【感想・ネタバレ】ニッポン沈没 世の中ラボ2のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年07月04日

2000年代の直近史をオバマの「Promised Land」きっかけで辿り直しているのだがどうもこの震災以降2015年ほどまでが現在の日本の崩れていくきっかけのー最も顕著になる案件が目白押しだったことが確認される。
著者も言っている通りこの5年間が最も暗澹たるもので底を打ってるかと思えば今現在までそ...続きを読むれは一向に浮上していない。まさに川に落ちた犬に石を投げつけられるごときのコロナ禍であるなあ。
せめてもの救いはアメリカで劇薬としてのトランプがあったおかげでモラルとしては加速主義的に回復が見れてそれが日本にも影響を与えていること。
でもまあ日本で状況が回復するのはあと10年ばかりかかるとは確実に言える。あーあ

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Posted by ブクログ 2016年05月30日

今回は買ってから早めに読みました。

“いったいこの国は、どうなってるのよ。権力はしたい放題、メディアのチェック機能は減退、有権者はやる気を放棄では、もはや民主主義の国とは言えないじゃんよっ!”
という気分が、タイトルに「沈没」という言葉を使ったそうです。
転覆しそうになった船=ニッポン

・激震前...続きを読む
・原発震災
・安倍復活
・言論沈没

大きくこの4つの章に分かれています。
その中で、一つのトピックについて3冊の関連本を読み、右から左から上から下から読み解いたのがこの本。

“不穏な空気に包まれていたこの国を、さらに大きな二つの「人災」が襲った。ひとつは東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故。もうひとつは3年半で頓挫した民主党政権に代わる、第二次安倍晋三政権の誕生である。”

このふたつの人災に対する怒りは激しく、しかしあくまで冷静に、否定派肯定派の意見をきちんと読んで、突っ込むところには突っ込み、納得するところは謙虚に受け入れるのである。
そして毎回3冊の本を読んで紹介。

彼女の本を読むとわたしはいつも自分の不勉強を痛感させられる。
もっと本を読まなきゃだめだ。
もっと世の中を知らなきゃだめだ。

自分に発破をかけるために、私は彼女の本を読むのかもしれない。
いや、単純に好きなんですがね。
ものごとを断じる潔さが。

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Posted by ブクログ 2021年03月21日

民主党政権、東日本震災、安部政権など、出てくる事象は過去のものだ。でも、そこに出てくる問題意識、解決に向けた姿勢、いら立ちも含めて、今も深く共感できるものだと思う。これより後の本『忖度しません』を先に読んでいるんだけど、まったく古さを感じない。今も現在進行形の話として読み進められた。面白かったし、一...続きを読む方で面白がってばかりでいいのか、という意識もある。本書で紹介されていた本のいくつかは、積読のまま俺の本棚にもある、読まないとなぁ。

美味しんぼの福島エピソードとか、取り上げられた当時、俺もイタイな、とおもったものだった。あるいはエキセントリックだな、と。でも、作品を作るとは本来、エクセントリックな面もある。そんな風にネガティブにとらえてしまったあたり、自分の中にも世間の雰囲気を無批判に受けてしまった部分もあるんだろうな、と反省。部分もある、というのは、やっぱり言われる側にしてみれば、しんどい話だろうという懸念はぬぐえない、というあたりで。

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Posted by ブクログ 2018年10月31日

「ちくま」誌に連載された「世の中ラボ」の2010年8月号から2015年6月号までをまとめたもの。当時旬の社会問題について、斎藤が選んだ3冊程度の本をベースに論じている。いくつか読みごたえのある記事もあった。

「『大きな政府』で何が悪い」では、自民も民主も新自由主義経済の推進者、小さな政府論者が主流...続きを読むであることを嘆く。榊原英資「フレンチ・パラドックス」や、神野直彦『「分かち合い」の経済』は、日本がすでに小さな国であること、大きな政府のフランスが小さな政府の国より経済成長率が高く、リーマン・ショック後の不況からの立ち直りも早かったと説いている。日本より早くグローバリゼーションの波をかぶったEU諸国では、強固な所得再配分制度と厚い社会保障制度によって格差の広がりを抑えてきた。小さな政府の最先進国であるアメリカは、先進国の中で最も貧困層が多く、最も所得格差が大きい。そんな国を手本にする必要がどこにあるのだろうと、斎藤は疑問を投げかける。

「あの日の官邸は『無能』じゃなかった」では、福島第一原発の事故に関して官邸内部から書かれた本を取り上げる。斎藤は、当時の菅首相と官邸に報道されたイメージとは異なるものを読み、「官邸の過剰介入がなければ、日本は崩壊していたかもしれない」と引用している。タテ割り行政の弊害、官僚の無能さ、専門領域に閉じこもる科学者の無能ぶりは想像以上であり、人的要因こそが人災の元凶と論じており、「こんな危なっかしい国は、原発なんか持っちゃダメなのだ」と結論づけている。

「デモ(だけ)で社会は変わるのか」では、「トップを変えても容易に社会は変わらないことを民主党政権の3年半で学んだ」として、日本の民主主義がどこに向かうのかを論じた本を取り上げ、「必要なのは政策を実現させる小さな知恵の積み重ね、一人の強いリーダーではなく無数のコーディネーター、多様な政治へのアプローチなのだろう」とまとめている。しかし、維新の会を立ち上げた橋下徹や選挙に勝った安倍自民党を目の当たりにした斎藤は、「議会制民主主義に限界があっても、人々の声を政策に反映させるには、議会の構成員を変えることが必要」であり、「重要なのは、デモを議会に結びつける第二歩目」と主張している。

「スポーツ界の暴力容認構造に喝!」では、体罰肯定論者にはこれといった論理がなく、体験的な裏付けで論ずるが、それは「指導する側の論理に過ぎない」と一蹴する。桑田真澄と平田竹男の対談「新・野球を学問する」では、戦時中に浸透した軍隊のようなタテの規律が今も生き続けていることが問題であると指摘する。「近代スポーツのミッションは終わったか」では、秩序や締め付けが必要だとの論理の下で行われるのは「いじめ」だと主張し、強くなっているクラブは古い体質からとっくに脱出しているし、旧体制の体質のままのところで暴力の問題が発生しているという。スポーツの組織論は、社会の組織論そのものであると改めて思う。

「日本の対米追従はいつまで続く」では、日米関係論の本を取り上げる。前泊博盛の『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』は、愛国心や国益を発言する保守系の政治家ほど対米従属的で矛盾しており、官僚は国内法よりもアメリカの意向にコントロールされていると説く。チャルマーズ・ジョンソンの「帝国解体」は、世界の130か国以上に737の米軍基地があるが、アメリカの財政は破綻しつつあり、世界的な反米意識が高まっていることから、帝国主義的な支配は終焉に向かっていると分析している。

齋藤の連載を読むだけでも各テーマの論点を整理できるし、学べることは多い。関心を持った本を読むこともできるので、ありがたいものだ。

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Posted by ブクログ 2016年05月02日

「ちくま」で愛読しており,記憶に残っているものもあったが,これだけまとまって読むと,著者の馬力は凄いものだと感心した.このコメントを参考にして何冊かの本を読んできたが,特に憲法の問題は重要だと思っている.自民党の発想は貧弱というか底が浅いというか,なんとももどかしい.

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Posted by ブクログ 2016年02月18日

斎藤美奈子さんの本は、ほとんど読んでいると思うのだが、今回も相変わらず鋭い。
ずっと吠え続けていただきたい。
吠えずにすむ未来ならいいのだけれど。
この先、日本は、世界はどうなっていくのだろう。

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Posted by ブクログ 2015年12月26日

相変わらず切れ味するどい斎藤さん。ニッポン沈没ときましたか。そうですよそうですよ。この泥船がいつまで沈まずにいられることか。今年になって傾きはさらに大きくなりましたからね、やれやれ。なんて言ってる場合じゃないと思わせてくれる斎藤美奈子。学ばなくては。声をあげなくては。

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Posted by ブクログ 2018年11月15日

毒舌書評家 斎藤美奈子が震災後の文学や朝日新聞誤報問題、ヘイトスピーチ、ブラック企業など現代社会の諸相を「本」で読む同時代評。全体的に面白いとは思うのだが、どうしてこれほど理性的で相対的な視点の持ち主が、こと安倍晋三、橋下徹のこととなると感情的な拒否反応しか示せないのかまったく謎で、その部分は白ける...続きを読む

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Posted by ブクログ 2016年11月13日

本当に良い本というのは、いつ読んでもその価値に変わりがないものだろうと思っている。けれども、この本が書かれたときに読んでいれば、きっと、もっともっと感じられることがあったはず。少し悔しい。

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Posted by ブクログ 2015年12月02日

斎藤美奈子さんは大好きな書き手で、鋭い舌鋒が痛快だ。時事ネタより文学論のほうがより楽しめるのだが、政治への視線にも共感するところが多々ある。これは2010年から2015年6月にかけて書かれたもの。

震災・原発事故・領土問題・橋下徹・慰安婦問題・秘密保護法・嫌韓思想・集団的自衛権・ブラック企業・イス...続きを読むラム国…、目についたトピックを拾っていったら、どうにも暗ーい気持ちになってしまった。これでも安保法案はまだ入っていないのだ。あとがきに「あらためて通読すると、斎藤はなんだかずっと不機嫌ですね」とあるが、そりゃ不機嫌にもなるよ。著者得意の笑えるおちょくりも影を潜めるほど、状況は厳しいということだ。それでも、気分でものを言うのではなく、関連書物をきちんと読んで、自分の言葉で意見を述べているところがこの人らしい。

あとがきの終わりのほうに記されていた言葉をかみしめる。
「ひとまず私たちに必要なのは、執念深くなること、次の一手を常に考え続けていくことでしょう。あきらめた途端、声を出さなくなった途端にどうなるかは、先の戦争が示しています。安易に希望を語ることはできません。しかし私は、絶望もしていません」

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