斎藤美奈子のレビュー一覧
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第1章の歴史を読み解いた部分が大変わかりやすく、ここだけでも歴史の教材として使ったらいいんじゃないかと思ったほど。教科書で読むとごちゃごちゃした歴史が「体制」「反体制」とわけるだけで、すっきりと頭に入る。中高生、受験生必読。
第2・3章にある「体制は反体制を全力でたたきつぶす」「資本主義は『自由』を、社会主義は『平等』を重んじる経済のしくみ」「右翼は『反共』、左翼は『反米』」なんかは、政治に関心がないけど勉強せざるを得ない中高生は覚えておくと便利だと思う。
この本では(というか斎藤さんが書いているものを読めば、どれにもそう書いてあるが)自分の政治信条とその理由がはっきり書いてあるるので、おのず -
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中学から高校にかけて、ヘヴィメタルを愛好していました。
CDも随分と買いました。
今はどうか知りませんが、当時、ヘヴィメタルのCDを買うと、ライナーノーツ(解説文)を書いていたのは必ずと言っていいほど伊藤政則でした。
そして、この伊藤政則の書くライナーノーツを読むのが楽しみでした。
早く読みたくて、封を開けるのがもどかしいほど。
時にはライナーノーツを読みたくてCDを買うなどという暴挙に出たこともあり、あのころは本当にどうかしていました。
ただ、ライナーノーツというのはCDに付いている「おまけ」などではない。
少なくとも、私にとってはCD本体と並ぶ1個の商品だったような気がします。
文庫本の最 -
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やはり著者の「文芸評論」はひと味もふた味も違っていて、抜群に面白い。妊娠や紅一点に着目したり、名作を後ろから読んでみたり、なるほどねえと楽しませてもらってきたが、今回取り上げているのは文庫解説。
いやまったくさすがの目の付け所で、文庫解説についてまとめて論じたものって目にしたことがないような。単行本を読んでいても、解説を楽しみに文庫を買うことがあるくらい、面白いのがある一方で、なんだか身内でのホメ合いに終始していたり、全然やる気のなさそうな「読んでないんじゃ?」というのがあったり、いろいろ突っ込みどころがありそうだ。
ここのところちょっとなりを潜めてた気もする、著者の鋭い舌鋒(「悪態」とい -
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「ちくま」誌に連載された「世の中ラボ」の2010年8月号から2015年6月号までをまとめたもの。当時旬の社会問題について、斎藤が選んだ3冊程度の本をベースに論じている。いくつか読みごたえのある記事もあった。
「『大きな政府』で何が悪い」では、自民も民主も新自由主義経済の推進者、小さな政府論者が主流であることを嘆く。榊原英資「フレンチ・パラドックス」や、神野直彦『「分かち合い」の経済』は、日本がすでに小さな国であること、大きな政府のフランスが小さな政府の国より経済成長率が高く、リーマン・ショック後の不況からの立ち直りも早かったと説いている。日本より早くグローバリゼーションの波をかぶったEU諸国 -
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はじめに「いつも読んでいる料理雑誌やグルメガイドのようなつもりで…」読んで欲しいと書いてあった通りの本だった。
読み終わって、「日本人の本質、戦争中でも変わらない~~~!」
食品にやたら手をかけ、盛り付けに凝る。
和食が世界遺産になったのもうなずける。
高級和食のみならず、草の根からして、料理に対する並々ならぬこだわりを感じるのだ。
戦後の高度経済成長、バブル期の一億層セレブ気取り時代を経て、今では這い上がるきっかけも無い不景気時代…
ぐるっと回って、この本の中にあるような、超節約料理を作る時代に逆戻りしているような。
この中にある「節米料理」は、米の消費を抑えるために、毎日の主食の一部を -
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数年前、女優でエッセイストの中江有里さんがテレビ番組の中で紹介していたので、気になっていた本書。
当時は単行本だったので買うか買うまいか悩んでいた。結局、買わずに年月が過ぎた。
いつものように、書店を眺めていると、文庫本化されているではないですか!
そっと手に取りレジへ向かい、ようやく手に入れたのであります。
著者の斎藤美奈子さんのプロフィールを見ると、児童書等の編集者を経て、文芸評論家としてデビューとある。余談だが、児童書の編集者というとどこの出版社だったのだろう、と思いを募られてしまう。
さて、古今東西の名作と言われる作品の書評とあらすじ、冒頭の一文を紹介する本は数あれど、エンディング -
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まさに立体的な読書、とでも言うべきか。書いてある内容をただただ「ふーん…」と読み飛ばしていくのではなく(こうなりがちな気がするけど)、これでもか!?というほど各所にメスを入れていく。この好奇心、探究精神こそが知性に繋がるんだと思うし、記憶に残る読書になるんだと思う。時に割と身も蓋もないような言い方もこの本の中にはあるんだけど、いいんですそれで。それが面白いし、新たな発見というか、時に自分の"痛さ"に気付かせてくれたりもするから。
例えば『五体不満足』だったり『だから、あなたも生きぬいて』だったり、世間の評価に流されて結局「なんかいい本だったな」ぐらいの感想しか持たず終わってしまうということも割 -
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斎藤美奈子のデビュー作。小説の中でヒロインが妊娠をする小説を「妊娠小説」と定義づけ、より正確には「望まない妊娠」である。原点は森鴎外の「舞姫」だとしています。「太陽の季節」「死者の奢り」「青春の蹉跌」「北都物語」がメンズ系なら、「もう頬づえはつかない」「海を感じる時」はレディス系。メンズ系は女に裏切られる話。ヒーローの年齢により、若い男が恋人の妊娠で打撃を受ける話、中年妻子持ちの男が愛人の妊娠で疲れる話などに類型。レディス系は自身の妊娠を機に男を見限る話、などに類型。
この本を出した時、文芸誌の元編集者から「小説はそんな風に読むんじゃない」と叱られたといいます。がこの「妊娠」をキーワードにす -
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なにかと波長の合う斎藤美奈子氏の書評本。しかしそこは斎藤氏、単なる本の羅列とはちがう。本を材料に世の中を縦に斜めにバッサバサ斬る。
2006年7月~2009年5月に、マガジンハウスの小冊子「ウフ」に連載されたものが主となり、2010年3月~「ちくま」に連載の物が核になっている。なので取り上げた本はその間に話題になった本をよみつつ、さらにその旬な本のバックボーンになっている本も取り上げている。
2012の今からだと6年前。最初の本が安部元首相の「国家の品格」。この時点でまだ次期首相候補なんです。いまや歴史の彼方ですよ。
斎藤氏と私は同学年。したがって団塊世代への非共感も同じ。2006年6月 -
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読書家である事を誇りに思っている層はベストセラー本を買わない傾向にあるが、ならば代わりに読んで概要を紹介しよう! というのがこの本。
要点をさくっと説明しつつ、ツッコミどころには容赦なくつっこんでいくのが非常に痛快。
何故その本が売れたのか、という事の分析もされている。
大多数の作品がばっさりと斬られているが、単に批判するばかりではなく、著者が良い作品だと感じたものもきちんと評価されていて、
よくある「痛烈に批判するばかりの書評本」とは違い、著者が作品に真摯に向き合った上で紹介しているのだと感じられた。
「善良な読者」(ベストセラー本をよく読む層を、文中でこう読んでいる)ではない人の中でも