斎藤美奈子のレビュー一覧
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岩波ブックレットNo.1110です
ついに岩波ブックレットにわいの大好きな文芸評論家斎藤美奈子さんが登場!
分かっとるやないか岩波君
気になる内容は、刊行から100年を迎える細井和喜蔵の名著『女工哀史』を読み解くガイドブックとなっております
『女工哀史』は岩波文庫から絶賛発売中って宣伝かよ!( ゚д゚ )クワッ!!
違うわ、大馬鹿者!(# ゚Д゚)
美奈子さんかそんな安っぽい戦略に手を貸すわけないだろうが!
「女工」です
先日読んだ『警察官の心臓』でも風俗産業の歴史を語る中で、戦前田舎の農村で生まれた貧しい女性たちが、故郷から引き剥がされ、都市で生きて行くには「風俗」か「女工」し -
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有名な「女工哀史」を知る人は多いが、著者の細井和喜蔵を知る人も「女工哀史」を読んだ人も少ない。
そんな「女工哀史」と著者の細井と彼を支えた内縁の妻堀としを(細井の没後再婚して高井としを)を紹介するのが本書。
義務教育も満足に終えない少年少女を働かせる明治大正の紡績工場の労働環境は過酷かつ不当だった。室温43℃湿度80〜100%。会話が困難になる騒音が常態化。綿埃が舞い、結核を患ってもまともな治療も受けられず、食事も貧しい。
そうした悲惨な事実は工場の外からはわからない。
それを告発するために執筆されたのが「女工哀史」。
内縁の妻の支えがあっての「女工哀史」だったが、著者の細井は出版まもなく病死 -
- カート
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試し読み
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単行本にはつかないが、文庫本のほとんどには解説がついている。この解説が千差万別。作品のキズや欠点をあげつらうものから、褒めて褒めて褒め通すものまで。あたりさわりのない解説から、解説者自身の自分語りに終始するものまでと、多種多様。
本書は、そうした解説についての解説。いわばメタ解説。なんともワンダホーな企画、俎上に載せる文庫本のチョイスもナイス。
とくに夏目漱石『坊ちゃん』、林芙美子『放浪記』、太宰治『走れメロス』、高村光太郎『智恵子抄』の章が秀逸。赤川次郎『三毛猫ホームズ』の章では、鶴見俊輔が赤川の大ファンということも書いている。鶴見は赤川が書いた本の冊数よりも100冊も多く読んでいるそうな! -
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『名作うしろ読み』の続編。文庫版のタイトルもいい。
たんなる名作の解説や読書案内にとどまらない。しっかり書評もしている。しかも、その評のクオリティの高さと言ったら。随所に散りばめられたトリビアもたまらない。
名作をエンディングから読み解くという、まさに逆転の発想。確かにエンディングはダルマの目入れ。それによって、読後の印象は決まってしまう。作者が腐心しないはずがない。
このおもしろい企画、ふつうの評論家なら、そのおもしろさに呑まれてしまうのだが。そこは斎藤美奈子、きっちり勝負している。
とくに『チャタレイ夫人の恋人』、『サンドリヨン』、『マッチ売りの少女』、『最後のひと葉』、『高瀬舟』、『吾輩 -
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以前『クマのプーさん』の原文と石井桃子訳を照らし合わせていて、ぶっとんだ。どうしたら、こんな生きた日本語になるのか。そう思っていたら、なんと本書『名作うしろ読み』にも、「日本語訳のワザも芸術的だ」とあるではないか。
プーさん、もとはクマのぬいぐるみ。物語のエンディングは、「おねむ」の時間になって、このぬいぐるみが階段をひきずられて2階にあがっていくところで終わる。では冒頭は……ちょっと感動。
古今東西の名作を「うしろ読み」するというこの斬新な企画。名作は時代によって読まれ方が変わるし、いろんな手垢もついている。これをエンディングから、先入観を捨てて読み直す。最初は邪道だと思ったが、慣れると、こ -
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今の中学生、高校生、それに政治の知識にうとい大人達は、ぜひ読むべきだ。特に、選挙で投票にも行かない大人達には、この本に書かれている基本的な教養すらない。前半から日本で起きた歴史の出来事を軽く交えるなどして、政治の基本、考え方などから、「右翼・左翼」「保守・リベラル」など勘違いしている人が多い部分にも、しっかり触れていて、政治の教養がある人でも十分読める。
すでにこれらの知識はあったものの、政治にうとい人にどのように説明していいか困る事も多かったため、「なるほど、確かにこう言えば理解してもらえるな」といった新しい気づきもあったため、個人的に文句なしの良書である。この本に加えて、憲法の基本理念が備 -
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子どものころ夢中になって読んだあの少女小説の古典を大人になってから読み返すと何が見えてくるか。家庭的な女性を求める時代の要請に応えながらも反抗心を持ち続け、挑発することをやめなかった少女小説を再評価する。
本書で取り上げられている少女小説は超古典的なラインナップなのだが、私は昔からファンタジー派だったので『若草物語』と『赤毛のアン』と『あしながおじさん』しか読んだことがない。たぶん同世代で子どものころから本が好きという人でも、全部読んでる人は稀な気がするなぁ。
とはいえ読んだ作品はやっぱり特別な存在になっていて、なかでも私はアンが好きだった。アンに倣って樹に名前をつけたりクランペットを焼い -
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積読していた本
時事問題が多いので、早く読んでしまわねば!と思って読んだら、これがまた!ものすごく面白かった。
2020年初版の本なので、買ってすぐ読んでおけばと後悔。しかし、残念ながら今読んでも大丈夫なのでした。全く2024年の今と現状は変わらず(オリンピックが開催され、安倍氏が死去したにもかかわらず)何も解決されてないので…。
家族が購入した本なので、購入した本人や家族に、自分のことはさておき、何やってんのよ、早く読んで読んで!と勧めた。
斎藤美奈子に外れなし。常に予想より面白い。
積読の斎藤さんの本まだあるので早速他の本も読もうっと。
後ろの章から読んだのだが、全部いいけど、最初の二 -
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斉藤美奈子に外れなし!
ほとんど読んだことがない遠い遠い近代文学なのに(恥ずかしながら取り上げられた本で読んでいたのは2冊だけ…)斉藤美奈子さんの手にかかれば、ものすごく身近に感じられる。
すぐにも読みたい、読み直したい!
斉藤美奈子の男性作家への一刀両断ぶりが面白くて何度も笑った。「浮雲」も「近代文学の祖といあわりに、意外とチンケな物語である」このセリフがいきなり序章にある(笑)
一番読んでみたいと思ったのは、菊池寛「真珠夫人」
こんなに痛快な小説だったとは知らなかった。特に前半の瑠璃子の活躍ぶりはものすごいね。「真珠夫人」を語る斉藤さんの筆も冴えてます。切れ味抜群でノリに乗ってる。こんな -
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もう序章でココロ鷲掴みされました
あの鋭い鉤爪でぐわしゃしあと
はい、ということで文芸評論家斎藤美奈子女史の『出世と恋愛』です
いろんなところで彼女の書評は目にしておりまして大好きな方だったんですが、ちゃんと一冊に纏められたものは読んだことなかったなぁとあらためて手にとったのは最新刊の本作です
いやもうこれがめちゃくちゃ面白かった!
直径1メートル深さ7メートルくらあの穴を掘って「面白かった!」と叫びたいくらい面白かった!(どんな基準やねん)
いやでも直径1メートルだと人力では逆に掘るの大変か?でもあまり直径広げちゃうとだだ漏れになるから穴掘った意味なくなるしな
迷うところです(どうでも -
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10年ずつ区切られた、その当時の文学のかたち。
1960年代 知識人の凋落
1970年代 記録文学の時代
1980年代 遊園地化する純文学
1990年代 女性作家の台頭
2000年代 戦争と格差社会
2010年代 ディストピアを超えて
相変わらず読書量も凄ければ、分析力もハンパない。
知らないことを読めば「ふむふむ、そうか」と思い、知ってる部分を読めば「そうでしょうとも」と膝を打つ。
子どもの頃の私は学校にある子ども向けの世界文学全集を読み、そのほか中学生くらいまでは海外のミステリを中心に読み、高校生でSFにハマり、同時代小説を読み始めたのは子どもが小学生になった頃からだった。
というわけ -
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べらぼうに面白い一冊。斎藤美奈子先生の本にハズレなし。『友情』とか『桜の実の熟する時』とか、スパッスパッと切っていく。ただし、通勤途中に読むのはおすすめしない。何度か吹き出しそうになった。
『真珠夫人』が出ているのが新しいなあと思ったが、あの小説がテレビドラマになったのは、2002年のことだったと書かれていて、引きつってしまった。もう20年以上たっている・・・。瑠璃子も単なる悪女じゃなかったのね。
『金色夜叉』の宮さんと、『或る女』の葉子が、どちらも音楽学校に通っていたというのも、意外な共通点。宮さんは明治音楽院、葉子は上野の音楽学校だから、同じ学校というわけではないが、普段から洋楽に接してい