というわけだが、この本にも十分当てはまる。副題にある「読んでしゃべって社会が見えた」気分にさせてくれる。 【蛇足】高橋「2009年に民主党政権が発足した後の言論空間は明るくてポジティブでした。支持率が70%を超えていた、信じられない時代です。」斎藤「政治の話が楽しかったですよね。」中略 斎藤「だけど、結局全然変わらない。」高橋「それで、2012年末に民主党政権が退いて、また安倍政権になって……。」 呪詛を吐いてるだけで、リベラル陣営の失敗には言及しない女々しさ。
「SIGHT」年末恒例企画「ブックオブザイヤー」は愛読していた。雑誌が休刊してしまって残念至極。どこかでまたやってほしいなあ。高橋源一郎さんと斎藤美奈子さん、最強コンビの一つだろう(豊崎由美さんと大森望さんというのも好き)。お二人の場合、小説などを論じつつ、その作品が書かれ読まれる社会的意味に斬り込...続きを読むんでいくところに特徴がある。 後半の長い対談は、平成を(さらには昭和を)俯瞰する視点で話されていて、なるほどなあと思うところが多かった。確かに文学は社会の鏡であり、しかもそれは時間がたってから鮮明な像を結ぶものなのだと納得させられた。 個々の作家についての評がやはり読みどころ。言われてみれば本当にそうだと思うのがいくつもあった。 ・西村賢太さん 「フラットに書いているようでいて、苦悩を特権化してる感じ」 そう!主人公がDV男だという以外にもなんか苦手と思ってたのはこれだ。明治の書生ものから連綿と続く「オレだけがこんなに苦しんでる」ってやつ。(しかしこんなに早く亡くなるとは…。ご冥福をお祈りします) ・山田詠美さん 「詠美さんの作品って、もともと優等生なところがあるし、じつはすごく道徳的でしょ」「根本的にいい人なんだよね」 そうなんだよね~。アンダーグラウンドを描いてもにじみ出る真っ当感がエイミーの魅力。 ・伊藤比呂美さん 「今日に至るまで、一貫して子育てや家族のことを書き続けてきたわけで…」「人生の実況中継だよね」 人生の実況中継!いやまさに!そこに全然ウソがない点が伊藤さんの凄さだ。今や老いに向かう姿も「中継」してくれていて、読むとなぜか安心する。 とまあ納得した箇所は多々あるが、今回もっとも膝を打ったのは、村上春樹についての論評。私が初期作品以外の彼の小説が苦手な理由がよーくわかった。 ・「これ(「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」)、読んでも小説の中に入れない人、たくさんいると思うんだよね。表面でツルッと滑って。舞台の上を観ていて、凄い熱演で、でも熱演されればされるほど冷めていくみたいな。でも、本当は、読むのはその熱演の中身じゃなくて、何か別のもの、メタ・メッセージが……。」「あるんじゃないかなってみんな思うので、一所懸命読むわけですが。」「ただ、それが何かって言われると、なかなかわからない」 私のことだよ~。 ・斎藤さんが、「すごく浅く言うとさ、自分探しものですよね」と斬り、主人公を動かすのはいつも女で「結局、女に甘えてません?」と言った後の高橋さんの答えに、もう膝を連打! 「まあでも、いくら批判されてもへこたれないよね。だからもしかすると、最後の父権制はここにあるのかもね」「他の人たちはやっぱり自信がないっていうか、頼れるものがない感じ。でもこのふたり(村上春樹と大江健三郎)は、自分自身の中に重力がある」「このふたりは、後期資本主義でそういうの(近代文学をバックボーンに持った父権制)がいったん切れたあと、すごい力業で自分自身の上にそれを作り上げたんだよ」 この後二人が繰り出す言葉にいちいちうなずく。「ふたりとも自己肯定感がすごいよね」「どう見ても圧倒的な肯定感!」「みなぎる自信!」「全体から醸し出される、有無を言わせぬ自己肯定感!」 本当に、主人公がどんなに「ちっぽけな何もできない自分」と言おうとも、受ける印象はまったく逆。エッセイでも(こちらは愛読している)、村上さんはしばしば、「世界とうまく折り合えない自分」「理解されない自分」を書くけれど(そしてそこに共感してしまうけれど)、自己否定感はきれいさっぱりないんだよね。高橋さんは「ぼくは(村上作品は)誤読に支えられてるんじゃないかと思ってるんです」とまで言っていた。うーん。
時代の大波に呑み込まれないためにも、小説群をライフジャケットとするのも良いと思えた。中動態的なフィルタにも役立つかな。 ポストモダンも深まっての三十年だあね。社会の包摂も期待できない、今の日本の個々人には、大切なものだな。 近代的な自我の写像、その反映としての小説の誕生でもあるか。
自分で読むだけでは思いもよらない観点を提供してくれる点で、文学に関する書評はやっぱり読んでいて面白い。ただ、高橋小説を全然楽しめなかった記憶から、どうしても、氏と同じように作品を味わう自信がない。斎藤さんの合いの手も的を射ていて、読み物としてはとても楽しませてもらったんだけど、じゃあ読みたいかとなる...続きを読むと話は別で、ピックアップしたのは下記の2点のみ。平成の総括ってことで、比較的有名どころというか、既知の作品が多かったということもあるのだけれど。 ”むかし原発いま炭鉱” ”工場”小山田浩子
高橋源一郎さんと斎藤美奈子さんが、平成からの約30年間に読んだ本について、その年の時事に絡めての対談をまとめたもの。面白かった。 「あー、こういう時相だとこのような文学が生まれるんだ」と興味深く読みました。読みたい本が増え、読書の幅が広がりそうです。
紹介した本を褒めていないのが面白い。 欠点のある作品も含めて 時代の産物であり、大量に、 かつ、“考えながら”読むことで 時代が見えてくる、ということが 感じられる本
なんリベポストモダン vs なんリベフェミニズム 高橋源一郎のことはポストモダン小説を評する、どこかすっとぼけたひとだと思ってゐる。読巧者とはまったく思ってゐない。むしろズレてゐる。 池澤全集の新訳古典のときも、町田康の「宇治拾遺」訳と自分の「方丈記」訳とを比べて、なるほどそのやり方があったかと...続きを読む町田訳に感心してゐた。それぐらゐズレてゐる。 だいたいが、純文学で社会を知らうとするのが無理やりなのだ。純文学は、文壇村とその周辺でしか通用しない通貨みたいなもんだ。木を見て森を見ず、群盲象を評す、である。 『アンクル・トムの小屋』が、奴隷解放に貢献した偉大な通俗小説なのはまちがひない。 したがって世に膾炙したコロナ・震災小説といふのも、どこまで純かは疑はしい。エンタメ小説こそ社会を反映してゐるかもしれないのに、それは取り上げない。 本来なら、身分差別で、共和・自由主義者が批判すべき天皇制。天皇小説である『東京プリズン』でも『JR東京駅上野公園口』でも触れてゐないのは不自然だ。 池澤夏樹の『アトミック・ボックス』のやうな、日本の原爆開発計画が北朝鮮に流れたといふ、荒唐無稽なおバカ原発原爆批判小説についても、特になにも感じないらしい。 社会問題を先取りしたら高評価といふのも、SF小説みたいだ。 しかし、村上春樹と大江健三郎が共に無意識を共有した、共通の作家といふ点を見逃してゐないのは、勘が冴えてゐる(柴田元幸との対談でも同じことを言ってゐる)。
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この30年の小説、ぜんぶ 読んでしゃべって社会が見えた
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