あらすじ
名作は“お尻”を知っても面白い!
「神に栄えあれ」「下痢はとうとう止まらず、汽車に乗ってからも続いていた」――
さて、この二つの文章は何という作品のラストでしょう?
『雪国』『ゼロの焦点』から『赤毛のアン』まで、古今東西の名作132冊を最後の一文から読み解く、丸わかり文学案内。
文豪たちの意外なエンディングのセンスをご覧あれ。
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Posted by ブクログ
以前『クマのプーさん』の原文と石井桃子訳を照らし合わせていて、ぶっとんだ。どうしたら、こんな生きた日本語になるのか。そう思っていたら、なんと本書『名作うしろ読み』にも、「日本語訳のワザも芸術的だ」とあるではないか。
プーさん、もとはクマのぬいぐるみ。物語のエンディングは、「おねむ」の時間になって、このぬいぐるみが階段をひきずられて2階にあがっていくところで終わる。では冒頭は……ちょっと感動。
古今東西の名作を「うしろ読み」するというこの斬新な企画。名作は時代によって読まれ方が変わるし、いろんな手垢もついている。これをエンディングから、先入観を捨てて読み直す。最初は邪道だと思ったが、慣れると、こちらのほうが読み方の正道のような気がしてくる。
出色なのは、上記『クマのプーさん』、『坊ちゃん』、『車輪の下』、『パルタイ』、『変身』、『蠅の王』。
見開き2ページに、名作ひとつ。これが132冊分。エッセンスがぎゅっと濃縮されている。
Posted by ブクログ
「古今東西の名作132冊をラスト一文から読み解く」
つまり、名作の書き出しの一文は有名になるのが多いですが、作品最後の一文は忘れられてしまうようだ。
例えば超有名な「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」の『雪国』末尾は覚えてない・・・。また、「下痢はとうとう止まらず、汽車に乗ってからも続いていた」というラスト文、わたしは「お見合いに行く令嬢に、これ、ないんじゃないのぉ!」とよく覚えていましたけども、この『細雪』の書き出しは、「はて、何だっけ?」
斎藤さんはほんとにいろいろな切り口を見つけ出しますね。
総数132冊、おもしろい名作案内でした。(続編もある)
このような名作ガイドを読むとき、長年本に親しんでいたわたしは非常に嬉しくなります。
ま、132冊のあれもこれも読んだからこそ、わかる文学論、いえ、高級文学ブログ本です。
新聞連載をされて、まとめてあるものですが、もうブログのように楽しく読める文学案内ですから。
1ページごとに一作品、簡単な作者略歴、時代背景がまとめられていて見やすい。
なお初版発行年数が西暦なのもいい。もう、明治大正昭和では時代がつかめない。あ、それからここには平成の時代に発行された本は取り上げられてないですね。名作は30年かかって出来る!?
ええ、ええ、国語文学史のサブ教科書を読むなら、こちらの方がよほど頭に入りますよ。
Posted by ブクログ
自身の読書量の少なさを痛感。世の中まだまだ面白そうな本があるではないか。
ビジネス書がどうしても増えていくなかで、過去の名作もしっかり読みながら、人間力を高めなければ。目次コピーして、手帳にしのばせ、紹介されている本を少しずつ、意識的に読み進めよう。著者とは違う感想や視点を持てると尚よい。
Posted by ブクログ
数年前、女優でエッセイストの中江有里さんがテレビ番組の中で紹介していたので、気になっていた本書。
当時は単行本だったので買うか買うまいか悩んでいた。結局、買わずに年月が過ぎた。
いつものように、書店を眺めていると、文庫本化されているではないですか!
そっと手に取りレジへ向かい、ようやく手に入れたのであります。
著者の斎藤美奈子さんのプロフィールを見ると、児童書等の編集者を経て、文芸評論家としてデビューとある。余談だが、児童書の編集者というとどこの出版社だったのだろう、と思いを募られてしまう。
さて、古今東西の名作と言われる作品の書評とあらすじ、冒頭の一文を紹介する本は数あれど、エンディングから紹介するのは珍しいのではないか? そこに興味を持ったわけです。
1青春の群像
2女子の選択
3男子の生き方
4不思議な物語
5子どもの時間
6風土の研究
7家族の行方
七つの分類から見る物語のエンディング数々。最初の一文も大事だけど、最後の一文も大切なんだと思った。
編集者出身とあり、見るところも違うような気がする。
小説家になりたい人にも、これは勉強になるのではないかと個人的には思うのでありました。
Posted by ブクログ
最初も最後も印象的なのは「走れメロス」でしょうか。名作の最初と最後を書き出して比較するのも面白いかなと思いました。ピリッとした解説が良いですね。
Posted by ブクログ
単行本で読んだあと「あれも読もう」「これも読まねば」と思いつつ、結局あんまり読んでない名作の数々。
またもや「あれも読もう」「これも読まねば」となりました。